インターネット字書きマンの落書き帳
新堂の勉強教える荒井くん(新堂×荒井/BL)
平和な世界線で付き合ってる新堂×荒井の話を……します!
新堂×荒井のこと好きかい? 今日から好きになろうぜ!
今回の話は、期末試験前。
テスト勉強を真面目にしないと、赤点をとったら大変だ! 状態になっている新堂を、年下の荒井が教えていたら、急にキスをされそうになり……!? みたいな話ですよ。
話の都合上、すでに付き合ってキスくらいはしょっちゅうしてる新堂×荒井です。
この作品ではキスとかしてませんけどね。
新堂に勉強を教える荒井という概念も、髪留めをされる荒井という概念も……俺は大好き!
新堂×荒井のこと好きかい? 今日から好きになろうぜ!
今回の話は、期末試験前。
テスト勉強を真面目にしないと、赤点をとったら大変だ! 状態になっている新堂を、年下の荒井が教えていたら、急にキスをされそうになり……!? みたいな話ですよ。
話の都合上、すでに付き合ってキスくらいはしょっちゅうしてる新堂×荒井です。
この作品ではキスとかしてませんけどね。
新堂に勉強を教える荒井という概念も、髪留めをされる荒井という概念も……俺は大好き!
『いつもの癖と思い込み』
教科書を積み上げノートを広げて机上がまるでディスカウントストアの様相となった新堂を前に、荒井はひとつため息をついた。
「まさか新堂さんより年下の僕が貴方に勉強を教えないといけないとは、思ってもいませんでしたよ」
数日後には期末試験が控えているため、新堂は必死だった。というのも、もし期末試験で赤点をとれば強制的に補習へと連行される。補習へ連行されれば部活の時間が制限され、必然的に練習時間が削られてしまう。三年最後の試合が夏休み中に控えている新堂にとって、それはどうしても避けたい展開だった。そのため、なりふりかまわず勉強を教えてくれそうな相手を捕まえてはテスト問題のヤマを張る手伝いをさせていたのだ。
「仕方ないだろ、俺は勉強苦手だからよォ。少しでも勉強が得意なやつに教わらないと、今度のテストでは絶対に赤点とる訳にゃいかねぇんだって」
新堂は現代文の教科書を読みながら頭を抱える。知恵はあるが知識に乏しい新堂は読めない漢字を前にすると問題文すらろくに理解できないという有様だった。
喋るのはあれだけ達者なのだから、地頭は決して悪くないはずだ。新堂の場合、勉強に対する苦手意識が学習そのものの足を引っ張っているのだろう。そんな事を考えながら、荒井は教科書よりいくつかの漢字を見繕うとそれをノートへ描き写した。
「ひとまず、落としてはいけない問題を落とさないようにしましょう。この漢字はテストに出やすい熟語ですから、覚えておいて損はないですよ。覚えるまで描き写しておいてください」
「おぉ、わかった。ありがとうな荒井」
言われた通り新堂は素直に漢字を書き写す。お世辞にも綺麗な字とは言えないが間違えず描き写しているし読みも問題なく出来るから、これで漢字問題を落とす事はないだろう。この調子で、出そうな英単語もいくつか覚えておけば少しは赤点を遠ざける事ができるはずだ。本格的に赤点を避けるのならば、もう少し基礎問題も解けるようになって欲しいものだが今の新堂では難しいだろう。
それにしても、新堂は現代文、英語の飲み込みはいい。生物や地理といった問題も、ただ単語を覚えるだけなら得意のようだ。どちらかというと計算の方を苦手にしているから、せめて計算式を導き出すような応用問題ではなく、公式だけ知っていれば溶ける基礎問題は落とさないようにしておきたい所だが。
あれこれ考える荒井を、新堂はじっと見つめていた。漢字の書き取りは終わったが、手はとまっている。次の指示を待っているのだろうか。
「どうしたんですか、新堂さん」
問いかける言葉を全て言う前に、新堂は荒井の髪へ手を伸ばす。
