インターネット字書きマンの落書き帳
めたるげらすが見てるぞ(みゆしば・BL)
平和な世界線で普通に付き合ってる手塚×芝浦の話をします。
(挨拶をかねた幻覚の説明)
今回は以前書いた作品を蔵出しするコーナーに従事します。
以前は他のSNSにupしてたんですけどね、そのSNSがなんかど派手な流出事件をおこしたので、引き上げてきた作品の一つですゾイ。
内容は、クレーンゲームでとったデカめのサイのぬいぐるみに「めたるげらす」と名付けた芝浦がめたるげらすに愛着をもってしまう話です。
要約すると、ただのスケベな話だよ!
(挨拶をかねた幻覚の説明)
今回は以前書いた作品を蔵出しするコーナーに従事します。
以前は他のSNSにupしてたんですけどね、そのSNSがなんかど派手な流出事件をおこしたので、引き上げてきた作品の一つですゾイ。
内容は、クレーンゲームでとったデカめのサイのぬいぐるみに「めたるげらす」と名付けた芝浦がめたるげらすに愛着をもってしまう話です。
要約すると、ただのスケベな話だよ!
『めたるげらすが見てる』
今、手塚の部屋には抱えるほど大きなサイの形をしたぬいぐるみが置かれていた。
それは学校帰りにゲームセンターに寄った芝浦がクレーンゲームでとってきたぬいぐるみで、何でも人気ゲームのキャラクターなのだという。一見すると二足歩行をしている犀のように見え、可愛いとも格好いいともつかない顔をしていたが、芝浦にとっては贔屓キャラの一人(?)らしく、大切に育てゲームをクリアするまで連れて行ったほど思い入れがある存在なのだという。一応、ゲームの中でも名前のようなものがあるようだったが、芝浦は勝手にメタルゲラスと名付けて可愛がっていた。
最近の芝浦は、手塚の部屋でゲームをする時に隣に手塚が来てなければ代わりにメタルゲラスを抱いてゲームをしていたし、芝浦がシャワーを浴びに行く時などは「俺がいないと寂しいでしょ?」などと笑いながら手塚の隣にメタルゲラスを置いて行く。
家に帰る前には「これを俺だと思って大事にしてくれよな」などと宣いながらわざわざソファーの上にメタルゲラスを座らせて行ったり、時には手塚の服がメタルゲラスに着せられていたりするのだ。
手塚は家賃のわりに広いアパートに住んでいるのだが、小型犬ほどありそうなメタルゲラスのぬいぐるみが部屋にあるというのは思ったより圧が強い。もっと言ってしまえば邪魔でしかないのだが、何度芝浦に家に持って返るように告げても「だってメタルゲラスは俺の代りだし。手塚、俺がいないと寂しいだろ?」なんて、悪びれる様子もなく笑って持って帰る気配はない。
手塚の家に置いておきたいというより、ぬいぐるみにしてはかなり大きいモノなので持って帰るのが億劫になっているというのが本音だろう。
置き場所なら、芝浦の家の方がよっぽど広いだろうし、部屋数もあるというのにどうして狭い手塚の家におくのだろうとは思うが、が置いて行かれたメタルゲラスを雑に扱うのも申し訳ない気がするので、手塚はやむなくその大きなぬいぐるみ、メタルゲラスを、寝室へ置くようになっていた。
リビングに置いておくにしては圧が強いし、目鼻がついてるぬいぐるみに常に見られている気がして落ち着かない。だからといって押し入れに押し込めれば芝浦に何を言われるか分かったものでもない。捨てたりしたらきっと怒り散らした後、捨てた場所に拾いに行くと駄々をこねるだろう。
そうして色々考えた結果、寝室に置く事にした。寝室ならそれほど気にならないし、寝る前に頭くらい撫でてやれば芝浦も一応は納得するだろうと思ったからだ。
ぬいぐるみのメタルゲラスは手塚のおはようを見つめ、そしておやすみまでじっとその場にいる。そんな暮らしをはじめてから、一ヶ月近くが過ぎた。
「はぁー、サッパリした……あれ? そういえばリビングにメタルゲラスいないじゃん。何処やったの?」
シャワーを浴びた後、芝浦はリビングを見渡しそんな事を言う。
