インターネット字書きマンの落書き帳
胡乱なバイトに行こうとする新堂とそれを止める荒井(新堂×荒井)
平和な世界線でいずれ付き合う新堂×荒井の話を虚空に向かってつぶやき続けるアカウントです。(ここまで挨拶)
この話は「何かエロの導入を書きたいな……」と思って書いた導入です。
エロまで行き着かなかった残骸と言われると身も蓋もねぇなッ。
チャンスがあったらこういう導入のエロ同人誌出したいと思ってはいます。
話は大倉にした借金を一気に返そうとしていかがわしいバイトに手を出しそうになる新堂と、新堂に片思いしているから「えっちなことするなら僕でしてほしいんですが」とわりとガチ目に思っている荒井の話です。
俺は荒井→新堂の片思い……好きだぜ。
情念が強そうだからなッ……。
この話は「何かエロの導入を書きたいな……」と思って書いた導入です。
エロまで行き着かなかった残骸と言われると身も蓋もねぇなッ。
チャンスがあったらこういう導入のエロ同人誌出したいと思ってはいます。
話は大倉にした借金を一気に返そうとしていかがわしいバイトに手を出しそうになる新堂と、新堂に片思いしているから「えっちなことするなら僕でしてほしいんですが」とわりとガチ目に思っている荒井の話です。
俺は荒井→新堂の片思い……好きだぜ。
情念が強そうだからなッ……。
『貴方のためにシたいこと』
荒井昭二は一切の表情を変えないまま、だが凍えるほど視線を新堂誠へと注いでいた。
「新堂さん、あなた本当にバカなんですね」
殺意すら感じる目で見据えられた沈黙はたかだが数秒程度だったろうが新堂にとっては一年にも二年にも長く感じられた。
「いや、そういうがなぁ荒井。あのなっ」
慌てて取り繕おうとする新堂へ、荒井は再び冷たい視線を向ける。その目は怒りよりもさらに恐ろしい感情が入り交じりあまりの迫力から新堂もつい押し黙ってしまった。
荒井がここまで露骨に怒る姿を見せる事になった全ての発端は新堂の借金である。
格闘技でもスポーツでも勝負事が好きな新堂はギャンブルも好きであり仲間内のカードゲームで金を賭けた勝負をする事が多々あったのだ。
もちろん、この時点で違法だ。褒められた行為ではないのだが新堂のギャンブル癖を下手に止めて隠れてこそこそやられるより堂々と今、幾ら負けているのか聞いている方が行動に移しやすいと思いあえて放任していたのだ。
普段の新堂は小遣い以上の金額を賭ける事はなかったし、金を借りている相手は鳴神学園でも有名な高利貸しの大倉だ。彼が新堂から金を巻き上げる時の目当ては金よりも腕っ節であり、少し危ない場所に行く時に新堂を無料のボディーガードにするためだというのも知っている。
だからこそ、新堂がイカサマポーカーで毎月の小遣いを失っているのも知っていて無視していた。
今、荒井が把握してる借金は3万程度だったろう。
学生から見れば大きな金額だが親に頭を下げれば一気に返済できない程の大金ではないのだし定期的にボディーガードをして借金をチャラにしているからこの点では大丈夫だろうとも思っていたのだが、予想外の事が起こってしまった。
新堂が胡乱なバイト斡旋をしている鳴神学園の悪徳仲介業者Nの伝手で聞いた事のないほど胡乱なバイトを引き受けてきたというのだ。
新堂曰く、酒類の接客だから本来は未成年である新堂がその場にいるのこと事態が違法なのだがその接客店は会員制で一部の金持ちしか通う事ができないので高校生であることもバイト禁止の学校でバイトをしたという事実も決して漏れないのだという。
それだというのに実働はせいぜい3時間、配給された制服で集まった相手と接客するだけで1日10万円を稼げるのだ。新堂のように身体を良く鍛えたスポーツマンだとさらにチップも弾むだろうから時給以上の稼ぎは保証するそうだ。
高校生からすると10万なんて大金だしそれをたった一日で稼げるというのなら借金も返せるだけではなく自分の小遣いまで手に入りまさに渡りに舟だとでも思ったのだろう。
もちろん、そんなうまい話があるはずない。
