インターネット字書きマンの落書き帳
耳たぶふにふにされるショージの話(カズ←荒井描写ありの新堂×荒井)
Webオンリーに出す作品の原稿をずっとやっていました。(挨拶)
その関係で、先月はなんかこう……特に更新とかできなかった!
だが趣味でやっている事だからすまんな!
原稿は無事に終わりました!
作品は pixiv に置いてあるのでお時間あるとき見てください♥
(とても たくさん じをかいている)
今回の話は、新堂と付き合うようになって、恋人として普通にイチャイチャするけど、内心まだあの夏、カズと出会った事が忘れられない荒井の話ですよ。
俺は、カズに永遠の片思いをしている荒井が……大好き!
その上で今の荒井のことを溺愛している新堂も……大好きッ!
その関係で、先月はなんかこう……特に更新とかできなかった!
だが趣味でやっている事だからすまんな!
原稿は無事に終わりました!
作品は pixiv に置いてあるのでお時間あるとき見てください♥
(とても たくさん じをかいている)
今回の話は、新堂と付き合うようになって、恋人として普通にイチャイチャするけど、内心まだあの夏、カズと出会った事が忘れられない荒井の話ですよ。
俺は、カズに永遠の片思いをしている荒井が……大好き!
その上で今の荒井のことを溺愛している新堂も……大好きッ!
『耳に触れる』
いつものように荒井の部屋に転がり込んできた新堂は、ぼんやりとオリンピック中継を流し見ていた。
手持ち無沙汰だったのだろう、新堂はテレビを見ながら荒井の耳たぶに触れている。
流れている競技はすでに結果がわかっている録画放送で、すでに一度見ているたから飽きてもいるのだろう。
こねるように耳たぶを触られるのは悪い気がしないが、少しくすぐったい。
「何で僕の耳たぶをそんなに触るんですか、新堂さん」
くすぐったさに耐えかねた荒井が微かに上を向けば、新堂は視線をテレビから荒井へと向けた。
「いや、おまえの耳たぶ、薄いけど柔らかいな、と思って。嫌だったらやめるけど」
「嫌ではないです、少しくすぐったいだけですから……」
そうか、と呟き、新堂はまた耳たぶに触れる。
指先の熱が耳たぶから伝わり、気恥ずかしい気持ちが募る。だが、嫌な気分ではない。
荒井は新堂の体によりかかると、それまで見ていた文庫本をテーブルに置いた。
少し新堂と話がしたい。そういう気分になったからだ。
「おまえ、耳たぶが薄いよな。ピアスの穴を開ける予定とかあるか? 多分、お前の耳だったら簡単に開けられると思うんだよな」
だが、新堂の何気なく口にした言葉が、荒井の口を閉ざす。
その言葉を聞いた瞬間荒井の脳裏に、あの夏の光景が蘇ったからだ。
抜けるような青い空、巨大な入道雲の下、自分の背丈ほどはありそうな牧草がしげる最中、一日中それを狩るのがあの時の荒井の仕事だった。
クラスメイトの中村から紹介されたバイトで、牧場に来て働く荒井はその頃、殆ど一日中牧草を刈っていただろう。
周囲で働いている人間たちは気のいい大人だったが、自分の3倍も歳が離れていそうな大人たちばかりのなか、一番歳の近い男は、何故か自分によく似ていた。
「荒井くん、そろそろ終わりにするよ」
落ち着いた静かな声で呼ばれると、心臓がどきりと音をたてる。
それは仕事に慣れてない自分が失敗したのではないかという不安と心配からというのもあったが、目の前にいる青年が美しいというのもあったろう。
日差しの強い夏の最中でも、彼の肌は病的なほど青白く美しかった。
「はい、今行きます、カズさん」
慌てて道具を片付ける荒井に、生ぬるい風が吹き付ける。
牧草がざわざわと揺れ、カズの細い髪がふわりと揺れた。
耳たぶと首筋が露わになり、やけに艶めかしい肌の下、鈍い色でピアスが光る。
