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インターネット字書きマンの落書き帳

   
お坊ちゃんは誘拐シチュが似合う話(みゆしば)
こんにちは、推しが誘拐され監禁されると興奮される芸人です。(挨拶)

推しの誘拐・監禁はなんぼあってもいいですからね。
今日もいっちょ誘拐しておきました。
(※この物語はフィクションなので大丈夫です)

今回はしばじゅんちゃんを誘拐しておりますが、しばじゅんちゃんは長年俺の推しを務めておりますので誘拐もすでに2,3回はしているのではないでしょうか?
健康にいいので、二桁くらいは誘拐していきたいものですね。
(※犯罪を示唆する内容ではありません)

基本的にしばじゅんちゃんは受け、みゆみゆ×しばじゅんちゃん最推し(同担は脚本家説)なので今回もそれベースにやっていきますよい!
よいよい!




『壊れた玩具をひろったので』

 目覚めた芝浦淳が最初に目にしたのは酷く殺風景な見覚えのない部屋だった。いや、部屋というのもおこがましいかもしれない。その場所は打ちっぱなしのコンクリートで四方を囲まれ何に使っていたのかさえ判別できないようなさび付いた機材などが無造作に置かれているいかにも捨て置かれた廃工場かあるいは忘れ去られた倉庫といった状態だったからだ。
 当然知らない場所でありこのような場所で過ごす友人もいなければこの手の工場や倉庫を利用する知り合いもいない。少なくとも芝浦の生活範囲では全く無縁の場所といえた。
 どうして自分がおおよそ普段近づかないような場所にいるのだろうか。そもそもここは何処なのだろう。かすかに聞こえる波の音で海沿いなのだけはわかるが外に出れば見知った場所の一つでもあるのだろうか。それを確かめるため起き上がろうとすれば身体全体に鈍い痛みが走る。見れば手足が硬く縛られ身動きがとれない状態になっていた。
 どこからか運び込まれたパイプベッドのおかげで床に転がされるような事にはなっていないが、それでも危機的状況には変わりない。どうしてこんな場所に連れ込まれてしまったのか意識を失う以前の事を思い出そうとするが大学を終え一人で帰ろうとしたあたりから記憶は酷く曖昧になっていた。
 人より酒に弱いので最近は人前で酒を飲むような事もしていないし夜道を一人歩くような事も避けていたつもりだったがこうも不自然に記憶が抜け落ちているという事は油断した隙を突いて強引に連れ去られたのだろう。殴られでもしたのかあるいは薬でも飲まされたのか頭に鈍く重い痛みが遅れてやってきた。

「何だ、もう目が覚めていたのか」

 ベッドの上から動く事も出来ずただぼんやりと室内の様子をうかがっていた芝浦の前に一人の男が現れた。 知り合いではない見覚えのない男だが一度も会った事のない相手なのかどうかまではわからない。立場上人の集まる場所へ出る事が多く挨拶を交わしただけの人間や遠巻きに眺めていただけの人間も少なからずいるからだ。
 だが芝浦の記憶に留まっていないという事は父の仕事で懇意にしているようなお偉方や大学の知り合いなどではないのだろう。

「誰だろう、って顔をしてるな。やっぱり知らないか……最も、そっちが俺を認識しているとは最初から思っちゃいないからな」

 不思議そうな顔をする芝浦に気付いたのだろう。男は自嘲するよう笑うと芝浦の前へと座る。古びたオフィスチェアーはキャスターを転がすたびに耳障りに軋む音をたてていた。

「あんた、誰だよ。全然知らないってか……どうしてこんな事までするワケ? 欲しいのは金とかなら、うちのオヤジってけっこうドライだから不必要だと思ったら俺でも切り捨てるけど」

 男の自嘲が伝染したかのように、芝浦もまた自嘲する。 芝浦は自分が芝浦家の跡取りにふさわしいよう育てられてきたという自覚はあるが同時に父親と同じような商才をもっていないというのも理解していた。父の配下には優れた才能をもっている者も多いのだから厄介ごとにばかりに関わり巻きこまれやすい自分などいつ切られたっておかしくないのだ。
 たとえ芝浦家の嫡男という肩書きがあっても、芝浦淳という個人には以前から期待されていないのだから。
 そんな芝浦の憂う表情を見て、さっきまで卑屈な笑みを浮かべていた男は急に満足げな笑みを浮かべる。それはちょうど獣が捕らえた獲物を貪り喰う時に牙をむき出すような様と同じようにみえた。

