インターネット字書きマンの落書き帳
あなたにいいたかったこと。(自ヒカセンとエメトセルクのはなし)
シェヴァの歩いて来た「漆黒」の話です。
漆黒5.0終わりまで内容が含まれているから、クリアするまでは見ちゃだめだよ!
うちヒカセンのシェヴァと、エメトセルクおじさんの話。
うちヒカセンのシェヴァは……。
・褐色白髪片目かくれオスッテ
・じぶんのことをネコだと思っているヒカセン
・自称の年齢は21才。来年も再来年も21才。
・自称年齢のわりに考え方が児童
・顔も身体も男児より
みたいなかんじの、ゆるふわオスッテです。
ゆるふわぁ……。
今回は、そんなゆるふわババロア脳みそのシェヴァ視点の話です。
故にややババロアの感性になることをお許しください。
俺が許した。よし。
漆黒のエメトセルクについて思い返した時。
やっぱりシェヴァが言いたいと思ったことをかきました。
どうぞ。
漆黒5.0終わりまで内容が含まれているから、クリアするまでは見ちゃだめだよ!
うちヒカセンのシェヴァと、エメトセルクおじさんの話。
うちヒカセンのシェヴァは……。
・褐色白髪片目かくれオスッテ
・じぶんのことをネコだと思っているヒカセン
・自称の年齢は21才。来年も再来年も21才。
・自称年齢のわりに考え方が児童
・顔も身体も男児より
みたいなかんじの、ゆるふわオスッテです。
ゆるふわぁ……。
今回は、そんなゆるふわババロア脳みそのシェヴァ視点の話です。
故にややババロアの感性になることをお許しください。
俺が許した。よし。
漆黒のエメトセルクについて思い返した時。
やっぱりシェヴァが言いたいと思ったことをかきました。
どうぞ。
『記憶の中のあなたに告げることば』
撫でるように優しい風が吹く丘の上に、おれは立っていた。
色とりどりの花は夜空の中でも彩りを放っている。
遠くにはウリエンジェが仮住まいをしていた屋敷が見えたから、おれはここがイル・メグなんだろうと思った。
「ここが妖精たちの住処か。あいつらは何かと面倒だからまったく来た事が無かったが。なるほど、今はこんな景色になっていたんだな」
おれの隣に「その人」は気怠げな表情を浮かべたまま立っていた。
その人がいたから、おれは今見ている風景は全て夢なのだと悟る。
彼の名前は、エメトセルク……。
正確には「エメトセルク」は役職で、本当の名前じゃない。
おれがイシュガルドの人に「英雄」と呼ばれたり、アラミゴの人に「解放者」と呼ばれたり、「光の戦士」だったり「闇の戦士」だったりするのと同じ、あくまで「そういう役目だったひと」という事にすぎないのだそうだ。
もっとも、おれの場合「英雄」とか「解放者」は結果としてつけれたあだ名で……。
おれは、おれが「そうしたい」と思った事を重ねていったらそう呼ばれるようになっただけなんだけど。
エメトセルクのおじさんは違う。
エメトセルクのおじさんは、「エメトセルク」の役目を準備されてからずっと「エメトセルク」であり、そうあり続けようとしつづけた……。
大切なものを背負って。
そのために、沢山の血を流してきて。
咎人と呼ばれるのも受け入れてきたというのに、おれたちの前に現れた時にそう名乗り、アシエンとは何なのか。何を目的にし、どうして悪いことを……世界を滅亡させ統合するという「おれたちにとって不都合なこと」をするのか。
そんなことを、聞かせてくれたひとだ。
結局おれとエメトセルクのおじさんはお互いに譲れないものがあって、共存する事はできなかった。
だけどあの人はおれと……おれたちと会話しようとしてくれた。
だからおれはこれまでずぅっと対立し、だけど目的さえわからなかったアシエンの存在する理由を。生きる意味と、壊す意味を知る事が出来たのだ。
たぶん彼が語ろうとしなければ、ずっと知り得る事のなかった。
おそらくは、知ろうともしなかった事実を。