耳元に髪をかけ、前髪を上げるその仕草を前に、荒井はひどく動揺した。それは、新堂がキスをする時によくする仕草だったからだ。この場所でキスをしてくれるのだろうか。今日は勉強を教わるため新堂から荒井の教室まで来ている。そのせいもあり、上級生の不良を怖がった普通の生徒たちは蜘蛛の子を散らすように去って行き教室には誰もいない、キスをするには都合がいいだろう。
テスト勉強中に何を考えているのだとも思うが、いつもと同じ仕草をされれば否応無しに期待してしまう。つい目を閉じ顔をあげれば、すぐに前髪からパチンと軽い音がした。
恐る恐る目を開けてみれば、視界がいつもよりハッキリしている。違和感を覚え髪に触れれば、どうやら前髪をピンか何かで留められていることに気付いた。
「ははっ、似合ってるぜ」
見れば新堂も長い前髪をヘアゴムでとめている。おおよそ新堂が普段使いしているとは思えぬような、カラフルな髪留めからすると福沢からもらったものだろう。きっと荒井の髪も派手なヘアピンか何かで留められたに違いない。鏡を見てはいないがそんな気がしたのは、額が少し涼しいからだった。
「勝手に前髪を留めないでくださいよ。僕はあまり人前に顔を出したくないんですから……」
「でも、俺を教えている時にずっと前髪が邪魔そうだったからよォ。目が悪くなったらいけないだろ?」
新堂に悪びれる様子はない。実際善意でしてくれたのだろう。キスを期待したのは自分だ、新堂はきっと、キスをする前荒井の髪に触れる癖があるなんてことさえも知らないに違いない。
「……仕方ないですね、自分の戒めのためにも、甘んじてこの姿を受け入れましょう」
何より、新堂からのキスを期待した自分が許せない。新堂はやたらと教室など人の気配がするところでキスをせがむような男ではないことくらいわかっていただろう。
「どうした荒井、なんか俺悪ィことしたかな」
行き場のない腹立ちが顔に出ていたのだろう。心配そうにこちらをのぞき込む新堂を前に、荒井は静かに首を振る。勘違いしたのは全てこちらなのだ、新堂が悪い訳ではない。
「どうもしませんよ。それより、勉強を続けましょう。新堂さんが最後の大会に全力を出せないのは、僕も不服ですからね」
仕方ない、この前髪をとめたヘアピンも甘んじて受け止めよう。妙な期待をした罰だ。
荒井はそう思う事にして、新堂の勉強へと目をやる。ヘアピンとヘアゴム。二人がセットで一つになる髪飾りを利用していることに気付くのは、もう少し先の事になる。
教科書を積み上げノートを広げて机上がまるでディスカウントストアの様相となった新堂を前に、荒井はひとつため息をついた。
「まさか新堂さんより年下の僕が貴方に勉強を教えないといけないとは、思ってもいませんでしたよ」
数日後には期末試験が控えているため、新堂は必死だった。というのも、もし期末試験で赤点をとれば強制的に補習へと連行される。補習へ連行されれば部活の時間が制限され、必然的に練習時間が削られてしまう。三年最後の試合が夏休み中に控えている新堂にとって、それはどうしても避けたい展開だった。そのため、なりふりかまわず勉強を教えてくれそうな相手を捕まえてはテスト問題のヤマを張る手伝いをさせていたのだ。
「仕方ないだろ、俺は勉強苦手だからよォ。少しでも勉強が得意なやつに教わらないと、今度のテストでは絶対に赤点とる訳にゃいかねぇんだって」
新堂は現代文の教科書を読みながら頭を抱える。知恵はあるが知識に乏しい新堂は読めない漢字を前にすると問題文すらろくに理解できないという有様だった。
喋るのはあれだけ達者なのだから、地頭は決して悪くないはずだ。新堂の場合、勉強に対する苦手意識が学習そのものの足を引っ張っているのだろう。そんな事を考えながら、荒井は教科書よりいくつかの漢字を見繕うとそれをノートへ描き写した。
