インターネット字書きマンの落書き帳
新堂さんと下校する荒井くんを見るはなし(BL)
平和な世界線で普通に付き合っている新堂×荒井の話をしてます。
僕は「推しCPが自然とイチャイチャしている姿を目撃してしまう第三者」という存在が好きなんですよね。
いつもそんな第三者になりたい。
推しが幸せそうにしている姿を見て幸せになりたい……と、そう生きています。
特に推したちに対して恋心は抱いてないけど好意的な友人とかだったらいいですね。
誰も不幸にならない感じはいつでも摂取していきたいです優しい世界ですから。
そういう思いを溢れさせて、今日は学校帰りに二人で一緒にいる新堂と荒井を見つけて何となくそれを眺めている坂上くんの話をします。
坂上くんは何かを察する力が高いでしょうが、今だけその力を鈍ってもらいましょう。
余談ですが、荒井の家が学校の近所で新堂はわりと遠くから通っているというのは俺に都合のよい妄想です。
俺に都合のよい妄想ですが「俺にも都合がいい」という人がいたらみんなもバンバン使っていこうな!
僕は「推しCPが自然とイチャイチャしている姿を目撃してしまう第三者」という存在が好きなんですよね。
いつもそんな第三者になりたい。
推しが幸せそうにしている姿を見て幸せになりたい……と、そう生きています。
特に推したちに対して恋心は抱いてないけど好意的な友人とかだったらいいですね。
誰も不幸にならない感じはいつでも摂取していきたいです優しい世界ですから。
そういう思いを溢れさせて、今日は学校帰りに二人で一緒にいる新堂と荒井を見つけて何となくそれを眺めている坂上くんの話をします。
坂上くんは何かを察する力が高いでしょうが、今だけその力を鈍ってもらいましょう。
余談ですが、荒井の家が学校の近所で新堂はわりと遠くから通っているというのは俺に都合のよい妄想です。
俺に都合のよい妄想ですが「俺にも都合がいい」という人がいたらみんなもバンバン使っていこうな!
『家路より』
坂上修一が学校を出た時、すでに日が暮れようとしていた。新聞部で小さなコラムを担当する事になりその記事についてうだうだと考えていたらすっかり遅くなってしまったのだ。
「坂上くん、流石にそろそろ帰らないと先生に怒られちゃうから……」
部長である朝比奈慎也は最後まで一緒について様子を見てくれていたから大筋の流れは何とか出来たが最後まで仕上げる事はできなかった。 本当は今日中に仕上げて提出したかったところだが出来なかったものは仕方ないだろう。幸いにあとは文章を整えていくだけだから家で全てやってしまおう。
「あぁ、せめて明日も学校だったら日野先輩からアドバイスしてもらうんだけどな……あんまり倉田さんに借りは作りたくないけど、倉田さんに連絡してみようかな……」
独り言をつぶやきながら普段使う駅についた時、坂上は一瞬自分の目を疑った。
駅で荒井昭二の姿を見かけたからだ。
「え、あれ? 荒井さん……どうして駅に……」
荒井の姿はすぐに人混みへと紛れてしまったが、どうして荒井がここにいるのだろうか。
坂上と荒井が知り合ったのは日野が企画した学校の七不思議を語るという集会でだった。
リアリティのある恐ろしい話を淡々と、だが情感たっぷりに語る荒井の話は元より怪談が苦手な坂上を心底怖れさせたものである。
いかにも他人と距離を置き常に心に壁をつくるような所のある荒井ではあったが不思議と坂上とは気が合うようでその後も頻繁に連絡を取っていた。苦手科目を教えてくれたりテストに出そうな箇所を教えてくれたりと、何かと気を遣ってくれたりするのだ。
だが、確か聞いた限り荒井は自宅が徒歩圏内にあるはずだ。普段は電車など使わなくていいだろうが、どうして駅にいるのだろう。
しかもずいぶんと遅い時刻である。運動部はまだ練習をしている部もあったが帰宅部である荒井がこんな時間まで残っているのは不思議だ。制服だったようだし、塾でもあったのだろうか。
あれこれ考えているうちに坂上の前へ電車が来たので彼はひとまず目の前にある車両へと乗り込んだ。
学校帰りには遅い時刻だが退社時刻にしてはまだ早い時刻なのだろう。電車は普段坂上が乗る時間よりもはるかに空いていたが、生憎坂上の乗った車両にはすでに他の生徒たちが座ってしまっていた。どこか席が空くのが先か、坂上が降りる駅に到着するのが先はか微妙なところだった。
手すりにつかまりぼんやりと周囲を見渡せば隣の車両に新堂誠の姿があるのに気付く。
