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インターネット字書きマンの落書き帳

   
【教師に誤解されるシンドーパイセン(BL)】
平和な世界線で普通に付き合ってる新堂と荒井の話をするコーナーです。
そういうコーナーだと思って楽しく過ごしてね!(テーマパークのマスコットヅラで)

でも今回は荒井くんあんまり出ません。
セクロスの最中に噛み癖があり新堂の手にしっかり噛み傷を残してしまった結果、それがボクシング部顧問の植野にバレて見とがめられる新堂パイセンの説明が下手すぎてモロバレルする話ですよ。

姉さん、僕はね、第三者から観測された推しCPという概念が大好きなんだよ……。
キミはどうだい? まだわからない?
今日から好きになろうぜ!

pixivにupする気持ちが出たからupしておいたぜ!
好きになったついでに見ていってくれよな!

webにも更新しておいたぜ!
加筆修正をけっこうしてあるからよろしくな!
この話、後半の展開で視点がぶれてるのが気になったのでそういうの修正してます!



『大いなる誤解』

「新堂、部が終わってから聞きたい事があるから少し残ってくれるか」

 ボクシング部顧問である植野裕樹に声をかけられた時、新堂誠は自分の行いを振り返っていた。
 正直なところ素行の悪さには自信がある。酒や煙草といったわかりやすい違反はしていないが校則破りは日常茶飯事だったからだ。
 それでも植野はよっぽどの事がない限り生徒を呼ぶような事はない。喧嘩をするな、校則を破るなといった小言は多いが呼び出して話を聞きたいというのはかなりまずい事態がおこったか、ひどい悪事に気付かれた時と相場が決まっていた。
 とはいえ去年の夏から先輩の後を継いでボクシング部の部長になってからは目立った喧嘩はしていないはずだ。気に入らない生徒に難癖をつける事はあるが暴力をふるうような真似もしていない。
 自分が問題をおこしたらボクシング部の大会全てがダメになってしまうという意識は短気で手の出やすい新堂でも一応は問題を起こさぬよう意識するある種のストッパーになっていた。
 それを思うと植野が新堂を部長に指名した理由の一つが暴力沙汰を控えさせるためだったようにも思えるが、そうだとしたら目論見は成功しているだろう。

「何だってんだ? あー、全く思い当たる事なんて無ェぞ。カツアゲだってしてねぇし、ピアスだって増やしてねぇ。喧嘩だって別に他人巻き込むデカイ奴はしてねぇはずなんだけどなァ」

 考えても思い当たる節は何もなく悶々とした気持ちを抱えながら練習を終えると他の部員が帰る頃を見計らって植野は新堂へと声をかけてきた。

「新堂、いま時間はあるな。聞きたい事がある」
「おぅ。わかってる……ここでいいか? それとも場所変えっか?」
「他の生徒は部室に戻ってるからここでもいいだろう」

 ボクシング部は練習こそ熾烈を極めるが終わればすぐ帰宅する部員が多い。これは練習とプライベートの時間に緩急をつけ、学生から学業やそれ以外の学生らしい楽しみを奪わないようにするためといった植野の方針でもあるのだが、他の部員たちは新堂が植野と残って練習場の片隅にいる事などさして気にせず各々片付けを終えるとすぐに帰路へとついていった。
 元々部の顧問である二人が打ち合わせで残る事も多いので他の部員が彼らの事を特に気にする事もないだろう。せいぜい試合の段取りでもつけているのだろうと思う程度だ。 二人にとって皆が見える場所で話す方が秘め事を話しやすいのである。

「で、何だよ話って。一応、ここ最近は部長らしく品行方正にしてるつもりだから説教されるような事はしてねぇはずだけどな」

 新堂は頭を掻きながら植野の様子をうかがう。そんな新堂の言葉を最後まで聞き終わらぬうちに植野は新堂の手をとると身体ごと引き寄せた。

「何すんだよ植野! 痛ェだろうが」
「植野先生だろうが、おまえ……このバンテージの下、傷があるだろ。どうして隠してる?」

 少し強い語調で言われ、新堂は苦い顔をする。 他の部員が来る前にバンテージを巻いて傷を隠したつもりだったが植野は気付いていたようだ。最近は植野の方が早く練習場に来るから見つけられたのかもしれない。

