インターネット字書きマンの落書き帳
バロールさんとベバル&アバラムのはなし。
〆ギドちゃん!
いつも「声優さんは個性的な人が多いな」と思っていたけど、バロールの声帯は反則だよ!
その声帯は俺に効く!
というワケで、バロールさんを「時の運気」を調整して手に入れたのでバロールさんの話を書きま……した!
キャラストでバロールさんがベバルとアバラムにからまれていた……。
その光景がなんかホッコリしたのでかきました。
キャラストのネタバレがある感じなので、バロールさんのキャラストみたい!
ネタバレは嫌だという方は見ないでおくのもいいぞい。
キャー! バロールさーん!
演者の私物であるヘビ革ジャケット着て-!
いつも「声優さんは個性的な人が多いな」と思っていたけど、バロールの声帯は反則だよ!
その声帯は俺に効く!
というワケで、バロールさんを「時の運気」を調整して手に入れたのでバロールさんの話を書きま……した!
キャラストでバロールさんがベバルとアバラムにからまれていた……。
その光景がなんかホッコリしたのでかきました。
キャラストのネタバレがある感じなので、バロールさんのキャラストみたい!
ネタバレは嫌だという方は見ないでおくのもいいぞい。
キャー! バロールさーん!
演者の私物であるヘビ革ジャケット着て-!
『見えない片目で未来を見る』
ソロモンがアジトに戻ると、ベバルとアバラムの二人がバロールを取り囲んでいた。
二人の手には、それぞれ別の絵本が抱かれている。
「バロール、今日はアタシに本を読んでもらうわ。とびっきりカワイイお姫様の出る本よ」
「ベバルはこの前読んでもらったばっかりだろ。今日はボクの、とびっきりカッコイイドラゴンが出る話を読んでもらうんだ!」
ベバルとアバラム。二人に取り囲まれたバロールは、どうしたものかといった様子で彼らの顔を交互に見ていた。
バロールは、「チリアット」という男に助けられた義理があるという。
そして、ベバルとアバラムはかつてチリアットの軍団に所属し、最後までチリアットの部下でありつづけた。
同じメギドを知っているのなら話す事もあるのじゃないか。
そう思ったソロモンはベバルとアバラムのことをバロールに話しておいたのだ。
チリアットに対して恩義を感じ、彼のケジメをつけるためソロモンに戦いを挑んだバロール。
チリアットと一緒にいると楽しいから。そんなどこか子供じみた理由で最後まで彼の傍にいようとしたベバルとアバラム。
抱いている感情は違えど、同じメギドに対して思いをもつ同士なら何かしら話があうかもしれない。
そう思って配慮したつもりだったのだが……。
「わかったわかった、確かにこの前はベバルの本を読んだはずだから、今日はアバラム。お前さんのヤツを読んでみようかねェ」
「やった! じゃ、この本読んで! あっちのソファーで、お菓子食べながら聞かせて!」
「ずるーい、ねぇバロール。約束よ、次はぜーったいアタシの本を読んでよね」
バロールの足下に絡みつくよう集まるベバルとアバラムの姿を見る限り、ベバルとアバラムの二人は明らかにバロールのことを「便利な大人の姿をしたメギド」として扱っているように見えた。 端的にいうと「利用されている」のである。
(チリアットの知り合いだから、何か思い出話でもあればと思って紹介したけど……)
ソロモンは腕を組み、その様子を見る。
ソファーに座ったバロールは、慣れない様子でやや辿々しく絵本を読んでいた。
(あれじゃ、完璧にベバルとアバラムの『お守り』だよな……)
ベバルとアバラムがバロールをいいように使っている、という話は以前バルバトスから聞いていた。その時、あまりにバロールをコキ使おうとするのでバルバトスはやんわりと止めに入ったのだが。
『何よー、アタシたちは世間知らずのバロールが変な事しないよう見張っているだけですからね!』
『そうそう、ボクたちはヴァイガルドの常識をぜんっぜん知らないバロールに世間のジョーシキを教えてるんだからね!』
『言ってみればアタシ達はバロールの保護者なの!』
『そう、ボクたちがバロールの後見人なんだからね!』
と、それは息の合った調子でたたみかけバルバトスは口を挟むコトすらできなかったという。
また肝心のバロールも。
『俺がヴァイガルドに来たのは数十年ぶりだ。以前は他人に身の回りのコトを任せっぱなしでリンゴ一つが幾らするのか分らない体たらくだったからなァ。ま、あの二人の言う通り。俺ぁ世間知らずのガキみてぇなモンだから、今の常識を教えてもらってる限りあいつらには義理果たねェとな』
といった様子で、その境遇を受け入れているようだったから強くは言えないようだった。
(でも、いくらチリアットの知り合いだったとはいえ、あそこまでベッタリ懐かれたら流石に困るよな。バロールって、どちらかといえば一人でいる方が気が楽そうだし……)
今はベバルとアバラムがべったり張り付いているから、二人が離れたらそれとなく話してみよう。 そうう思いながらソロモンが別の部屋で所用を住ませた後に皆があつまるリビングをのぞき見れば、ソファーに座るバロールの姿があった。
右にはベバルが、左にはアバラムがそれぞれ膝を枕にしてウトウトしている。
バロールはそんな二人を起こさないように、舐めるよう酒を飲んでいた。
「バロール。ベバルとアバラムは寝ちゃったのか……」