「夜空、か……第一世界にも夜が来たんだな。やれやれ……ここは放って置いてもいずれ崩壊する所まで来ていたというのに、お前たちのせいで台無しだ。また一からやり直さなければな」
星空の夜を見上げて、エメトセルクは億劫そうに首を振る。
おれはそんな彼を見て、まだ「エメトセルク」として自分の役割を果たそうとしている彼の優しさに胸が軋むほど痛んでいた。
アシエンたちはこの世界で実体をもたない。
だから他人の身体を借りて時にその身体のまま、時にはその身体を見知った形に作り替えて活動するのだそうだ。
おれは、アシエンたちの「本来の姿」と思しきものを知っている。
それはエオルゼアにすむおれたちよりずっと大きい姿だったから、今のおれたちの身体に入るときっと窮屈だったろうななんて事を考えて、おれは自分がおかしいんだって思う。
エメトセルクのおじさんは言っていた。
この世界にある誰かの身体を借りて弄ったのだと。
それは死体を依り代に使うこともあるんだろうけど、アシエンたちはおれたちのことを「不完全な生命体」くらいにしか思っていないから、死体かそうじゃないかなんてきっといちいち気にしない。
だから彼の身体はたぶん、第一世界のどこかで普通の生活をしていた誰かの「いのち」を奪って作られたものなのだ。
そしてその身体を借りて、平然とおれたちの前に姿を現したのだ。
だけどおれはそんな「誰かの命」のことさえ頭の中から抜け落ちて、エメトセルクのおじさんを糾弾しようともしなかった。
『我が友。おまえの心を理解できるのは、もう俺だけだ』
こういう時、ゼノスの言葉がやけに響く。
あるいはそうなのかもしれない。
おれは、ただ目の前にいる人が笑って過してくれればいいと。
そんな事だけを思って我武者羅に進んできただけで、今まで生きてこれたのは運が良かっただけ。
そう、普通よりほんの少しだけいる場所に恵まれていて、普通よりほんの少しだけタイミングに恵まれていて、普通よりほんの少しだけ手を差し伸べてくれる人が多かった。
たったそれだけの違いしかないだけで、それ以外は普通の冒険者と変わらないただのねこだと思っていたけど……。
ホントは、根っこのそこから化け物なのかもしれない。
おれは自分は他の人とかわらない普通のねこだと思っていたけど、実は普通よりずっとずっと大きくて、だからこそ恐ろしい力をもつ「ばけねこ」なんじゃないか……。
ゼノスの言う通り、おれの考えはとっくに他人の常識と離れてしまっているんじゃないかなんて、そう、思うんだ。
「どうした、随分としょぼくてるじゃないか。それでも私を倒した英雄か? まったく情けない」
エメトセルクのおじさんはそんなおれを見て、呆れたように首を振る。
大きな身体の背中を丸めてこちらに視線を合わせようとするのは、彼の癖なのだろうか。
おれは、アーモロートで……。
エメトセルクのおじさんがかつて住んでいて、おじさんが自ら作り出した「おもいでの街」で、幾人かの古代人に会った。
彼らは全てが善人だったワケでもなかったみたいだけど、だからといって悪人でもなくて。 ただすごく大きい彼、あるいは彼女たちはおれを見ると子供なのに感心だねって笑って話をしてくれて……。
どこにでもいる、普通のひとたちとそんなに変わらないんだなって思ったけど、大きすぎる彼、あるいは彼女たちは顔を見るのも首が疲れるほど上を向かなくちゃいけないのを何となく思い出していた。
だから何となくだけど、エメトセルクのおじさんがおれたちを見てるとつい猫背になってしまうのは、おれたちと目線を合わせるため。
ちゃんと「対話」するためなんじゃないかな。
なんて思ってしまうのはおれが彼の優しさ故にある寂しさを知ってしまったからだろうか。
「お前が取り戻した夜は憎々しいが、おかげで幾分か楽に過ごせるようになった。闇に引き込まれた弊害で第一世界にいるのは何かと不自由だったが……空の美しさは変わらんな」
エメトセルクのおじさんは空を眺め、目を細めて笑う。