「別にいいだろ、アンタにゃ関係ねぇ……」
「関係なくはない、お前が何かしていたら部全体の問題にだってなるんだぞ。いいから見せてみろ」

 誤魔化そうとするが植野は譲らない。しぶしぶバンテージをほどいていけば下からくっきりと傷痕が現れた。まだ真新しい傷痕は誰がどう見ても人間の歯形だ。
 実際にこれは噛み傷である。だが別に喧嘩をしたとか相手を無理矢理に押し倒してひどい事をした時に出来た傷ではない。荒井とベッドを共にした時、昂ぶりをおさえられなくなった荒井がつい噛みついてきた傷だ。
 それも多少は乱暴な事だといえば確かにその通りだが合意の上でしていることだ。傷になったのはアクシデントではあるが悪い事をしているワケではないのだが果たしてそれを説明すれば植野は納得してくれるだろうが。
 そもそも学生の身分であるにも関わらず不健全な性的行為をするなといわれたらそれは最もな話であり返す言葉もないのだが。

「噛み傷だな、これは」
「あぁ、ま、そうだな……」

 傷を暫く黙って見つめた後、植野は長い息を吐いた。

「どうしてこんな怪我をした? 喧嘩の痣や切り傷とも違う、噛み傷なんておかしいだろ。おまえ、誰かを無理矢理脅したりはしてないよな」

 確かにそうだ、ただの喧嘩だったら殴り合いの痣や擦り傷が出来る程度だ。ひどくても瘤になって腫れる程度だろう。 これが切り傷となれば流石にただの喧嘩とは言えまい。荒事の最中に誰かが刃物を抜いた事になるのだからもはや事件だ。
 それと同様に噛み傷は異常な傷だった。相手を無理矢理捕まえたか抑えたして逃げられないようにした時、必死の抵抗で噛まれるというのが噛み傷の出来る原因なのだから。

「何もしてねぇよ……」

 新堂は口でそう言いながら、その言い訳に無理があるのは充分承知していた。誰かに腕を噛まれておいて「何もしてない」はずはない。
 しかも噛まれているのは手首の近くだ。新堂の身長だと少しばかり背の高い女子かあるいは細身の男子を後ろから組み付いたりしなければこの位置を噛まれるはずはない。 おまけに噛み傷は随分と深いのだからこれではまるで逃げようと抵抗をした相手を無理矢理留めていたようだ。
 いや、確かに実際それに近い行為はしていたのだから仕方が無い。

「何もしてないワケないだろう! ……普通にしていてこの位置に噛み傷をつける理由がない事くらいお前だってわかってるだろうが。何をしたんだ? 今だったらまだ間に合う。新堂、正直に言うんだ。いいな」

 確かに何もしてないワケではないが、正直に言うのは抵抗が大きすぎる。
 新堂は植野との付き合いは長く魑魅魍魎と胡乱な教師が渦巻く鳴神学園でも植野の事はかなり信頼していたし彼の忠告は聞くようにしていた。 これは植野がボクシング部の顧問というのもあるだろうが、不良のたまり場のようになっているボクシング部でも熱心に指導を続ける姿に一定の信頼を置いているというのも大きかっただろう。
 それに、植野は一般的な教師と比べても話がわかる相手でもあった。
 先生という肩書きにあぐらをかく事もなく何事にたいしても親身になって相談に乗り、どうすれば相手がより楽に生きられるかを常に考える事が出来ているのだから人間としても立派なことだろう。
 人当たりの良さや授業のわかりやすさもあって女子生徒にも人気があり恋の悩み相談などもよく受けているのは話に聞いていたから多少の事を聞いても動じないのだろう。
 だが、かといって恋人がセックスの途中に噛みついてきました、なんて馬鹿正直に言えるわけがない。
 何とか誤魔化さなければいけないのだが。

「何もしてねぇって言ってんだろ。植野が心配する事じゃねぇ、これは俺の問題だからな」

 全く誤魔化す事が出来なかった。
 今までモテた事もなければ恋人がいた経験もない新堂にとって恋人がいる事を隠すなんて事態一度だってなかったのだし恋人のために嘘をつくなんて所作が身についているはずもなかったのだ。
 それじゃなくても感情が顔に出やすい性格で嘘なんてつけないタイプだから尚更だ。

