インターネット字書きマンの落書き帳
ベリト様と包容力のあるシャックスちゃんのCPです
ベリト様とシャックスちゃんを推す人です。(挨拶)
メギドは暫くプレイしておらず、こちら過去にpixivでupしてたり以前のブログから引っ張り上げてきた作品なのでちょっと古い話になっちゃうんですけど……。
古い、古くないにかかわらず当時はベリト様×シャックスちゃんは会話してない想像上のCPだったので! 悲しみがちょっとだけありますね。
でも想像上CPでも俺はベリト様×シャックスちゃんで本を出しているんだ。
すげぇだろ、本は顕在化してるんだぜ……。
人間、推しの思いで本は出せるんだな!
そういう気持ちで皆さんも、ベリト様×シャックスちゃんを推してくれると嬉しいです。
推してくれないまでも、「思ったより可愛いなぁ」くらいでも……嬉しいです!
話はリジェネイベントのあとのベリト様とシャックスちゃんですぞい。
₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾
メギドは暫くプレイしておらず、こちら過去にpixivでupしてたり以前のブログから引っ張り上げてきた作品なのでちょっと古い話になっちゃうんですけど……。
古い、古くないにかかわらず当時はベリト様×シャックスちゃんは会話してない想像上のCPだったので! 悲しみがちょっとだけありますね。
でも想像上CPでも俺はベリト様×シャックスちゃんで本を出しているんだ。
すげぇだろ、本は顕在化してるんだぜ……。
人間、推しの思いで本は出せるんだな!
そういう気持ちで皆さんも、ベリト様×シャックスちゃんを推してくれると嬉しいです。
推してくれないまでも、「思ったより可愛いなぁ」くらいでも……嬉しいです!
話はリジェネイベントのあとのベリト様とシャックスちゃんですぞい。
₍₍(ง˘ω˘)ว⁾⁾
「変わったあなた」
暫く留守にする。
そう告げてから長らくソロモンの元から離れていたベリトが、アジトに戻ってきた。
「おい、俺様がご帰還したぞ! 盛大に祝ってもいいんだぜ」
尊大な態度に誰でも従属させようとする性格や何に対しても俺様な口調などは留守にする以前と変わりなく、平穏だったアジトにいつもの賑わいが戻ってきたと誰かが口にした。
だが、本当にそうなのだろうか。今のベリトは以前と少し違う気がする。
何が違うのか具体的に言葉にする事は出来なかったが、シャックスは漠然とそんな風に思っていた。
「心配しなくとも、あの方の本質は何も変わっておりませんよ」
ベリトは以前と違う気がするが、どこが変わったのかはわからない。
この微かな違和感をシャックスがアリトンへと聞いてみたのはアリトンはベリトが珍しく褒めてみせる相手だったからだろう。彼なら自分が僅かに抱いた変化を理解しているだろうと思ったが、アリトンは涼しい顔のまま紅茶を注ぎながら言う。
確かに彼の言う通り、ベリトの本質的な部分はきっと何も変わってないのだろう。
気まぐれで、自己中心的で、さみしがり屋で、口では散々と偉そうに振る舞っていても仲間を気にかけ大切にしているという部分が変わっていないのはシャックスも承知していたからだ。
アリトンはここ最近、ベリトにとって心境の変化にあたる出来事を何か知っているのだろう。その上で自分からそれを伝えるのは野暮だと思い、あえて知らぬふりをするのだ。
シャックスはそう感じ、自分なりにベリトの変化を観察して考えることにした。周囲からは鳥頭とよく言われるが観察や変化に関してシャックスのポテンシャルはかなり高かったのだ。
そうして暫くベリトばかりを目で追いかけていれば、周囲とよく話すようになっている風に見える。以前の彼は自分の用がある時か誰かに話しかけられたら答える程度にしか話をしなかっただろうし言いつけを聞いてくれる相手ばかりに話していた所があるが、今はわりと誰にでも話しかけているような、そんな僅かな違いを感じた。
そう、以前のベリトはどこか他人を避けるような一面があったのだ。
仲良くなってもどこか一歩、踏み込めないような。あるいは踏み込もうとすると一歩、遠ざかって近づけさせないような所が確かに存在していたのだ。
まるで誰かと親しくなるのを怖れているかのような……。
最もシャックスはベリトが無意識に作っていた壁にも気付かずどかどかと彼の領域に入っていたために、なんだか以前とちょっと違うとい感じてはいるものの、その違いをうまく説明出来ずにいるという訳なのだが。
