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インターネット字書きマンの落書き帳

   
Dに異常な執着を見せるロジェさん概念。(Dロジェ)
ELDEN RINGを120時間プレイしてますが、大ルーンを二つ手に入れただけで特に成し遂げていません。(挨拶)

エルデの王にならないか?
なれてない。

発売からこんなチョーシでのんびりプレイしていて全くクリアが見えてきません! が!
楽しいのでオールオッケーということで!
よろしくね~。

そんな前置きをしつつ、今回は以上にDに対して執着をしているロジェールさん概念の話を書きました。

ロジェーヌさんのイベントはたぶん? 完走しましたので……。
ロジェーヌさんまわりのイベントに関してネタバレを噛ませている作品でもありますのでネタバレには! お気を付け! ください!

まだ販売してそこまで時間が経ってないので配慮をしておきました。
えらかろ?(偉い人はジブンで言わないのだ)

内容としては、Dに対して未だに思う部分がありそれが激しい執着にかわっているなんかヤベーやつになったロジェーヌさんの話ですよ。
やべーやつにしてもいいだろ、どうせみんなやべーんだ。




『蒼白く絡む蔦のように』

 ロジェールはほとんど力が入らなくなった体を奮い立たせると、震える手で紙とペンを手に取った。
 目の前は暗く、力も思うように入らない。常闇の中へ永遠の安寧を得るために墜ちてしまいそうな睡魔の正体にロジェールは気付いていた。
 気付いていたからこそ最後に伝えるべきことがないかと思い立ち、何かしらの言葉を残そうと思いペンを手に取ったのだ。
 だがただ手が震えるばかりで何の言葉も思いつかずにいる。

 ロジェールが求めたものは、ロジェールが手に入れて初めて意味をなすものであり、他の誰かが得ても意味などない。
 自分が求めたもの。摂理から外れ永遠の自我をもち生き続ける体を他の誰かが得たとしてもそれが喜ばしいことでもないのだ。

 傀儡の魔女が人の器を捨てたと聞いた時、面白いと思わなかったように。

 かといって死に際に頼むようなこともない。
 家族らしい家族もいないし、死の痛みや苦しみなど口にしてもそれで楽になどならない事は承知している。生きているうちに言いたい事は概ね口にしてきたし辛い時や苦しい時も感情をごまかしてはいたが抑えることはなく生きてきたと、そう思っている。

 Dに対してだけは、今でも耐えがたい程の悔悟が胸に楔を打ち付けその呪縛が解かれることはとうとうなかったが。

 そもそも、今の円卓で自分の死に気付くのは新しく現れた褪せ人くらいだろう。
 あれは恐ろしい男だ。無垢で無知のくせに好奇心だけは人一倍で見てはならぬ世界の理(ことわり)にも軽率に触れかねない。それだけの力を備えている。

 言葉を託すとしたら、あの褪せ人へだろう。
 Dに手紙を書いたとしても道を違えた相手だ、きっとロジェーヌの手紙など読まずに破いて捨てるはずだ。それを見越して白紙の手紙を渡すのも一興と思ったが、もうそんな冗談を実行する力が残っていない。

「もっと、早く手紙を書く事を思いついていれば良かったですね」

 ロジェーヌはそう呟いたつもりでいたが、それは声にならなかった。

 自分の事を書き残す理由も必要もない。
 仮に残したとしてもあの褪せ人が興に乗ってそれを叶えるとも思えなかったし、仮に意志を継いで叶えてくれたとて嬉しいとは思わなかった。
 だとすれば書き残すべきは何だろう。何ら伝えたい事がなければペンを握ろうと思わなかったはずだ。
 自分はあの褪せ人に何を伝えようとした。何を伝えれ「面白い」と笑って死ねると思ったのだ。

 目を閉じ僅かに思案する。
 思い浮かんだのはロジェーヌを見下すよう眺めるDの姿だった。

「そうだ、あいつのことを。伝えて……」

 残っていないと思っていた力が湧き出るような気がした。
 道を違えてから言葉を交わすどころか視線を合わす事すらなかったDの事を今更になって伝えたいと思うのは何故だろうか。
 ペンの文字はかすれている。ロジェールはもう自ら書く文字がかすれている事にすら気づけないほど目が見えなくなっていた。それでもかすかな紙のこすれを頼りに文字を綴るのは伝えたいという執念からだろう。

 Dのことを褪せ人に伝えようと思ったのは、彼があまり多弁ではなくとりわけ自分のことを秘匿するような性格であるのを知っての事だった。口下手もつっけんどんな物言いも元々だったが以前はもう少し他人に寛容だったように思う。
 彼がもし他の誰かと一線を置き他者に対して不躾に振る舞うようになったことに理由があるとしたら、ロジェールとの決別が大きな原因の一つであったろう。
 信頼し親愛の友であったロジェーヌでさえ理解しあう事が出来ず道を違えた経験がDが自ずから他人を遠ざけるような性質になった。D本人がそれを意識していなくとも少なからずその傾向はあったはすだが、ロジェーヌはよもや自分がDにそのような影響を与えているとは思っていない。というのもロジェーヌはDがすでに自分を嫌い自分から関心を失い自分の事を忘却しているものだと信じ込んでいたからだ。