そもそもバイト斡旋仲介業者Nは最初のうたい文句と裏腹に実際は厳しい労働に相手をぶち込んで自分は稼ぎをピンハネしているともっぱらの噂であり荒井もNが実際何人の生徒もだまして荒稼ぎしたのをよく知っている。
というより、Nこと中村がとんでもないちゃらんぽらんで他人の話など一切聞かないタイプの人間だということを嫌というほど知っているのだ。
もし仮に中村がマトモにバイトを斡旋する人間だったとしても、数時間の接客で10万なんて破格の待遇などいかがわしい店であるのは間違いない。
新堂は身の危険を感じたら誰を犠牲にしてもすぐに逃げるという冷徹さと危険感知能力は極めて高い人間で、とりわけ怪異に関してはここにいたらまずいと思った時にはすでにその場にいない程に逃げ足が速いからあまり心配しなくても良い気はするが、相手が怪異であったら脱兎の如く逃げ出す新堂も人間相手にはどうなるかは分からない。
その場が荒井の想像するいかがわしい店であったら尚更で、恋愛経験など皆無であり舌を入れたキスがえっちな事だと思っているような純情さをもったまま今に至る新堂は他人から卑猥な目で見られる事に慣れてない。
自分の身体が性的だという事も知らない無防備な所があるのだから妙なサービスを行う店などにぶち込んだら貞操の安全は保証できないだろう。
荒井は口元に手をあてるとしばし思案した。
「……新堂さん、そのバイトは今から断る事は出来ないんですか」
「ん? いや、何か契約書みたいなのを書かされて違約金が10万とか書いてあるんだよな。それってヤバいだろ」
「そんな契約書は効果なんてなさそうですが……今はもってないんですか?」
「もってねぇよ、向こうが勝手にもって行っちまったからなぁ……」
中村の事を知る荒井からすると、契約書は彼が勝手に作った逃げられないための適当な文言だろうとは思う。だが万が一、裏の人間が関わっている話なら彼のデタラメだと放っておく事はできない。
そもそも、今まで中村の斡旋するバイトは長時間拘束するタイプのバイトが多かったのだ。短時間で酒類を扱う店というのは聞いたことがないから路線の違うバイト斡旋を開始したのかもしれない。
会員制のクラブとなるとますます悪いつながりが想像出来る。契約書を反故にするのは危険かもしれない。
「あーあ、わかったわかった。お前がそこまで言うんならよっぽどヤバい仕事なんだろコレ? だったら適当にすっぽかすとするさ……俺だって死にたくねぇもんなァ」
荒井に脅されたのがよほど堪えたのか、新堂は両手を挙げ降参した様子を見せる。
だが荒井は新堂という人間がこの程度で懲りるとは思っていなかったし危機感を抱いてない彼は荒井の小言を逃れればすぐさまそのバイト先へ向かうだろうと確信していた。
別段放っておいても良いことではある。
今、この話を聞いたのは上機嫌の新堂を見て不思議に思い声をかけたところ新堂が口を滑らせただけ。新堂と荒井はお互い顔見知りで時々話をする程度の関係でしかないのだから。
頭ではそれを理解していても、荒井の心はその事実を拒絶していた。
確かにそうだ、新堂と話すようになったのはごく最近のことで新堂から見ればそれほど互いを深く知っているというワケでもないのだろう。
だが荒井からは違う。
荒井は1年の頃から新堂は知っていたしあらゆるスポーツを人並み以上に出来る姿に僅かながら憧れを抱いていた。
努力を嫌い、怠慢で刹那的。粗暴で短慮であり深く考えを巡らすのは苦手で感情を抑える事すらできない有様の人間など本来の荒井なら格下のつまらない人間と切り捨てているのだが、新堂はそういった荒井の嫌悪する性質を内包しているにもかかわらず興味を引く存在だったのだ。
それは彼が怪異に対して理解や関心が深く荒井が想像している以上に様々な対処法を心得ているという事もあったろう。 つもり程度の努力でも人並み以上の実力を出せる潜在能力の高さに興味を抱いているのもあったし、格闘技やスポーツに関しては見るのもやるのも人並み以上の知識を有しているという側面もあったろう。一見するとひどく威圧的だが認めた相手にはとことん世話をし力を尽くそうとする義理堅さとも情の厚さともとれる性格を好ましいと思っていたのもあったのかもしれない。
