インターネット字書きマンの落書き帳
親バレを怯えるしばじゅんちゃんの話(みゆしば・BL)
平和な世界線で普通につきあっている手塚と芝浦の話を延々とするアカウントです。
(いつもの自己紹介)
この話はいつか同人誌にする時、後半に入れて落ちとして結ぶ用に書いた話なんですが……。
結局同人誌にする機会もなく、お蔵入りにしていた作品ですがみゆしばを楽しんでくれる人が令和にもいる! ということなので……ありがてぇ!
そんな気持ちで蔵出しをいたしマッスル。
今回のお話は、昨日書いたネタのつづき。
親バレしたかもしれない!
内心それで慌ててしまう芝浦と、そんな芝浦の動揺も受け入れる手塚の話をしておりますぞい。
二次創作はいつも自分の妄想特大大盛りパーティ……!
(いつもの自己紹介)
この話はいつか同人誌にする時、後半に入れて落ちとして結ぶ用に書いた話なんですが……。
結局同人誌にする機会もなく、お蔵入りにしていた作品ですがみゆしばを楽しんでくれる人が令和にもいる! ということなので……ありがてぇ!
そんな気持ちで蔵出しをいたしマッスル。
今回のお話は、昨日書いたネタのつづき。
親バレしたかもしれない!
内心それで慌ててしまう芝浦と、そんな芝浦の動揺も受け入れる手塚の話をしておりますぞい。
二次創作はいつも自分の妄想特大大盛りパーティ……!
『それが彼らの選択である』
ベッドの中で身じろぎすると、芝浦は不意に顔をあげ手塚の方を見た。
「あのさ、まだ確定ってワケじゃないんだけど……一応、手塚にも言っておこおうかな、と思って」
「どうした、何かあったのか?」
今日は最初から何か考え事をしている様子が芝浦からは多分に見受けられた。それでも中々話を切り出そうとはせず、明け方も近くなりようやく神妙な顔をして言うようなことだから、よほど大ごとなのだろう。
そう思い芝浦を見据えれば、芝浦は少し俯いた後意を決したようにこう口にした。
「……オヤジにバレたかもしれない」
手塚の思考が一瞬、止まる。
バレた、というのが何の事なのだか考えるのが恐ろしかったからだ。
手塚と芝浦が恋人同士として付き合ってから幾分か経つが、あまりそれを周囲に話していない。特に聞かれない限りは言わないし言いたくない相手に教える必用もないというスタンスでいるため二人の仲を知る者はごく親しい人間だけに殆ど限定されていた。
特に芝浦は資産家の一人息子という立場だ。いずれは父の後継者となるのを期待された身であり、学業の傍ら経営者としてのノウハウを半ば強制的に学ばされているというのは手塚も何度か聞いている。
跡取りとして期待されているという事は将来的に結婚し子供を持つ事を期待されているという事だろう。
まさか自身が同性しか愛せず、結婚は考えていないなど芝浦の口から告げる事が出来るはずもなかった。
故に芝浦は、特に家族に対して自分の交友関係をあまり話していなかった。
恋人がいると思われるだけでも芝浦家の人間として相応しいのかとあれこれ詮索されるので、常に交友はボカしてはぐらかすようにしていたし他人と深い付き合いを避けてきたのもそういった理由からだ。
「バレた、というのは俺の事をお前の親御さんも知っている、という事か」
だがここで自分が狼狽えては芝浦を心配させてしまうだろう。手塚は努めて冷静に振る舞うと一呼吸置いてから静かな口調で聞く。強い口調にならないよう気を遣ったのは芝浦が極端なまでに父の存在を恐れているのを知っていたからだ。
本当は一番焦っているはずの芝浦を前に、自分まで取り乱してはいけない。
芝浦を不安にさせないように振る舞うのが今の自分に出来る事だと手塚は思っていた。
「あぁ……いや、多分、手塚の事は知らないと思う。ただ、何となく……オヤジ、俺に恋人が出来たのに気付いてるかな……ってくらいで。相手がお前だってことも、ましてや俺が男じゃないとダメだって事までは気付いてないと思うんだけどさ」
芝浦は身体を起こすと、髪をかき上げる。
つとめて明るく振る舞ってはいるが、内心は不安が脱ぐいきれないのだろう。ベッド脇においたペットボトルをとる手が微かに震えているのが見えた。
「ただ、突然言われたんだよね。あまり一人にのめり込むな、とか……深入りするまえに手を切れ。って……元々さ、俺って大学入る前は恋愛禁止で男子校に通ってたワケだし。大学に入ってからも遊びはいいけど恋愛は避けろ、ってよく言われててさ。来るべき時が来たら、結婚相手もオヤジが選ぶからって感じで……俺もどうせ決まってるなら恋愛なんて無理にする必用ないかなーとか思ってたんだけど……」
ペットボトルの茶を飲むと、それをまたベッド脇に戻す。
「……あんたの事好きになっちゃったんだよね」
そしてどこか悲しそうに笑って見せた。
