インターネット字書きマンの落書き帳
星降る夜でキスする新堂と荒井の話(BL)
平和な世界線で付き合っている新堂×荒井の話を……します!
今回は、流星群を見るために新堂と一緒に鳴神学園に忍び込む荒井の話……。
にみせかけて、不意打ちのキスなどをしイチャイチャする新堂×荒井ですよ。
新堂×荒井のこと好きかい?
今日から好きになろうぜ!
好きにならなくても、ワンチャンまぁ「ありかもな」程度に思ってくれたらおっちゃん嬉しくて涙が出てくらぁ!
今回は、流星群を見るために新堂と一緒に鳴神学園に忍び込む荒井の話……。
にみせかけて、不意打ちのキスなどをしイチャイチャする新堂×荒井ですよ。
新堂×荒井のこと好きかい?
今日から好きになろうぜ!
好きにならなくても、ワンチャンまぁ「ありかもな」程度に思ってくれたらおっちゃん嬉しくて涙が出てくらぁ!
『星降る夜の下で』
「早くしないと置いていきますよ、付いてきてください」
大きな望遠鏡を抱え、荒井は息を弾ませる。
時刻は午後7時半を回った頃だろう。身体中に喜びを滲ませて走る荒井の背中を眺め、新堂は自然と顔がほころんでいた。こんなにも楽しそうにする荒井の姿を見るのは滅多に見ないからだ。
今日は夜半にかけて流星群が見られるのだと荒井は言う。天体観測について詳しくない新堂だったから流星群も普段より流れ星が多い夜くらいの認識でいたが、荒井が楽しそうにしている姿を見られるは貴重だし嬉しくもあったから彼についていく事にした。
「ここの鍵をくすねておいたんですよ。屋上に行けばきっと今日ならとびっきりの流星群が楽しめるはずです」
涼しい顔をし悪びれる様子もなく鍵を盗んできた事を告げる荒井を、新堂は好いていた。
荒井のように見るからしてインテリタイプの人間は、自分から率先して道を踏み外すような真似などしないと新堂は思っていた。
教師に反抗せず時におべっかを使ってすり寄り、遊んでいるとか派手に見える生徒に対しては陰口を言い、生徒たちの諍いや校則違反を見つけたらすぐさま告げ口をし他人を蹴落とす。そんな連中ばかりだと思っていたのだが、荒井はもっと自由でもっと身勝手な性質だったのだ。
他人がどう生きようがさして気にしない、校則を破り教師に説教を食ら生徒の事も「自分はしないし愚かだと思う」とは言うがわざわざくちばしをつっこんで来るほど野暮な事はしない。逆に自分の興味や関心を引くものがあれば他人からするとそれがどれだけ愚かしい行為だとわかっていても、平気な顔をして盗みもするし、規則や校則など一切存在せぬといった顔で進みもする。
新堂はそんな荒井のギャップが好きだった。
いかにも堅物な秀才という外面からおおよそ想像つかぬほど強い好奇心を持ち、知識欲が満たされないと思うととことん執着する姿は、本人にも制御できぬ程に熾烈な熱情なのだろう。
その危うさが、新堂はたまらなく愛おしかったのだ。
「あれ、おかしいですね……鍵が開きません。この鍵でいいはずなんですけど……」
ポケットから出した鍵を鍵穴にねじ込み、左右に回そうとするが思うように回っていかない。 見れば荒井のキーケースには他にもいくつも鍵がつけられている。
両親が共働きで多忙であり滅多に家にも帰ってこないという荒井だ、一つは家の鍵だろう。視聴覚室も頻繁に使うというし、鳴神学園では白髪鬼の異名を持つ名物教師、白井の信頼も得て彼の準備室へ出入りできる鍵をも預かっていると聞いている。それだけでも3つの鍵を常備しているはずだから、他の鍵と間違えているのかもしれない。
「荒井、落ち着けって。何ならそのクソ重たそうな望遠鏡、俺が持ってやろうか?」
「いえ、大丈夫です。それに望遠鏡って結構繊細なものですから、新堂さんに渡して壊されると困るので……」