あれこれ理屈を並べたが、ようするに荒井は新堂の事が好きなのである。
出来ることなら自分を見て欲しいと思っているし、キスやセックスをしたいと思うのなら自分の身体でしてほしいとも思っている。
本心を言えば両足をむしり取って家に閉じ込めずっと世話をしてやりたいとさえ考えているのだがそれをすれば自分が好きなボクシングに熱中する新堂誠という人間を見る事が出来なくなるので辛うじて理性を保ちそこまではしないで今に至っている。
荒井は愛やら恋といった感情に支配され行動するような人間は蛇蝎の如く嫌っているのだから自分がそのような人間へと落ちる訳にはいかないなどとも思っていた。
「そういっておいて一人で行くつもりでしょう。美味しいバイトですからね、新堂さんにとって断る理由は一つもないですから」
「ばっ、バカ言うなそんな訳ねぇだろ……」
新堂は慌てて否定をするが声が上ずり目も泳いでる。図星だったんだろう。
間違いなく放っておけば一人で行く。それがどんな場所なのかは知らないが、荒井の目が届かない所で新堂が穢されるといった事は何としても許しがたい。
「はいはい、わかりましたよ。行くなら行くといいです……そのかわり、僕もついていきます。いいですよね」
「な、何言ってんだ荒井。お前そんな金に困ってねぇだろ」
「はい。ですが、お金というのはいくらあっても何ら問題ないものですからね。別に僕がいても問題ないでしょうし、知ってる相手がいるほうが新堂さんも気が楽じゃないですか」
「そりゃそうだけどよ……いいのか、ヤバいって思ってんだろ」
「えぇ、もちろん。ですがまぁ……僕たちに男子高校生という価値があるのは今だけですから、その価値を存分につかえる機会があるというのなら試してみるのも面白いですし」
それに、新堂を一人にさせておくわけにはいかない。という本音はぐっと飲み込む。
あまり重すぎる感情を吐き出して新堂を引かせる訳にはいかない。ようやく普通に会話できるくらい親しくなれたのだから、その関係を壊したくはなかった。
「仲介業者のNくん、とやらには僕が話を通しておきますよ。彼の事はよく知ってますから。新堂さんは詳しい日時をおしえてください、どうせなら同じ日に行きたいですからね。大丈夫です、きっと人手は多い方がいいような場所ですから」
荒井はそう言うと自分のスマホを手に取り、仲介業者のNことクラスメイトの中村晃久へ連絡をする。 顔では平静を装っていたが、いつもに増した激しい憎悪が胸の中で燻っていた。
余談だが、実際にその店はいかがわしく試しに行ってみた二人はそこそこに激しいエロスを求められる事になるのだが、その話はまた機会があったらすることにしておこう。
荒井昭二は一切の表情を変えないまま、だが凍えるほど視線を新堂誠へと注いでいた。
「新堂さん、あなた本当にバカなんですね」
殺意すら感じる目で見据えられた沈黙はたかだが数秒程度だったろうが新堂にとっては一年にも二年にも長く感じられた。
「いや、そういうがなぁ荒井。あのなっ」
慌てて取り繕おうとする新堂へ、荒井は再び冷たい視線を向ける。その目は怒りよりもさらに恐ろしい感情が入り交じりあまりの迫力から新堂もつい押し黙ってしまった。
荒井がここまで露骨に怒る姿を見せる事になった全ての発端は新堂の借金である。
格闘技でもスポーツでも勝負事が好きな新堂はギャンブルも好きであり仲間内のカードゲームで金を賭けた勝負をする事が多々あったのだ。
もちろん、この時点で違法だ。褒められた行為ではないのだが新堂のギャンブル癖を下手に止めて隠れてこそこそやられるより堂々と今、幾ら負けているのか聞いている方が行動に移しやすいと思いあえて放任していたのだ。
普段の新堂は小遣い以上の金額を賭ける事はなかったし、金を借りている相手は鳴神学園でも有名な高利貸しの大倉だ。彼が新堂から金を巻き上げる時の目当ては金よりも腕っ節であり、少し危ない場所に行く時に新堂を無料のボディーガードにするためだというのも知っている。
だからこそ、新堂がイカサマポーカーで毎月の小遣いを失っているのも知っていて無視していた。