世界を統合し、あるべき形に戻すという名目で長きを生きてきた彼にとって一度も統合されてない第一世界と、すでに過去の霊災により幾度も統合されている原初世界とでは見える空が違うのだろうか。
そうだとしたら、どちらがよりおじさん知る空に近いのだろうか……。
「……何だ、何か言いたそうだな。聞かれるのなら答えてやる。これで私は心が広いからな」
てのひらを空に向けながら、エメトセルクは僅かに口角を上げて笑う。
そうだ、おれは言わなければいけないことが、この人にあったのだ。
ずっと、言いたいとおもっていた。
だけど最後まで、言えなかった事が。
「ごめ、んなさい……」
絞り出すような声で、やっと言葉を紡げばエメトセルクのおじさんは不思議そうな顔をしていた。
「何だ? ……私を倒したコトに罪悪感でもあるのか? 相容れないもの同士であり、譲れないものがある同士だ。そういった時はもはや争い、打ち勝つしかない。戦わないものは生きるコトすらできなコトなど当然だろう。もう割り切っていると思っていたぞ」
「ちがっ、ちが……わない。それも、あるんだけどっ。おれ……おれは、あなたに、ひどいことを、したから……」
エメトセルクのおじさんを、おれは知らなかった。
おじさんの事だけじゃない、アシエンについて知らずただ漠然と「人々に、悪いことをさせる奴ら」だと思っていた。
まったく赤の他人であり、何ら縁もゆかりもない存在だと。
自分たちとは考えも価値観も何もかもが違う「化け物」のような存在なのだと。
だけど、本当は違っていた。
すくなくともおれと、アルバートは……エメトセルクのおじさんを「知っている」はずだったんだ。
たぶんだけど、おじさんににとっておれは「自分の知ってる大切な誰か」だった。
だけどおれは、エメトセルクのおじさんの事なんて欠片も覚えておらず、無邪気な顔をして聞いたんだ。
『それで、エメトセルクが役職名ならおじさんの本当の名前は何ていうの?』
おれは、本当は知ってるはずだったんだ。
エメトセルクのおじさんは……ハーデスのおじさんとは、本当は知り合いだったはずだから。おれの魂の「つながり」をもっていたはずだから。
だけどおれはそんなコトもしらないで、彼に名前を聞いたのだ。
何も知らない顔で。何も覚えていなかったから。
……きっと、絶望したと思う。
じぶんの知ってるような存在(ひと)が、自分のことを何ひとつ覚えてないというのを、数百年。あるいは数千年の時が過ぎて「思い知らされた」のだから。
「おれ、知らなかった。エメトセルクおじさんの本当のなまえ、覚えていられなかった。だからね、ハーデス……ごめん。ごめんね、ごめんなさい」
おれの言葉その意味を彼は計りかねているような顔をした。
だけど暫く呆けた顔をすると、すぐにため息をついて頭を掻く。
「そんなこと……お前らごとき矮小な生き物に理解してもらおうとか、同情してくれとか思うほど私が劣ってるように見えたか?」
「でも、それでもね……」
忘れられてしまうのは、きっと悲しいことだから、おれはなんだか悲しくなってぐしゃぐしゃに泣いていた。
そんなおれの頭を撫でながら、エメトセルクのおじさんは笑う。
「おまえは、この世界で……原初世界の知り合いに、会った事はあるか」
「えっ?」
「原初世界の知り合いで、お前にとって『もう届かない存在』になった相手と……会った事もあるだろう」
それを言われて、俺はオルシュファンのコトを思い出していた。
この世界で、顔も姿も全然ちがう。
だけどひょっとしたらこの人は「オルシュファン」だったんじゃないか……同じ魂の欠片で生まれた人だったんじゃないか。
そう思えた相手と、出会った事があった。
彼はオルシュファンと比べれば大人しく臆病なくらいに見えたが、彼の影には確かにもういないオルシュファンの面影を感じた。
姿も形も生き方も全てが違うけど、たしかに感じたのだ。
「会ったこと、ある。おれの世界にいて、でももうおれの世界にはいないひと……」