いつもだったら部屋に来てすぐに寝室からメタルゲラスを引っ張り出しリビングにおくまでが芝浦のルーチンになっていたが、今日は外が冷えていたから先にシャワーを浴びてきたため、メタルゲラスはまだ寝室に置きっ放しだった。
「メタルゲラスならいつも通り、寝室においてある」
「何だよー、俺が来てるならリビングに出しておいてくれてもいいじゃん……ま、いいか。メタルゲラス迎えにいこっと」
寝室に向う芝浦を見て、手塚もまたその後を追う。
今日は食事も終っているし、このまま一緒に眠ってもいいだろうと考えていたからだ。
「あ、メタルゲラスいた。じゃ、一緒に行こうなー、メタルゲラス」
置きっ放しになっていたメタルゲラスを抱き上げリビングに戻ろうとする芝浦を、寝室へと押し返す。
「ちょ、何すんだよ手塚っ……」
メタルゲラスを抱いたまま、芝浦は寝室へ。そしてベッドへ追い遣られる。 その声は驚きと戸惑いに、僅かな期待が入り混じっていた。
「……何をすると思う、淳?」
ベッドの上で名を呼べば、芝浦の表情から戸惑いは消え、かわりに期待と羞恥から頬が見る間に赤くなる。 最近はセックスする時だけ、意識的に芝浦の名を呼ぶようにしていた。日常ではあくまで芝浦だが、ベッドの上では徹底して淳と名前で呼び続けていた甲斐もあってか、最近の芝浦は名前を呼ばれるという意味をよく理解しているようだ。
「えっ……ちょ、ダメ……いや、ダメじゃないけどさ。早くない?」
「じゃぁ、やめるか」
「ヤダヤダヤダ! まってやめないでって……ん……大丈夫、準備できてるし……好きにしていいからさ……」
芝浦は顔を赤くしながら、ベッド上で仰向けになる。本当に何をしてもいいのだろう、手塚に全てを委ねるように力の抜けた身体から、抱いていたぬいぐるみが落ちる。手塚は落ちたぬいぐるみを元の場所へと戻すと、ついでにと電気を消した。
暗くなっても勝手知ったる自分の部屋だ。うっすらと浮ぶ輪郭と芝浦の吐息を頼りにベッドへ向えば、すぐに恋人の暖かな身体に触れる。その瞬間、理性が弾けたように彼の身体を貪っていた。
唇を重ね、舌を舐り、首筋を、身体を……文字通りしゃぶり尽くすように抱く。
「んっ……海之っ……ぁ……あっ……」
甘い吐息が口から零れる。 普段は互いを名前で呼ぶ事がない二人だが、ベッドの上だけは特別だからと名前を呼び合うようにしたのだが、その特別さ。二人だけの秘密のようなものがかえって昂ぶらせた。
「あっ……ちょ、ちょっとまって……まって、海之っ。まって……まって……」
シーツを握りしめながら、しきりに芝浦は懇願する。 普段はあまり焦らされるのが好きではない方だから待って欲しいというのは珍しいと思い。
「どうした? ……何かあったのか」
不思議に思って問いかければ、その返答は思いがけぬものだった。
「あ、あのさ! ……メタルゲラス見てるから。メタルゲラス、後ろに向けてくんない?」
「……何だって?」
「だからっ、メタルゲラス見てるから! えっちしてるの見られてると思うと恥ずかしいじゃん……」
手塚が暗がりに目をこらせば、たしかに件のぬいぐるみ……メタルゲラスはこちらを向いているような気がする。
「……ぬいぐるみだろう、あれは」
「そうだけどさ、もう一緒に生活してるからなんか情が移っちゃって……メタルゲラスに見せちゃいけない気がするじゃん。こういう大人の秘密ってさ」
メタルゲラスの事を自分の子供のように感じ始めているのだろうか。 だが手塚もあのメタルゲラスに対する圧のようなものは日々感じていたので、視線が気になるという気持ちは分からないでもない。
「わかった……少し待ってろ」
手探りでメタルゲラスの姿を探ってそれを壁に向け戻れば芝浦は幾分か安心した様子を見せた。
「ありがと。へへ……こんな事気にするとか、面倒くさいと思った? それとも、ガキっぽいって思ったかな?」
「そうだな……」
後ろを向けたメタルゲラスの様子をちらりと伺ってから、手塚は微かに笑っていた。
「淳、お前は子供っぽいし面倒くさい奴だが……誰よりも可愛いし、誰よりも愛おしい。俺が言えるのはそれだけだな」
