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インターネット字書きマンの落書き帳

   
楽しんだその翌日は後悔が押し寄せる。(ヤマアル)
付き合っているので、イチャイチャしているヤマムラさんとアルフレートくんです。
(挨拶を兼ねた端的な今日お出しする幻覚の説明)

今回は、初めてえっちをした翌日。
自分がリードしてやるんだぞ! とフンスフンスしていたアルフレートくんが、いざ事に及んだら思った以上にスッゴイ事をされてしまったのが恥ずかしくてもう穴があったら入りてーや。
って気分になってるアルフレートくんの話です。

ヤマムラさんが……どうしても俺の手癖でスパダリというか。
こう、天然タラシっぽさ出てしまうけど、俺なので諦めてください!

アルフレートくんも、大型犬の体格で子猫ちゃんみたいに可愛くなっちゃうんですが…。
やっぱり、俺なので諦めてください!




『お互い知らない秘密の顔』

 すでに日は昇っていたが、アルフレートはなかなかベッドから起きれないでいた。 開けた窓からは暖かな風が入ってきて室内は過ごしやすいのだが、アルフレートの気持ちは晴れないままだ。

「ぜんぶ昨晩に本当にあったこと……なんですよね……」

 アルフレートはそう独りごち、枕に顔を埋める。枕はまだかすかに汗で濡れているような気がした。
 昨晩、アルフレートは初めてヤマムラに抱かれた。
 お互いにその気持ちを持っていたのは事実だし、すでに幾度も口づけは交わしている。そう遠くない未来に身体の関係を結ぶ覚悟はずっと以前からできており、その機会がようやく訪れたのだ。
 望んでなった関係であり互いの思いが結ばれたのは喜ばしい事だろう。実際にアルフレートの心はむずがゆい程の幸福に満たされていた。
 まるで壊れ物を扱うように優しいヤマムラの指先はじれったい程だったが、大事にしてくれた甲斐もあり身体に痛みはなく心地よい疲労感と満たされた温もりばかりが身体の中に残っていた。
 愛する男に抱かれた後だと考えれば何の不満もないまま朝を迎えたとも言えよう。

(まさか、私が抱かれてしまうなんて……)

 アルフレートはふとそれを思うと、不意に恥ずかしくなってふたたび枕に顔を埋める。 朝から起きようと思ってはいるのだが、昨夜抱かれた記憶が鮮やかに思い出され恥ずかしさからなかなかベッドから出られずにいたのだ。
 ヤマムラは自分より年上ではあるがどこか押しが弱いような印象があった。 いつでも優しく、誰に対しても笑顔で接する姿は謙虚さの表れなのだろうが粗暴なものが多いヤーナムでは彼の性格は受け身で消極的に見えるばかりだったし、元々異性と付き合う事を当然としており同性の恋人はアルフレートが初めてだとも言っていた。

(だから、私がリードしてあげようと思っていたのに……)

 逆にアルフレートは男の相手の方がよっぽど手慣れていた。
 それは幼少期からどうしても身体を売らなければいけないという状況に追い詰められていたという事情もあったが、今は男相手のほうがよっぽど気持ちよいからという理由が大きくなっていただろう。
 子供の頃から尻軽な女というものを散々とみてきたせいで女性に対しての嫌悪感が強いというのもあったろうし、男相手のほうが後腐れが少ないというのも。場合によっては相手の弱みを握れるといった理由もあったろう。
 ともかく、この道では自分の方が経験は上だと思っていた。 ヤマムラ相手に抱かれるにせよ逆に抱く事になるにせよ、自分なら彼をリードできると思っていたのだのだ。
 今日はきっと、そういう関係になる……。
 それを予感した時から頭の中でシミュレーションをしてきたし準備万端で夜を迎えたつもりだったのだが。

(あんな、風にされるなんて。私、まるで子供みたいにされて……)