だがシャックスから見ても明らかに変わったと思う部分が一つあった。
それは、以前と比べて女性たちが随分と気楽にベリトへ声をかけるようになったというものだ。
「ねぇベリトくん、代わりの香水はまだ? おねーさんの大事なモノ勝手に使ったんだから、早くお返ししてよね?」
ウァラクはからかうような笑顔で、ベリトにそう告げる。
「よぉ、ベリト。また何か面白い冒険とかヤバイ伝承とか無いのかよ。はぁ、何だか思いっきり暴れてスカッとしたい気分なんだよなー」
エリゴスは笑いながらベリトの背中を遠慮無くバシバシ叩いて笑うがベリトはそれに対してさして怒る様子も見せず「はいはい」と適当な返事をする。
アムドゥスキアスに至っては、時々ベリトを上目遣いに眺めると。
「ベリト、おじさま」
小声でそう告げて、驚いたような顔をするベリトを前に小走りで逃げて見せたりしていた。
「ふわぁぁぁー、そんな怖い顔で見ないでくださぁーい!」
アンドロマリウスは相変わらず、怖いと逃げてばっかりいるばかりだが。
だがそれでもアジト全体のベリトに対する距離感がぐっと縮まったのは気のせいではないだろう。
「なぁ、ベリト。聞きたい事があるんだ、アンタはこういうの詳しいんだろ」
「おい、ベリト様だガキんちょ。で、何だ」
それを示すかのように、アジトでも特に他者と距離をとりがちなアモンまでもがベリトと話すようになっていた。
やはりベリトは以前と何かが違う……本質的には変わっていないが、外面的な何かが変化したように思える。
今までのベリトといえば、アジトでグラスを傾けてワインやブランデーなどを飲んでいる時くらいしか饒舌にならなかったし、酒を飲む面子もブネやウァレフォルといった、黙って飲んでいても構わないような人選ばかりだったのだから。
それに女性に対してはかなり辛辣で、自分の邪魔をする事が多いからと毛嫌いするところがあった。それすらも薄まっているのだから人当たりがよくなったと言えるだろう。
それはきっと良い事なのだろう。
アジトの雰囲気も良くなることだし、諍いや罵詈雑言が飛び交うよりずっとずっとマシなはずだ。
それでもシャックスがベリトの変化に漠然とした不安を覚えたのは、一人になった時のベリトは以前よりずっと寂しそうな背中をしていたからだ。
どこか疲れてしまったような、あるいは諦めてしまったような哀しそうな顔で時々空を仰いでは輝く星を見てため息をつくなんて、やけにセンチメンタルな事をするようになったのも知っている。
留守の間に何があったのか、シャックスにはわからなかった。
ベリトが話したい時に聞ければそれでいいと思っていたのであえて聞いてみようとも思わなかったからだ。
だがこの空白の時間にベリトは確実に一つの区切りがついたという事と、それはとても大きなものだったのだのだという事は肌で理解していた。
以前、シャックスはベリトから自分が長命であるという事を聞いた事がある。
追放メギドの中には時々ベリトのように若い姿のまま歳を留めてしまい通常のヴィータよりずっと長く生きてしまう存在が現れるということだ。そのような身体になると寿命がどこまであるのかも分からなくなり、どれだけ長生きするのかもその後老いていくのかもベリト自身にもわからないのだという。
長命になったメギドの身体は一定の年齢から老いていくことはなく、かといって超人的な回復力などがあるワケでもない。他の誰かに殺されるか、事故に巻き込まれて回復できない程の傷を負い死ぬか、あるいは自殺でもしない限りはずっと生き続けるのではないかというのがアンドラスの見解だった。
このアジトには、他にもベリトと同じよう長命の宿命を受けた追放メギドがいるのをシャックスは知っていた。
シトリーに関しては伝説の騎士と呼ばれるほど長くヴァイガルドの幻獣と戦っているというし、アイムもまた伝説の聖女になるほど長くこの地に留まっているのだという。
ベリトはどれだけ生きており、今まで何をしてきたのだろうか。
シャックスが聞いても話してくれたことはないが、自分が他のヴィータと違うという事に気付いたのは50年ほど前だとは言っていた。
それが本当ならもう何度かは小さい頃の友人や兄弟、肉親等との別れを幾度か経験しているのだろう。
……ひょっとしたら、とシャックスは思う。