「壊すかよ! 俺は触ったものを何でも壊すデストロイヤーじゃ無ェんだぞ」
「でも、これ高いですよ? レンズだけで5万しますから……弁償できます?」
「それは……出来ねぇな、荒井、頑張れ」
「頑張ってますって……」
気が焦っているのか、普段より動きが粗雑に見える。流星群も時間通りに始まるようなものでも無いだろうが、自分の見ていないうちに美しい光景が過ぎ去っていくのは荒井のプライドが許さないのだろう。
だが、焦れば焦るほど物事とはうまくいかないものだ。荒井の場合、熱中すると周囲の事などお構いなしになるから尚更だろう。
少し頭を冷やしてやるか。それに、慌てて困っている荒井は何とも言えず可愛いものだ。元々小柄なのもあって、懸命に巣作りの材料を集める小動物にも見える。
「おい、荒井」
「どうしたんですか、新堂さん。今は忙しいので……」
後にしてください、そうとでも言おうと思ったのだろう。振り返る荒井の身体を抱き寄せると不意打ちでキスをする。
荒井はしばらくの間もごもごと口を動かしてから、やがて仕方ないといった様子でその身をキスに委ねた。
呼吸を落ち着かせるようにゆっくりと優しいキスをされ、荒井は少し名残惜しそうに離れる。それそ示すかのように、唇が離れてからも別れるのが惜しいように涎が糸を引いていた。
「……何するんですか、急に」
荒井は俯きながら視線を逸らす。青白い肌が僅かに赤らんでいる事や激しく糾弾するような語調ではないところから、キスをされた事に対しては別に怒っていないのだろう。
「いや、おまえ何か焦っていたから少し落ち着かせようと思ってな。ほら、落ち着いただろ」
「確かに冷静になれたかもしれませんけど、人前ではやめてくださいね。こんな方法……恥ずかしいです」
「心配しなくても、人前ではしねぇよ。ほら、鍵貸してみろ」
荒井から鍵を受け取り鍵穴にさせば、今まで手こずっていたのが嘘のようにすんなり鍵が回る。やはり荒井は少し急いていたのだろう。
「開いたぜ、行くか」
「はい」
荒井は新堂から鍵を受け取ると、暗がりのなか先に歩き出した。
流石に室内は暗い。荒井もそう思っただろう、小さな懐中電灯をつけると階段の先を歩く。世界から切り離されたような静けさのなか、二人の靴音だけが響いていた。
「僕は自分の容姿についてあまり気にした事はないのですが……今日のような時、もう少し背が伸びていたら良かったと思いますね」
階段を登り続け、そろそろ3階まで達するといった頃だろうか。静かな口調で荒井はいう。
それは小声だったが新堂の耳にはっきりと残る程度には強い声だった。
「そうか? 俺はお前の背がデカくても小さくても、それほど気にしないけどな」
「僕だって普段は気にしませんよ。ですが今日のように貴方から不意打ちでキスをされる、僕の背丈では中々同じような真似は出来ないな……なんて思ってしまうんです。だから少しだけ、貴方が羨ましく感じるんですよ」
「なるほど、確かにそうだな。お前から俺にキスしようとすると、ちょっと背伸びするもんなぁ」
背伸びをする姿もまた可愛いと思うのだが、本人が気にしているのならそれは言わないでおこう。
懐中電灯の小さな光だけを頼りに踊り場へ到達し、さらに上の階を目指す。そろそろ屋上が見えてくるだろうか。
「あぁ……でも」
と、そこで荒井は足を止めた。前方に何かあったのだろうか。鍵がかかっていたのだから先に人が来ている可能性は少ないが、ここは鳴神学園だ。人ではない怪異ならどこに現れてもおかしくない。
「どうした荒井、何かあったのか?」
驚き駆け寄る新堂の手を握ると、荒井は少し強引に引き寄せて唇を重ねる。