「……カズさん、ピアスを着けているんですね」
荒井は自然と自分の耳に触れていた。
ピアスの穴を開けるのは億劫だ。見た目を少し変える事ができる喜びより、手入れや管理の負担が大きい。
そう考えていた荒井にとって、何に対してもどこか無気力に見えるカズがその面倒なピアスを着けているのが意外に思えたのだ。
カズは少し首を傾げて振り返ると、荒井の耳に触れる。
そして優しく耳たぶをもてあそぶと、吐息がかかるほど顔を近づけてから、微かに笑って見せた。
「荒井くん……ピアス、興味ある? ……開けてあげようか?」
日が暮れ始め、西日を背に受けたカズの笑顔は儚く、だからこそ妖艶だ。
思わず息をのみ、次の言葉が浮かばなくなった荒井を前に、カズはゆっくり離れていった。
「……冗談だよ」
淡い笑い声が、耳に残る。
あの人は、結局荒井を連れていってはくれなかった。
だからこそ、今でも思う事があるのだ。
もしもカズがこちらに手を差し伸べて、一緒に行こうといってたら、自分は鳴神学園に戻っていたのだろうかと。
カズとともに寄り添い、そして、もうこの世界にもいなかったのだろうと。
「おい、荒井?」
新堂に呼ばれ、荒井は我に返る。
テレビからは熱の入った実況が聞こえてきた。競技としても佳境に入ったのだろう。
今の自分には新堂がいる。
新堂が自分を選んでくれたことも嬉しいし、新堂の傍にいるのも幸せだ。
だが、時々こうしてカズの幻影を追い求めてしまう自分が、ひどく不誠実でそして卑怯者のような気がして、申し訳ない心持ちになるのだった。
そんな荒井の頭を、新堂はくしゃくしゃに撫でる。
何をするんですか。そう言う前に、新堂は告げた。
「……心配するなよ。お前が誰を思っていても、何を考えていても、俺は……今の荒井昭二が好きだからな」
まったく、新堂は色恋沙汰にひどく鈍感なくせに、時々やけに鋭い。
荒井が何を考えていたのか見透かすような所があるのだ。
その上で、いつでも荒井の欲しい言葉をくれるのだ。
「ありがとうございます……僕も、今は貴方を愛してますよ」
未だ思いを引きずって、それでも残された自分は、まだ生きていなければいけないというのなら、もしいつか、カズと出会えた時に、恥の多い話をしよう。
カズが嫉妬するほど多くの恥を、新堂と一緒に作っていこう。
そんな事を思いながら、自然と手を握る。
あの夏、手が差し出される事がなかった。
だから今、この手を握れる事が荒井は嬉しかった。
いつものように荒井の部屋に転がり込んできた新堂は、ぼんやりとオリンピック中継を流し見ていた。
手持ち無沙汰だったのだろう、新堂はテレビを見ながら荒井の耳たぶに触れている。
流れている競技はすでに結果がわかっている録画放送で、すでに一度見ているたから飽きてもいるのだろう。
こねるように耳たぶを触られるのは悪い気がしないが、少しくすぐったい。
「何で僕の耳たぶをそんなに触るんですか、新堂さん」
くすぐったさに耐えかねた荒井が微かに上を向けば、新堂は視線をテレビから荒井へと向けた。
「いや、おまえの耳たぶ、薄いけど柔らかいな、と思って。嫌だったらやめるけど」
「嫌ではないです、少しくすぐったいだけですから……」
そうか、と呟き、新堂はまた耳たぶに触れる。
指先の熱が耳たぶから伝わり、気恥ずかしい気持ちが募る。だが、嫌な気分ではない。
荒井は新堂の体によりかかると、それまで見ていた文庫本をテーブルに置いた。
少し新堂と話がしたい。そういう気分になったからだ。
「おまえ、耳たぶが薄いよな。ピアスの穴を開ける予定とかあるか? 多分、お前の耳だったら簡単に開けられると思うんだよな」
だが、新堂の何気なく口にした言葉が、荒井の口を閉ざす。