「いや、俺はもともと『おまえ』が欲しいと思ったのさ。初めて見た時から俺はおまえを自分の傍らにおいて置きたいと思った……お前が芝浦という看板を背負った身なのは知っている。だが俺はそういったものとは無関係に、一つの存在としてのおまえを慈しみたいと。そう思ったから連れてきた。どうだ? 嬉しいんじゃないのか、自分に『芝浦』の看板を押しつけない相手ってのは」

 随分と饒舌に語るがようするに自分の変態性に歯止めが利かず犯罪行為に手を染めるようなろくでなしという事だろう。 それに、『芝浦』の看板に拘らないというだけで簡単に喜ぶような子どもではもうない。少なくともこの状況でそれを喜べというのはどだい無理なはなしなのだ。

「何だよ、あんたそういう趣味? ……日本って誘拐犯だいたい捕まるらしいし、大事にならないうちに解放してくれないかな~? そうしてくれれば、俺だって悪いようにはしないよ」

 そういう趣味、と言えば芝浦自身も「そういう趣味」の人間なのだがそれでも相手は選びたい。 ましてや今の芝浦には大切に思える存在がいるのだから他の男を相手にするのはたとえ遊びや一時のものでも受け入れがたいものだった。
 最も芝浦自身がこんな思いを抱くようになるとは思ってもいなかったのだが。

「ははッ……お前だってわかってるだろう。悪いコトってのは『やれる奴』と『そうでない奴』がいる。そしてやれる奴はそうでない奴が踏みとどまった境界線を簡単に超えられるもんなんだ……お前を連れ去った時点でもう、後戻りしようと思っちゃいないさ」

 男は抑揚のない声でそう告げる。何が楽しいのかわからないが男は身体をのけぞらせ息を吸いながら笑えば古びた椅子の背もたれから耳障りな音が響いた。 そうしてしばらく笑ったあと、男はゆるゆると立ち上がり、すぐさま芝浦の脇腹を踏みつける。

「っ、うぅっ……」

 ほとんど予兆のない突然の暴力に芝浦は身をよじらせうめき声をあげる。その姿を見て、男はさも楽しそうな表情を浮かべていた。

「あぁ、やっぱりそうだ。そう、そうなんだ。俺は初めて見た時からお前を屈服させたかった。その綺麗な顔が痛みに歪んで恐怖の目で俺を見てくれればどれだけ心地よいかとずっと思っていた……期待通りの反応で嬉しいよ。これから毎日、少しずつお前の身体を壊してやるからな」

 男は陶酔したように芝浦を見る。その合間も男は芝浦の腹を踏みつけ苦痛にあえぐ表情を堪能しているようだった。 余るほど金をもつ芝浦だったから大人たちの汚い欲望というのは大概見てきたし口に出すのもおぞましい趣味をもつ人間がいるのも理解していたが、この男はどうやらそういった輩の一人らしい。ひどい虐待趣味に歯止めが利かずとうとう人間をいたぶる領域に踏み込んでしまったのだろう。
 だがわざわざ自分を選ばなくていいだろうと思う。金を払えばそういった趣味にも理解を示してくれる奴はいるはずなのだから。 そんな事を考えながら芝浦は以前出会った金持ちの言葉を思い出していた。
 その男は他人をいたぶるような趣味があり自らを「サディスト」と称し幾度かプレイを試してみたいかと誘われたことがあるのだ。 芝浦は自分がサディストなのかマゾヒストなのかは理解していなかったしそういった趣味はないと思っていたから適当にあしらったが、男からは幾度も「君はマゾ奴隷の素質がある」「怯えるような表情を見たいと思わせる顔だ」なんておおよそ褒め言葉には思えないような言葉を幾度もかけられたのだ。 彼らは生来のマゾヒストを見極める力が強いと自称するが、芝浦はどうにもそういった男に好かれる傾向があるらしい。