ひょっとしたら、ベリトは長い留守の間に、自分を知る最後のヴィータに別れを告げたのではないだろうか。
長命を得た追放メギドとして、まだ若いベリトなら、そういう事もありうるだろう。
友達を看取るというのは、どういう気持ちなのだろうか。
自分を知る人が一人、一人といなくなってしまうというのは、一体どれだけの哀しみなのだろうか。
それを押し殺して、自分を貫こうとするのはどれだけの強さが必用なのだろうか……。
「リトリトーリトリト、いるー?」
一人になったベリトに声をかければ、ベリトは「なんだ」と小さく呟いてに笑うが、その笑顔はやはりどこか寂しげで今にも泣き出しそうな顔に思えたものだから。
「はい、あたしの胸、貸してあげるね!」
シャックスは両手を広げてベリトに精一杯の笑顔を向ける。
その姿を見て、ベリトは首を傾げて見せた。
「何だって俺様がおまえの胸なんか借りないといけねーんだよ?」
「えー、理由がなくてもぎゅーってしていいんだよ? 知らなかったの?」
「知らねーよ、全く……」
そうして去ろうとするベリトを。
「あたーっく! どーん!」
シャックスはそう言いタックルすると。
「痛ぇだろ、何するんだ!」
そういってジタバタと逃れようとするベリトに抱きついて、そのまま二人してソファーへと転がり倒れるように寝そべった。
「おい、何するんだよお前なぁ……」
そういって起き上がろうとするベリトを強引に膝に乗せると、シャックスは静かに笑ってその頭を撫でる。
「ふふ、リトリト。いいこいいこ」
そういいながら笑顔を見せるシャックスの姿はまるで親鳥のように優しく彼を包み込むのだった。
「おい、何もいい事なんてしてねぇぞ、俺様は」
「でも、最近とってもみんなと仲良しだよね。偉い偉い」
「偉くねぇって、たまたまだ。たまたま」
「でも、女の人とばっかり仲良くなって……ちょっとだけ悔しいなーって思っちゃった」
そういうシャックスの頬をベリトはその細い指先で撫でる。
「何いってんだよ……他の女とは違う。おまえは特別だぜ?」
そして少しはにかんだような表情で、シャックスにそう告げた。
「えへへー、ありがと、リトリト。ありがとついでに……あたしには、無理しなくても大丈夫だからって伝えておくね」
「無理なんてしてねぇって言ってんだろ」
「……ふふ、いいこいいこ。ね? ……どんなリトリトでも、あたし……リトリトが大事だから。ね?」
優しい声に、一瞬ベリトの目が潤む。 だがすぐに彼は立ち上がると。
「……そん時は、お前の胸借りるかもしんねぇな」
照れくさそうにそう告げるのだった。
「カッコ悪く泣いたりするかもしれねぇけど……それでもいいのか」
「えへー、あたしだってカッコ悪く泣いてるところ、何度もリトリトに助けてもらったから、今度はあたしの番だよ!」
「そうか、それじゃ、俺様が思いっきり泣きたい時にお前の胸を借りれるよう予約しておくから……俺様の前から勝手にいなくなるんじゃねぇぞ。いいな?」
「……うん!」
そして二人、ソファーに並んで座りなおすと互い静かに寄り添う。
肩越しに感じる温もりに、確かな信頼を覚えていた。
暫く留守にする。
そう告げてから長らくソロモンの元から離れていたベリトが、アジトに戻ってきた。
「おい、俺様がご帰還したぞ! 盛大に祝ってもいいんだぜ」
尊大な態度に誰でも従属させようとする性格や何に対しても俺様な口調などは留守にする以前と変わりなく、平穏だったアジトにいつもの賑わいが戻ってきたと誰かが口にした。
だが、本当にそうなのだろうか。今のベリトは以前と少し違う気がする。
何が違うのか具体的に言葉にする事は出来なかったが、シャックスは漠然とそんな風に思っていた。
「心配しなくとも、あの方の本質は何も変わっておりませんよ」
ベリトは以前と違う気がするが、どこが変わったのかはわからない。
この微かな違和感をシャックスがアリトンへと聞いてみたのはアリトンはベリトが珍しく褒めてみせる相手だったからだろう。彼なら自分が僅かに抱いた変化を理解しているだろうと思ったが、アリトンは涼しい顔のまま紅茶を注ぎながら言う。
確かに彼の言う通り、ベリトの本質的な部分はきっと何も変わってないのだろう。
気まぐれで、自己中心的で、さみしがり屋で、口では散々と偉そうに振る舞っていても仲間を気にかけ大切にしているという部分が変わっていないのはシャックスも承知していたからだ。
