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インターネット字書きマンの落書き帳

   
期待しちゃう商人さんと褪せ人(褪せ人×流浪の商人さんBL)
エルデンリングは王になれてません。(挨拶)
王になれてないので、流浪の商人さんと蜜月を過ごすコトにしました。(端的な幻覚の説明)

今回は……特別にえっちな話はしてません!
ぼくはkenzenなので。
久しぶりに流浪の商人へ顔を見せた褪せ人さんに、何となく期待をしてしまう。そんな流浪の商人さんのほのぼのストーリーですよ。

キャッキャ!




『待ち人来たりて』

 流浪の商人である彼の元に褪せ人が現れたのは実に10日ぶりの事だった。

「少しばかり遠出になってしまってな。珍しいものもいくつかあるから融通する。商売になるといいが……」

 そう言いながら褪せ人は荷物の中から珍しい品を取り出す。
 カッコウの輝石やら蛸たまやら石鹸やらといった品はどれもこの周辺ではあまり見ない品であり、だからこそ価値があった。

「それをタダでもらったら流石に悪いぜお得意様。ちゃんと買い取らせてくれ」

 商人はそういいルーンを差し出すが褪せ人は一度それを拒んだ。曰く。

「いつも『楽しませて』もらっているんだ、それを考えるとこれくらい安いものだ」

 そうだ。
 それを言われるとうれしいような気恥ずかしい気持ちにもなるが、それでもこれだけの品を無償で引き取るのは商人の沽券に関わる。男が半ば強引にポケットへルーンをねじ込めば褪せ人は察したようにそれを受け取ってくれた。

 商人としての矜持が無償の施しを認められなかったというのもあるが、褪せ人と身体を結ぶことが金や商品目当てだと思わせたくないというのが本音だった。
 褪せ人が察したように受け取ったのは、彼の思いを見透かしたからだろう。

「手土産のつもりだったが受け取ってくれないなら仕方ないな。せめて夕食になりそうな獲物くらい捕まえてくるから待っていてくれ。久しぶりに顔を出したのに手ぶらだと申し訳ないからな」

 褪せ人はそう告げると弓をもち草原へと向かっていった。
 気を遣わなくとも傍に居てくれるだけでいいのだが、それを言うのは気恥ずかしい。それにこの辺りにいる獣なら危険はないだろうしすぐ戻ってもくれるだろう。
 だから彼は褪せ人が戻った時に二人でゆっくり過ごせるように食事道具などをそろえ薪を継ぎ足して待つことにした。

「あぁ、そうだ……」

 一通り準備を終えると、男はそう呟いてて思い立ったように土の上へ藁や綿を敷きはじめる。
 褪せ人と過ごしていると会話の最中、流れるようにそのまま抱かれるということが多い。そのせいで冷たい土の上に押し伏せられる事も多々あったのを思い出したからだ。
 下が大地であれば白濁した液体をどれだけまき散らしても気にする必要がないというのは利点だが、顔と土とが接すると冷たく苦しいし口の中にも砂利が入る。藁と綿とで簡素な寝床をつくっておけばそれが防げるだろうし二人で過ごしてもより温かくなるに違いない。

「戻ったぞ。少しばかり手間取って遅くなってしまったな」

 そうこうしている合間に褪せ人は戻ってくる。手には狩ったばかりの鹿肉がぶら下がっていた。
 当人は手間取ったといっていたが、獣を狩り解体(バラ)して戻ってきたのならば驚くべき早さだ。戦士であり狩りも得意としている褪せ人にとって、狩った獣をすぐに解体するコトなど造作もないことなのだろうか。

「いや、思ったより早かったよ。調理道具は出ているぞ。さて、何にする。それだけでかい鹿肉なら焼いてもいいし、臭みをとるため鍋にしてもいいか……お得意様の好きなように調理してやろう」
「そうだな……」

 褪せ人は少し考える素振りを見せながら、男の背後へと目をやる。そのしてまるで悪戯を思いついた子どものように笑って見せた。

「それでは、まずお前から食べさせてもらおうか? どうだ」
「へぇっ!? いや、何を……」

 急な言葉に驚くが、男が動き出す前に褪せ人はしっかりと男の肩を抱き身体を捉えていた。

「俺がいない合間に寝床を準備しておくとは、殊勝な事じゃないか。なぁ? そんなに欲しかったのか」

 そう指摘され男はようやく自分が自ら抱かれるための準備をしていたという事に気付く。確かに褪せ人とは久しぶりに会うが、別段彼はいつでも男を抱いてくれるというワケではない。だが無意識に準備をしていたのは、今日は抱いてくれるだろうという期待と願望とがあったからだ。

「よしてくれよ、お得意様。俺は……」

 慌てて言い訳しようとするが、全て褪せ人の言うとおりだ。男は抱かれたいと思っていたし、寝所の準備をしている最中も褪せ人に激しく突き上げられる快楽だけを心に抱いていたのは紛れもない事実だった。

「……抱いて、欲しいと思っている。けど、いいのかい? 食事もまだ終わってないだろう」

 だから素直にそう告げる。平静を装っているが、顔はきっと真っ赤だったろう。 褪せ人は僅かに口角を上げて笑うと、男のつけたマスクの上から唇を重ねた。

「素直でいいな。嫌いじゃない。そのまましばらく素直に抱かれて、素直に喘いでくれるか? ……脳のとろけた連中にイき狂うおまえの声を聞かせてやるといい」

 そう言うが早いか、褪せ人は軽々と男の身体を抱き上げる。そして準備した藁と綿との寝床へと転がした。

「性急すぎるぞ、あんた……」
「そうだ、褪せ人は明日があると限らない。だから少しばかりせっかちなのさ」

 滑る指先の熱を覚えながら、男はごろりと寝転ぶ。
 空はまだ高く、穏やかな青空が広がっている。リムグレイブは雨も少ない温暖な場所だからしばらくは晴れているだろう。 普段は食事を終え、日がくれはじめた頃などに獣はないかとおっかなびっくり抱かれたりするのだが、たまにはこういうのも悪くない。
 藪の中で甘い吐息を漏らしながら、男はその細い指で褪せ人の身体を抱く。

 抜けるような青空の向こうでは、絡み合い蠢く二人の姿など意に介さぬ脳が解けた連中が相変わらず何かを探すような仕草を見せていた。

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