 思い出せばまた顔から火が噴き出しそうになる。昨晩、部屋でアルフレートの手をとったヤマムラはまるで彼をお姫様のように扱い、瞬く間にベッドへと押し沈めてしまったのだ。
 それからの甘い言葉も、くすぐったいほどに優しい指先も、その舌も唇も全て淡い夢のように感じる。 今まで男を相手にした時は互いに貪るように求め合い散々と快楽を得た後に泥のように眠る。そんな獣のようなセックスばかりだったからなおさらヤマムラとの夜が優しくくすぐったく思えた。
 行為は穏やかで優しく、今までにないほど静かで安らげる夜だった。 だが朝になり夢から覚めてみれば恥ずかしさばかりが先立ち、何もできないまま終わらせてしまった歯がゆさばかりが残る。
 もっとヤマムラのために奉仕する事ができたはずなのに、何もできなかった。
 それが気まずいような恥ずかしいような気持ちにさせるのだ。

「アルフレート、起きれるかい? 朝食をもってきたけれども」

 そんなアルフレートの気も知らず、ヤマムラはトレイにパンと卵。そしてミルクをのせてやってくる。アルフレートがなかなか起きられないのを見て、身体が痛むのだろうと心配してくれているのだろうが、その親切心も今はただ自分のふがいなさを悔いる要因となっていた。

「アルフレート、大丈夫か? もしダメなら椅子まで肩を貸すが……」
「だ、大丈夫です! 身体は大丈夫なんです、本当に……」

 アルフレートはシーツにくるまると、身体を小さく丸めた。とはいえ元々大柄な方だからあまり小さくはなっていないだろう。 むしろこんな大柄な男が丸くなったってかわいらしい所などないだろうが、ヤマムラはそんなアルフレートこそが一番愛おしいのだとでも言うように優しく微笑んで見せた。

「そうか、それならいいんだが君はさっきから着替えもしないだろう? そろそろ服を着たらどうだ。あぁ、テーブルまで行くのも辛いのなら、食事をそっちに運ぼうか?」

 言葉はいつも温かく優しいが、だからこそ自分が勝手に落ち込んでいるようで至らない気持ちが募る。 彼が本心からアルフレートの身体を気遣い、一切の偽りも打算もない優しさで包んでくれているのがわかるからこそなおさらだ。

「だから大丈夫です、もう。子供みたいに扱うのは辞めてください! それと、そのッ……あまり私を大事にしないでください! 私だって狩人であり、一人の男なんですからね」
「そう言われてもなぁ、君は狩人で一人の男だけど、それより先に俺の恋人だという気持ちがどうしても勝ってしまうんだ」

 ヤマムラは困ったような顔をして呟くように言う。酷く鈍感で好きだと言う時は真っ赤に恥ずかしがるくせに、こんな言葉を突然零すから心臓に悪い。アルフレートはシーツを握りながら高まる鼓動を必死に押さえた。

「とにかく、大丈夫ですから心配しないでください。私の身体は全然痛いところもありませんし、少し怠いくらいです。食事もそこに置いておいてくれれば、食べたい時に食べますよ。だからヤマムラさんは、好きに過ごしてください」

 正直なことを言えばヤマムラがいないと思うと寂しい気持ちばかりが膨らんでしまうのだが、今は顔を合わせこうして話をしているだけで恥ずかしさが先だってしまう。
 これではまるで恋する乙女のようだと思うとなおさら恥ずかしいとアルフレートは思っていたが、今の彼が実際のところほとんど初めて恋する乙女と変わらないという事は彼自身も気づいていないのだろう。

「わかった、だったら今日は俺の好きなようにすごすよ」

 ヤマムラはそう言うと、アルフレートのすぐ横にある椅子にこしかけて本を手にする。子供向けの童話や伝承をわかりやすくまとめた絵本に近いものだ。
 東方から流れ着いたヤマムラは言葉を話すのにはほとんど問題がないが読み書きはまだ不得手な所があるのでよくこうして子供向けの本を読んでいるのは知っている。だが今、この部屋でやらなくともいいだろう。

