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インターネット字書きマンの落書き帳

   
誕生日にラブホにいこうぜ!(新堂×荒井・BL)
平和な世界線で付き合ってる新堂×荒井の話をしますよ。

11月18日は荒井くんの誕生日なので……荒井くんの誕生日っぽい話を! します!
というワケで、「誕生日ラブホ行こうぜ」と軽率に提案する新堂に「ハァ?」って顔になる荒井もでもまんざらでもないぞ、って話です。
話が誕生日前なので、誕生日ネタだけど前に投下しておきますぞい。

新堂が3年の秋、荒井2年の秋なので新堂が受験生。
スポーツ推薦のため頑張ってテスト勉強している設定がオレに都合がいいのでそうしてます。

キミは新堂×荒井のこと好きかい?
今日から好きになろうぜ!



『この先も、誕生日に』

 荒井の誕生日が間近に迫ったある日、いつものように荒井の部屋で受験勉強をしていた新堂は急に思いついたように顔を上げた。

「なぁ荒井、もうすぐ誕生日だよな? せっかくだからラブホで祝わねぇ?」

 突拍子もない提案に、荒井はじろりとねめつけてから

「いきなり何を言ってるんですか? バカなんですか? 新堂さんは受験生でそれどころじゃ無いでしょう、口に出す前にもっと考えて下さい」

 なんて、頭に浮かんだあらんかぎりの罵倒を浴びせると、新堂は意外にも安心したように笑っていた。

「お、キレのいい悪口を言う癖ににボキャブラリーが随分とガキ臭えじゃ無ェか、最近わかってきたぜ、お前がバカとか死んでくれなんて安易な言葉を言う時は、まんざら悪くねぇ時だよなぁ」

 まるでこちらの心などお見通しといった態度は気に入らないがまんざら悪くないと思ったのは事実だ。 荒井は少しの悔しさを覚えながら、全くはかどってない新堂のノートを見た。

「バカいってないで、もっと勉強に集中したらどうですか? 全然進んでませんよ? スポーツ推薦はテストが早いですよね? 今のペースでは間に合わないのでは?」

 荒井に責められ新堂はしぶしぶペンを走らせる。
 夏の大会で今まで一番の成績を残すことが出来た新堂は、他にスポーツ推薦をとる生徒がいなかった事もあり鳴神学園付属大学の推薦を受ける事になっていた。
 お世辞にも勉強の出来が良くない新堂が大学に行くにはスポーツ推薦くらいしかチャンスはなく、テストは三教科で小論文と面接と普通に試験を受けるよりずっと簡単な内容にはなっているが、その内容でも今の新堂では及第点をとるのも怪しい所だ。

「テスト勉強が間に合っても、学校の期末テストが赤点だらけで留年なんて真似もしないでくださいね。僕は一緒に卒業できるからそれでもいいですけど」
「やめてくれよ、誰が鳴神学園になんか好き好んでもう1年通わなきゃういけないんだよ……わかったわかった、真面目に勉強するって」

 新堂は慌てて問題集と向き合う。
 最初は開くだけ開いて全く進まなかった数学の問題集も今は多少遅いながらも自力で解けるようになっていることで、二学期に入りスポーツ推薦の道が開けてから3ヶ月新堂もそれなりに勉強しているというのがありありと伝わった。

「だいたい、僕は誕生日がきてもまだ17歳ですし、お互い高校生じゃないですか。ラブホテルなんか行けません、見つかったらすぐ追い出されてしまいますよ」

 新堂の教科書を開き彼の計算にミスがないのを確認しながら独り言のつもりで言った言葉に、新堂は驚いたよう顔を上げた。

「えぇ、高校生ってラブホ入っちゃいけないのかよ!?」

 新堂は運動に関しては何をやらせても平均以上の動きが出来るがそのかわり勉強の才能がぷっつりと途絶えている。 簡単な漢字でも書き間違えるし一般常識とも言える知識が欠如しているのも珍しくはない上に恋愛方面には驚く程純粋なのもあり時々ひどく無知なコトを言うのだ。

「そうですよ、18歳未満は違反ですし高校生だったら尚更でしょう。新堂さんはもう18歳ですし、バイクの免許もありますから学生とはバレ憎いでしょうが僕は見ての通り、高校生どころか中学生に間違われる有様ですから厳しいでしょうね」
「女装とかすればイケるんじゃ無ェか? おまえ男としては小柄だけど女としてみれば長身だし、俺より大人っぽいもんな」
「絶対に嫌ですね。どうして僕がラブホに行くためわざわざ女装の辱めを受けなければいけないんですか……」
「そっかー、ダメかー」

 新堂は嘆きながらも何とか問題を解き終え、荒井を見て笑った。

「じゃ、来年だったらいけるのか? それとも来年もおまえが学生だから無理か……再来年まで待てばいいんだな。そん時、誕生日祝いに行こうぜラブホ。俺はお前くらいしか行く相手なんていねぇだろうしな」

 新堂は当たり前のように先の話をする。
 来年、新堂が卒業しても彼は荒井の恋人として大学に通いながら高校生である自分の元へと帰ってきてくれるのだろうか。再来年になりお互い大学に通うようになったら二人で並んで同じ通学路を歩いたりするんだろうか。
 そう思うとやけに気恥ずかしい。荒井自身、今は幸せだし新堂と別れるなんて微塵も思っていなかったが新堂もまた荒井と当然のように一緒にいるのだと考えてくれていることが嬉しかったから。

「さぁ、どうですかね。来年、再来年になったらまた言ってみてください。この一年でどうするか、ゆっくり考えておきますから」

 荒井は微かに笑うと新堂が間違えた問題の解き方を書いていく。
 来年もこのように新堂が出来ない問題を自分が教えているのだろうか。そうだったらいいし、そうあればいい。 心には漠然とそんな思いを抱いていた。

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