インターネット字書きマンの落書き帳
もらったもの、使う襟尾ととっとく津詰
津詰から万年筆を譲られてゴキゲンになる襟尾と、襟尾からネクタイピンをプレゼントされてなかなか付けるチャンスがない津詰みたいな話を書きました。
津詰はもらったプレゼントをなかなか使わないで大事にとっておきそうだな~。
襟尾は「使った方が物のためです!」って勢いでバンバン使いそうだな~。
そう思って書きました。
襟尾の模造部下みたいな所轄で一緒に捜査する刑事が出ますが、いかがわしい事はしないので安心してください。
いかがわしい話じゃ! ないですよ!
オレはいかがわしいですが! いかがわしくない話もかけます!
津詰はもらったプレゼントをなかなか使わないで大事にとっておきそうだな~。
襟尾は「使った方が物のためです!」って勢いでバンバン使いそうだな~。
そう思って書きました。
襟尾の模造部下みたいな所轄で一緒に捜査する刑事が出ますが、いかがわしい事はしないので安心してください。
いかがわしい話じゃ! ないですよ!
オレはいかがわしいですが! いかがわしくない話もかけます!
『大切なものの取り扱い方』
古めかしい万年筆をポケットから取り出すと襟尾純は手帳にメモを書き始めた。
「あれ、襟尾さん。その万年筆どうしたんですか」
ここ数日は彼と仕事で顔をあわせる事が多かった所轄の刑事が不思議そうな顔をする。たしか、昨日会った時はそんなものを持っていなかったはずだ。 やや値の張るような品に見えるが使い込まれている様子から新品ではないだろう。
「これかい。これはオレの上司からもらった物なんだ。へへ、いいだろ」
襟尾は照れたように笑うと古めかしい万年筆を刑事へと向ける。
深い黒色の持ち手に銀の緻密な装飾が施されているが決して華美ではない、どことなく品位を感じる万年筆は長らく大事に使われていたのだろう、小さな傷が幾つか残っている他は綺麗に磨かれていた。
「へぇ、すごい立派な品ですよこれは。繊細な細工をされてますし、きっと大事に使っていたんでしょうね」
「オレもそう思う。きっと数々の難事件をボスと……オレの上司と一緒にくぐり抜けてきたんだと思うと、やる気になるんだよね。この万年筆にかけて、絶対犯人を捕まえてやるぞ! って」
屈託なく笑う襟尾を前に、刑事も自然と笑顔になる。
「それじゃ、自分も頑張ります。襟尾さんの万年筆にかけて、犯人検挙といきましょう」
「きみ、ノリがいいねぇ。よし、今日も楽しく犯罪検挙だ」
二人は手をあげ「えいえいおー」等と声をあげる。
そしてそろって現場へと出向いて行くのだった。
・
・
・
襟尾が本庁に戻った時、津詰徹生もちょうど戻ったばかりのようで深々と椅子に腰掛けながら缶コーヒーを飲んでいた。 その姿を暫く眺めた後、襟尾は不服そうに唇を尖らせる。
「ボス、今日もオレがプレゼントしたネクタイピンつけてくれてないですよね。ひょっとして気に入りませんでした?」
先日、襟尾は万年筆のお礼にと津詰に似合いそうなネクタイピンを渡したのだが未だに一度も付けているところを見た事がない。
プレゼントした時は喜んでくれていたように見えたが、気に入らなかったか。それとも襟尾の選んだ品は趣味じゃ無かっただろうか。ネクタイピンならあっても不便ではないだろうと思ったし、津詰の背広につけても浮かないようなデザインを選んだつもりだったのだが、当てが外れたのだろうか。
「襟尾か。いや、別に気に入って無ェ訳じゃねぇんだ。ただ、俺のくれてやったのはお古の万年筆だろう? それだってのに新品なんざ買ってもらって悪いと思ってな」
襟尾に気付き、津詰は頭を掻く。そしてデスクの引き出しをあけると、奥にしまったネクタイピンを大事そうに取り出した。 包み紙も丁重にとっておいてくれてるあたり、本当に喜んでくれたらしい。
「お古じゃないですよ、ボスから受け継いだ自慢の万年筆ですからお礼をするのは当然ですって」
「受け継いだなんて大げさだな。ただ古い品ってだけだぜ」
襟尾が津詰から万年筆を譲られたのは、手帳にメモをとる万年筆を見て「かっこいいペンを使ってますね」と褒めたのが発端だ。
そろそろ新しいものが欲しいと思っていたがまだ壊れていないのを捨てるのは勿体ない。そう考えていたから、襟尾が使うのならと思って譲っただけであり、彼がもらってくれたおかげでようやく新しい品が買えると助かったくらいである。
別にゴミを押しつけた訳ではないが、古びた品を譲っただけでお礼をもらえるなど思っていなかったからかえって申し訳ない気持ちが大きかったのだ。
だが襟尾は誇らしげに万年筆を掲げると、嬉しそうに笑う。
「ただの古い品じゃないですよ。ボスとともに数多の事件を解決した名品じゃないですか、オレにとっては宝物だし、お守りだし、家宝ですから」
あまりに堂々と言うものだから、聞いている津詰の方が恥ずかしくなる。
まさか買い換えようと思っていた万年筆をここまで喜んでくれるとは思ってもいなかった。
「だからボスもオレのネクタイピンを気にせずどんどん使ってください。何なら家宝にしたっていいですからね」