「ひとまず、落としてはいけない問題を落とさないようにしましょう。この漢字はテストに出やすい熟語ですから、覚えておいて損はないですよ。覚えるまで描き写しておいてください」
「おぉ、わかった。ありがとうな荒井」
言われた通り新堂は素直に漢字を書き写す。お世辞にも綺麗な字とは言えないが間違えず描き写しているし読みも問題なく出来るから、これで漢字問題を落とす事はないだろう。この調子で、出そうな英単語もいくつか覚えておけば少しは赤点を遠ざける事ができるはずだ。本格的に赤点を避けるのならば、もう少し基礎問題も解けるようになって欲しいものだが今の新堂では難しいだろう。
それにしても、新堂は現代文、英語の飲み込みはいい。生物や地理といった問題も、ただ単語を覚えるだけなら得意のようだ。どちらかというと計算の方を苦手にしているから、せめて計算式を導き出すような応用問題ではなく、公式だけ知っていれば溶ける基礎問題は落とさないようにしておきたい所だが。
あれこれ考える荒井を、新堂はじっと見つめていた。漢字の書き取りは終わったが、手はとまっている。次の指示を待っているのだろうか。
「どうしたんですか、新堂さん」
問いかける言葉を全て言う前に、新堂は荒井の髪へ手を伸ばす。
耳元に髪をかけ、前髪を上げるその仕草を前に、荒井はひどく動揺した。それは、新堂がキスをする時によくする仕草だったからだ。この場所でキスをしてくれるのだろうか。今日は勉強を教わるため新堂から荒井の教室まで来ている。そのせいもあり、上級生の不良を怖がった普通の生徒たちは蜘蛛の子を散らすように去って行き教室には誰もいない、キスをするには都合がいいだろう。
テスト勉強中に何を考えているのだとも思うが、いつもと同じ仕草をされれば否応無しに期待してしまう。つい目を閉じ顔をあげれば、すぐに前髪からパチンと軽い音がした。
恐る恐る目を開けてみれば、視界がいつもよりハッキリしている。違和感を覚え髪に触れれば、どうやら前髪をピンか何かで留められていることに気付いた。
「ははっ、似合ってるぜ」
見れば新堂も長い前髪をヘアゴムでとめている。おおよそ新堂が普段使いしているとは思えぬような、カラフルな髪留めからすると福沢からもらったものだろう。きっと荒井の髪も派手なヘアピンか何かで留められたに違いない。鏡を見てはいないがそんな気がしたのは、額が少し涼しいからだった。
「勝手に前髪を留めないでくださいよ。僕はあまり人前に顔を出したくないんですから……」
「でも、俺を教えている時にずっと前髪が邪魔そうだったからよォ。目が悪くなったらいけないだろ?」
新堂に悪びれる様子はない。実際善意でしてくれたのだろう。キスを期待したのは自分だ、新堂はきっと、キスをする前荒井の髪に触れる癖があるなんてことさえも知らないに違いない。
「……仕方ないですね、自分の戒めのためにも、甘んじてこの姿を受け入れましょう」
何より、新堂からのキスを期待した自分が許せない。新堂はやたらと教室など人の気配がするところでキスをせがむような男ではないことくらいわかっていただろう。
「どうした荒井、なんか俺悪ィことしたかな」
行き場のない腹立ちが顔に出ていたのだろう。心配そうにこちらをのぞき込む新堂を前に、荒井は静かに首を振る。勘違いしたのは全てこちらなのだ、新堂が悪い訳ではない。
「どうもしませんよ。それより、勉強を続けましょう。新堂さんが最後の大会に全力を出せないのは、僕も不服ですからね」
仕方ない、この前髪をとめたヘアピンも甘んじて受け止めよう。妙な期待をした罰だ。
荒井はそう思う事にして、新堂の勉強へと目をやる。ヘアピンとヘアゴム。二人がセットで一つになる髪飾りを利用していることに気付くのは、もう少し先の事になる。
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