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インターネット字書きマンの落書き帳

   
好き避けをする、ひどい事したいタイプのみゆみゆ(みゆしば/BL)
平和な世界線で普通に付き合ってる手塚×芝浦の話をします。(挨拶を兼ねた幻覚の説明)

今回はタイトル通り。
好きだからこそ大事にしたいと思っているけど、逆にどうしていいかわからない手塚がつい、芝浦を避けてしまい、それに気付いた芝浦がメチャクチャに拗ねる話をしていますぞい。

これも以前書いたネタの蔵出しですが多少加筆修正もしてますのでよろしかったら楽しんでいってください♥

蔵出しがいくつあるのか……。
実の事をいうと、本気で蔵を開ければまだ50本くらい残っていると思うので、何というか……程ほどに開けていきたいと思います♥



『愛しいから、したくなる』

 いかにも不機嫌そうに床の上で暫くゴロ寝をしていた芝浦は、突然起き上がると

「やっぱり思ったんだけど。手塚さぁー、最近俺の事避けてるよね?」

 手塚に向って指先を突き出しながら、そう迫ってきた。その目には苛立ちと憤りの色がはっきり光っている。

「避けている? いや、別にそんなつもりは無いが……」

 ソファーに座りながら淹れたてのハーブティーを啜る手塚の隣に移動すると、芝浦はさらに迫ってくる。その顔は吐息がかかるほど近づいていた。

「そうやって涼しい顔してしらばっくれるのとか無しだからね? ……前は1日に1度はメールしてくれてたけど、最近は返事も遅いし」
「あぁ、それは悪かった。少しばかり込み入った案件が入っていてな……」
「以前、一緒に昼飯食おうって約束たのに、最近は先に食べちゃってる事も多いだろ?」
「それは、お前が遅かったから今日は来ないのかと思って先に済ませただけだ。タイミングが悪かったし、確認しなかった俺も悪かったがそれだけの事だろう」
「それにさぁ……前は俺が部屋にいれば抱きしめてくれてたのに、今はそれだってしてくれないじゃん」
「何だ、それで拗ねてるのか。抱きしめて欲しいのなら言ってくれ。ほら」

 手塚は芝浦の身体を引き寄せると、背後から強く抱きしめる。だが芝浦は、いかにも不服そうに口を尖らせるばかりだった。

「前はそういうの、言わなくてもやってくれてたじゃん……何だってんだよホントさぁ……」

 芝浦は哀しげに目を伏せる。
 その言葉にはさっきまでの勢いは殆ど感じられず、今にも泣き出しそうな子供のように見えた。

「俺、あんたに嫌われたらどうしたらいいか分かんないんだよ……どうしたらあんたが俺の事、もっと好きになってくれるんだ……俺、あんたに何をしたらいいのか……どうしたらあんたが喜んでくれるのか、全然分んない……あんたはいつも何も言ってくれないから、俺もうどうしたらいいかわかんないって……」

 握った手はより強く、手塚の手に爪が食い込む。
 手塚は、芝浦の事を奔放で自由な男だと思っていた。
 自分に縛られなくとも誰とでも親しく付き合う事が出来て、自分から離れてもきっとすぐに他に、良い相手を見つける事が出来ると。
 むしろ根無し草のように生き、行き交う人々を相手に占いなんて商売をしている自分よりよっぽど条件のいい相手を見つける事が出来る立場だろう。
 顔もいいし、育ちも良い。少しばかりいい性格をしているのは玉に瑕だろうが、それだって実際付き合ってみれば可愛いものだというのを手塚は良く知っている。
 だから手塚はどこか、芝浦なら自分じゃなくとも大丈夫だろうと。自分がいなくともすぐに自分の事など忘れて立ち直り、新しい道を歩けるのではないかと考えていた。
 だが……。

「手塚、俺の事嫌いになってないよな? 俺さ、手塚が好きになるよう何でもするから。あんたにとってイヤな所あったら頑張って直すし。あんたがしてほしい事あったら何だってしてやるから。だから。だからさぁ……俺の事、嫌いにならないでくれよ。なぁ……」

 そう言って必死に縋る芝浦の姿は痛々しい程だった。
 芝浦は一人に囚われるような性格ではないと勝手に思っていたが、それは大きな勘違いだったようだ。芝浦は身勝手で奔放だが束縛が強く、一人にのめり込み、骨の髄まで愛する人間に捧げる事が出来る。そんな深く、重い愛情を一身に捧げるタイプで、決して軽い男ではない。
 心変わりで去られるくらいなら、相手を殺して自分も死ぬ。
 そういう根深い愛情に縛られていくような感覚を、手塚ははっきりと抱いていた。
 最も、それをさして重いとも、嫌だとも思っていない。むしろもっと、骨の髄まで自分を愛し、自分を縛って、自分だけを見て欲しい。 心のどこかでそれを望んでいるのだから、手塚にとっては似合いの男なのだろうが。