その言葉を聞いた瞬間荒井の脳裏に、あの夏の光景が蘇ったからだ。
抜けるような青い空、巨大な入道雲の下、自分の背丈ほどはありそうな牧草がしげる最中、一日中それを狩るのがあの時の荒井の仕事だった。
クラスメイトの中村から紹介されたバイトで、牧場に来て働く荒井はその頃、殆ど一日中牧草を刈っていただろう。
周囲で働いている人間たちは気のいい大人だったが、自分の3倍も歳が離れていそうな大人たちばかりのなか、一番歳の近い男は、何故か自分によく似ていた。
「荒井くん、そろそろ終わりにするよ」
落ち着いた静かな声で呼ばれると、心臓がどきりと音をたてる。
それは仕事に慣れてない自分が失敗したのではないかという不安と心配からというのもあったが、目の前にいる青年が美しいというのもあったろう。
日差しの強い夏の最中でも、彼の肌は病的なほど青白く美しかった。
「はい、今行きます、カズさん」
慌てて道具を片付ける荒井に、生ぬるい風が吹き付ける。
牧草がざわざわと揺れ、カズの細い髪がふわりと揺れた。
耳たぶと首筋が露わになり、やけに艶めかしい肌の下、鈍い色でピアスが光る。
「……カズさん、ピアスを着けているんですね」
荒井は自然と自分の耳に触れていた。
ピアスの穴を開けるのは億劫だ。見た目を少し変える事ができる喜びより、手入れや管理の負担が大きい。
そう考えていた荒井にとって、何に対してもどこか無気力に見えるカズがその面倒なピアスを着けているのが意外に思えたのだ。
カズは少し首を傾げて振り返ると、荒井の耳に触れる。
そして優しく耳たぶをもてあそぶと、吐息がかかるほど顔を近づけてから、微かに笑って見せた。
「荒井くん……ピアス、興味ある? ……開けてあげようか?」
日が暮れ始め、西日を背に受けたカズの笑顔は儚く、だからこそ妖艶だ。
思わず息をのみ、次の言葉が浮かばなくなった荒井を前に、カズはゆっくり離れていった。
「……冗談だよ」
淡い笑い声が、耳に残る。
あの人は、結局荒井を連れていってはくれなかった。
だからこそ、今でも思う事があるのだ。
もしもカズがこちらに手を差し伸べて、一緒に行こうといってたら、自分は鳴神学園に戻っていたのだろうかと。
カズとともに寄り添い、そして、もうこの世界にもいなかったのだろうと。
「おい、荒井?」
新堂に呼ばれ、荒井は我に返る。
テレビからは熱の入った実況が聞こえてきた。競技としても佳境に入ったのだろう。
今の自分には新堂がいる。
新堂が自分を選んでくれたことも嬉しいし、新堂の傍にいるのも幸せだ。
だが、時々こうしてカズの幻影を追い求めてしまう自分が、ひどく不誠実でそして卑怯者のような気がして、申し訳ない心持ちになるのだった。
そんな荒井の頭を、新堂はくしゃくしゃに撫でる。
何をするんですか。そう言う前に、新堂は告げた。
「……心配するなよ。お前が誰を思っていても、何を考えていても、俺は……今の荒井昭二が好きだからな」
まったく、新堂は色恋沙汰にひどく鈍感なくせに、時々やけに鋭い。
荒井が何を考えていたのか見透かすような所があるのだ。
その上で、いつでも荒井の欲しい言葉をくれるのだ。
「ありがとうございます……僕も、今は貴方を愛してますよ」
未だ思いを引きずって、それでも残された自分は、まだ生きていなければいけないというのなら、もしいつか、カズと出会えた時に、恥の多い話をしよう。
カズが嫉妬するほど多くの恥を、新堂と一緒に作っていこう。
そんな事を思いながら、自然と手を握る。
あの夏、手が差し出される事がなかった。
だから今、この手を握れる事が荒井は嬉しかった。
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