今、荒井が把握してる借金は3万程度だったろう。
学生から見れば大きな金額だが親に頭を下げれば一気に返済できない程の大金ではないのだし定期的にボディーガードをして借金をチャラにしているからこの点では大丈夫だろうとも思っていたのだが、予想外の事が起こってしまった。
新堂が胡乱なバイト斡旋をしている鳴神学園の悪徳仲介業者Nの伝手で聞いた事のないほど胡乱なバイトを引き受けてきたというのだ。
新堂曰く、酒類の接客だから本来は未成年である新堂がその場にいるのこと事態が違法なのだがその接客店は会員制で一部の金持ちしか通う事ができないので高校生であることもバイト禁止の学校でバイトをしたという事実も決して漏れないのだという。
それだというのに実働はせいぜい3時間、配給された制服で集まった相手と接客するだけで1日10万円を稼げるのだ。新堂のように身体を良く鍛えたスポーツマンだとさらにチップも弾むだろうから時給以上の稼ぎは保証するそうだ。
高校生からすると10万なんて大金だしそれをたった一日で稼げるというのなら借金も返せるだけではなく自分の小遣いまで手に入りまさに渡りに舟だとでも思ったのだろう。
もちろん、そんなうまい話があるはずない。
そもそもバイト斡旋仲介業者Nは最初のうたい文句と裏腹に実際は厳しい労働に相手をぶち込んで自分は稼ぎをピンハネしているともっぱらの噂であり荒井もNが実際何人の生徒もだまして荒稼ぎしたのをよく知っている。
というより、Nこと中村がとんでもないちゃらんぽらんで他人の話など一切聞かないタイプの人間だということを嫌というほど知っているのだ。
もし仮に中村がマトモにバイトを斡旋する人間だったとしても、数時間の接客で10万なんて破格の待遇などいかがわしい店であるのは間違いない。
新堂は身の危険を感じたら誰を犠牲にしてもすぐに逃げるという冷徹さと危険感知能力は極めて高い人間で、とりわけ怪異に関してはここにいたらまずいと思った時にはすでにその場にいない程に逃げ足が速いからあまり心配しなくても良い気はするが、相手が怪異であったら脱兎の如く逃げ出す新堂も人間相手にはどうなるかは分からない。
その場が荒井の想像するいかがわしい店であったら尚更で、恋愛経験など皆無であり舌を入れたキスがえっちな事だと思っているような純情さをもったまま今に至る新堂は他人から卑猥な目で見られる事に慣れてない。
自分の身体が性的だという事も知らない無防備な所があるのだから妙なサービスを行う店などにぶち込んだら貞操の安全は保証できないだろう。
荒井は口元に手をあてるとしばし思案した。
「……新堂さん、そのバイトは今から断る事は出来ないんですか」
「ん? いや、何か契約書みたいなのを書かされて違約金が10万とか書いてあるんだよな。それってヤバいだろ」
「そんな契約書は効果なんてなさそうですが……今はもってないんですか?」
「もってねぇよ、向こうが勝手にもって行っちまったからなぁ……」
中村の事を知る荒井からすると、契約書は彼が勝手に作った逃げられないための適当な文言だろうとは思う。だが万が一、裏の人間が関わっている話なら彼のデタラメだと放っておく事はできない。
そもそも、今まで中村の斡旋するバイトは長時間拘束するタイプのバイトが多かったのだ。短時間で酒類を扱う店というのは聞いたことがないから路線の違うバイト斡旋を開始したのかもしれない。
会員制のクラブとなるとますます悪いつながりが想像出来る。契約書を反故にするのは危険かもしれない。
「あーあ、わかったわかった。お前がそこまで言うんならよっぽどヤバい仕事なんだろコレ? だったら適当にすっぽかすとするさ……俺だって死にたくねぇもんなァ」
荒井に脅されたのがよほど堪えたのか、新堂は両手を挙げ降参した様子を見せる。
だが荒井は新堂という人間がこの程度で懲りるとは思っていなかったし危機感を抱いてない彼は荒井の小言を逃れればすぐさまそのバイト先へ向かうだろうと確信していた。
別段放っておいても良いことではある。
今、この話を聞いたのは上機嫌の新堂を見て不思議に思い声をかけたところ新堂が口を滑らせただけ。新堂と荒井はお互い顔見知りで時々話をする程度の関係でしかないのだから。
