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インターネット字書きマンの落書き帳

   
シンドーさんを選んだあらいくんの話(しんあら・BL)
平和な世界線で普通に付き合っている新堂さんと荒井くんの話です。
(今日も元気だ挨拶と幻覚を同時にしていこう!)

今回は、学校内で隠れて逢瀬(やわらかい表現)を続けている二人が行為(やわらかい表現)の最中にふと「どうして俺が選ばれたんだろう」と思ってしまう新堂さんとそれに対して薄情すぎるおこたえをする荒井くんが見られますよ。

いつもと比べて比較的平穏にイチャついていると思います。(当人比)

書いてる俺は健康に良くなったと思うので、読んでるみんなも健康に良くなってください!

新堂×荒井に興味ない?
今日から興味をもつといいと思うよ!




『選ばれた身体』

 誰の姿もない黄昏時の練習場に二つの影が重なる。
 一つはこの練習場の支配者でもある新堂誠の影。もう一つは荒井昭二の影だ。
 重なる影は時々くすぐったそうに揺れながら互いの唇を貪るように求め合っていた。

 ボクシング部の練習場はキャプテンである新堂が鍵を任されている。つまり、部の練習が終わり部員たちを帰した後なら誰もいない時間をゆっくり楽しめるという訳だ。
 これは校内で人目の付かない場所を探し選んだ結果ようやく見つけた他人が容易に立ち入る事のない場所の一つである。

 マンモス校で校舎も広いが人数も多い鳴神学園で完全に人のいない場所を見つけるのは難しい。 例えばトイレの個室なども休み時間は誰かしら生徒が出入りしているし放課後ともなれば意味もなくトイレに集まり下らない雑談をしながら居座る生徒だって珍しくない。
 それにこの学校には「トイレのヌシ」と呼んでも過言ではないほどのトイレ好きな細田という生徒がいるのだから油断できない。

 それでは他の場所をと思っても、一見何にも使われていないような倉庫やがらくた置き場にしか見えない物置部屋も何かしらの運動部や文化部が頻繁に出入りしているし、人目につかなそうな場所は大概が行き場のない不良のたまり場になっている。それなら生徒が立ち入らない特別棟はどうかと思えばそこは教職員の目が光っており簡単に近づく事は出来なかった。

 全く人が寄りつかない旧校舎のような場所もあるにはあるのだが件の場所は人がいない代わりに怪異の噂に事欠かない。 よからぬ事を考えて入り込んだ生徒が失踪したり変死したりといった噂なら二人とも片手ではきかぬほど聞いた。
 新堂も荒井もそういった噂話を「馬鹿げている」と一笑する性格ではなかったから近づこうとも思わなかった。
 いっときの楽しみを優先させる事で泥濘にはまって出られなくという危険性を二人はよく心得ていたのだ。

 二人の立場をより面倒なものにしているのは、新堂と荒井の間にある一学年という年の差もだった。
 社会に出れば一つの年の差など些末なものだが学校という場では違う。一年の違いに埋める事ができない上下関係が存在し簡単に覆す事のできない体力差や経験の差がどうしても生まれるのだ。
 派手な外見の新堂が俯きがちな荒井を連れて歩いているというだけで周囲からはイジメなどを疑われ鋭い視線を向けられるのだから逢瀬の場所を探すといった理由であまり長い時間一緒にいるわけにもいかない。
 そういった事情から新堂が鍵を預かっているボクシング部の練習場か荒井が鍵を預かっている視聴覚室で落ち合うことが自然と増えていた。

 特に生徒がいない時間を新堂自身がコントロールできるボクシング部は二人だけの時間を作るのに一番都合がよかったのだ。
 最初は自身が三年間青春をぶつけてきた場所で行為に耽るのは抵抗があったが、一度知ってしまった甘美な悦びを手放す事などできなかった。

「……なぁ、荒井。今日は……シてもいいか?」

 溺れる程のキスを繰り返し、身体はひどく火照っている。この熱を冷ますには情欲を吐き出すしか方法がないのはすでに解っていた。
 離れた唇から糸のように引いた唾液を拭い、荒井は潤んだ目を向ける。

「えぇ、大丈夫ですよ……どうぞ、お好きなようにしてください……心配しなくとも、準備はしてありますので……」

 そして恥ずかしそうに視線を逸らした。汗ばんだ身体にワイシャツが張り付いて肌が透ける様は艶めかしく新堂の理性を奪うには充分だ。 ボタンを外すのももどかしく首筋へと舌を走らせれば透き通るような涼しい香りがした。
 その時、ふと新堂は福沢の姿を思い出す。
 彼女に付き合わされて買い物へと出かけた時、いつだって彼女は果実のように甘いにおいがした。あれは香水でもつけているのかシャンプーの匂いなのかはわからないが、いつだって彼女は柔らかな甘い匂いがする。
 それと比べると荒井のにおいはよほど男らしいだろう。自分と違い顔立ちは中性的だし小柄で華奢な身体でうっすらと筋肉のついた身体は随分と柔らかいがそれでも女性の柔らかさとは違う。
 どれだけ快楽を与える身体であっても荒井昭二は男なのだ。
 そう思った時、ふとした疑問が頭をよぎる。