「いや、家宝にはしねぇよ流石に。何だよ部下からもらったネクタイピンを家宝にする家嫌だろ」
「津詰家家宝って桐箱準備しますから」
襟尾は好き放題に言うと自分の席へと戻っていく。
その背中を眺め、津詰は彼からもらったプレゼントの箱を見た。
使えと言われたが、やはり使うのは惜しい。もう少しだけしまっておき、特別な日に卸そう。 襟尾が出世した時などが良いだろうか。
来るべき日に思いを馳せ、津詰は静かに目を閉じるのだった。
古めかしい万年筆をポケットから取り出すと襟尾純は手帳にメモを書き始めた。
「あれ、襟尾さん。その万年筆どうしたんですか」
ここ数日は彼と仕事で顔をあわせる事が多かった所轄の刑事が不思議そうな顔をする。たしか、昨日会った時はそんなものを持っていなかったはずだ。 やや値の張るような品に見えるが使い込まれている様子から新品ではないだろう。
「これかい。これはオレの上司からもらった物なんだ。へへ、いいだろ」
襟尾は照れたように笑うと古めかしい万年筆を刑事へと向ける。
深い黒色の持ち手に銀の緻密な装飾が施されているが決して華美ではない、どことなく品位を感じる万年筆は長らく大事に使われていたのだろう、小さな傷が幾つか残っている他は綺麗に磨かれていた。
「へぇ、すごい立派な品ですよこれは。繊細な細工をされてますし、きっと大事に使っていたんでしょうね」
「オレもそう思う。きっと数々の難事件をボスと……オレの上司と一緒にくぐり抜けてきたんだと思うと、やる気になるんだよね。この万年筆にかけて、絶対犯人を捕まえてやるぞ! って」
屈託なく笑う襟尾を前に、刑事も自然と笑顔になる。
「それじゃ、自分も頑張ります。襟尾さんの万年筆にかけて、犯人検挙といきましょう」
「きみ、ノリがいいねぇ。よし、今日も楽しく犯罪検挙だ」
二人は手をあげ「えいえいおー」等と声をあげる。
そしてそろって現場へと出向いて行くのだった。
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襟尾が本庁に戻った時、津詰徹生もちょうど戻ったばかりのようで深々と椅子に腰掛けながら缶コーヒーを飲んでいた。 その姿を暫く眺めた後、襟尾は不服そうに唇を尖らせる。
「ボス、今日もオレがプレゼントしたネクタイピンつけてくれてないですよね。ひょっとして気に入りませんでした?」
先日、襟尾は万年筆のお礼にと津詰に似合いそうなネクタイピンを渡したのだが未だに一度も付けているところを見た事がない。
プレゼントした時は喜んでくれていたように見えたが、気に入らなかったか。それとも襟尾の選んだ品は趣味じゃ無かっただろうか。ネクタイピンならあっても不便ではないだろうと思ったし、津詰の背広につけても浮かないようなデザインを選んだつもりだったのだが、当てが外れたのだろうか。
「襟尾か。いや、別に気に入って無ェ訳じゃねぇんだ。ただ、俺のくれてやったのはお古の万年筆だろう? それだってのに新品なんざ買ってもらって悪いと思ってな」
襟尾に気付き、津詰は頭を掻く。そしてデスクの引き出しをあけると、奥にしまったネクタイピンを大事そうに取り出した。 包み紙も丁重にとっておいてくれてるあたり、本当に喜んでくれたらしい。
「お古じゃないですよ、ボスから受け継いだ自慢の万年筆ですからお礼をするのは当然ですって」
「受け継いだなんて大げさだな。ただ古い品ってだけだぜ」
襟尾が津詰から万年筆を譲られたのは、手帳にメモをとる万年筆を見て「かっこいいペンを使ってますね」と褒めたのが発端だ。
そろそろ新しいものが欲しいと思っていたがまだ壊れていないのを捨てるのは勿体ない。そう考えていたから、襟尾が使うのならと思って譲っただけであり、彼がもらってくれたおかげでようやく新しい品が買えると助かったくらいである。
別にゴミを押しつけた訳ではないが、古びた品を譲っただけでお礼をもらえるなど思っていなかったからかえって申し訳ない気持ちが大きかったのだ。
だが襟尾は誇らしげに万年筆を掲げると、嬉しそうに笑う。
「ただの古い品じゃないですよ。ボスとともに数多の事件を解決した名品じゃないですか、オレにとっては宝物だし、お守りだし、家宝ですから」
あまりに堂々と言うものだから、聞いている津詰の方が恥ずかしくなる。
まさか買い換えようと思っていた万年筆をここまで喜んでくれるとは思ってもいなかった。
「だからボスもオレのネクタイピンを気にせずどんどん使ってください。何なら家宝にしたっていいですからね」
「いや、家宝にはしねぇよ流石に。何だよ部下からもらったネクタイピンを家宝にする家嫌だろ」
「津詰家家宝って桐箱準備しますから」
襟尾は好き放題に言うと自分の席へと戻っていく。
その背中を眺め、津詰は彼からもらったプレゼントの箱を見た。
使えと言われたが、やはり使うのは惜しい。もう少しだけしまっておき、特別な日に卸そう。 襟尾が出世した時などが良いだろうか。
来るべき日に思いを馳せ、津詰は静かに目を閉じるのだった。
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