芝浦がやけに能弁な時は、それだけ不安な時だ。まだ何も知られてない、という芝浦の憶測は恐らく正しいのだろうが、このまま続けていればいずれ知られるというのは容易に推測された。
「どうしてお前の父親は感づいたんだ」
噂がどこからか漏れたのか。そう思って聞いてみたが。
「たぶん、何となく。勘……だと思う。いや、俺のオヤジって昔から人の言葉とか態度で、人の嘘偽りを見抜くような観察力っての? そういうのがズバ抜けてんだよね。だから俺の行動に、ちょっと違和感あったからカマかけてみたんじゃないかな。目聡いというか何というか、人を推し量るのばっかり得意なんだよ、あの人」
どうやら芝浦の父親は思っていた以上の難物のようだ。
最も、芝浦も人の様子や所作などで相手の気持ちを推し量りそれを利用する力はかなり高い。まだ考えが青臭く脇が甘くなり手痛いしっぺ返しを喰らう事もあるが、勘の良さは血筋なのだろう。
「だから別にすぐに何があるとか……オヤジが何かしてくるって事はないと思うんだけど……」
芝浦はそこで口を噤む。
今暫くは何もないが、これから何もおこらない保証はないという事だろう。
「……俺、どうしたらいいんだろうな」
ややあって、芝浦はぽつりとそう呟いた。
芝浦家の跡取りとしての期待。これから必ず訪れる結婚問題。同性しか受け入れられない自分の嗜好。今付き合っている手塚とのこと。答えの出ない思考に取り憑かれ、悩んでいるのだろう。
「お前がしたいようにすればいい」
手塚はそんな芝浦を抱き寄せると、その耳元で囁く。
身体を起こしていたからだろう。冷たい室温に晒された芝浦の身体は随分と凍えていた。
「……俺のしたいように?」
「あぁ、お前が望むようにだ。大事なのはお前の親の言う事じゃない。お前が、自分のしたい事を選んでする事……そうだろう? お前は、これからどうしたい?」
「そんなの、手塚とずっと一緒にいたいに決まってんだろ」
迷いのない答えに、手塚は安心したような笑みで芝浦の身体を抱きしめた。
「だったらそうすればいい。お前が俺を愛し、傍にいたいと思うなら俺はそれにこたえる。何があっても、どうなっても……俺はお前の傍にいる。どんな事をしてでも、必ずお前の隣にいる。だから何も心配するな。その先にどんな苦労があっても、俺はそれを覚悟しているからな」
「手塚……」
「最も、おまえにいまさら『嫌だ』と言わせるつもりもないんだがな……いいか、淳。おまえはもう俺の恋人であり、俺はお前の髪の毛一本から爪一欠片だって誰かにくれてやるつもりは無い。お前も覚悟しておけ……俺に愛されるとは、そういう事だ」
手塚の言葉に、芝浦はどこか安心したように笑う。
「あー、そうだった。アンタってドライに見えてかなり重い奴だから……俺じゃないと受け入れきれないもんね」
それはつまり芝浦も同じくらい重い男だという意味だが、それはお互い分っている事だ。
嬉しそうに抱きついてくる芝浦を抱きしめ返すと、手塚は自然と唇を重ねた。
その唇は自分の気持ちに嘘偽りがないということ。そして、何があっても決して芝浦の事を諦めて手放す事はしないという、覚悟の意味が込められていた。
ベッドの中で身じろぎすると、芝浦は不意に顔をあげ手塚の方を見た。
「あのさ、まだ確定ってワケじゃないんだけど……一応、手塚にも言っておこおうかな、と思って」
「どうした、何かあったのか?」
今日は最初から何か考え事をしている様子が芝浦からは多分に見受けられた。それでも中々話を切り出そうとはせず、明け方も近くなりようやく神妙な顔をして言うようなことだから、よほど大ごとなのだろう。
そう思い芝浦を見据えれば、芝浦は少し俯いた後意を決したようにこう口にした。
「……オヤジにバレたかもしれない」
手塚の思考が一瞬、止まる。
バレた、というのが何の事なのだか考えるのが恐ろしかったからだ。
手塚と芝浦が恋人同士として付き合ってから幾分か経つが、あまりそれを周囲に話していない。特に聞かれない限りは言わないし言いたくない相手に教える必用もないというスタンスでいるため二人の仲を知る者はごく親しい人間だけに殆ど限定されていた。
特に芝浦は資産家の一人息子という立場だ。いずれは父の後継者となるのを期待された身であり、学業の傍ら経営者としてのノウハウを半ば強制的に学ばされているというのは手塚も何度か聞いている。
跡取りとして期待されているという事は将来的に結婚し子供を持つ事を期待されているという事だろう。
まさか自身が同性しか愛せず、結婚は考えていないなど芝浦の口から告げる事が出来るはずもなかった。
故に芝浦は、特に家族に対して自分の交友関係をあまり話していなかった。
恋人がいると思われるだけでも芝浦家の人間として相応しいのかとあれこれ詮索されるので、常に交友はボカしてはぐらかすようにしていたし他人と深い付き合いを避けてきたのもそういった理由からだ。
「バレた、というのは俺の事をお前の親御さんも知っている、という事か」