 Dの自分に対する思いこそ見誤っていたが、ロジェーヌは彼を「大義こそ存在するがそれをなしえるほどの力も野心も情熱もとうに枯れ果てた男である」という評価をしていた。
 ロジェーヌはいま志半ばで果てようとしているが、近いうちにDも必ずそうなるだろう。ロジェーヌがそう確信していたのはロジェーヌはDが大言を口にするが存外に臆病な側面があるのをよく知っていたからだった。

 事実として、Dは己の大義を全うする事無く殺されてしまうのだがそれをロジェーヌが知ることはないのだが今はそれはおいておこう。

 ロジェールはペンを滑らせる。
 Dが何を思い何を抱いて黄金律に殉じる身となったのか。そういった事を書き連ねてもあの褪せ人は興味を抱かないだろうしそもそもロジェーヌもDが黄金律に対しどこまで従順であろうとしているのか推し量ることが出来ない立場だった。

 ならば伝えるべきことは一つしかない。
 褪せ人が興味を持ち、関心を引くには充分な秘密をDはもっているのだから。

 それはDの半身。何処かに眠る、彼の弟のことだ。

 双子とは単純に時を同じくして生まれたた存在ではない。魂の根本がつながり違いに肉体あるいは精神に呼応するような存在だ。少なくとも狭間の地で双子とは概ねそのような二つで一つの存在が多い。
 Dもまたそのように魂の根が繋がった双子であり、それ故にDが目覚めている時、弟は眠り続けているのだ。Dが今を生きる限り彼の弟は寝息をたてるだけの傀儡であり続けるのだろう。

 だが双子の魂はその根を同じとする。
 結ばれた魂は同時に動くことが出来なくとも互いに呼応し共鳴し続けているのだ。

 Dが黄金律に従順であるのは眠り続ける弟が夢見る中で深淵にある何かしらの意思に触れそれがDに影響しているのかもしれないし、Dが見た世界の有りようが眠り続けている弟の中へ絶え間なく流れ込んでいるのもあり得る。

 ロジェールは双子ではなかったから何処までを共有し何処までが同一なのかはわかっていなかった。円卓には双子の老婆がいたが、すでに言葉を発する術をもたない、あるいは双子であるが故に最初から姉妹である存在としか会話する必要のなかった彼女たちからは何も聞けていない。比べるべき双子はほとんどなかったので確証はないが、それでも狭間にある双子たちは互いに求める真理が同じか極めて近いという傾向はあるように思えた。

 魂の繋がりが深い故に、Dが覚醒しておいる限り眠る弟。
 だが彼もまたDであるのだから、だが結ばれた魂は同じものを求めるのだろう。

 Dと道を違えた後、どこで自分は間違えたのか。Dは何が自分と合わなかったのかと考えることはしばしばあった。
 眠り続ける結ばれた魂。Dの大義は半身である弟のためにあるのではないか。
 ロジェールがそう考えたのは一度や二度ではない。血と魂を分けた弟の存在がDの思考を縛り、求める真理を狭めたのだろう。ロジェールはいずれかそのように考える事が増えていた。

 これはロジェールが道を違えた理由は自分にあるのだと認めたくなかったというのが要因なのだが、ロジェールはDに対してだけ自分を客観視することが出来ない性質になっていたので彼自身はそれに気付いていない。
 良き友との別れの理由が全て自分にあるのだという考えは狭間を生きるのに苦しすぎるのだ。

 Dは眠り続けている弟がいるなどと誰にも語りはしないだろう。
 円卓の面々となれ合おうともしてないのだ。そもそも双子であることを誰にも告げてはいないだろう。

 特にDはあの褪せ人には伝えないと、ロジェールは確信していた。
 ロジェールが褪せ人を「恐ろしい」と思ったようにDもまたあの褪せ人に異質さを感じていると確信していたからだ。

 だからこそ、伝えようと思った。
 Dにとって最も恐れ、最も嫌がる事はそれしかない。

 あの褪せ人なら必ずDの弟を見つけ出すだろう。
 それが幻と言われる場所でも必ず暴くだろう。己の足で行ける限りはあれはきっと何処にだって行く。

 その時Dが生きている時なら眠り続ける半身と褪せ人とが出会う事になる。
 Dが死んでいたのなら目覚めた半身と褪せ人とが出会う事になる。

 あの褪せ人が「恐ろしい」のは野心もなければ大義もないというのになしえる力だけは貪欲なほどにもっているからだ。
 褪せ人が本心では何を考えているのかは一切わからない。しかも狭間の地に対して驚くほど無知だ。世界のことも戦争のことも勢力のことも何も知らない。狭間の摂理を理解しないし尊重しようとさえしない。
 それだというのに興味と好奇心、それと少しのいたずら心で難局をも乗り越えていく力だけはあり、力がなくとも貪欲にそれを求め吸収していくのだ。

