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インターネット字書きマンの落書き帳

   
新堂×荒井を見守ってくれる袖山くん(BL)
平和な世界線で普通に付き合ってる新堂×荒井の話ですよ。
今日は新堂にメチャクチャにしてもらう気満々で準備を怠らなかった荒井が来てくれた新堂に抱きついて誘ってくるも、なんか袖山がいた……!
みたいな話です。

オレに都合がいいので、袖山と荒井は家がわりと近所という設定にしてあります。
二次創作はいつだってオレに都合がいい!



『お邪魔じゃなければ』

 部活での疲れを引きずりながら新堂は帰路につく。
 今日は30分以上電車に揺られる自宅ではなく徒歩圏内にある荒井の家で泊まる約束をしているから、それでも普段より幾分か楽だ。荒井は「気分が乗らないから」といった理由で学校には来ていなかったが事前に泊まっても大丈夫だとメッセージが送られてきている。
 すっかり慣れた道を行き、慣れた家のインターフォンを押せばすぐさまドアの鍵が開いた。

「ただいまー、荒井。いま帰ったぞー」

 勝手知ったる他人の、とは良く言ったもので最近の新堂は「お邪魔します」でも「お世話になります」でもなく「ただいま」と言うようになっていた。
 そして荒井もまた、その言葉に応えるよう

「おかえりなさい、新堂さん」

 なんて廊下から小走りで駆け寄ると新堂の身体に抱きつき、待ちきれなかったといった様子でキスをした。
 唇を重ね、僅かに舌を絡める甘いキスは挨拶のキスにしては随分と情熱的だ。実際に、荒井はかなり昂ぶっているのだろう。唇を離し糸引く唾液を拭う暇も惜しいといった様子で舐ると上目遣いになって新堂を見ていた。

「待ってましたよ。もう……準備、出来てますから」

 甘えて見せる様は愛おしく、普段の新堂なら疲れも忘れすぐさま期待に応えるよう抱き留めていただろう。
 だが今日の新堂は一度大きくため息をついてから、困惑したような顔を向けた。

「荒井、おまえさ。俺からのメッセージ、見たか」
「はい。部活が終わったから、僕の家に来ると……ですから、シャワーを浴びてきたんです」
「あぁ、だったらその後のメッセージは読んでないんだな……」

 と、そこで新堂の後ろからひょっこりと袖山が顔を出す。袖山は真っ赤になり気まずそうに自身のズボンを握っていた。

「ご、ごめん、荒井くん。なんか、邪魔しちゃったみたいで……ぼ、僕すぐ帰るつもりだから気にしないで……」
「えっ、そっ、そ、袖山くん。どうして……」
「俺が帰る時、途中で会ったんだよ。部活で片付けをしてたから遅くなったけど、荒井に借りてたノートを返したいと思ったらしくてな。俺が持っていってやる、って言ったんだが袖山のやつ自分で渡したいっていうから二人で行くってメッセージ送っていたんだが、読んでなかったんだな」

 袖山は新堂の後ろに隠れるよう身を縮ませると申し訳なさそうに幾度も頭を下げていた。
 そういえば、午前中に「休みなら、借りていたノートを返しに家まで行く」というメッセージを貰っていた。袖山に面倒をかけるのは悪いと思ったから、机の中に入れておいてくれればいいと返事をしたのだが律儀な袖山は納得しなかったのだろう。
 彼の自宅が荒井の自宅とそれほど離れていないというのもある。

「と、とにかくこれ。借りてたノート、返すね。それじゃぁ、僕もう帰るからッ……」

 すっかり慌てた様子で鞄からノートを取り出すと袖山は荒井の胸元へそれを押しつけその場から逃げるように立ち去ろうとする。そんな袖山の手を荒井は慌てて掴むと真っ赤になった顔を上げた。

「ま、まってよ袖山くん! 帰らないで……少し話を聞いてよ。今、そのまま帰られたら恥ずかしいじゃないかっ……」
「で、でも、邪魔になっちゃうのは悪いよ。新堂さんが来ているなら二人でゆっくりしたいよね」
「そんな風に気を遣われる方が恥ずかしいんだよッ! いいからお茶くらい飲んでいってよ袖山くん……」

 最後の方は消え入りそうな声になっている。
 一体どうしたらいいのか迷い戸惑う袖山と恥ずかしさで消えてしまいそうな荒井、二人の頭に手を置くと新堂は八重歯を見せて笑った。

「いいだろ、茶くらい飲んでけよ袖山。荒井も少し話したいって言うし、時間さえ良ければな。心配すんな、お前を取って食おうって訳じゃ無ェーから」
「新堂さん……でも……」
「最も、袖山が俺らと一緒にいるのが気まずいとか嫌だってんなら止めやしねぇけどな……どうなんだ?」
「そんな、別に嫌じゃないですよ。新堂さんと一緒にいるのも、荒井くんと一緒にいるのも……」

 袖山の声を聞いて、荒井は幾分か安心したように強張った表情を緩める。

「だったらコーヒーくらい煎れてやるよ。もっとも、荒井の家のコーヒーなんだけどな……リビングで待っててくれ。荒井は袖山と少しゆっくりしてろ、話したい事もあるだろうからな」

 新堂は先に靴を脱ぐとなれた様子で家へとあがる。彼の背中を横目に荒井はおずおずと袖山へ手を差し出した。

「いいかな、袖山くん。大丈夫、新堂さんはコーヒー煎れるのけっこう上手だから……おいしいよ」
「うん、いただこうかな。ありがとう荒井くん。ふたりの邪魔じゃなければ嬉しいな」
「邪魔な訳ないよ、僕も新堂さんも袖山くんといる時は楽しいんだから……」

 袖山は荒井の手をとると靴を脱ぎ家へ入る。
 と、そこでふと思い出したように顔を上げた。

「そういえば荒井くん、準備が出来ているっていったけどひょっとして夕飯の時間だったかな。本当に大丈夫? 僕、二人のこと好きだから二人の邪魔はしたくないんだけど……」

 その言葉で荒井の顔がふたたび赤くなる。
 新堂もまた少し気まずそうに笑うと袖山の肩を抱き

「今はそれについて詳しく聞かないでやってくれるか? 時期がきたらちゃんと説明するからな」

 なんて、優しく告げる。
 袖山はただ不思議そうに首を傾げ、真っ赤になる荒井を前に困惑するばかりだった。

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インターネット駄文書き
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