そして芝浦が何か言う前に、唇を重ねて黙らせる。 芝浦は最初、何かを訴えるようにもごもごと口を動かしていたがすぐに諦めたように静かになると手塚とキスへと没頭していく。
二人で夜に溶け合いながらも、手塚は少し考える。そろそろあのぬいぐるみを、芝浦の家に持ち帰らせないと自分も集中できなくなりそうだから、今度こそ持ち帰ってもらおうと。
手塚のそんな思いも知らず、ぬいぐるみは壁を向けられたまま静かに置かれていた。
今、手塚の部屋には抱えるほど大きなサイの形をしたぬいぐるみが置かれていた。
それは学校帰りにゲームセンターに寄った芝浦がクレーンゲームでとってきたぬいぐるみで、何でも人気ゲームのキャラクターなのだという。一見すると二足歩行をしている犀のように見え、可愛いとも格好いいともつかない顔をしていたが、芝浦にとっては贔屓キャラの一人(?)らしく、大切に育てゲームをクリアするまで連れて行ったほど思い入れがある存在なのだという。一応、ゲームの中でも名前のようなものがあるようだったが、芝浦は勝手にメタルゲラスと名付けて可愛がっていた。
最近の芝浦は、手塚の部屋でゲームをする時に隣に手塚が来てなければ代わりにメタルゲラスを抱いてゲームをしていたし、芝浦がシャワーを浴びに行く時などは「俺がいないと寂しいでしょ?」などと笑いながら手塚の隣にメタルゲラスを置いて行く。
家に帰る前には「これを俺だと思って大事にしてくれよな」などと宣いながらわざわざソファーの上にメタルゲラスを座らせて行ったり、時には手塚の服がメタルゲラスに着せられていたりするのだ。
手塚は家賃のわりに広いアパートに住んでいるのだが、小型犬ほどありそうなメタルゲラスのぬいぐるみが部屋にあるというのは思ったより圧が強い。もっと言ってしまえば邪魔でしかないのだが、何度芝浦に家に持って返るように告げても「だってメタルゲラスは俺の代りだし。手塚、俺がいないと寂しいだろ?」なんて、悪びれる様子もなく笑って持って帰る気配はない。
手塚の家に置いておきたいというより、ぬいぐるみにしてはかなり大きいモノなので持って帰るのが億劫になっているというのが本音だろう。
置き場所なら、芝浦の家の方がよっぽど広いだろうし、部屋数もあるというのにどうして狭い手塚の家におくのだろうとは思うが、が置いて行かれたメタルゲラスを雑に扱うのも申し訳ない気がするので、手塚はやむなくその大きなぬいぐるみ、メタルゲラスを、寝室へ置くようになっていた。
リビングに置いておくにしては圧が強いし、目鼻がついてるぬいぐるみに常に見られている気がして落ち着かない。だからといって押し入れに押し込めれば芝浦に何を言われるか分かったものでもない。捨てたりしたらきっと怒り散らした後、捨てた場所に拾いに行くと駄々をこねるだろう。
そうして色々考えた結果、寝室に置く事にした。寝室ならそれほど気にならないし、寝る前に頭くらい撫でてやれば芝浦も一応は納得するだろうと思ったからだ。
ぬいぐるみのメタルゲラスは手塚のおはようを見つめ、そしておやすみまでじっとその場にいる。そんな暮らしをはじめてから、一ヶ月近くが過ぎた。
「はぁー、サッパリした……あれ? そういえばリビングにメタルゲラスいないじゃん。何処やったの?」
シャワーを浴びた後、芝浦はリビングを見渡しそんな事を言う。
いつもだったら部屋に来てすぐに寝室からメタルゲラスを引っ張り出しリビングにおくまでが芝浦のルーチンになっていたが、今日は外が冷えていたから先にシャワーを浴びてきたため、メタルゲラスはまだ寝室に置きっ放しだった。
「メタルゲラスならいつも通り、寝室においてある」
「何だよー、俺が来てるならリビングに出しておいてくれてもいいじゃん……ま、いいか。メタルゲラス迎えにいこっと」
寝室に向う芝浦を見て、手塚もまたその後を追う。
今日は食事も終っているし、このまま一緒に眠ってもいいだろうと考えていたからだ。
「あ、メタルゲラスいた。じゃ、一緒に行こうなー、メタルゲラス」