アリトンはここ最近、ベリトにとって心境の変化にあたる出来事を何か知っているのだろう。その上で自分からそれを伝えるのは野暮だと思い、あえて知らぬふりをするのだ。
シャックスはそう感じ、自分なりにベリトの変化を観察して考えることにした。周囲からは鳥頭とよく言われるが観察や変化に関してシャックスのポテンシャルはかなり高かったのだ。
そうして暫くベリトばかりを目で追いかけていれば、周囲とよく話すようになっている風に見える。以前の彼は自分の用がある時か誰かに話しかけられたら答える程度にしか話をしなかっただろうし言いつけを聞いてくれる相手ばかりに話していた所があるが、今はわりと誰にでも話しかけているような、そんな僅かな違いを感じた。
そう、以前のベリトはどこか他人を避けるような一面があったのだ。
仲良くなってもどこか一歩、踏み込めないような。あるいは踏み込もうとすると一歩、遠ざかって近づけさせないような所が確かに存在していたのだ。
まるで誰かと親しくなるのを怖れているかのような……。
最もシャックスはベリトが無意識に作っていた壁にも気付かずどかどかと彼の領域に入っていたために、なんだか以前とちょっと違うとい感じてはいるものの、その違いをうまく説明出来ずにいるという訳なのだが。
だがシャックスから見ても明らかに変わったと思う部分が一つあった。
それは、以前と比べて女性たちが随分と気楽にベリトへ声をかけるようになったというものだ。
「ねぇベリトくん、代わりの香水はまだ? おねーさんの大事なモノ勝手に使ったんだから、早くお返ししてよね?」
ウァラクはからかうような笑顔で、ベリトにそう告げる。
「よぉ、ベリト。また何か面白い冒険とかヤバイ伝承とか無いのかよ。はぁ、何だか思いっきり暴れてスカッとしたい気分なんだよなー」
エリゴスは笑いながらベリトの背中を遠慮無くバシバシ叩いて笑うがベリトはそれに対してさして怒る様子も見せず「はいはい」と適当な返事をする。
アムドゥスキアスに至っては、時々ベリトを上目遣いに眺めると。
「ベリト、おじさま」
小声でそう告げて、驚いたような顔をするベリトを前に小走りで逃げて見せたりしていた。
「ふわぁぁぁー、そんな怖い顔で見ないでくださぁーい!」
アンドロマリウスは相変わらず、怖いと逃げてばっかりいるばかりだが。
だがそれでもアジト全体のベリトに対する距離感がぐっと縮まったのは気のせいではないだろう。
「なぁ、ベリト。聞きたい事があるんだ、アンタはこういうの詳しいんだろ」
「おい、ベリト様だガキんちょ。で、何だ」
それを示すかのように、アジトでも特に他者と距離をとりがちなアモンまでもがベリトと話すようになっていた。
やはりベリトは以前と何かが違う……本質的には変わっていないが、外面的な何かが変化したように思える。
今までのベリトといえば、アジトでグラスを傾けてワインやブランデーなどを飲んでいる時くらいしか饒舌にならなかったし、酒を飲む面子もブネやウァレフォルといった、黙って飲んでいても構わないような人選ばかりだったのだから。
それに女性に対してはかなり辛辣で、自分の邪魔をする事が多いからと毛嫌いするところがあった。それすらも薄まっているのだから人当たりがよくなったと言えるだろう。
それはきっと良い事なのだろう。
アジトの雰囲気も良くなることだし、諍いや罵詈雑言が飛び交うよりずっとずっとマシなはずだ。
それでもシャックスがベリトの変化に漠然とした不安を覚えたのは、一人になった時のベリトは以前よりずっと寂しそうな背中をしていたからだ。
どこか疲れてしまったような、あるいは諦めてしまったような哀しそうな顔で時々空を仰いでは輝く星を見てため息をつくなんて、やけにセンチメンタルな事をするようになったのも知っている。
留守の間に何があったのか、シャックスにはわからなかった。
ベリトが話したい時に聞ければそれでいいと思っていたのであえて聞いてみようとも思わなかったからだ。
だがこの空白の時間にベリトは確実に一つの区切りがついたという事と、それはとても大きなものだったのだのだという事は肌で理解していた。
以前、シャックスはベリトから自分が長命であるという事を聞いた事がある。
追放メギドの中には時々ベリトのように若い姿のまま歳を留めてしまい通常のヴィータよりずっと長く生きてしまう存在が現れるということだ。そのような身体になると寿命がどこまであるのかも分からなくなり、どれだけ長生きするのかもその後老いていくのかもベリト自身にもわからないのだという。