「なぁ……荒井、聞いていいか」
「んっ……何ですか、新堂さん……?」
「何で俺だったんだ? ……お前だったら俺じゃなくても良かったんじゃないか」

 荒井の交友関係に詳しい訳ではないが、いかにも人付き合いが悪そうな外見と裏腹に親しい友人は多い。 そういった友人たちの中で関係を結んだ方が一緒にいれる時間も長く恋人にするのなら彼らの方が良かったのではないかと思うのは自然なことだろう。
 少なくとも自分と一緒にいる時のように不良がイジメのため気弱な生徒を引っ張っていこうと勘違いされる事はないはずだ。
 それなのに自分を選んだのには何か理由があったのだろう。不思議に思って聞いてみれば荒井は少し考えるような素振りを見せてから言った。
 
「えぇ……まぁ、そう……ですね、強いていうのなら……新堂さんが欲望に負けてくれそうな人間だと、そう思ったからでしょうか」
「はぁ? ……何だよそれ」

 思わぬ答えに新堂は変な声をあげてしまう。
 そんな新堂を前に荒井は涼しい顔のまま続けた。

「倫理観と快楽を秤にかけた時、快楽を優先させ身体を貪るような相手の方が良かったんですよ……元々、少し試してみるだけのつもりでしたから……」

 荒井曰く、興味本位で自分の身体を弄るうちに「男の身体を相手にしてみたい」という欲求がもたげてきたらしい。 かといって生真面目な人間を誘っても男とセックスするという事実に抵抗を抱くだろうから少しでもそういった境界線を踏み越えやすい人間を選んだのだという。
 怪異に対して好奇心が強く危ない目にもあっている新堂なら快楽と興味とでその境界線を簡単に踏み越えてくれるだろうと、そう思ったのだという。
 こちらの性格を見透かされているようで悔しいが、実際にその通りだったのだから仕方が無い。

「それに、見知った友達というのも……僕の友人は僕が一目置くだけの技術や特技をもっていますからね。身体の関係になってしまって後々面倒ごとになったとき、僕が彼らの技術にふられら無くなるのは困ります。その点、新堂さんは……そこまで親しい間柄でもありませんでしたから、失敗してそれっきり、となっても後悔はしないと思ったので」

 随分な物言いだ。最初からトカゲの尻尾が如く切ってしまっても構わないと、そう思って声をかけたのか。 しかもその罠にまんまとハマってしまったのだから情けない。
 全て荒井の手のひらの上、合理的な判断で選ばれたのだ。

「何だそれ……もう少しこう、無ぇのかよ俺の良かった所とか……」

 拗ねたように唇を突き出す新堂を前に、荒井は微かに笑う。その姿は自分よりたった一つしか歳が違わないのを忘れさせてしまうほど妖しくも艶やかだった。

「ありますよ……顔とカラダ。いくら僕でも好きじゃない顔をしている相手は誘いませんし、新堂さんだったらいいカラダしてるだろうと思っていましたから」

 顔が好きだと言われるのは悪い気はしない。荒井のような美少年に言われるのは尚更だ。身体も常に鍛えているのだからそれを期待してくれたのも嫌だという訳ではない。
 だが曲がりなりにも今、恋人として付き合っている相手からそれを言われると納得がいかないというのは事実だった。
 合理的な理由で新堂を選んだ荒井らしいといえばそうだが、外見ばかり言われると「自分でなくても別によかった」と思えてしまうからだ。実際、荒井の前にもう少し自分より条件の良い相手がいたのなら荒井はそちらを試していたのだろう。
 そんな新堂の思いを察したのだろう。荒井はまた笑うと新堂の頬へと触れた。

「……でも、こんなに離れられないとは思っていませんでしたよ。新堂さん。あなたは僕が思っていたよりもずっと理想的な存在で、僕の好奇心をとことん満たしてくれている……だから……僕も、思いがけず本気になってしまいました」

 そして優しく口づけをし甘い声で囁くのだ。

「あなたを選んで良かった」

 そんな事を言われれば、期待に応えたいと思ってしまう。
 新堂は荒井の細い身体を普段より強く抱いていた。

「そう言われるのは悪くねぇな……今日は好きなだけ悦ばせてやるよ」
「ふふ、期待してますよ」

 僅かに言葉を交わし、影はますます強く重なる。
 誰もいない静寂の中、肌が触れあう微かな音だけが響いていた。

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東吾
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インターネット駄文書き
自己紹介:
ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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