普段は身長差があるため不意打ちのキスは出来ないのだが、荒井の方が階段の少し先に進んでいたから身長差を段差が補ってくれたのだろう。
思わぬ不意打ちに驚きながらも、温かなキスを受け入れる。
「……どうですか、僕からの不意打ちのキスは」
「へへッ……悪くねぇな」
二人は鼻先がこすれる程近くで笑い合うと、お互い寄り添いゆっくりと屋上へと向かう。
夜空には沢山の星が降り注ぐように流れていた。
「早くしないと置いていきますよ、付いてきてください」
大きな望遠鏡を抱え、荒井は息を弾ませる。
時刻は午後7時半を回った頃だろう。身体中に喜びを滲ませて走る荒井の背中を眺め、新堂は自然と顔がほころんでいた。こんなにも楽しそうにする荒井の姿を見るのは滅多に見ないからだ。
今日は夜半にかけて流星群が見られるのだと荒井は言う。天体観測について詳しくない新堂だったから流星群も普段より流れ星が多い夜くらいの認識でいたが、荒井が楽しそうにしている姿を見られるは貴重だし嬉しくもあったから彼についていく事にした。
「ここの鍵をくすねておいたんですよ。屋上に行けばきっと今日ならとびっきりの流星群が楽しめるはずです」
涼しい顔をし悪びれる様子もなく鍵を盗んできた事を告げる荒井を、新堂は好いていた。
荒井のように見るからしてインテリタイプの人間は、自分から率先して道を踏み外すような真似などしないと新堂は思っていた。
教師に反抗せず時におべっかを使ってすり寄り、遊んでいるとか派手に見える生徒に対しては陰口を言い、生徒たちの諍いや校則違反を見つけたらすぐさま告げ口をし他人を蹴落とす。そんな連中ばかりだと思っていたのだが、荒井はもっと自由でもっと身勝手な性質だったのだ。
他人がどう生きようがさして気にしない、校則を破り教師に説教を食ら生徒の事も「自分はしないし愚かだと思う」とは言うがわざわざくちばしをつっこんで来るほど野暮な事はしない。逆に自分の興味や関心を引くものがあれば他人からするとそれがどれだけ愚かしい行為だとわかっていても、平気な顔をして盗みもするし、規則や校則など一切存在せぬといった顔で進みもする。
新堂はそんな荒井のギャップが好きだった。
いかにも堅物な秀才という外面からおおよそ想像つかぬほど強い好奇心を持ち、知識欲が満たされないと思うととことん執着する姿は、本人にも制御できぬ程に熾烈な熱情なのだろう。
その危うさが、新堂はたまらなく愛おしかったのだ。
「あれ、おかしいですね……鍵が開きません。この鍵でいいはずなんですけど……」
ポケットから出した鍵を鍵穴にねじ込み、左右に回そうとするが思うように回っていかない。 見れば荒井のキーケースには他にもいくつも鍵がつけられている。
両親が共働きで多忙であり滅多に家にも帰ってこないという荒井だ、一つは家の鍵だろう。視聴覚室も頻繁に使うというし、鳴神学園では白髪鬼の異名を持つ名物教師、白井の信頼も得て彼の準備室へ出入りできる鍵をも預かっていると聞いている。それだけでも3つの鍵を常備しているはずだから、他の鍵と間違えているのかもしれない。
「荒井、落ち着けって。何ならそのクソ重たそうな望遠鏡、俺が持ってやろうか?」
「いえ、大丈夫です。それに望遠鏡って結構繊細なものですから、新堂さんに渡して壊されると困るので……」
「壊すかよ! 俺は触ったものを何でも壊すデストロイヤーじゃ無ェんだぞ」
「でも、これ高いですよ? レンズだけで5万しますから……弁償できます?」
「それは……出来ねぇな、荒井、頑張れ」
「頑張ってますって……」
気が焦っているのか、普段より動きが粗雑に見える。流星群も時間通りに始まるようなものでも無いだろうが、自分の見ていないうちに美しい光景が過ぎ去っていくのは荒井のプライドが許さないのだろう。
