インターネット字書きマンの落書き帳
仲良く酒飲む興家とヨーコの話(真EDネタバレあり)
パラノマサイト。
どういう世界線だか全然わかんないんですが、すごーーーーーーく仲良く連んでいる興家彰吾と福永葉子の話を書きました。
真・EDをクリアしてないと意味わからん話だけど、クリアしていても「これはひどい」と思える、明るく元気に健やかに仲良しの興家&ヨーコの話です。
俺は、仲良しバディで連んでいる興家&ヨーコのことが大好きッ……。
なのでかきました。
軽率な印象のある興家とヨーコのこと、みんなも好きになってくれッ!
どういう世界線だか全然わかんないんですが、すごーーーーーーく仲良く連んでいる興家彰吾と福永葉子の話を書きました。
真・EDをクリアしてないと意味わからん話だけど、クリアしていても「これはひどい」と思える、明るく元気に健やかに仲良しの興家&ヨーコの話です。
俺は、仲良しバディで連んでいる興家&ヨーコのことが大好きッ……。
なのでかきました。
軽率な印象のある興家とヨーコのこと、みんなも好きになってくれッ!
『呪術師興家とヨーコの事件(をおこしている名)簿』
「あーっ、もう嫌になっちゃうっ」
福永葉子は苛立たしげに声をあげるとBARカウンターへ突っ伏す。
その姿を、相変わらずかといった様子で眺めながら興家彰吾はグラスを傾ける。
時刻は21時、葉子の門限はとっくに過ぎていたが彼女は帰る様子を見せなかったが、これは興家を恋人だと思って信頼し夜を楽しもうといった理由ではない。単純に家に居づらいからだ。
「またイライラして、今度は何したの。ヨーコさん」
ジンライムの軽やかな酸味を味わいつつ、気のない風に声をかければヨーコは少し食い気味になって興家の方を向いた。
「何したとかじゃないんだよ興家くん。私はね、呪術界の未来を思って、蘆乃の残した呪詛をほんのちょっぴり、呪い殺しやすいアレンジをしただけなの。そしたらね、ご近所でなんかバタバタ葬式が立て続いて、また何かやったんでしょアンタって言われて……私じゃないんだよ。だってまだ呪詛アレンジしてただけだし。そりゃ、多少の怨嗟が漏れて弱っているお年寄りが予定より早く昇天してたかもしれないけど、そんなの呪術の進歩にとって些末なことでしょ? それなのに、アンタが胡乱な事をしているからご近所の目がなんとかとか、仕事もしないで家でイモリの黒焼きを乳鉢ですりつぶしてる位なら花嫁修業しろとか、何ならお見合いしろ、結婚しろって、ひどいとおもわない!?」
ひどいと思う、思わない以前に聞き捨てならない言葉が存分に含まれていた気がするが、ヨーコにそれを言っても無駄だ。 呪術のために倫理観をセール販売して全部悪魔に売り渡してしまったような女なのだ。おまけに呪詛・オカルト関係のプロフェッショナルなので法律で取り締まれないからタチが悪い。
興家は空になったグラスを置くと新たな酒を注文した。
「ま、おれたち呪術師ってのは世間に理解されないものだからね。というより、細々と裏でやってるからこそ自由にやれてるところもあるし」
実際にその通り、呪術というのは適正があり生まれ持った才能や血統の善し悪しに寄るところが大きい分野だ。
誰でもなれる訳ではなく、平等とは程遠い能力での階級、ランク付けのようなものも存在する。選ばれたものしか扱う事が出来ないという特異性は異端視され、才に恵まれなかった人間たちからすると排除すべき対象にしかならない。
それ故、呪術師は裏方で細々と力を使っているのが本来の姿なのである。これは、自分たちの命を守るためという意味もあるのだ。
「謙虚だねぇ興家くんは。いま、間違いなく日本で5本の指に入る呪術者のくせに」
「おれなんて最近目覚めたばっかりの素人呪術師だよ。公の組織には登録してないから表だった仕事を受ける訳にはいかないしさ……それに、別に謙虚って訳でもない。ただ、面倒ごとが嫌いなだけさ」
興家が呪術師として目覚めたのは社会人になってからで、開発部のホープとして活躍していた最中だった。仕事と呪術の両立は当然難しく、かといって呪術の腕を腐らせておくのは勿体ないと思った彼はいま、インチキ霊媒師が適当にでっち上げた呪いや秘術の騒動から美味しい依頼だけを横取りする形で小遣い稼ぎなどをしている程度の活動しかしていない。
最も、小遣い稼ぎ程度で樹海の根元に封印されていた神話時代の石船やら、巨大な女郎蜘蛛が巣くう次元の谷間やら、子供さえ名を知るような化け物やらを退治したり封印しているのだから小遣いくらい貰っても罰は当たらない働きをしているだろう。
「それにほら、裏で糸を引くフィクサーなんて格好いいだろ」