だがここで自分が狼狽えては芝浦を心配させてしまうだろう。手塚は努めて冷静に振る舞うと一呼吸置いてから静かな口調で聞く。強い口調にならないよう気を遣ったのは芝浦が極端なまでに父の存在を恐れているのを知っていたからだ。
本当は一番焦っているはずの芝浦を前に、自分まで取り乱してはいけない。
芝浦を不安にさせないように振る舞うのが今の自分に出来る事だと手塚は思っていた。
「あぁ……いや、多分、手塚の事は知らないと思う。ただ、何となく……オヤジ、俺に恋人が出来たのに気付いてるかな……ってくらいで。相手がお前だってことも、ましてや俺が男じゃないとダメだって事までは気付いてないと思うんだけどさ」
芝浦は身体を起こすと、髪をかき上げる。
つとめて明るく振る舞ってはいるが、内心は不安が脱ぐいきれないのだろう。ベッド脇においたペットボトルをとる手が微かに震えているのが見えた。
「ただ、突然言われたんだよね。あまり一人にのめり込むな、とか……深入りするまえに手を切れ。って……元々さ、俺って大学入る前は恋愛禁止で男子校に通ってたワケだし。大学に入ってからも遊びはいいけど恋愛は避けろ、ってよく言われててさ。来るべき時が来たら、結婚相手もオヤジが選ぶからって感じで……俺もどうせ決まってるなら恋愛なんて無理にする必用ないかなーとか思ってたんだけど……」
ペットボトルの茶を飲むと、それをまたベッド脇に戻す。
「……あんたの事好きになっちゃったんだよね」
そしてどこか悲しそうに笑って見せた。
芝浦がやけに能弁な時は、それだけ不安な時だ。まだ何も知られてない、という芝浦の憶測は恐らく正しいのだろうが、このまま続けていればいずれ知られるというのは容易に推測された。
「どうしてお前の父親は感づいたんだ」
噂がどこからか漏れたのか。そう思って聞いてみたが。
「たぶん、何となく。勘……だと思う。いや、俺のオヤジって昔から人の言葉とか態度で、人の嘘偽りを見抜くような観察力っての? そういうのがズバ抜けてんだよね。だから俺の行動に、ちょっと違和感あったからカマかけてみたんじゃないかな。目聡いというか何というか、人を推し量るのばっかり得意なんだよ、あの人」
どうやら芝浦の父親は思っていた以上の難物のようだ。
最も、芝浦も人の様子や所作などで相手の気持ちを推し量りそれを利用する力はかなり高い。まだ考えが青臭く脇が甘くなり手痛いしっぺ返しを喰らう事もあるが、勘の良さは血筋なのだろう。
「だから別にすぐに何があるとか……オヤジが何かしてくるって事はないと思うんだけど……」
芝浦はそこで口を噤む。
今暫くは何もないが、これから何もおこらない保証はないという事だろう。
「……俺、どうしたらいいんだろうな」
ややあって、芝浦はぽつりとそう呟いた。
芝浦家の跡取りとしての期待。これから必ず訪れる結婚問題。同性しか受け入れられない自分の嗜好。今付き合っている手塚とのこと。答えの出ない思考に取り憑かれ、悩んでいるのだろう。
「お前がしたいようにすればいい」
手塚はそんな芝浦を抱き寄せると、その耳元で囁く。
身体を起こしていたからだろう。冷たい室温に晒された芝浦の身体は随分と凍えていた。
「……俺のしたいように?」
「あぁ、お前が望むようにだ。大事なのはお前の親の言う事じゃない。お前が、自分のしたい事を選んでする事……そうだろう? お前は、これからどうしたい?」
「そんなの、手塚とずっと一緒にいたいに決まってんだろ」
迷いのない答えに、手塚は安心したような笑みで芝浦の身体を抱きしめた。
「だったらそうすればいい。お前が俺を愛し、傍にいたいと思うなら俺はそれにこたえる。何があっても、どうなっても……俺はお前の傍にいる。どんな事をしてでも、必ずお前の隣にいる。だから何も心配するな。その先にどんな苦労があっても、俺はそれを覚悟しているからな」
「手塚……」
「最も、おまえにいまさら『嫌だ』と言わせるつもりもないんだがな……いいか、淳。おまえはもう俺の恋人であり、俺はお前の髪の毛一本から爪一欠片だって誰かにくれてやるつもりは無い。お前も覚悟しておけ……俺に愛されるとは、そういう事だ」
手塚の言葉に、芝浦はどこか安心したように笑う。
「あー、そうだった。アンタってドライに見えてかなり重い奴だから……俺じゃないと受け入れきれないもんね」
それはつまり芝浦も同じくらい重い男だという意味だが、それはお互い分っている事だ。
嬉しそうに抱きついてくる芝浦を抱きしめ返すと、手塚は自然と唇を重ねた。
その唇は自分の気持ちに嘘偽りがないということ。そして、何があっても決して芝浦の事を諦めて手放す事はしないという、覚悟の意味が込められていた。
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