だが、焦れば焦るほど物事とはうまくいかないものだ。荒井の場合、熱中すると周囲の事などお構いなしになるから尚更だろう。
少し頭を冷やしてやるか。それに、慌てて困っている荒井は何とも言えず可愛いものだ。元々小柄なのもあって、懸命に巣作りの材料を集める小動物にも見える。
「おい、荒井」
「どうしたんですか、新堂さん。今は忙しいので……」
後にしてください、そうとでも言おうと思ったのだろう。振り返る荒井の身体を抱き寄せると不意打ちでキスをする。
荒井はしばらくの間もごもごと口を動かしてから、やがて仕方ないといった様子でその身をキスに委ねた。
呼吸を落ち着かせるようにゆっくりと優しいキスをされ、荒井は少し名残惜しそうに離れる。それそ示すかのように、唇が離れてからも別れるのが惜しいように涎が糸を引いていた。
「……何するんですか、急に」
荒井は俯きながら視線を逸らす。青白い肌が僅かに赤らんでいる事や激しく糾弾するような語調ではないところから、キスをされた事に対しては別に怒っていないのだろう。
「いや、おまえ何か焦っていたから少し落ち着かせようと思ってな。ほら、落ち着いただろ」
「確かに冷静になれたかもしれませんけど、人前ではやめてくださいね。こんな方法……恥ずかしいです」
「心配しなくても、人前ではしねぇよ。ほら、鍵貸してみろ」
荒井から鍵を受け取り鍵穴にさせば、今まで手こずっていたのが嘘のようにすんなり鍵が回る。やはり荒井は少し急いていたのだろう。
「開いたぜ、行くか」
「はい」
荒井は新堂から鍵を受け取ると、暗がりのなか先に歩き出した。
流石に室内は暗い。荒井もそう思っただろう、小さな懐中電灯をつけると階段の先を歩く。世界から切り離されたような静けさのなか、二人の靴音だけが響いていた。
「僕は自分の容姿についてあまり気にした事はないのですが……今日のような時、もう少し背が伸びていたら良かったと思いますね」
階段を登り続け、そろそろ3階まで達するといった頃だろうか。静かな口調で荒井はいう。
それは小声だったが新堂の耳にはっきりと残る程度には強い声だった。
「そうか? 俺はお前の背がデカくても小さくても、それほど気にしないけどな」
「僕だって普段は気にしませんよ。ですが今日のように貴方から不意打ちでキスをされる、僕の背丈では中々同じような真似は出来ないな……なんて思ってしまうんです。だから少しだけ、貴方が羨ましく感じるんですよ」
「なるほど、確かにそうだな。お前から俺にキスしようとすると、ちょっと背伸びするもんなぁ」
背伸びをする姿もまた可愛いと思うのだが、本人が気にしているのならそれは言わないでおこう。
懐中電灯の小さな光だけを頼りに踊り場へ到達し、さらに上の階を目指す。そろそろ屋上が見えてくるだろうか。
「あぁ……でも」
と、そこで荒井は足を止めた。前方に何かあったのだろうか。鍵がかかっていたのだから先に人が来ている可能性は少ないが、ここは鳴神学園だ。人ではない怪異ならどこに現れてもおかしくない。
「どうした荒井、何かあったのか?」
驚き駆け寄る新堂の手を握ると、荒井は少し強引に引き寄せて唇を重ねる。
普段は身長差があるため不意打ちのキスは出来ないのだが、荒井の方が階段の少し先に進んでいたから身長差を段差が補ってくれたのだろう。
思わぬ不意打ちに驚きながらも、温かなキスを受け入れる。
「……どうですか、僕からの不意打ちのキスは」
「へへッ……悪くねぇな」
二人は鼻先がこすれる程近くで笑い合うと、お互い寄り添いゆっくりと屋上へと向かう。
夜空には沢山の星が降り注ぐように流れていた。
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