「ど、どうしてここで本を読むんですか!? 今じゃなくてもいいでしょう、それは」

 思わず抗議する声は知らぬうちに少し上ずっていただろう。てっきり部屋を出て行くのだと思ったのにこの場に留まるのだから。
 だが普段のヤマムラが休日ゆっくりと本を読んだり、天気の良い時間帯に散歩をするなどというのは普段の事だからそれを失念していたのはアルフレートの落ち度だ。

「いいだろう? 今日は休むつもりだったし、俺は君に昨晩、その……ひどいことを、した」

 ヤマムラは最後の方を言いよどみ、顔を僅かに背ける。ヤマムラにとって男の身体を抱くという事は酷く背徳的であり、少し強引にしなければ進まないような肉をまさぐるような行為は酷い事に思えたのだろう。
 アルフレートにとって当たり前の事がヤマムラにとっては普通のことではなく、それ故に責任を感じているのかもしれない。あるいは元々、ヤマムラは抱いた相手を翌日まで労うような男なのだろう。

「酷い事じゃ無いですよ、あの位は男同士なら普通ですよ。あの位で壊れるような柔な身体じゃないです」

 ヤマムラは他の相手と比べてずっと優しいくらいだった。と思ったが、言葉は喉の奥に留めておく。アルフレートが男を相手にするのは初めてではないという事をヤマムラは心得てはいたが、それでも過去の相手と比べられるのは良い気はしないだろう。

「それに、やっぱり好きな人の傍にいたいと思うし。君の顔を傍で見ながら過ごすのも悪くないだろうと思ってね」
「えぇ、ちょ、待ってくださいそんな……」

 ヤマムラは善意のつもりでアルフレートに寄り添おうとしているのだろう。だがそれは今のアルフレートにとっては完全に裏目に出ている。
 いや、違う。ヤマムラの善意に対して向き合えない程に自分が蕩けてしまった情けなさばかりが先立ってしまい素直になれないだけで、ヤマムラは悪くないのだ。

「えぇと、あの、私……昨夜は、あなたに、その……あまりにもはしたない姿を見せてしまって、それで……」

 このままだとヤマムラはきっとわかってくれない。それに、こんな卑屈な気持ちになる必要もないはずだ。そう思い、思い切ってアルフレートは話し始める。ヤマムラはその姿を、真面目な顔でじっと見つめていた。

「みっともない所ばかり貴方に見せてしまって、そんな自分が恥ずかしく、情けなく……貴方にこんな姿を見せたくはなかったので、それで……」

 途切れ途切れになり告げる言葉を、ヤマムラは静かに見守る。そして、先の言葉につまりただ困ったような顔を向けるアルフレートを見て、彼の傍らへと寄り添った。

「べつに、君をみっともないとか思ってはいないさ」
「で、でも。私、は……」
「もっと見せてくれないか? 君は恥ずかしいかもしれないけれども……俺は、君のいろいろな表情(かお)をみたい。どんな君を見ても、嫌いになりはしないから……」

 ヤマムラの声も言葉は溶けるように甘い媚薬となってアルフレートを惑わせる。きっとヤーナムにあるどんな美酒だってアルフレートをこんなにも酔わせたりはしないだろう。それほどに洒落た言葉ではないよくある口説き文句であってもヤマムラから言われるとこんなにも甘く聞こえ、こんなにも嬉しく思えるのだ。

「やめてください、私。そんな……恥ずかしいです……」

 顔を赤くするアルフレートの髪に触れると、ヤマムラは彼の額に軽く口づけをしてささやくのだ。

「……君さえよければ、今からでも見せてくれるかい? 俺の知らない君の姿を」

 そんな優しいキスをされそんな甘くささやかれて断る事などどうしたらできるだろうか。アルフレートはシーツを握りしめながら 「よろしくおねがいしますね」 そう唇だけで告げ、ヤマムラはその唇を自らの唇で塞ぐ。
 かすかに開いた窓からは心地よい風が吹き抜けていった。

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インターネット駄文書き
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ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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