インターネット字書きマンの落書き帳
坂上くんの手料理弁当をつまみ食いする風間パイセンの話
坂上くんは小柄でまだ手が小さいからおにぎりをにぎったら小さいおにぎりが出来そうだねぇ。
oh……坂上くんおにぎりをギュッギュ……カワイイカワイイネ……。
そう思ったので!
小さいおにぎりを作る坂上くんと、坂上弁当をつまみ食いに来る風間の話を書きました。
坂上くんは天然の語り部たらしで、つい誰にでも絆される反応をしちゃうから……。
たぶん、語り部全員が「坂上くんは俺・私・僕のこと好きに違いない」と感じていると……思います。
風間先輩も当然、坂上くんはボクがいないと。
ボクがいてこその坂上くんだろう……とわりと真面目に思っている事でしょう。
oh……坂上くんおにぎりをギュッギュ……カワイイカワイイネ……。
そう思ったので!
小さいおにぎりを作る坂上くんと、坂上弁当をつまみ食いに来る風間の話を書きました。
坂上くんは天然の語り部たらしで、つい誰にでも絆される反応をしちゃうから……。
たぶん、語り部全員が「坂上くんは俺・私・僕のこと好きに違いない」と感じていると……思います。
風間先輩も当然、坂上くんはボクがいないと。
ボクがいてこその坂上くんだろう……とわりと真面目に思っている事でしょう。
『ふぞろいのおむすび』
昼休み、自分の教室で友達と一緒に弁当を食べている途中、食べようと思っていた卵焼きが坂上の視界から消えた。
あれ、と思った直後、背後からしてやったりといった声と表情で風間が現れる。
「いやぁ、坂上くんのお母さんは料理が上手だねぇ。卵焼き、とっても美味しかったよ」
人の弁当をつまみ食いできたのがよほど嬉しかったのか、風間はすっかり上機嫌だ。
まったく、この人はわざわざ一年の教室まで来て、人の弁当をつまみ食いに来たのだろうか。昼休みだというのに、きっと同学年では相手にしてくれる友達がいないに違いない。自分は後輩だし、もし自分まで風間を拒んだらこの人はひとりぼっちになってしかうのだろうか。それは流石に気の毒だ。
そんな情に絆され、坂上は困ったような笑顔をむけていた。
「勝手に食べた感想がそれですか。別にいいですけど、ほしいなら欲しいって言ってくれたらわけてあげますよ。それに、その卵焼き、僕が作ったんですよ」
坂上の言葉に、風間はしばらく驚いたように目を見開いた。
「本当かい? ボク好みの甘くてふわふわな卵焼きをキミが作っただなんて……キミ、料理なんて出来るんだねぇ」
驚いているのかからかっているのかわからないが、風間なりに褒めているのは少しの付き合いでも何となく理解する。
坂上は自分の弁当を見ながら気恥ずかしそうに笑って見せた。
「まだ人に見せられるほど立派なお弁当じゃないですけど……もう高校生にもなったし、将来一人暮らしをしても困らないようにって自炊の練習として週に一回だけ自分でお弁当を作ってるんです。ほとんど、切っただけとか、炒めただけの簡単な料理ですけど」
今日の弁当は、梅干しと昆布のお握りが一つずつ。ウィンナーソーセージと卵焼き。それと、マヨネーズであえたブロッコリーだ。
彩りもまだまだだし、おにぎりも不格好だが自分で作ったのは少しだけ誇らしい。
「ふぅん、ひょっとしておにぎりも自分で握ったのかい? なるほど、小さくて可愛いキミにふさわしい、小さくてかわいいおにぎりじゃないか」
「お、おにぎりはまだ不格好ですけど、これでも慣れてきた方なんですよ。倉田さんが勝手な事するから……」
「恵美ちゃんがかい? 可愛いレディのワガママを聞いてあげるのが男の胆力だと思うんだけどねぇ」
「倉田さんのお願いを全部聞いてたら、人生が破綻しちゃいますよ。倉田さん、新聞部の皆で取材だ、出かけようって話になると『それじゃ、一年生がお弁当つくってきますね!』なんて真っ先に手をあげるんだけど、倉田さんの料理が壊滅的だから、おにぎりも唐揚げもみんな僕が作ることになるんです。だから、以前よりはおにぎり作るの上手になったとは思いますよ。まだ、三角おむすびよりちょっと丸い形になっちゃいますけどね」
お弁当箱の中には、やや丸みのあるおにぎりがちょこんと座っているように見える。
まだまだ不格好だがこの形になるまで、試行錯誤があったのだろう。風間は口元に手をあてると、そんな事を考えた。
なるほど、坂上の努力が実りいまの形なら小さくて不格好でも可愛いじゃないか。
「倉田さんが無責任にお弁当を作るだなんていうから、僕が卵焼きを焼いたり、唐揚げを揚げたりって大変だったけど……風間さんが美味しいって言ってくれるなら、今まで頑張った甲斐があったかな」
こともなげに語る坂上とは対照的に、風間は見る間に赤くなる。
