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インターネット字書きマンの落書き帳

   
岩下さんの誕生日にプレゼントを贈る新堂の話
岩下さんはぴば!
という気持ちを込めつつ、新堂と岩下さんの話を書きました。

男女ながら気兼ねなく、気易く話せる距離感の友人。
新堂と岩下にはそんな男女バディのような信頼を感じるので、ほどよい距離感で、新堂が感謝の気持ちからプレゼントを渡すような話ですよ。

愛に満たない、だけど近い存在。
そういうものも、よいものです。



『気易い相手』

「おーい、岩下いるかァ?」

 教室に入り声をかける新堂へ一斉に視線が集まったのは、学園のマドンナと呼ばれ男女問わず人気の高い岩下の名を気軽に呼んでいるからだろう。
 彼女に憧れながら、話す事もできない生徒は多い。お近づきになろうとして軽くあしらわれる生徒もだ。
 だからこそ、何ら気兼ねする事なく彼女へ話しかける新堂の姿はいつも嫉妬と驚きが入り交じった視線が向けられていた。
 新堂という生徒はお世辞にも評判の良い生徒ではない。荒くれ者の不良くずれが多いボクシング部の連中をとりまとめているせいか、誰に対しても粗暴で口も素行も悪い上、取り立てて容姿がいい訳でも成績が良い訳でもない。言うならば不良の生徒が、品行方正で美しい岩下に近づくことも岩下自身がそれを許していることが周囲は理解できないのだろう。
 だが新堂は、周囲のそんな目など気にしない様子で岩下に近づいた。

「どうしたのかしら、新堂くん。わざわざ教室にまで来るなんて珍しいわね」

 岩下は周囲からの視線に気付きながらも平静に振る舞う。
 二人を知らない生徒達からすれば奇妙な取り合わせに見えるだろうが、岩下と新堂は以前からよく話す仲だった。きっかけが何だったか岩下も覚えいないが、よく話すようになったのは新堂がボクシング部の主将に、岩下が演劇部の部長になてからだろう。顔をあわせれば新堂はいつも気さくに話しかけ、「最近どうだ?」なんて岩下を気遣うように声をかけるものだから、知らないうちに互い愚痴や悩みを吐き出しあう関係になっていたのだ。

「いや、用って程でもないんだけどな。ほらよ、これ。もらってくれや」

 新堂は綺麗にラッピングされた紙袋を差し出す。それを見て、岩下はようやく今日が何の日か思い出した。

「まさか、誕生日プレゼントかしら」
「そうだよ。いつもお前には世話になってるからな」

 屈託なく笑う姿から、本当にただ仲のよう友人にプレゼントを渡しているだけだというのがありありと伝わる。
 だからこそ、岩下は新堂と話すのが苦ではなかった。
 岩下のことを学園のマドンナと呼ぶ事もなければ彼女の前で気後れする様子も見えず、また下心があって近づく様子もない新堂は岩下にとって数少ない対等に話せる友人だったのだ。
 だがまさか、誕生日にプレゼントを持ってくるとは思ってもいなかった。新堂は分かりやすい性格だが大雑把な所があるため、誰かの誕生日を覚えておいて祝うという習慣など持ち合わせていないだろうと、勝手に思っていたからだ。

「嬉しいわ、貴方からプレゼントされるなんて思ってもいなかったから」

 素直に感謝を口にすれば、新堂は少しばかり照れたように笑う。

「そんな喜ばれるもんじゃ無ェよ。中身はスポーツタオルだ。見た目は地味だが抜群に汗を吸い取るから、稽古の後に使うにゃ丁度いいかと思ってな」

 新堂は鼻の頭を掻くと申し訳ない、と手だけ謝る仕草をする。

「本当はもっと女が喜びそうな、何だ? ハンドクリームとか、可愛いハンカチなんかの方が良かったのかもしれ無ェけど、そういうの良くわかんねぇからさ。俺が使って良かった奴にした。気に入らなかったら誰かにくれちまえばいいぜ」

 プレゼントをくれた、その気持ちだけでも充分に嬉しいのにそんな事を気にするあたり、新堂は粗暴に見えるが思ったより繊細だ。
 岩下は微かに笑う。

「ありがとう、いいのよ。貴方が私のために選んでくれた、その時間と思いだけで、充分すぎるほど嬉しいのだから」

 そして紙袋を抱きしめ、岩下という一人の生徒として接してくれる友人がそばにいる事を感謝する。
 何の気がねもなく互いに下らない愚痴を言い合える友人。それこそがプレゼントより大切な、得がたい絆なのだろう。

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インターネット駄文書き
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