インターネット字書きマンの落書き帳
おまえに着て欲しい服(みゆしば)
よいこのみんなー、こーんにーちはー!
幻覚のお兄さんだよ。
今日は平和な世界線で普通に付き合ってる手塚お兄さんとしばじゅんちゃんの話をするねー!
(挨拶とアレルギー表記)
今回は、プレゼントの話。
頻繁にしばじゅんちゃんからプレゼントで服とかアクセをもらうけど、しばじゅんちゃんにお返しのつもりであげたプレゼントをあんまり使ってもらえてないな~。
なんて考えたり感じたりするみゆみゆの話ですぞい。
ぞいぞい!
幻覚のお兄さんだよ。
今日は平和な世界線で普通に付き合ってる手塚お兄さんとしばじゅんちゃんの話をするねー!
(挨拶とアレルギー表記)
今回は、プレゼントの話。
頻繁にしばじゅんちゃんからプレゼントで服とかアクセをもらうけど、しばじゅんちゃんにお返しのつもりであげたプレゼントをあんまり使ってもらえてないな~。
なんて考えたり感じたりするみゆみゆの話ですぞい。
ぞいぞい!
『誰がために与えるのか』
「この前一緒に買い物いった時に見たシャツあったじゃん? あれ、手塚に似合いそうだなーと思ったから買っちゃった。はい、あげる。サイズ合ってるかどうか着てみてよ」
芝浦は屈託なくそう言うとプレゼントの包みを差し出す。
中身は先週いっしょに出かけたショッピングモールで見ていたワイシャツだろうとはすぐに察しがついた。見た目もデザインも好みだとは思ったが、値段が高くて手が出なかったものだ。
「……買ったのか? いや、かなり高いものだろう。いくらなんでも受け取れない」
「いいのいいの。いつも手塚の部屋に泊まらせてもらってるお礼だと思ってよ。ほら、光熱費っての? そういうのも馬鹿にならないでしょ」
値段を知っているものだけに流石に受け取るのは悪い気がし辞退しようとする手塚の胸にプレゼントを押しつける。
確かに芝浦がよく部屋に来るようになってから光熱費は上がるし消耗品の使うペースも増えたのだが、それを差し引いても芝浦からもらうプレゼントの方が多いくらいだった。
芝浦は普段から手塚をよく観察しているのか、ちょっと気になった品や欲しいと思った品をめざとく見つけては誕生日やクリスマスといった特別な日でなくともよくこうしてプレゼントを渡すのだ。
「もらいすぎな位だ……そんなに気にしなくてもいいんだぞ、別に」
正直なところ、路上占い師という胡乱な商売を生業としている手塚の収入は極めて不安定だ。
生活するに困らないよう何とか稼いではいるが貯金もままならぬ状態であり、ことに衣類に関してはほとんど同じ服を使い回している始末でもある。
服をもらえるのはありがたいのが正直なところだが、もらいすぎというのも気が引ける。
だから手塚も懐に多少余裕がある時には芝浦に似合いそうなマフラーや手袋といった小物をプレゼントしたことがあるのだが。
「だいたい、おまえはいつも俺がくれたものは身につけていないのにいつも俺ばっかりがもらっているのは流石に悪いだろう?」
芝浦がそれを身につけるコトはめったにない。
大学に通っている時の芝浦は金持ちのご子息というのが見た目でわかるコトがないよう意図して量販店にあるようないわゆる普通の服装をしているのは知っている。 その普段着に合うような色合いや形のものを選んでプレゼントしたはずだし、そのうちいくつかは「大学で着るのに良さそうだ」と芝浦自身が口にしていたから買ったものでもある。
服には趣味もあるだろうから気に入らないなら仕方ないが、少しも身につけてもらえないのなら張り合いがない。
だがその言葉を聞いて芝浦は急に顔を赤くするとうつむきながら照れた顔のまま告げた。
「わ、わっ、わかってるって。せっかくもらったから着なきゃいけないなーって。でもさッ、手塚がくれたんだと思うともったいなくて着られないっていうか……大事にしなきゃなーって思うし、汚したり破ったりしたらすごい悲しくなりそうで、怖くてまだ着られてないんだよ……」
あまりに純真な答えに聞いている手塚も何だか気恥ずかしくなる。
芝浦は年の割に子供っぽい所があるが、実際にその通り子供のような部分が残ったまま今に至っているのだろう。
特に対人関係においては常に「芝浦家の御曹司」という立場から下にも置かれぬ扱いを受けていたがために対等な友人関係というのをほとんど体験せず育っていたため、人づきあいに対しては時々驚くほど無垢な表情を覗かせる。
今がその無垢すぎるくらいに無垢な顔を見せている最中だった。
「気持ちは嬉しいが、飾られるほど高価なものでもないんだぞ」
「でも、でもさっ。やっぱり汚れたりしたら悪いし……」
「汚したら新しいのを買ってやる。それくらいの甲斐性はある」
手塚はかすかに笑うと、芝浦の耳もとへ唇を近づける。
「それとも、俺の選んだ服は着てくれないのか? ……俺がこの服を着たおまえを見たいと。そう思って選んだものだが」
芝浦の元々赤かった顔がさらに赤みを帯びた。
「わ、わっ……わかった。わかったよ、今度着てくるからッ……だから、俺からのプレゼントも受け取ってくれるよね? 俺の選んだ服を着てるあんたがみたいから買ってるところあるしさ」
そうして無邪気に笑う芝浦に急かされながら手塚はプレゼントの包みを開ける。
この服を着たら芝浦はどんなに喜んでくれるのだろう。
そんな思いを密かに胸に秘めて。
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