そして、その顔を見せないようふいっと坂上から視線を逸らすと。
「それなら、今後もどんどんつまみ食いをしていくから精進して腕をあげていくようにね、坂上くん」
偉そうにそう言うのだが、坂上には耳まで赤くなっている風間の姿が見えていたから
「はいはい、またつまみ食いしにきてください。僕、今はいつも木曜日にお弁当をつくってますから、木曜日は僕のお弁当が食べられますよ」
風間がへそを曲げない程度に茶化すと、密かに思うのだ。
来週の木曜日は、風間のために一つ多く弁当を作ってみよう。そうして一緒に食べたら、きっと楽しいだろう。
昼休み、自分の教室で友達と一緒に弁当を食べている途中、食べようと思っていた卵焼きが坂上の視界から消えた。
あれ、と思った直後、背後からしてやったりといった声と表情で風間が現れる。
「いやぁ、坂上くんのお母さんは料理が上手だねぇ。卵焼き、とっても美味しかったよ」
人の弁当をつまみ食いできたのがよほど嬉しかったのか、風間はすっかり上機嫌だ。
まったく、この人はわざわざ一年の教室まで来て、人の弁当をつまみ食いに来たのだろうか。昼休みだというのに、きっと同学年では相手にしてくれる友達がいないに違いない。自分は後輩だし、もし自分まで風間を拒んだらこの人はひとりぼっちになってしかうのだろうか。それは流石に気の毒だ。
そんな情に絆され、坂上は困ったような笑顔をむけていた。
「勝手に食べた感想がそれですか。別にいいですけど、ほしいなら欲しいって言ってくれたらわけてあげますよ。それに、その卵焼き、僕が作ったんですよ」
坂上の言葉に、風間はしばらく驚いたように目を見開いた。
「本当かい? ボク好みの甘くてふわふわな卵焼きをキミが作っただなんて……キミ、料理なんて出来るんだねぇ」
驚いているのかからかっているのかわからないが、風間なりに褒めているのは少しの付き合いでも何となく理解する。
坂上は自分の弁当を見ながら気恥ずかしそうに笑って見せた。
「まだ人に見せられるほど立派なお弁当じゃないですけど……もう高校生にもなったし、将来一人暮らしをしても困らないようにって自炊の練習として週に一回だけ自分でお弁当を作ってるんです。ほとんど、切っただけとか、炒めただけの簡単な料理ですけど」
今日の弁当は、梅干しと昆布のお握りが一つずつ。ウィンナーソーセージと卵焼き。それと、マヨネーズであえたブロッコリーだ。
彩りもまだまだだし、おにぎりも不格好だが自分で作ったのは少しだけ誇らしい。
「ふぅん、ひょっとしておにぎりも自分で握ったのかい? なるほど、小さくて可愛いキミにふさわしい、小さくてかわいいおにぎりじゃないか」
「お、おにぎりはまだ不格好ですけど、これでも慣れてきた方なんですよ。倉田さんが勝手な事するから……」
「恵美ちゃんがかい? 可愛いレディのワガママを聞いてあげるのが男の胆力だと思うんだけどねぇ」
「倉田さんのお願いを全部聞いてたら、人生が破綻しちゃいますよ。倉田さん、新聞部の皆で取材だ、出かけようって話になると『それじゃ、一年生がお弁当つくってきますね!』なんて真っ先に手をあげるんだけど、倉田さんの料理が壊滅的だから、おにぎりも唐揚げもみんな僕が作ることになるんです。だから、以前よりはおにぎり作るの上手になったとは思いますよ。まだ、三角おむすびよりちょっと丸い形になっちゃいますけどね」
お弁当箱の中には、やや丸みのあるおにぎりがちょこんと座っているように見える。
まだまだ不格好だがこの形になるまで、試行錯誤があったのだろう。風間は口元に手をあてると、そんな事を考えた。
なるほど、坂上の努力が実りいまの形なら小さくて不格好でも可愛いじゃないか。
「倉田さんが無責任にお弁当を作るだなんていうから、僕が卵焼きを焼いたり、唐揚げを揚げたりって大変だったけど……風間さんが美味しいって言ってくれるなら、今まで頑張った甲斐があったかな」
こともなげに語る坂上とは対照的に、風間は見る間に赤くなる。
そして、その顔を見せないようふいっと坂上から視線を逸らすと。
「それなら、今後もどんどんつまみ食いをしていくから精進して腕をあげていくようにね、坂上くん」
偉そうにそう言うのだが、坂上には耳まで赤くなっている風間の姿が見えていたから
「はいはい、またつまみ食いしにきてください。僕、今はいつも木曜日にお弁当をつくってますから、木曜日は僕のお弁当が食べられますよ」
風間がへそを曲げない程度に茶化すと、密かに思うのだ。
来週の木曜日は、風間のために一つ多く弁当を作ってみよう。そうして一緒に食べたら、きっと楽しいだろう。
PR
COMMENT