長命になったメギドの身体は一定の年齢から老いていくことはなく、かといって超人的な回復力などがあるワケでもない。他の誰かに殺されるか、事故に巻き込まれて回復できない程の傷を負い死ぬか、あるいは自殺でもしない限りはずっと生き続けるのではないかというのがアンドラスの見解だった。
このアジトには、他にもベリトと同じよう長命の宿命を受けた追放メギドがいるのをシャックスは知っていた。
シトリーに関しては伝説の騎士と呼ばれるほど長くヴァイガルドの幻獣と戦っているというし、アイムもまた伝説の聖女になるほど長くこの地に留まっているのだという。
ベリトはどれだけ生きており、今まで何をしてきたのだろうか。
シャックスが聞いても話してくれたことはないが、自分が他のヴィータと違うという事に気付いたのは50年ほど前だとは言っていた。
それが本当ならもう何度かは小さい頃の友人や兄弟、肉親等との別れを幾度か経験しているのだろう。
……ひょっとしたら、とシャックスは思う。
ひょっとしたら、ベリトは長い留守の間に、自分を知る最後のヴィータに別れを告げたのではないだろうか。
長命を得た追放メギドとして、まだ若いベリトなら、そういう事もありうるだろう。
友達を看取るというのは、どういう気持ちなのだろうか。
自分を知る人が一人、一人といなくなってしまうというのは、一体どれだけの哀しみなのだろうか。
それを押し殺して、自分を貫こうとするのはどれだけの強さが必用なのだろうか……。
「リトリトーリトリト、いるー?」
一人になったベリトに声をかければ、ベリトは「なんだ」と小さく呟いてに笑うが、その笑顔はやはりどこか寂しげで今にも泣き出しそうな顔に思えたものだから。
「はい、あたしの胸、貸してあげるね!」
シャックスは両手を広げてベリトに精一杯の笑顔を向ける。
その姿を見て、ベリトは首を傾げて見せた。
「何だって俺様がおまえの胸なんか借りないといけねーんだよ?」
「えー、理由がなくてもぎゅーってしていいんだよ? 知らなかったの?」
「知らねーよ、全く……」
そうして去ろうとするベリトを。
「あたーっく! どーん!」
シャックスはそう言いタックルすると。
「痛ぇだろ、何するんだ!」
そういってジタバタと逃れようとするベリトに抱きついて、そのまま二人してソファーへと転がり倒れるように寝そべった。
「おい、何するんだよお前なぁ……」
そういって起き上がろうとするベリトを強引に膝に乗せると、シャックスは静かに笑ってその頭を撫でる。
「ふふ、リトリト。いいこいいこ」
そういいながら笑顔を見せるシャックスの姿はまるで親鳥のように優しく彼を包み込むのだった。
「おい、何もいい事なんてしてねぇぞ、俺様は」
「でも、最近とってもみんなと仲良しだよね。偉い偉い」
「偉くねぇって、たまたまだ。たまたま」
「でも、女の人とばっかり仲良くなって……ちょっとだけ悔しいなーって思っちゃった」
そういうシャックスの頬をベリトはその細い指先で撫でる。
「何いってんだよ……他の女とは違う。おまえは特別だぜ?」
そして少しはにかんだような表情で、シャックスにそう告げた。
「えへへー、ありがと、リトリト。ありがとついでに……あたしには、無理しなくても大丈夫だからって伝えておくね」
「無理なんてしてねぇって言ってんだろ」
「……ふふ、いいこいいこ。ね? ……どんなリトリトでも、あたし……リトリトが大事だから。ね?」
優しい声に、一瞬ベリトの目が潤む。 だがすぐに彼は立ち上がると。
「……そん時は、お前の胸借りるかもしんねぇな」
照れくさそうにそう告げるのだった。
「カッコ悪く泣いたりするかもしれねぇけど……それでもいいのか」
「えへー、あたしだってカッコ悪く泣いてるところ、何度もリトリトに助けてもらったから、今度はあたしの番だよ!」
「そうか、それじゃ、俺様が思いっきり泣きたい時にお前の胸を借りれるよう予約しておくから……俺様の前から勝手にいなくなるんじゃねぇぞ。いいな?」
「……うん!」
そして二人、ソファーに並んで座りなおすと互い静かに寄り添う。
肩越しに感じる温もりに、確かな信頼を覚えていた。
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