置きっ放しになっていたメタルゲラスを抱き上げリビングに戻ろうとする芝浦を、寝室へと押し返す。
「ちょ、何すんだよ手塚っ……」
メタルゲラスを抱いたまま、芝浦は寝室へ。そしてベッドへ追い遣られる。 その声は驚きと戸惑いに、僅かな期待が入り混じっていた。
「……何をすると思う、淳?」
ベッドの上で名を呼べば、芝浦の表情から戸惑いは消え、かわりに期待と羞恥から頬が見る間に赤くなる。 最近はセックスする時だけ、意識的に芝浦の名を呼ぶようにしていた。日常ではあくまで芝浦だが、ベッドの上では徹底して淳と名前で呼び続けていた甲斐もあってか、最近の芝浦は名前を呼ばれるという意味をよく理解しているようだ。
「えっ……ちょ、ダメ……いや、ダメじゃないけどさ。早くない?」
「じゃぁ、やめるか」
「ヤダヤダヤダ! まってやめないでって……ん……大丈夫、準備できてるし……好きにしていいからさ……」
芝浦は顔を赤くしながら、ベッド上で仰向けになる。本当に何をしてもいいのだろう、手塚に全てを委ねるように力の抜けた身体から、抱いていたぬいぐるみが落ちる。手塚は落ちたぬいぐるみを元の場所へと戻すと、ついでにと電気を消した。
暗くなっても勝手知ったる自分の部屋だ。うっすらと浮ぶ輪郭と芝浦の吐息を頼りにベッドへ向えば、すぐに恋人の暖かな身体に触れる。その瞬間、理性が弾けたように彼の身体を貪っていた。
唇を重ね、舌を舐り、首筋を、身体を……文字通りしゃぶり尽くすように抱く。
「んっ……海之っ……ぁ……あっ……」
甘い吐息が口から零れる。 普段は互いを名前で呼ぶ事がない二人だが、ベッドの上だけは特別だからと名前を呼び合うようにしたのだが、その特別さ。二人だけの秘密のようなものがかえって昂ぶらせた。
「あっ……ちょ、ちょっとまって……まって、海之っ。まって……まって……」
シーツを握りしめながら、しきりに芝浦は懇願する。 普段はあまり焦らされるのが好きではない方だから待って欲しいというのは珍しいと思い。
「どうした? ……何かあったのか」
不思議に思って問いかければ、その返答は思いがけぬものだった。
「あ、あのさ! ……メタルゲラス見てるから。メタルゲラス、後ろに向けてくんない?」
「……何だって?」
「だからっ、メタルゲラス見てるから! えっちしてるの見られてると思うと恥ずかしいじゃん……」
手塚が暗がりに目をこらせば、たしかに件のぬいぐるみ……メタルゲラスはこちらを向いているような気がする。
「……ぬいぐるみだろう、あれは」
「そうだけどさ、もう一緒に生活してるからなんか情が移っちゃって……メタルゲラスに見せちゃいけない気がするじゃん。こういう大人の秘密ってさ」
メタルゲラスの事を自分の子供のように感じ始めているのだろうか。 だが手塚もあのメタルゲラスに対する圧のようなものは日々感じていたので、視線が気になるという気持ちは分からないでもない。
「わかった……少し待ってろ」
手探りでメタルゲラスの姿を探ってそれを壁に向け戻れば芝浦は幾分か安心した様子を見せた。
「ありがと。へへ……こんな事気にするとか、面倒くさいと思った? それとも、ガキっぽいって思ったかな?」
「そうだな……」
後ろを向けたメタルゲラスの様子をちらりと伺ってから、手塚は微かに笑っていた。
「淳、お前は子供っぽいし面倒くさい奴だが……誰よりも可愛いし、誰よりも愛おしい。俺が言えるのはそれだけだな」
そして芝浦が何か言う前に、唇を重ねて黙らせる。 芝浦は最初、何かを訴えるようにもごもごと口を動かしていたがすぐに諦めたように静かになると手塚とキスへと没頭していく。
二人で夜に溶け合いながらも、手塚は少し考える。そろそろあのぬいぐるみを、芝浦の家に持ち帰らせないと自分も集中できなくなりそうだから、今度こそ持ち帰ってもらおうと。
手塚のそんな思いも知らず、ぬいぐるみは壁を向けられたまま静かに置かれていた。
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