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インターネット字書きマンの落書き帳

   
師匠が無理しがちなの心配な弟子(いぶはる)
さとはる一門のいぶせんとしゅがはる先生です。

図書館に来たら自分より年下になっていたしゅがはる先生。
若かった頃は師匠の苦悩なんて気付かなかったけど、歳を重ねて外見もしゅがはる先生より年上になってしまったイブセンが、「しゅがはる先生って本当は脆い人なんだ」と気付いてしまうような話ですよ。

文アル……。
久しぶりにボチボチ書いていきたいよね……。

しゅがはる一門……。
みんな末永く仲良くしててくれ……。



『今は貴方を抱きしめられる』

 まさか再び会えるとは思ってもいなかった「師匠」の外見は井伏鱒二よりずっと年若い青年と呼ぶべき姿へと変わっていたが、その笑顔や立ち振る舞いなどは全て井伏の記憶する師・佐藤春夫そのものだった。

「よし、今日からお前も門弟だ! 何でも言ってくれ」

 快活に笑う姿も、気に入った相手や文学について悩み倦ねて足が止まる誰かを見ると放っておけない性質もそう。何かと世話を焼きたがり、頼られるのが好きなのも記憶にある師の面影そのものだ。

「酒しかないのか? 甘いものもあるといいんだがな……」

 いかにも酒豪のような外見なのに、実は下戸だという所も。

「図書館の中庭にはもう行ったか? あそこは四季折々で色々な花が咲き乱れとても綺麗だし、パン屑なんてもっていけば小鳥が色々近づいてくる。ネコもたまに様子を見に来るが、撫でても噛んだり引っ掻いたりしない。いい所だぞ」

 男気のある外見とは裏腹に小さな生き物を好み、色づく花を愛でるといったどこか少女趣味とも思えるような一面があるという事も、何も変わっていない。
 変わっていないからこそ、分るようになってしまった。

「もっと俺の事を頼っていいんだぞ」

 あの人がそう言うのは、心細さの裏返しだという事を。
 いつも誰かに頼られている。誰かに自分が求められていないと思うと不安になってしまうという本心を。

「また太宰の奴か? まったく、仕方のない奴だな……」

 仕方ないと口にしつつ、誰より太宰の事を気にかけ、愛おしいと思っている事を。

「どうした、井伏? 図書館には慣れたか? 厳しい戦いも続くと思うが、何かあったら俺が相談事にのるし、お前のためなら何だってしてやるからな」

 力強くそう語り井伏の事を心配してくれるのは本心からだ。
 だがその内心で本当に悲鳴をあげているのは師である佐藤の方だという事が、彼よりずっと長生きをし幾分か先を見て、多くのものを看取ってきた井伏の経験から理解できてしまったのだ。
 これが佐藤と出会った頃のようにまだ何も知らず、ただ文学のため前だけを見ていた頃ならきっと彼の不安や脆さなど気付く事もなく言われるがまま佐藤に甘えていただろう。

 だが今は違う。
 佐藤より幾分か年かさの姿となり、実際に長い時を生きて様々な人と触れ、多く見送ってきた井伏は佐藤が秘めている孤独や苦悩、置いて行かれるのではないかという漠然とした不安が痛い程分ってしまう。

 誰かに捨てられてしまうのが怖いから、自分から捨てようとする。
 頼られると安心してしまうから、依存とも思えるほど相手を信頼してしまう……。

「先生がそう言うなら、おじさん少し甘えちゃおうかな」

 井伏は目を細めて笑えば、佐藤は嬉しそうに胸をポンと叩く。

「お、井伏もようやく俺を頼ってくれる気になったか? 今はお前の方が年上に見えるが、いつだって俺はお前の『師』だからな」

 嬉しそうに井伏へと歩み寄る佐藤の手首を強く握ると、井伏は半ば強引に佐藤の身体を抱き寄せる。
 不意に抱きしめられた佐藤はしばらくは何をされたのか理解できないようで静かにしていたが、抱きしめられているのだと気付くととたんに赤くなり身をよじる。

「な、何してるんだ井伏! 俺はっ……」
「いーじゃないですか。たまにはオジサンに甘えてくださいよ、先生。先生がオジサンたちを甘やかして優しくしたいと思っているみたいに、オジサンだって先生の事、甘やかしてとける程優しくしたい時だってあるんですから」
「いやっ、でもなっ……」
「先生、今さっき『何だってしてやる』と息巻いたばかりじゃないですか。男の二言はカッコ悪いですよ」

 井伏がそう言うと、佐藤は腑に落ちないといった様子ながらしぶしぶその抱擁を受け入れる。
 最初は唇を尖らせていた佐藤だが、徐々に身体を預けてくる。
 その髪を慈しむように撫でながら、井伏は静かに願っていた。

 出来ればこの、本当は繊細で優しい人がどうかこれ以上傷つく事がないように、と。

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インターネット駄文書き
自己紹介:
ネットの中に浮ぶ脳髄。
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