「興家くんは地味だなー、私はやっぱり花形をやりたい。お立ち台にのってスポットライトを浴びて、世紀の呪術師ラブリーヨーコ。って感じで歌って踊れる呪術師みたいなの、憧れちゃうなー」
「うん、そのコンサートみたいなの、お客さん死ぬでしょ」
「そりゃぁもう、私のために生贄コンサートですもの。そのかわりね、私すっごいの召喚しちゃうよ。そりゃもう、旧き名も忘れられたレベルの神格を召喚して、東京を中心にどかーんと、滅亡とかさせちゃうから」
「1999年7の月ってのが来る前に、世界滅ぼさないで欲しいなぁ」
新しく来たジンライムを方向ける興家の横顔に熱い視線を注ぐと、ヨーコは潤んだ目を向けた。
「それでね、興家くん。私、今夜はもう帰りたくない気分なんだ」
グラスを見れば、ヨーコはまったく酒が進んでない。酔ってはいないようだが、この流れでその話が出る意味を興家は完全に理解していた。
「そっか。じゃ、今日はどこかの組織でも軽く潰してく?」
「やったー、興家くん話が早い!」
ヨーコの場合、興家を帰りたくないと誘うのは9割が「イライラしているから、どこかで弱者を食い物にしているタイプのうざったい団体でも潰しておこう」という意味だった。
大概の団体がオカルトや呪術をつかって仲間を囲ったり、罪のない人々を不幸に落としたりするろくでもない団体だ。
「いいよ、これ飲んだら行こっか。どこの組織潰すとか、決めてある?」
「うーん、特には無いかな。目についた所は全部潰しちゃおうかなって気分だし、朝まで小さいのなら2,3個いけるんじゃない?」
「それなら、ちょうど目障りな団体があるからそっちに行っていいかな。このまえ、うちの会長……これがインチキ霊媒師やってるんだけどさ。それが尻尾を踏んでトラぶってるって弓岡さんが頭抱えててさ。弓岡さんもおれが出しゃばると何かとウルサイから、恩を売って黙らせておきたいなーと思ってたところだし、土蜘蛛を呼び出せるサマナーを要してるから相手にとって不足はないよ」
「え、それホント。私欲しいかも、土蜘蛛。使役横取りしちゃおうかな」
「いいんじゃない? とはいっても、本来の土蜘蛛と呼ばれていた魂を使役している訳じゃなくて、本当に文字通り蜘蛛の式神を土蜘蛛と呼んでるだけっぽいからヨーコさんビジュアル的に問題ないかな」
「問題ないよー、蜘蛛・百足系は大好き! 場所は何処かな」
「えぇっと……」
簡単な打ち合わせのあと、興家は一気にグラスを煽り残りの酒を飲み干すと会計を済ませ店を出る。
そんな二人の背中を、BARのマスターは今日も「オカルトブームとはいえ、随分と面白い客だな」と微笑ましく見送るのだった。
翌日、川越で一夜にしてクレーター状の地盤沈下がおき、すこやかな笑顔と楽しい共同生活をうたう団体が壊滅したという事件があったのは、歴史の闇に埋もれさせておくことにしよう。
「あーっ、もう嫌になっちゃうっ」
福永葉子は苛立たしげに声をあげるとBARカウンターへ突っ伏す。
その姿を、相変わらずかといった様子で眺めながら興家彰吾はグラスを傾ける。
時刻は21時、葉子の門限はとっくに過ぎていたが彼女は帰る様子を見せなかったが、これは興家を恋人だと思って信頼し夜を楽しもうといった理由ではない。単純に家に居づらいからだ。
「またイライラして、今度は何したの。ヨーコさん」
ジンライムの軽やかな酸味を味わいつつ、気のない風に声をかければヨーコは少し食い気味になって興家の方を向いた。
「何したとかじゃないんだよ興家くん。私はね、呪術界の未来を思って、蘆乃の残した呪詛をほんのちょっぴり、呪い殺しやすいアレンジをしただけなの。そしたらね、ご近所でなんかバタバタ葬式が立て続いて、また何かやったんでしょアンタって言われて……私じゃないんだよ。だってまだ呪詛アレンジしてただけだし。そりゃ、多少の怨嗟が漏れて弱っているお年寄りが予定より早く昇天してたかもしれないけど、そんなの呪術の進歩にとって些末なことでしょ? それなのに、アンタが胡乱な事をしているからご近所の目がなんとかとか、仕事もしないで家でイモリの黒焼きを乳鉢ですりつぶしてる位なら花嫁修業しろとか、何ならお見合いしろ、結婚しろって、ひどいとおもわない!?」
ひどいと思う、思わない以前に聞き捨てならない言葉が存分に含まれていた気がするが、ヨーコにそれを言っても無駄だ。 呪術のために倫理観をセール販売して全部悪魔に売り渡してしまったような女なのだ。おまけに呪詛・オカルト関係のプロフェッショナルなので法律で取り締まれないからタチが悪い。
興家は空になったグラスを置くと新たな酒を注文した。