「新堂! おまえの問題だとしても、おまえの行動は部、全体の問題になる事だってあるんだぞ。わかってるのか? そうじゃなくとも、お前に何かあったら……」

 植野は相変わらず熱の籠もった言葉を遠慮なく新堂へと投げかけてくる。
 そこが不良だから、素行が悪いから、見た目がいかにもチンピラだからといった理由で指導しようとしない他の教師やピアスの穴を増やすたびに問答無用で殴ってくる黒木とは違うところであり植野の良い所だとは思うが、今はその熱意がただただ鬱陶しかった。

「わかった! わかった正直に言うよ、言えばいいんだろ」
「……本当か?」
「でもよ……あんまり怒んじゃ無ェぞ……」
「それは、事と場合による」

 新堂はついに根負けした。
 このまま植野に隠し通せるとも思わなかったし、変に誤解をされて疑いの目を向けられるのなら正直に言ってしまったほうが楽だと思ったのだ。


 「だから、その。アレだよ……最中に、相手が……ガマン聞かなくて噛んだっつーか」
「おい、何の最中にだ。聞こえないぞ新堂」
「だぁから、セックスの最中にガマンできなくなったって噛みつかれたんだよ! 一回でちゃんと聞いとけバーカ!」

 最初は恥ずかしさで声が上ずってしまいつい小声になったので二度目はわざと大声で言う。 その言葉に、植野は暫く何を言ったのか全く理解できないといった顔で新堂を見ていた。

「いや、新堂。セッ……お、おまえ恋人が出来たのか。いや、おまえが? 本当におまえがか?」
「まぁ、そういう事……だよな。俺もまだよく分かってねーんだけど」
「そうか。良かった、な……いや、最近おまえ以前より落ち着いてきてるから安心してたところでそんな傷を負ってきたから何事かと思ったが、そうか……恋人が……」

 植野はその場に崩れそうになるほど安心した様子で長く長く息を吐く。まるで今度こそ新堂が人殺しでもしてきたのではないかと不安だったかのようだ。
 だがすぐにはっと気付いたように顔をあげた。

「いやいや、良くないだろ! セッ……性的な行為をしてるのか、まだ未成年だろお前はッ」
「何だよ植野、お前だって学生の頃恋人くらいいたんじゃ無ェのか。そういう時、ずーっとガマン出来てたのかよ」
「それを言われるとな……だが、避妊はちゃんとしてるんだろうな。相手が誰であれおまえはまだ未成年だ……快楽を得る目的での性行為は禁止されている、とはいえそれを我慢出来ないという気持ちはわかるが、お前は妙なところで一本気だろう。妊娠させたら責任とる、なんて気持ちで避妊もせず性行為をしているなんて事はないよな」
「避妊……?」
「ちゃんとゴム使ってるか、って言ってるんだ。そのへん、ちゃんとしておかないとお互いの人生に影響を与えてしまう。大事なところだからキチンとしないとな」

 植野のことを生真面目な堅物だと思っていたが新堂が想像していた以上にこの手の話に理解があるようだった。
 だが確かにゴムを使っているかといわれれば毎回必ずというワケでもない。
 それは荒井と過ごすうちなし崩し的に関係をもつ事が多くつけいる暇がない事もあるし荒井自身が生で欲しがるというのもある。

「言われてみればゴムあんまり使ってねぇかもな……」
「おまっ……ダメだろう、まだ学生だぞ。相手が妊娠したら責任とれる年齢ではないだろうが。そのへんはシッカリしておけ、お前だけのためじゃなく、お互いの……」
「いやでも、妊娠はしねーんだよ。荒井は男だから……」

 そこまで言って、新堂は自分が言わなくてもいい事を告げてしまった事に気付く。いっぽう、植野は目を大きく見開くと力尽きたかのようにその場へと座り込んでしまった。

「お、おい。植野大丈夫か……」
「わ、悪い新堂……先生な、流石に未だかつて無い程の情報量が一気に頭に流し込まれて混乱してる。少し落ち着かせてくれ……」
「えっ。あ、あぁ……その、何つーか……ゴメンな。水飲むか?」
「すまん……頂こう」

 新堂が開けてないペットボトルの水を手渡せば植野はそれを一口飲み、幾度か深呼吸をする。
 不良の荒事やイジメなんかにも臆することなく突っ込んでいく植野がまさか自分のせいでここまで取り乱して座り込んでしまうとは流石の新堂も全く予想していなかった。