「……さいっていだなあんたさぁ。同意もないのにこういうプレイするとか、俺のこと躾たいみたいな顔して自分自身の躾がなってないんじゃない? そういうの嫌われるよ」

 強がる芝浦を前に、男はいっそう満足そうに笑う。

「やはりこの程度では狼狽えもしないし折れもしないか。だが……」

 男は芝浦の鼻先に携帯電話をぶら下げて見せる。それは芝浦が普段使っているものだった。当然ロックしてあるのだが、どういう訳かすでに解除されている。

「あんたさぁ、趣味悪すぎるよ。人のケータイ勝手に覗くとか……」
「別にいいだろ? お前のことは大体知ってるんだ今更プライバシーやら何やら気にするな。お前はついぞ俺に尾行(ツケ)られてる事なんか気付いてないようだったがな……さて、コイツは、お前にとって大事な相手なんじゃないのか?」

 男は鼻で笑いながら手塚の電話番号を見せる。  
 それを見た瞬間、芝浦の背に冷たいものが走った。
 こいつは頭がおかしい奴だ。すでに犯罪に手を染めている境界線を平気で飛び越すような奴なのだ。 そんな奴が手塚に対して何をするのかわかったものではないし、必要とあれば平気で殺そうともするだろう。犯罪に躊躇がなくなった人間というのはそのようなものなのだ。

「それはルール違反じゃないの? 俺に興味があるなら俺だけを見てないと、俺もあんたを見るの辞めちゃうよ~?」

 だがここで狼狽えてしまえば相手の思うつぼだろう。あくまで興味がない素振りで茶化すように言って誤魔化そうと試みる。 男は顔を歪めると通話ボタンを押してそれを芝浦の方へと差し出した。

「そうだな……それじゃ、ルール違反の詫びついでにここで一つお前にチャンスをやろう。ほら、今通話にしてやったから、助けを呼ぶチャンスだぞ。おまえの『トモダチ』に助けに来てもらえ。最も、ここに来たらすぐにぶち殺してやるけどな」

 しばらく呼び出しがあった後、電話の向こうから声が聞こえる。

「どうした、芝浦か? ……一昨日から電話が通じなかったんだが、何かあった訳じゃないよな」

 手塚の声だ。一昨日から、と言う限り芝浦が気を失ってから思ったより時間が経っていたらしい。 助けを求めてもすぐこの場所がわかるか確証はないが、手塚は城戸とも知り合いだ。捨て置かれた倉庫のような場所という乏しい情報でも芝浦がいる場所を探り当ててくれるかもしれない。 男の言葉通り、この境遇から逃げ出せるチャンスなのだろう。

「あ、て……手塚? いやー、ごめん心配かけちゃった? ちょっと急ぎのレポート一つ忘れててずっと部屋に籠もってたからさ。流石にヤバいと思って携帯切ってたの忘れて、今連絡してみたんだ。特にそっち変わった様子とかない?」
「俺か? ……いつも通りだ。そっちは大丈夫なんだな」
「ヘーキヘーキ。あ、でもさ……しばらくオヤジの仕事で挨拶回りも入るし課題もたまっちゃってるから、そっち行けないかも。ごめんなー」

 だが、言えなかった。
 もし手塚に危険が及ぶとなったらきっと一生後悔する。手塚を傷つけていいのは自分だけだし、もし手塚を殺す人間がいるとしたら自分がいい。
 芝浦はそんな独占欲を持つ男だった。
 男は電話を切ると、忌々しそうな目を芝浦に向ける。

「やはり助けを求めなかったな。そんなにこいつが大事なのか」
「あんたには関係ないでしょそれ。さ、好きにやっちゃっていいよ。痛いのも辛いのも正直好きじゃないけど、そういうプレイの経験がないって訳でもないからねー」

 芝浦はどこか吹っ切れたようにベッドで仰向けになる。
 自分は何をされたっていい。それで手塚が守れるならそれでいいと思ったし、それだけで殺されてもいいと思える程度に彼を愛していたから。
 覚悟を決めた顔になる芝浦を見た男の表情から笑みは消える。
 それは壊そうと思っていた人形が最初から壊れていたので拍子抜けしたような間抜け面に芝浦にはみえていた。

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東吾
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インターネット駄文書き
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ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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