「あァ、思ったより二人とも疲れていたみてェだな。三冊目の本を読み始めたらウトウトしだして、見ての通りだ」
ベバルもアバラムも、普段からソロモンと行動を共にはしていない。
音楽というものに魅せられてヴァイガルドに半ば逃亡に近い形でやってきた二人は今、小さな楽団に所属しあちこちを廻っているようだった。
だから普段は滅多にアジトにはいないのだが、「たまにはゆっくり休んだ方がいい」などと言われやむを得ずアジトにやってきたようだ。
ベバル&アバラム曰く。
『たまには家族に顔を見せた方がいいから、って。アタシたち、一応ヴィータのふりをしてるし、家族もいる双子だって言ってる建前上、たまには家族のところに帰ってゆっくりしなさいって言われたら邪険に出来ないのよね』
『そうそう、一応家族もいるし、故郷もあるってコトになってるから。あーあ、そういう所、ヴァイガルドってやりにくいよねー』
とのコトだった。
アジトに戻っても普段から旅に出ているため、ベバルとアバラムには知り合いと呼べるメギドは少ない。だから偶然居合わせたバロールに絡んでいたのだろう。
(バロールもあちこち旅しながら傭兵稼業をしているようだが、ベバルやアバラムのように特定の楽団や傭兵団に所属しているワケではないからしばしばアジトに顔を見せているのだ)
だが、アジトの道のりはゲートを使ったとしても長い。
今日はそんな長旅を終えたばかりだから疲れて眠ってしまったのだろう。
追放メギドではない純正メギドは別段眠る必用はないのだが、ベバルとアバラムはその外見に引っ張られているのか睡眠をとる姿もよく見られた。
「バロール、ちょっといいかな?」
ベバルとアバラムにあまり振り回されないように、忠告するなら今だろう。
ソロモンはバロールに声をかけると、ベバルとアバラムの注文は度が過ぎている事やバロール自身に大事な用がある時は断った方がいいなどを告げた。
話している事はおおむねバルバトスが言ったことをなぞるだけになってしまったが。
「悪ィな、心配させちまったか。ソロモンちゃん」
ソロモンという存在には一目おいているバロールだ。
彼の言葉は幾分か響いたようで少し思案するような顔を見せるが、すぐにソロモンへ向き直った。
「だがなァ、実のところ言うと、俺ァとっくにこいつ等が俺をダシにして使ってる事ぁ気付いてんだよ」
「えっ? 気付いて、付き合ってたのか?」
「まぁ、そういう事だな。コイツらには俺の常識がもう通用しない古いシキタリだって教えてもらった義理もあるし、何より……」
バロールは膝で眠るベバルとアバラムの頭を、その強面からは想像できない程に優しく撫でてやる。
「チリアットのヤツが最後に残した『仲間』なんだ。アイツが最後まで面倒みれなかったんなら、俺が面倒見てやるのも渡世の義理ってヤツだろ?」
相変わらずそうだ、バロールは「義理」や「借り」といったものに縛られている。
それが彼の個なのだから仕方がないと言えばそうなのだろう。だがその個は古い気質であり、今のメギドラルでは殆ど理解される事はないと彼は語っていた。
「でも……」
だからこそソロモンは心配だった。
元々孤高の存在だったバロールが無理をしているのではないかと思ったからだ。
以前ヴァイガルドに来た時も、戦争と暴力ばかりで日々をすごしていたと聞いている。
誰かの世話を。ましてや自分よりよっぽど子供っぽいベバルとアバラムの面倒を見るなんて慣れてないことは容易に想像出来ていた。
「俺が無理してるんじゃないかって心配してるのか、いや、ソロモンちゃんは優しいねェ」
そんなソロモンの心配を見透かしたかのように、バロールは笑った。
「だが俺ぁ別に面倒だとも厄介だとも思ってねェさ。だいたい、こいつ等も俺が出来ない事はやらせねぇ、それくらいの分別はあるみてぇだし。それにな、チリアットのヤツが見られなかった、こいつらが生きて行くヴァイガルドとメギドラルをこの片目で見てやれる。それが今の俺にしてやれる、チリアットへの手向けだとも思ってンだよ」
バロールはチリアットに「助けられた」恩義がある。
そしてその恩義に報いるため全力でソロモンに挑んできた。
チリアットの仇討ちをするためにヴァイガルドに来たが、それを成し遂げられなかった今、チリアットの残した二人の存在を守っていく事が彼なりの仁義なのかもしれない。
「そっか。バロールが嫌じゃないんなら、いいんだ」
幾分か安心したように笑うソロモンを見て、バロールもまた笑っていた。
「相変わらず優しいねェ、ソロモンちゃん。お前さんみたいな相手に負かされたのなら、チリアットのヤツもきっといい戦争だったと思ってるだろうぜ」
「そんな……俺は」
「いいか、ソロモンちゃん。負かされる、というのは後を任されるのと同じようなモンだ。チリアットの見たかった戦争の先、一緒に見に行こうぜ。な、ソロモンちゃん」
バロールはそんな事を言いながら、注がれた酒をあおる。
ソロモンは彼の姿を見て、初めてあった時よりずっと自由で楽しそうな姿をしている事が嬉しかった。
そして彼の膝で眠るベバルとアバラムを見て、安心するのだ。
チリアットを失ってからずっと、子供の姿をしているのにどこか余所余所しい態度をとりがちだった二人が姿通りに無邪気に笑い、安らげる場所が出来たという事実に。
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