「ま、おれたち呪術師ってのは世間に理解されないものだからね。というより、細々と裏でやってるからこそ自由にやれてるところもあるし」
実際にその通り、呪術というのは適正があり生まれ持った才能や血統の善し悪しに寄るところが大きい分野だ。
誰でもなれる訳ではなく、平等とは程遠い能力での階級、ランク付けのようなものも存在する。選ばれたものしか扱う事が出来ないという特異性は異端視され、才に恵まれなかった人間たちからすると排除すべき対象にしかならない。
それ故、呪術師は裏方で細々と力を使っているのが本来の姿なのである。これは、自分たちの命を守るためという意味もあるのだ。
「謙虚だねぇ興家くんは。いま、間違いなく日本で5本の指に入る呪術者のくせに」
「おれなんて最近目覚めたばっかりの素人呪術師だよ。公の組織には登録してないから表だった仕事を受ける訳にはいかないしさ……それに、別に謙虚って訳でもない。ただ、面倒ごとが嫌いなだけさ」
興家が呪術師として目覚めたのは社会人になってからで、開発部のホープとして活躍していた最中だった。仕事と呪術の両立は当然難しく、かといって呪術の腕を腐らせておくのは勿体ないと思った彼はいま、インチキ霊媒師が適当にでっち上げた呪いや秘術の騒動から美味しい依頼だけを横取りする形で小遣い稼ぎなどをしている程度の活動しかしていない。
最も、小遣い稼ぎ程度で樹海の根元に封印されていた神話時代の石船やら、巨大な女郎蜘蛛が巣くう次元の谷間やら、子供さえ名を知るような化け物やらを退治したり封印しているのだから小遣いくらい貰っても罰は当たらない働きをしているだろう。
「それにほら、裏で糸を引くフィクサーなんて格好いいだろ」
「興家くんは地味だなー、私はやっぱり花形をやりたい。お立ち台にのってスポットライトを浴びて、世紀の呪術師ラブリーヨーコ。って感じで歌って踊れる呪術師みたいなの、憧れちゃうなー」
「うん、そのコンサートみたいなの、お客さん死ぬでしょ」
「そりゃぁもう、私のために生贄コンサートですもの。そのかわりね、私すっごいの召喚しちゃうよ。そりゃもう、旧き名も忘れられたレベルの神格を召喚して、東京を中心にどかーんと、滅亡とかさせちゃうから」
「1999年7の月ってのが来る前に、世界滅ぼさないで欲しいなぁ」
新しく来たジンライムを方向ける興家の横顔に熱い視線を注ぐと、ヨーコは潤んだ目を向けた。
「それでね、興家くん。私、今夜はもう帰りたくない気分なんだ」
グラスを見れば、ヨーコはまったく酒が進んでない。酔ってはいないようだが、この流れでその話が出る意味を興家は完全に理解していた。
「そっか。じゃ、今日はどこかの組織でも軽く潰してく?」
「やったー、興家くん話が早い!」
ヨーコの場合、興家を帰りたくないと誘うのは9割が「イライラしているから、どこかで弱者を食い物にしているタイプのうざったい団体でも潰しておこう」という意味だった。
大概の団体がオカルトや呪術をつかって仲間を囲ったり、罪のない人々を不幸に落としたりするろくでもない団体だ。
「いいよ、これ飲んだら行こっか。どこの組織潰すとか、決めてある?」
「うーん、特には無いかな。目についた所は全部潰しちゃおうかなって気分だし、朝まで小さいのなら2,3個いけるんじゃない?」
「それなら、ちょうど目障りな団体があるからそっちに行っていいかな。このまえ、うちの会長……これがインチキ霊媒師やってるんだけどさ。それが尻尾を踏んでトラぶってるって弓岡さんが頭抱えててさ。弓岡さんもおれが出しゃばると何かとウルサイから、恩を売って黙らせておきたいなーと思ってたところだし、土蜘蛛を呼び出せるサマナーを要してるから相手にとって不足はないよ」
「え、それホント。私欲しいかも、土蜘蛛。使役横取りしちゃおうかな」
「いいんじゃない? とはいっても、本来の土蜘蛛と呼ばれていた魂を使役している訳じゃなくて、本当に文字通り蜘蛛の式神を土蜘蛛と呼んでるだけっぽいからヨーコさんビジュアル的に問題ないかな」
「問題ないよー、蜘蛛・百足系は大好き! 場所は何処かな」
「えぇっと……」
簡単な打ち合わせのあと、興家は一気にグラスを煽り残りの酒を飲み干すと会計を済ませ店を出る。
そんな二人の背中を、BARのマスターは今日も「オカルトブームとはいえ、随分と面白い客だな」と微笑ましく見送るのだった。
翌日、川越で一夜にしてクレーター状の地盤沈下がおき、すこやかな笑顔と楽しい共同生活をうたう団体が壊滅したという事件があったのは、歴史の闇に埋もれさせておくことにしよう。
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