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インターネット字書きマンの落書き帳

   
人それぞれ違う輝き(ヤマアル)
どうしても「弱っている健康そうな男」というのがフェチズムなので、この時期。
熱中症シーズンになると、弱っているアルフレートくんを……書いてしまうな!

というワケで今年も書きました。
熱中症で倒れてしまったアルフレートくんを介抱するヤマムラさんの話です。

なんで毎年この話を書くんだい?
それはね、俺が毎年熱中症で倒れているからだよ……。




『私にはない貴方の輝き』

 アルフレートが目を覚ました時、新緑の若葉と梢の隙間から差し込む強い光ばかりが見えた。
 そこが大樹の下であり日陰の中にいる事に気付いたのはそのすぐ後。
 隣で心配そうな顔をしているヤマムラがこちらに向けて風を送っているのに気付いたのはさらにその少し後だった。

 何故ヤマムラが傍にいるのか。 何故日陰の下で横になっているのか。
 呆けた頭と気怠い身体で必死になって考えれば、今日のことが朧気に浮んできた。

 ヤマムラが連盟の仲間たちと少し大規模な狩りに出ると聞いて、手伝いに行きたいと頼んだのは腕を鈍らせないためだけというワケでもない。
 連盟という組織がどのようなものなのか知りたいというのもあったし、何より連盟という組織にヤマムラが奪われてしまわないか心配だったのだ。

 夏の暑い時期になっていたのは分っていた。
 だが獣狩りでは夏であろうと冷たい洞窟の中に立ち入る事もあるだろうと思い、普段着ている狩装束で出かけたのだがそれが失敗だったようだ。
 ずっと森や野原を走り回っているうちに服の中に熱が籠もり、意識がもうろうとしはじめた所までは覚えている。

 倒れそうだ、少し休まなければ。
 そう思って誰かを呼び止めようとした時、振り返ったヤマムラに身体を支えられてからは意識がなくなっていた。

「あぁ、気が付いたかいアルフレート。倒れそうになったから、慌てて傍に寄ったら随分と熱が籠もっていたみたいで……」

 ヤマムラの話だと、どうやら熱中症寸前だったようだ。
 改めて自分の身体を見れば、服は緩められ厚手のマントなどは全て脱がされている。

 処刑隊の狩装束を着ている狩人は現在ヤーナムでは殆どいない。
 いや、おそらく今のヤーナムではアルフレートくらいのものだろう。
 その装束を脱がせ慣れているのもまた、ヤマムラくらいのものだ。

 そういった意味でヤマムラの手伝いに来たのは正解だったろうが……。

「す、すいませんヤマムラさん。あなた方のお手伝いをするつもりだったのに、かえって迷惑をかけてしまい……」

 そう言いながら起きようとするが、頭痛と目眩が同時にアルフレートを襲う。 とても立てそうになくその場にまた横になったアルフレートを見て、ヤマムラは慌てて扇のようなものでアルフレートへと風をおくった。

「無理しなくていいよ、アルフレート。本調子じゃない狩人を狩りに追い遣るほど連盟の活動は切羽詰まってもいないからね」

 周囲にはヴァルトールの姿も、ヘンリックやマダラス弟の姿もない。 恐らくヤマムラにアルフレートの看病を任せ、各々狩りへと向ったのだろう。

「そもそも連盟は、皆で同時に活動するという事があまり無いからね……たまには皆で集まってみるのもいいんじゃないか。そんな提案を誰かがして、それならと集まってみたけど狩りは個人でするからすぐに皆別行動になったし、気にする事はないよ」
「でも、私は無理いってついてきたのに……情けないです」

 落ち込みながら細い声で告げるアルフレートの額に、冷たいタオルがのせられる。
 見ればヤマムラの傍らには綺麗な水の入った桶が置かれていた。
 アルフレートを介抱するためこの場に残ってくれたのだろう。
 今回アルフレートはヤマムラの付き添いで来たのだから当然といえば当然だろうが、それでもやはり傍にいてくれた事は嬉しいと思った。
 だがそれ以上に、悔しさと至らなさで歯がみする。

「ヤマムラさんの役に立とうと思ったのに、かえって足手まといになってしまって申し訳ありません……」

 目元を腕で隠し日差しを遮りながら、アルフレートは小さい声になる。
 連盟の狩りについてきたのは、ヤマムラの相棒として自分がしっかりしている所を見せておきたいと思ったからだ。
 同時に連盟の仲間たちとヤマムラが親しくなりすぎないかという心配もあっての事だった。
 だが自分が倒れてしまったのなら計画も台無しだ。
 連盟の人間にも「体調管理もままならない青二才」くらいに思われたかもしれない。

 自分の見立ての甘さが情けなくなってくる。
 そんなアルフレートの頭を撫でると、ヤマムラは優しく笑って見せた。

「別に構わないさ。具合が悪くなる事なんて誰にだってある。むしろ、獣が現れた最中に倒れなくて良かったくらいだ」

 ヤマムラは優しいから、気遣ってそんな事を言うのだろう。
 だが迷惑をかけたのは事実だ。
 ヤマムラの知人として狩りの手伝いに行ったのに、その場で倒れては彼の名に泥を塗ったようなものだろう。
 最もヤマムラはその優しさからそんな事はおくびにも出さずアルフレートを気遣ってくれるのだろうが。

「そんな、優しくしないでください……」

 だが、このいたたまれなさといったらない。
 これなら「役立たず」と罵られた方がまだ気が楽だったくらいだ。  
 そんな事を思い目を伏せるアルフレートの隣に座ったまま、ヤマムラは相変わらず優しい笑顔を向けていた。

「具合が悪い時くらい、もっと甘えてもいいんだぞ? ……それに、こうして君と二人で静かに過すのはまんざらでもない」

 木陰には涼しい風が吹き、初夏の日差しを幾分か和らげてくれる。

「ずっと君の寝顔を見ているのも楽しかったしな」

 ヤマムラは素直にそう思ってくれているのだろう。その言葉に嘘偽りはないのだが、だからこそそれが気恥ずかしく、むず痒いような気持ちになるのだった。

「な、何言ってるんですか。私は……」
「……だから君が気に病む必用はないんだ。俺は君と一緒にいられるだけで楽しいんだから」

 ヤマムラの真っ直ぐな言葉はくすぐったいくらいだが、眩しいように輝いて見える。
 それはまるで今日の日差しのように真っ直ぐで、輝かしいくらいだったから。

「何いってるんですか、ばか……バカです。貴方は……」

 熱っぽい頭は余計にぼんやりして、身体も思うように動かない。
 それでも今はこの熱に抱かれていようと思った。

 もう少しだけ愛しい人の傍で、彼の輝きに触れていたかったから。

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