「そう、か。その時、どう思った?」
「どうって……」
彼は、この世界で別の友人と過していた。
悩みながら前に進み、この世界で生きようとしてくれていた。
今もきっとどこかで生きてくれているのだろうと思う。
「……嬉しかった」
ただそれは、嬉しかった。
おれはその人の「友」ではないし、その人はおれのことを「闇の戦士さま」と仰々しく呼ぶ。
会っても「イイ」って誉めてくれるワケではないのだけれども、それでも生きていてくれるだけで嬉しかった。
彼がただそこで生活して、今度は穏やかに過してくれているのだと思えば、それだけ嬉しいと思えたのだ。
「あぁ、そうだろう……たとえ姿、形が。生き方が違ったとしても……そこに、いる。いてくれるというだけでも……存外に悪くないものだ」
エメトセルクのおじさんは一瞬、柔らかに笑う。
「それが、私のことを覚えていなくてもな。その上で……私を知り、覚えていると誓ってくれたのなら……」
そう言いかけたおじさんは柔らかな笑顔から一転し、普段の気怠げな表情に戻っていた。
そして億劫そうに頭を掻くと。
「いや、らしくないな。私はそんな感傷に浸るにはちょっとばかり長く生きすぎた。道化は道化らしく振る舞っている方が楽だな。お前も、その方が私らしいと思うだろう?」
茶化すように、そう語るのだった。
あぁ、おれはどんな顔してるんだろう。
おれは、この人が責任感のある人だと知っている。使命を背負い歩く事になったのを知っている。ただその「立場だった」という理由だけで、いつ終るかもわからない計画を実行する覚悟を決めたのだ。
きっと彼はおれたちの前に姿を現した自分を「道化」だと思っている。
そしておれの前では、最後まで「道化」を演じきるべきだと思っているのだろう。
『彼は、責任感が強い……そういう所があるからね……』
誰かの声が、聞こえた気がした。
「ううん、おれはそういうところも、ハーデス。あなたらしいと、思うよ」
これは、おれの夢。
実際のエメトセルクおじさんが……ハーデスが、そうしてくれたワケでもなければそう言ってくれる訳ではない。
それは分っているけれども。
「わかり合えなかったくせに、分ったような顔をするな」
「わかり合えなかったけど、分ったところもあるよ」
エメトセルクのおじさんはおれの頭に手を伸ばすと、一瞬躊躇いつつもくしゃくしゃと頭を撫でてくれた。
そう、全ては夢。
おれがまだあの人と話す事が出来たのなら。
もう少しだけでも一緒に過す事が出来たのなら、もっと話してみたかった。
わかりあう事が出来なくても、彼の事を知りたかった。
そう思ったおれの、ただの夢でただの願望でしかないのは分っているのだけれども。
「忘れないでいろ」
「うん、忘れないでいるよ」
億劫そうに手をふりながら、それでもどこか儚く笑う。
そんな彼の姿を見送ることができたのは、例え夢でも。それがおれのエゴだったとしても。
「また会えて、嬉しかった」
そう、思っていた。
おれの言葉を聞いたエメトセルクのおじさんは、呆れたような。だけどどこかくすぐったいような笑顔を向けて、何も言わずに消えて行く。
それが例え夢であっても、嬉しいと思う気持ち。
その思いがあったことまでは嘘ではない。
伝えられなかったけれどもこの思いがいつか、どこかで繋がってもうここにはいない誰かに届きますように。
そして彼らの思いを受けたおれが、その暖かさや優しさをより未来にある人に分け与えられますように。
そんな思いを抱きながら、おれは朝を迎えた。
そこには夢にいた彼の姿はなかったけど。
「さて、今日も元気に頑張るぞー!」
おれは背伸びをして、前を向く。
ここにはいない誰かの思いを背負って進み、いずれおれが歩けなくなる時にその温もりが誰かに届く日を思いながら。
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