「……確かに俺は、最近少しばかりお前を避けていた。認めよう」
「やっぱり! 何でだよっ、何でそんな事するんだよっ。急に余所余所しくなって、俺がどれだけ寂しい思いしたと思ってんだよ! どうしてそんな事っ……他に好きな奴が出来たのかよっ!」

 矢継ぎ早にそう語る芝浦の口を人差し指で留めると、手塚は小さく息をついてから彼へと向き直る。

「誤解される前に言っておくが、他に好きな相手が出来たというワケじゃない。俺はお前と付き合ってから、ずっとお前だけが好きだしお前の事だけを考えてる。お前だけを、愛しているからな」
「……っ、だったら、何で」
「怖かったから……だな」

 手塚の言葉、その意味を計りかねるといった様子で芝浦はじっとその目を見る。その視線に急かされるよう、手塚はぽつり、ぽつりと自分の思いを語り始めた。

「日に日に、お前という人間を知るたび、お前の事を可愛いと思うようになっていく……お前の言葉はいつも俺によく響くし、お前とのキスは今までした相手の誰よりも心地いい。身体の方もな。多分、俺とおまえはかなり相性がいい。お前を抱くとつい貪り、溺れ、のめり込んでしまう……」
「なぁんだよ……それは俺だって同じだし……」
「……だがのめり込んでいくうちに、どんどんもっと欲しいと。もっと試したいと思ってしまうんだ。お前の身体はかなり良い上に、お前は覚えがいいからな。だから、その。つまり……何と言えばいいのか……」
「何だよ、ハッキリ言ってくれないと分んないんですけど?」

 手塚は一瞬視線をそらすが、すぐに芝浦の目を見据えると。

「このままだと、俺はお前にもっと酷い事をしたくなる。そうなったら、お前を壊してしまいそうで……そんな事をする俺を軽蔑して、恐れられ、嫌われるのが怖くて……そういう思いを少しでも制するために時間が必用だと思って、意図的にお前を遠ざけていた。それでお前を不安にさせてたのなら……本当に悪かった。せめて何か言っておけばよかったが……何を言えばいいのか、思いつかなくてな」

 そう告げると、手塚は深いため息を一つついた。 自分でも酷く恥ずかしい事を言っている自覚もあったし、そんな思いを秘めているという事だけで軽蔑に値するのではないかという不安もあったからだ。だが芝浦は特に驚いた様子を見せる事もなく手塚の顔をのぞき込むと、上目遣いで問いかける。

「ホントにそれだけ? ……俺の事嫌いになったワケじゃなくて」
「本当にそれだけだ。いや、俺にとっては結構な悩みだったんだがな……」
「そんな事……」

 と、そこで芝浦は手塚の両手をとると、自分の首に触れさせる。 それはちょうど、首を絞めるような仕草だった。

「俺は、手塚にだったら何されてもいいよ。手塚にだったらどんな酷い事されてもいい。壊れるくらいの事も全然平気だし、何ならこのまま、首を絞めて殺してくれたってかまわないから」

 淡く笑うその顔は、無邪気な笑顔だがそれ故に本気なのだと分る。 芝浦は本心から、手塚になら殺されてもいいと思っているのだろう。逆説的に言えば、芝浦は手塚だけは他の誰かではなく自分が殺してやりたいと思っているのかもしれないが。

「だからもう俺と距離を置くとか、そういうのナシな? ホント、あんたが相手にしてくれなくてどれだけ心配したか……」
「それは、悪かった。お前に嫌われると思ったら言い出せなかったんだが……そうだな。お前を信じて、もっときちんと話をしておくんだったな」

 と、そこで芝浦は手塚に顔を近づけると、悪戯っぽく笑って見せる。

「そ、れ、で……海之ちゃんは俺にどーんな酷い事したかったのかなー? 正直、あんたが俺に酷い事したいなんて思ってもみなかったし、どんな酷い事してくれるのか、そっちの方が興味あるんだけど?」

 その言葉を待っていたかのように手塚は芝浦の身体を押さえつけソファーに押し沈めると、微かに笑い唇を舐めた。

「さぁ、どんな酷い事をすると思う? ……焦るな。お前が『いい』と言ったんだ……望み通りにしてやる。今、すぐにな」
「えっ? ちょ……手塚? お前そんな顔するんだ……まって、まって。俺、準備が……できてるけど。心の準備がっ……」
「……待てない。ずっとガマンしていたんだからな」

 手塚はそのまま唇を重ねる。
 普段より熱く激しく、貪るような唇に二人は互い秘めていた熱情を感じ、思うのだ。やはり自分たちは相性がいい、似たもの同士なのだろうと。

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インターネット駄文書き
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