新堂もまた日野の企画した集会で会った人物だ。強面でいかにも不良っぽい外見であり実際にあまり素行も良くないと聞いているが彼もまた坂上に対しては好意的であり何かと気にかけてくれるようになった。
直接新堂と関係がある事かはわからないが、彼と知り合いになってから不良っぽい生徒たちや素行のよくない生徒が坂上のことを茶化したりからかったりするといった事は一切無くなったのでその点だけでも感謝すべきことだろう。
新堂は随分と遠い所から鳴神学園まで通っていると聞いていたが普段部活で遅いというのに通学距離も長いというのはきっと大変に違いない。話かけようかと思ったが隣の車両だったことと新堂が他の誰かと話している様子もあったのでやめておくことにした。
そうして一駅、二駅と過ぎていき少しずつ乗客が少なくなってく。
坂上の乗った車両は階段近くのドアだった事もありまだ随分と人がいたが隣の車両に乗っていた新堂へと目をやればすでに席へと座っている。座席にもまだ余裕がありそうだし挨拶も兼ねて隣の車両に移動しようか考えた時、新堂の隣に荒井が座っていることに気付いた。
集会で会った面々はオカルト好きという共通点もあり皆で連絡先を交換したから新堂と荒井が親しくしているのは不思議ではないが、明らかにタイプの違う二人が一緒にいるというのは少々意外な気持ちもある。
それにしても、荒井の方は随分と疲れているようだ。椅子に座りながら船をこいでいるのが隣の車両からもわかる。椅子から転げ落ちそうで少し危なっかしいくらいだ。
荒井もいるのなら隣の車両にいって挨拶くらいしようか。席も向こうの方が空いているし自分が降りる駅まで新堂たちと話すのも悪くはない。
そう考えているうち、新堂は荒井がウトウトしていることに気付いたようで椅子から転げそうになっている彼の肩を抱くと自分の方へと引き寄せた。 荒井はウトウトしたまま目を覚まさず新堂の肩を枕のかわりにしたまま居眠りを続ける。
あまりに自然であたりまえのように振る舞う新堂を見たとき、坂上は恥ずかしいようなくすぐったいような気持ちになり、自然と目をそらしていた。
普段から怖いという印象が先立つ新堂が、その時は間違いなくかっこ良く見えたのだ。
同時に新堂と荒井の間には自分の知らない信頼があルのでは無いかと思い、声をかけるのは無粋なような気がしてくる。
おそらく自分の方が早く降りるのだし、邪魔をするのも野暮だろう。
さらにいくつか駅を過ぎ坂上が降りる時に隣の車両へ目を向ければ荒井に肩を貸しスマホで音楽を聴く新堂の姿が見える。
駅に降りた坂上は何とはなしにうらやましいような気持ちを抱いていた。
新堂はほとんど無意識で荒井のことを気にかけていただろうし、荒井も新堂の隣で眠れる程には安心していたのだろう。
そういう風にお互い信頼できる存在と出会えるのはきっと幸運なことだろうし、自分もそんな信頼を抱ける相手がそばにいたらどんなに楽しいことだろう。そんなことを思ったからだ。
「僕ももう少しみんなと話してみようかなぁ……元木さんとも倉田さんとも、もっとちゃんと色々とさ……」
駅に降りた坂上はそう呟いて歩き出す。
周囲はすっかり暗くなり半袖の夏服では少し肌寒い気がしたが、空全体が青白く輝く夜空がやけに美しく見えた。
坂上修一が学校を出た時、すでに日が暮れようとしていた。新聞部で小さなコラムを担当する事になりその記事についてうだうだと考えていたらすっかり遅くなってしまったのだ。
「坂上くん、流石にそろそろ帰らないと先生に怒られちゃうから……」
部長である朝比奈慎也は最後まで一緒について様子を見てくれていたから大筋の流れは何とか出来たが最後まで仕上げる事はできなかった。 本当は今日中に仕上げて提出したかったところだが出来なかったものは仕方ないだろう。幸いにあとは文章を整えていくだけだから家で全てやってしまおう。
「あぁ、せめて明日も学校だったら日野先輩からアドバイスしてもらうんだけどな……あんまり倉田さんに借りは作りたくないけど、倉田さんに連絡してみようかな……」
独り言をつぶやきながら普段使う駅についた時、坂上は一瞬自分の目を疑った。
駅で荒井昭二の姿を見かけたからだ。
「え、あれ? 荒井さん……どうして駅に……」
荒井の姿はすぐに人混みへと紛れてしまったが、どうして荒井がここにいるのだろうか。
坂上と荒井が知り合ったのは日野が企画した学校の七不思議を語るという集会でだった。
リアリティのある恐ろしい話を淡々と、だが情感たっぷりに語る荒井の話は元より怪談が苦手な坂上を心底怖れさせたものである。
