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インターネット字書きマンの落書き帳

   
海水浴デートする新堂と荒井(BL)
9月になったけど海に行く話はギリギリセーフ!(挨拶)
という訳で、平和な世界線で普通に付き合ってる新堂×荒井が海水浴に行く話ですよ。

シーズンから外れて人も少なくなってきた。
そんな夏の終わりの海にきてみたら、新堂がひたすら泳ぎ続ける人だった……みたいな話です。

海水浴、別に泳ぐことが出来なくても結構楽しいもんです。
はい。



『潮の味』

 人混みから離れた砂浜で、荒井はぼんやりと浜辺を眺めていた。
 海には白波がたっており普段より波が高めなのもあってか沖に出ているのは専らサーファーばかりである。
 時折たち心地よい潮風をあびながらパラソルの下で手足を伸ばす荒井のまえに冷えたウーロン茶が差し出された。

「ウーロン茶でいいよな? 日陰にいても夏はちゃんと水分とらねぇとすぐバテちまうぜ」

 差し出された手の先を見れば新堂がさも楽しそうに笑っている。
 肌も髪も濡れているのを見れば泳いで戻ってきたのはすぐにわかった。

「ありがとうございます、新堂さん。今度はどこまで泳いで来たんですか」
「んー、あの岩ん近くに浮かんでるボールみたいなのあるだろ? あのへんまで泳いで、波が高すぎて辛ェから戻ってきた」

 簡単に言うが、かるく見ても往復で1km以上はある距離だ。新堂の運動能力をもってしても10分以上は泳いでいただろう。

「あんな所までですか? よく体力が持ちますね……溺れなくて何よりですよ」

 ウーロン茶を開けながら荒井は率直な感想を口にする。
 夏休みだし一度くらいは海に行かないか。新堂からそう誘われた時は正直あまり乗り気ではなかったが、夏休み中は家と塾を往復する日々を繰り返すばかりだったので、一日くらい夏らしい事をしても罰は当たらないだろうと言われ近場の海水浴場へと来てみたのだ。
 シーズンから少し外れた時期に来たのもあり、思ったより人が少ない。今日は波が出ているのもあり泳いでいる人はまばらで、殆どが砂浜でビーチバレーをしたり、寝そべって肌を焼いたりして過ごしている中、新堂はただひたすら泳ぎ続けていた。

「泳ぐのは得意だからな。というか、お前は泳がないのか? 海に来てるんだぞ」

 新堂はコーラの蓋を開けながら不思議そうに問いかける。海に来て泳がない人間がいるのが信じられない、といった様子だ。
 新堂にとって海水浴とはひたすら海で泳ぎ続ける行事なのかもしれない。

「いいんですよ、僕はあまり肌を日焼けさせたくはありませんし……広い海を見て、波の音を聞きながら砂浜を肌で感じる。それだけでも充分、来た甲斐がありますから」

 ウーロン茶を飲みながら荒井は海の方を見る。水平線の彼方には貨物船だろうか、大きな船がゆったりと進んでいるように見えた。

「そういうもんか? いや、お前がそれで楽しいっていうんならいいけどよ……泳げねぇのに無理に誘って海でつまんねぇ思いさせてたら悪いと思ってな」
「泳ぐだけが海の楽しみじゃないですよ。むしろ、僕は新堂さんの方が心配です……海に来てずっと泳ぎ続けるだけの人がいるなんて思ってませんでしたから」

 新堂は水着に着替えてすぐ「向こうの灯台が見えるあたりまで泳いでくる」と言い、それから休憩しては泳ぐを何度も繰り返し今に至っている。
 海水浴というよりほとんど遠泳の練習のような光景をずっと見させられているのだが

「えっ? 海に来て泳ぐ意外に何やるんだよ。泳ぐだろ?」

 当人は、本気で海に来て泳ぐ意外の遊び方を知らないような顔をしている。
 新堂にとって海で泳ぐというのが海水浴での最大の娯楽なのだろう。

「新堂さんが楽しいんならそれでいいですけどね」

 ウーロン茶を一気に飲み干すと、空になったボトルを鞄につめて荒井はまた海を見る。
 その横顔を眺めながら新堂もまたコーラを片手に並んで白波たつ海を眺めた。

「何か悪ぃな、俺に付き合わせちまって……おまえ、こういう所あんまり来ねぇからつまんねぇだろ」
「そんな事ないですよ、気分転換になりますから」

 それに、新堂の傍にいられるのは楽しい。
 波の音を聞き、泳いでいる新堂を目で追いかけて見つけた時に胸へとこみ上げる喜びは何物にも代えられぬものだ。

「でもなァ、さっきから俺ばっかり泳いで楽しんでるような気がして……」
「確かに、新堂さんはここに来てから僕を置いて殆ど泳いでますよね」
「だろ。一緒に泳ぐか? 何なら浮き輪に乗ってれば沖まで引っ張ってやってもいいぜ」
「大丈夫ですよ、見ているだけで楽しいですし、新堂さんに引っ張られたら一人で戻れないところまで連れて行かれそうじゃぁないですか。それに……」

 と、そこで荒井は言葉を切ると新堂の頬に触れ唇を重ねる。
 少しざらついた肌と潮の味とが舌の上へ滑り落ちて行った。

「きゅ、急に何すんだよッ……」
「……いつもと違う、潮の味がするキスも悪くないと。そう思いませんか?」

 新堂は恥ずかしそうに顔を赤くするが、まんざらでもない様子で自然と荒井の手を握る。

「そうだな……よし、泳ぐのはすこしやめにして、今日はこのまま……おまえと一緒に海でも見てるか」
「えぇ、そうしましょう。一緒に海を……」

 そう言ってる最中、新堂は荒井の身体を抱き寄せると唇を重ねる。我慢のきかないものだと思うが、白波のたつ音をきき、潮の匂いを肌で感じながら重ねる唇は普段と違い強く深く思い出にのこるキスだった。

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