頭ではそれを理解していても、荒井の心はその事実を拒絶していた。
確かにそうだ、新堂と話すようになったのはごく最近のことで新堂から見ればそれほど互いを深く知っているというワケでもないのだろう。
だが荒井からは違う。
荒井は1年の頃から新堂は知っていたしあらゆるスポーツを人並み以上に出来る姿に僅かながら憧れを抱いていた。
努力を嫌い、怠慢で刹那的。粗暴で短慮であり深く考えを巡らすのは苦手で感情を抑える事すらできない有様の人間など本来の荒井なら格下のつまらない人間と切り捨てているのだが、新堂はそういった荒井の嫌悪する性質を内包しているにもかかわらず興味を引く存在だったのだ。
それは彼が怪異に対して理解や関心が深く荒井が想像している以上に様々な対処法を心得ているという事もあったろう。 つもり程度の努力でも人並み以上の実力を出せる潜在能力の高さに興味を抱いているのもあったし、格闘技やスポーツに関しては見るのもやるのも人並み以上の知識を有しているという側面もあったろう。一見するとひどく威圧的だが認めた相手にはとことん世話をし力を尽くそうとする義理堅さとも情の厚さともとれる性格を好ましいと思っていたのもあったのかもしれない。
あれこれ理屈を並べたが、ようするに荒井は新堂の事が好きなのである。
出来ることなら自分を見て欲しいと思っているし、キスやセックスをしたいと思うのなら自分の身体でしてほしいとも思っている。
本心を言えば両足をむしり取って家に閉じ込めずっと世話をしてやりたいとさえ考えているのだがそれをすれば自分が好きなボクシングに熱中する新堂誠という人間を見る事が出来なくなるので辛うじて理性を保ちそこまではしないで今に至っている。
荒井は愛やら恋といった感情に支配され行動するような人間は蛇蝎の如く嫌っているのだから自分がそのような人間へと落ちる訳にはいかないなどとも思っていた。
「そういっておいて一人で行くつもりでしょう。美味しいバイトですからね、新堂さんにとって断る理由は一つもないですから」
「ばっ、バカ言うなそんな訳ねぇだろ……」
新堂は慌てて否定をするが声が上ずり目も泳いでる。図星だったんだろう。
間違いなく放っておけば一人で行く。それがどんな場所なのかは知らないが、荒井の目が届かない所で新堂が穢されるといった事は何としても許しがたい。
「はいはい、わかりましたよ。行くなら行くといいです……そのかわり、僕もついていきます。いいですよね」
「な、何言ってんだ荒井。お前そんな金に困ってねぇだろ」
「はい。ですが、お金というのはいくらあっても何ら問題ないものですからね。別に僕がいても問題ないでしょうし、知ってる相手がいるほうが新堂さんも気が楽じゃないですか」
「そりゃそうだけどよ……いいのか、ヤバいって思ってんだろ」
「えぇ、もちろん。ですがまぁ……僕たちに男子高校生という価値があるのは今だけですから、その価値を存分につかえる機会があるというのなら試してみるのも面白いですし」
それに、新堂を一人にさせておくわけにはいかない。という本音はぐっと飲み込む。
あまり重すぎる感情を吐き出して新堂を引かせる訳にはいかない。ようやく普通に会話できるくらい親しくなれたのだから、その関係を壊したくはなかった。
「仲介業者のNくん、とやらには僕が話を通しておきますよ。彼の事はよく知ってますから。新堂さんは詳しい日時をおしえてください、どうせなら同じ日に行きたいですからね。大丈夫です、きっと人手は多い方がいいような場所ですから」
荒井はそう言うと自分のスマホを手に取り、仲介業者のNことクラスメイトの中村晃久へ連絡をする。 顔では平静を装っていたが、いつもに増した激しい憎悪が胸の中で燻っていた。
余談だが、実際にその店はいかがわしく試しに行ってみた二人はそこそこに激しいエロスを求められる事になるのだが、その話はまた機会があったらすることにしておこう。
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