いかにも他人と距離を置き常に心に壁をつくるような所のある荒井ではあったが不思議と坂上とは気が合うようでその後も頻繁に連絡を取っていた。苦手科目を教えてくれたりテストに出そうな箇所を教えてくれたりと、何かと気を遣ってくれたりするのだ。
だが、確か聞いた限り荒井は自宅が徒歩圏内にあるはずだ。普段は電車など使わなくていいだろうが、どうして駅にいるのだろう。
しかもずいぶんと遅い時刻である。運動部はまだ練習をしている部もあったが帰宅部である荒井がこんな時間まで残っているのは不思議だ。制服だったようだし、塾でもあったのだろうか。
あれこれ考えているうちに坂上の前へ電車が来たので彼はひとまず目の前にある車両へと乗り込んだ。
学校帰りには遅い時刻だが退社時刻にしてはまだ早い時刻なのだろう。電車は普段坂上が乗る時間よりもはるかに空いていたが、生憎坂上の乗った車両にはすでに他の生徒たちが座ってしまっていた。どこか席が空くのが先か、坂上が降りる駅に到着するのが先はか微妙なところだった。
手すりにつかまりぼんやりと周囲を見渡せば隣の車両に新堂誠の姿があるのに気付く。
新堂もまた日野の企画した集会で会った人物だ。強面でいかにも不良っぽい外見であり実際にあまり素行も良くないと聞いているが彼もまた坂上に対しては好意的であり何かと気にかけてくれるようになった。
直接新堂と関係がある事かはわからないが、彼と知り合いになってから不良っぽい生徒たちや素行のよくない生徒が坂上のことを茶化したりからかったりするといった事は一切無くなったのでその点だけでも感謝すべきことだろう。
新堂は随分と遠い所から鳴神学園まで通っていると聞いていたが普段部活で遅いというのに通学距離も長いというのはきっと大変に違いない。話かけようかと思ったが隣の車両だったことと新堂が他の誰かと話している様子もあったのでやめておくことにした。
そうして一駅、二駅と過ぎていき少しずつ乗客が少なくなってく。
坂上の乗った車両は階段近くのドアだった事もありまだ随分と人がいたが隣の車両に乗っていた新堂へと目をやればすでに席へと座っている。座席にもまだ余裕がありそうだし挨拶も兼ねて隣の車両に移動しようか考えた時、新堂の隣に荒井が座っていることに気付いた。
集会で会った面々はオカルト好きという共通点もあり皆で連絡先を交換したから新堂と荒井が親しくしているのは不思議ではないが、明らかにタイプの違う二人が一緒にいるというのは少々意外な気持ちもある。
それにしても、荒井の方は随分と疲れているようだ。椅子に座りながら船をこいでいるのが隣の車両からもわかる。椅子から転げ落ちそうで少し危なっかしいくらいだ。
荒井もいるのなら隣の車両にいって挨拶くらいしようか。席も向こうの方が空いているし自分が降りる駅まで新堂たちと話すのも悪くはない。
そう考えているうち、新堂は荒井がウトウトしていることに気付いたようで椅子から転げそうになっている彼の肩を抱くと自分の方へと引き寄せた。 荒井はウトウトしたまま目を覚まさず新堂の肩を枕のかわりにしたまま居眠りを続ける。
あまりに自然であたりまえのように振る舞う新堂を見たとき、坂上は恥ずかしいようなくすぐったいような気持ちになり、自然と目をそらしていた。
普段から怖いという印象が先立つ新堂が、その時は間違いなくかっこ良く見えたのだ。
同時に新堂と荒井の間には自分の知らない信頼があルのでは無いかと思い、声をかけるのは無粋なような気がしてくる。
おそらく自分の方が早く降りるのだし、邪魔をするのも野暮だろう。
さらにいくつか駅を過ぎ坂上が降りる時に隣の車両へ目を向ければ荒井に肩を貸しスマホで音楽を聴く新堂の姿が見える。
駅に降りた坂上は何とはなしにうらやましいような気持ちを抱いていた。
新堂はほとんど無意識で荒井のことを気にかけていただろうし、荒井も新堂の隣で眠れる程には安心していたのだろう。
そういう風にお互い信頼できる存在と出会えるのはきっと幸運なことだろうし、自分もそんな信頼を抱ける相手がそばにいたらどんなに楽しいことだろう。そんなことを思ったからだ。
「僕ももう少しみんなと話してみようかなぁ……元木さんとも倉田さんとも、もっとちゃんと色々とさ……」
駅に降りた坂上はそう呟いて歩き出す。
周囲はすっかり暗くなり半袖の夏服では少し肌寒い気がしたが、空全体が青白く輝く夜空がやけに美しく見えた。
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