「……すまん、落ち着いた。つまり、新堂の腕の傷は……喧嘩や悪事の類いで出来たもんじゃ無いんだよな」
「まぁな……かみ癖があるんだよ、アイツ。俺もあるからお互い様だと思ってたしこの位の傷なら大会前には治るだろうと思ってたんだけどな」
「恋人が出来たのは……最近の素行や練習態度を見れば目に見えて良い事だと言えるだろう。おまえの成績もボクシング技術もここにきて良くなったからな」
「そりゃ、どーも……」
「だが、その、何だ……相手が男性であっても、やはりきちんとゴムを使った方がいいんじゃないか。ゴムは避妊のためだけではなく、性病の予防のためでもあるからな……」
「いや、でも俺もアイツも基本的に他の相手とはしねぇし……」
「でもじゃないんだよ新堂……だがパートナーが決まっているというのは確かに、不特定多数と交流をもつより安全性は高いのか? ……すまん、そっちの世界は明るくないからこちらもハッキリと断言できん……少し勉強してこよう……」
「お、おう……いや、何か俺も悪ィな……黙ってて……いや、言うと茶化されるんじゃ無ェかと思ったしよ。アイツに迷惑かけるワケにもいかねぇと思って……俺は何言われようがあと半年もすりゃ卒業だが、アイツはまだ一年この学校に通わないといけねぇからな……」
「茶化しはしないさ。だが……お前に恋人が出来るというのも思ってなかったし、お前の恋人が男だとも思っていなくて……流石にまだフラフラするが……」

 どうやら新堂の発言は下手なボディブローよりも強烈に植野の身体を打ち据えたらしい。
 さてどうするかと考えているうちに練習場の扉が開き、ボクシング部の部員とは違う生徒が顔を覗かせた。

「すいません、新堂さん……いるんですか?」
「おう、荒井か。悪ィ、ちょっと野暮用でな。植野と話し終わったらすぐ行くから待っててくれるか」

 新堂はその姿を見て、すぐに笑顔で返事をする。
 荒井はこんな時間にもまだ植野がいる事に少し驚いた様子を見せていたが静かに頭を下げると部室の方へと引っ込んでいった。

「あぁ……彼が、お前の恋人か」

 新堂の表情も声も普段とあまりに違うほど柔らかだったから植野は全てを察した。
 あの背丈なら新堂に抑えられた時に腕に噛みついてもおかしくないだろう。それにしても随分と綺麗な顔をしていた。少ししか顔を見ていないが小柄で華奢な体格で顔立ちは可愛いというより美人という方が似合っているだろうか。新堂は面食いだし年上の落ち着いた雰囲気の女性を好んでいたと思うが彼なら年下でも綺麗で落ち着いた雰囲気という点は充分すぎるくらいだから新堂が選ぶのも納得というものだ。
 そういえば、遠目にも首筋に怪我をしているように見えた。大きめのガーゼをつけていただろうが、あれもひょっとしたら噛み傷だろうか。だとしたら新堂にも噛み癖があるという事だが、新堂はいかにも我慢のきかない性格だから欲望のまま相手を噛み組み伏せる真似くらいはしそうだ。

「まぁ……そういう事になるのか? いや、ホント俺もまだよくわかってねーんだよ。あいつの事どうしてぇのか……」
「抱けるなら好きんなんだろう。人間、嫌いな相手に好かれても嬉しくないし抱けもしないもんだ。それなら大事にしてやればいい」

 植野はその場に座り込んだまま受け取った水を飲む。

「……もう行っていいぞ新堂。その子を待たせるワケにもいかないだろう。まだコッチも全部納得したわけじゃないが、ひとまずお前の良心に任せて様子を見る事にする」
「おう。植野、おまえって思ったより話わかるんだな……」
「あたりまえだ、俺だってこれでもお前の事は信頼してるんだ……だが大事にしろ。噛み癖は何とかしてやれ……首にあれほど大きな痕をつけられるのは、今の時期気の毒すぎる」

 新堂は苦笑いをしながら植野へ手を上げれば植野もまた手を上げこたえる。
 そして練習場を後にする新堂を見送ると残った水を飲み干した。

「まったく、これ位で狼狽えるようじゃ俺もまだまだだな」

 植野は頭を掻くと空になったペットボトルをゴミ箱へシュートする。小さく潰されたペットボトルは綺麗な弧を描くと片隅に置かれたゴミ箱へ綺麗に投げ込まれゴミ箱は暫く冷たい金属音を響かせていた。

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プロフィール
HN:
東吾
性別:
男性
職業:
インターネット駄文書き
自己紹介:
ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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