たまにはCPでない作品を……書きます！
珍しい……？　自分でもそう思います！

今回は、細田はぴば！　ということで……。
誕生日が夏休み中（8月1日）で、新堂の誕生日も夏休み中（7月27日）だから若干のシンパシーを感じているかな？　と思って書きました。

細田に誕生日プレゼント（ワケアリ）をくれる新堂さんの話です。
細田は幸せそうだけど新堂パイセンはわりと、どうしようもないよ！　でも仕様だからしかたないね！

話は全部、坂上くんが聞き役です。
(坂上くんはこの後、冷たいジュースを長時間保存できるタイプのボトル入れなどをプレゼントしました）

「細田の場合」

　やぁ坂上くん、元気だったかい？ 　
　まったく、夏休みだというのに登校日があるというのは辛いよね。
　毎日学校に来るのもそりゃぁ大変だけどさ。休みでゆっくりと過ごしていた中、いきなり朝早くに起きて学校へ行くのもそれなりに辛いだろう。
　しかも最近は早朝でもこんなに暑いんだ、汗が噴き出してしまって、拭いても拭いても止まらないよ……。

　ん、このタオルかい？
　えへへ……実は新堂さんからもらったんだ。
　意外だろ？　僕だって驚いているんだよ、まさか新堂さんが僕に何かくれるとは思ってもみなかったからね。
　ほら、僕って誕生日が8月1日だろう。
　あっ、別に坂上くんが気にする必用はないよ。坂上くんに自分の誕生日は伝えていなかったのは僕だからね。
　えぇっ！　次の登校日にプレゼントを準備しておいてくれるのかい。うふ、うふ、嬉しいな……やっぱり坂上くんは僕の友達だね、うふ、うふ……。
　そうそう、このタオルは新堂さんがくれたんだよね。
　新堂さんの誕生日も夏休み中らしくてさ、夏休みの最中だとよっぽど親しい奴じゃないと覚えててくれないもんな、なんて気さくに声をかけてタオルを渡してくれたんだよ。
　僕はもう、怖いやらびっくりするやらで……。
　新堂さんって見た目からして怖いだろ？ 　金髪だしピアスもいっぱい開けてるしさ……。
　しかもボクシング部のキャプテンで、ケンカも相当強いって言うだろ。
　そんな新堂さんに声をかけられたから、僕はもう人生終わった……なんて思っちゃったよね。
　そしたら「誕生日だったよな？　プレゼント。タオルだったら使うだろ？」なんて差し出してくれるから、僕は嬉しいよりもビックリしたのが大きくてね。 「あああぁあああぁあああ、ありがとうございます！」 　って、赤べこみたいに何度も頭を下げてからタオルを受け取ると、自分でもこんなに早く走れるもんなんだって感心するくらいの勢いで走っていったよ。
　だからきちんとお礼が言えてるか、ちょっと不安なんだよね……新堂さん、怒ってないかな……。
　坂上くん、もし新堂さんにあったら僕がとても喜んでいたこと伝えておいてくれないか。
　ね、ねっ……約束だよっ！
　僕？　僕が行ってもいいけど、もし怒ってたらやっぱり怖いから……頼んだよ、坂上くん。


「新堂の場合」

　よぉ、坂上。夏休みなのに新聞部か？　偉いもんだな。夏でも新聞部は活動してんのか？
　……あぁ、そっか、今日は登校日だったな。
　ボクシング部は夏の大会が控えてるもんだから毎日練習してるだろ。その感覚でいるから休みって感じがあんまりしねぇんだよな。
　それでも新聞部も夏休み、一応活動しているって？
　大変な事だな、今はweb用学校新聞で、水辺の事故なんかの特集をしてるのか。
　確かにこの時期になると海や川へ旅行するやつもいるだろうから、注意喚起しておくに越したことはねぇよな。
　それでなくとも鳴神学園の生徒は二学期空けていると2，3の空席があったりするんだ。

　……誕生日？
　あぁ、細田から聞いたのか。気にすんなよ、今年は荒井が祝ってくれたし俺は特に何もいらねぇ。
　細田にプレゼントした理由？
　たいした事ねぇよ。ただ、あいつの誕生日は夏休みのど真ん中だろ。俺も夏休みが誕生日でクラスメイトに祝ってもらうことなんて殆どなかったからな。
　シンパシーってのを感じたんだよ。 　ん？　シンパシーの意味って合ってるか？　まぁいいか。
　何でタオルだったかって？
　いや、別にたいした意味は無ェんだけどな……学期末になって、ボクシング部で練習するまえにロッカーを綺麗に片付けておけ、ってお達しがあったんだよ。　顧問のチェックつきでな。
　ボクシング部にそんなことするヤツはいねぇが、最近は生徒が煙草やら大麻やら隠し持っている学校ってのもチラホラ出てきてな、ま、抜き打ちテストみたいなもんだ。
　当然そんなもん出なかったんだが、せっかくだから使ってないロッカーも掃除しようってことになってな。もう退部した先輩のロッカーや、何となく開けないでおいてあるロッカーなんかを開けてアレコレ出してみたんだよ。
　古い教科書とか破れたノートなんて殆どがゴミだったんだけどな、一つだけ、ケースに入った未使用のタオルが入ってたって訳だ。
　モノはかなり良いタオルなんだよ。ブランド品だから買おうと思えばけっこうな金額出さねぇとまず買えねぇシロモノだ。
　だが、いつの間に、誰が入れたのかもわからない品だぜ。
　封を切った様子はないから新品だってのは間違い無ェだろうが、鳴神でブランドのタオルを新品のまま置き去りにしてあるなんて異常事態がおこったとしか考えられねぇじゃ無ェか。
　とはいえ、品がいいから捨てるのは惜しいと思ってな。
　そういえば、細田の奴が誕生日だったな、なんて思い出したからあいつにプレゼントしてやったってわけだ。
　今のところ細田は何でも無ェんだろ、喜んでるみたいだし、万々歳じゃないか。
　だから坂上、おまえも細田に下手なこというなよ。そういうのも、友達ってもんだぜ。