 無知で無垢なものが暴力的な力をもつというのは災厄に等しい。
 だがもとよりデミゴッドの存在が災厄のようなものだ。彼らが剣を交えただけで土地は腐敗するほどなのだ。
 それを思えば、あの褪せ人は王の器なのだろう。あるいは今までに存在したどの王よりももっと神域に近い存在になり得るかもしれない。

 即ち、化け物なのだ。
 その化け物に自分と根を同じくする存在を知られるのはDとて恐ろしいだろう。

 ロジェールは褪せ人がDの弟を見つけると確信していたし、見つけた時に何をするか。それを思うだけで死の淵にある体でもひどく昂ぶる気がした。

 その時Dが生きていたら褪せ人は何をするのだろう。眠った半身を気まぐれに殺しDがどうなるのかと試してみるかもしれないし、同時に目覚めたら何がおきるのかと面白がり無理矢理にでも目覚めさえるかもしれない。

 もしDが死んでいたとしたらどうだろう。眠りから目覚めた欠けながらも繋がっている半身に対しあの褪せ人は何をする。 Dになるように誘うか、Dの死を繰り返すように誘うのか。

 どの道をたどったとしても、Dが望むような結果にはならないだろう。
 褪せ人のように怪物ともいえる力をもつ存在は軽率に他人の人生を歪め、決して正しく導かない。そも、狭間の地で正しさなど存在しないのだから仕方ないが。

 だがそれでいいし、それを。それこそをロジェーヌが望んでいた。

 この世界は結局ロジェールの思い通りになったことなど何一つなかった。Dもまたこのまま生きて死んだとしたら同じように何ら得るものはないだろう。だがそれでも万が一に何かを得たとしたら自分が負けたようで悔しい。

 それならば道連れだ。
 あいつも不幸になればいい。

 ロジェールは苦虫をかみつぶしたような笑みを浮かべ弱々しくも最後の文字を綴る。
 そう、これは執着だ。嫉妬だ。あまりにも深い愛情が強い嫉妬と執着となり未だ自分の心に絡みついているのはロジェール自身も理解していた。

 人生に成功というものがあるのなら、Dに出会えたことだ。本当にお互いを理解でき傍にいるのが心地よいという関係がたとえ一時でも存在したのだから、ロジェールの人生は成功だった。

 そして失敗があるとしたら、Dと道を違えたことだ。共にあるだけで穏やかな日々は決別で永遠に得られぬものとなった。

 Dにとって弟がいるというのは誰にも聞かせたくない秘密だろう。
 あるいはロジェールだからこそ漏らした秘密だったのかもしれない。

 Dにとって自分は秘密を告げるほど特別だったが、それでも一等の存在ではないのは感じていた。 半身である弟がいるのだからDにとってロジェールはその次だろう。
 当然だ、双子ということは魂が繋がっておりそれは自分自身の一部のようなものなのだから。

 だがそれでもロジェールは一度も姿を見ぬ弟に嫉妬した。
 自分を一番にさせない姿のない半身が憎いと思ったし、その半身のために道を違えたDも同じように憎たらしかった。
 Dはきっとロジェールに対してそこまでの感情も熱意も抱いていないだろうが、それがまた腹立たしい。

 だからこそ、ロジェールは褪せ人に秘密を告げる。
 死に際にあるいま、自分のことではなくDの秘密を書き残そうと力を振り絞る。

 これであいつも自分と同じ成し遂げられぬ影となるのならそれでいい。
 自分が求めていたのはけっきょく、Dと安寧の旅を続け変わらない日々を過ごすコトであり同じ場所へと落ちてくれればそれが叶えられる気がしたから。

「おまえは、私を捨てていった。おまえの信じる黄金律のために。私を一度もおまえののいっとうに好きな相手にしないままで。私は、それが許せない。だけど私ではおまえを傷つけるコトはもうできないから……せめて、一矢報いろうと思います。私がおそれた、あの褪せ人という刀であなたを黄金律から外れた狭間の深淵にたたき落としてやる」

 手紙を書き終え封をする。
 もったい付けて荷物に入れておけばあの褪せ人ならきっと探すだろう。それくらいの好奇心がなければ困る。

「あなたと別れたとき、私は何も言えなかった。憎しみも苦しみも全部曖昧に笑ってごまかした。本当は泣き叫びたい程辛かった。何度も吐いたし己を呪った。その苦しみと痛みをおまえは知らないだろうから……」

 手紙に口づけをし、隠すようにポーチへ入れた。カバンまで手を伸ばしても届きそうになかったから愛用のポーチに入れたが、きっと褪せ人は見つけるだろう。

「さようなら、愛しい人。願わくば、私と一緒に墜ちていけ」

 ロジェールは虚空に語る。
 その顔はDと並んで歩いていた時と同じよう、安らかで幸福な笑みを浮かんでいた。

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HN:
東吾
性別:
男性
職業:
インターネット駄文書き
自己紹介:
ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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