インターネット字書きマンの落書き帳
屋上でキスするだけのシンドーさんとあらいくんのはなし(BL)
平和な世界線で普通に付き合っている新堂さんと荒井くんのハナシです。
(挨拶を兼ねた幻覚の説明)
今回は不良に絡まれたところを新堂さんに助けてもらいお礼のキスをする荒井くんの話です。
いたって普通の健全な良い話ですね。
(普段があまり健全ではない関係性を書いてしまいがちだという事が漏れてしまう説明)
説明は以上です。
残りのパトスは本文にあります。(ごろん)
(挨拶を兼ねた幻覚の説明)
今回は不良に絡まれたところを新堂さんに助けてもらいお礼のキスをする荒井くんの話です。
いたって普通の健全な良い話ですね。
(普段があまり健全ではない関係性を書いてしまいがちだという事が漏れてしまう説明)
説明は以上です。
残りのパトスは本文にあります。(ごろん)
『お互いが初心なふたり』
屋上にいるので来てください、なるべく早くお願いします。
荒井昭二からそんなメッセージをもらった新堂誠は「荒井から呼び出すなんて珍しいこともあるものだ」と思いながら屋上へ向かい、扉を開ける。そして一目でなぜ呼び出されたのか全てを理解した。
目の前には見るからに不良といった様子の男たちが数人で荒井を取り囲み難癖をつけていたからだ。
「おいテメェら、俺の前で随分と楽しそうなことしてるじゃ無ぇか……俺も混ぜてもらおうかね」
すぐに声をかければ不良らしい男たちはばつの悪そうな表情を向ける。
不良とはいえども高校生にもなれば刃向かう時と退くときの区別くらいはついてくる。見たところ不良たちはまだ二年生で新堂よりは年下だ。 見るからに荒事にも慣れた新堂と対立するのは分が悪いと思ったのだろう。互いに顔を見合わせて「何もしてないですよ」なんて不慣れな敬語を使いながら男たちはそそくさと屋上から立ち去っていった。
後に残された荒井は一つ大きなため息をつく。
「ありがとうございました、新堂さん。助かりましたよ」
「気にすんなよ。コッチも妙な騒ぎをおこされると色々と面倒だからな」
怪異の話題には事欠かない鳴神学園だが生徒数が多いのもあって不良たちの悪行も周辺地域では有名なことだった。
恐喝や暴力で事件になれば不良たちの締め付けが厳しくなり、やれ髪を染めるなだとかピアスを外せと急にうるさいことを言われるのだ。
昨日までは特に何もいわれなかった髪の色やピアスを理由に生徒指導室へ引っ張られレポート用紙一枚分の反省文を書かされるのは億劫だった新堂は普段から目に付いた所で粋がっている連中を見かけたら時間が許せば割って入るようにしていた。
ちょっと顔を出すだけで30分はかかる反省文を書かされる手間が省けるならそのほうが楽だと思っているからだ。
幸い、新堂は不良連中の覚えが良く「三年の新堂だ」と名乗るだけで大概の不良は逃げていった。名前を知らない奴でも明らかに喧嘩なれをしている新堂にわざわざ向かってくる気骨のあるやつなどほとんどいなかったし、仮に向かってくる相手がいたとしても一人や二人なら一撃食らわせれば大体たたき伏せられる。
だから不良に絡まれた時に呼ばれるのは別に構わないのだが、便利なデリバリーボディーガードのように扱われるのもどうにも気に入らない。
助けに来て欲しいのなら「不良に絡まれている」の一言くらい欲しいものだと思ったし、喧嘩に巻き込まれる可能性があるのは事前に伝えてくれたほうが助かるというのも本音である。
「でもよ、自分が不良に絡まれてる時に『なるべく早くお願いします』は無ぇーだろ。もうちょっと危機感出すとか、頼りにしてますよー新堂さんみたいな一言くらい添えとけ、可愛げねぇ」
嫌味のつもりで一言告げる新堂を荒井は上目遣いで見る。
普段から俯きがちであまり背も高い方ではない荒井だから人を見る時はどうしても上目遣いになるのだろうがその眼差しは時に男でもどきりとするほど蠱惑的に見えるのだった。
あまりに艶やかな視線を注ぐものだから妙に気恥ずかしくなり新堂は視線を逸らしていた。
「可愛げがある方が良かったですか? あなたしか頼れる人はいないんです、誠さん……どうか早く助けに来てください、とでも言えば満足でしたか」
そんな新堂の様子に気付いたのか、荒井は上目遣いのまましなをつくりながらそんな事を言う。 恋愛ごとにはまだ不慣れな事が多い新堂はこの手の冗談にあまり免疫がなくそのような顔出見られるとどうにも弱腰になってしまうのだ。
「ったくよォ、テメェにゃかなわないぜ……くそ、冗談だよ冗談! だからそんな目で見るのはやめてくれ……」
つい情けない声が出る新堂を前に、荒井は口元を押さえて含むように笑う。
「ふふ、新堂さん。本当にこういった冗談が苦手ですよね。僕もそれほど得意なほうではないですけれども、新堂さんほどじゃないですよ」
「仕方ねぇだろ……こういうのは何つーんだ? その……照れる」
顔を背けていても自分の頬が赤くなっているのはわかる。きっと荒井は笑っているのだろうな。そんな事を思いつつ横目で様子を窺えば、荒井もまたどこか照れたような顔をして赤くなっていた。
「意外とウブですよね、新堂さんって」
「う、うるせぇな……仕方ないだろうが、こういうのは慣れてねぇんだ」
「別にいいですよ。こなれてしまった新堂さんは何か違う気がしますから……あぁ、そうだ……」
荒井は新堂のそばへ近づくと、彼の頬へと手を伸ばす。
そして背伸びをすると戸惑いながらこちらを向く新堂と唇を重ねた。
「お、おいっ、おまっ……」
突然のキスに驚く新堂を逃げるようにすり抜けると、荒井は顔を赤くしながら笑う。
「お礼ですよ。助けに来てくれて……ありがとうございます」
そして俯いたまま足早にその場を去って行った。
表情こそ見えなかったが顔を隠していったのは少なからず荒井も恥ずかしかったからに違いない。他人のことを笑うが荒井だってまだまだ随分と純情なものだと思う。
「何だよ、逃げるなってズルい奴だなホント……」
新堂はまだ温もりが残る唇へと触れる。
「ま、悪く無ぇけどな」
そして自然と笑顔になり、そう独りごちるのだった。
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