インターネット字書きマンの落書き帳
津詰さんの手に顎をのせる襟尾の話
津詰と襟尾が出る話です。(挨拶)
何かTwitterでフォロワーさんが描いた「津詰さんの手に顎を乗せる襟尾」が可愛かったので津詰さんに顎をつかまれたりする襟尾をかいてみました。
Twitterでは流したネタではあるんですけどね。
加筆とかしているので何か気持ちが違うかもしれない!
ちょっとだけオマケも描いたので前と同じネタを流していてもオッケーってことにしておいてください。
オッケーじゃなくてもまぁ、オレの中でオッケーだからオッケーです。
何かTwitterでフォロワーさんが描いた「津詰さんの手に顎を乗せる襟尾」が可愛かったので津詰さんに顎をつかまれたりする襟尾をかいてみました。
Twitterでは流したネタではあるんですけどね。
加筆とかしているので何か気持ちが違うかもしれない!
ちょっとだけオマケも描いたので前と同じネタを流していてもオッケーってことにしておいてください。
オッケーじゃなくてもまぁ、オレの中でオッケーだからオッケーです。
『手のひらにおさまる小さい顔』
容疑者が現れたとおぼしき一画で一通り聞き込みを終えた津詰徹生と襟尾純は狭い車中で缶コーヒーを開けて一息ついていた。
ここ数日は聞き込みも空振りにばかりで捜査に進展が無かったが、容疑者の目撃証言が出た区画だったこともあり有益な情報が随分と聞けた。今まで情報がゼロだったことを考えれば大きな収穫があったと言ってもいいだろう。
だが容疑者を見たという証言が少し多すぎるくらいだ。情報を整理しておいたほうがいいだろう。襟尾がそう思いながら手帳に残した情報を見直していれば、助手席に座る津詰は腕組みをし大きな息を吐いた。
「少しこれまでの話を整理しておくか。エリオ、頼んだぜ」
襟尾が考えていたことを、津詰も感じていたのだろう。襟尾は待ってましたと言わんばかりに手帳を見据え特に重要だと感じた証言を復唱しはじめた。話を聞いた順番はまちまちだが、時系列にそって情報を整理しながら犯人がたどったとおぼしき道順を明らかにしていく。
住宅街で深夜は人通りなどなかったろうがそれでも外出するには奇妙な時間に急ぎ足で進む姿を幾人か目撃していたのは有り難いことだ。目撃証言から相手は思ったより小柄であり若く、女性である可能性も出てきた。
そのような事を端的に伝え終え津詰を見ると、津詰は襟尾の顔を無言のまま静かに見つめていた。
情報に不足はないはずだが、自分の報告に不備があったろうか。いや、津詰は不足がある時は必要な情報をしっかり伝えてくれる人物だ。やれてない事を黙っていて後から嫌味を言うような陰険な性格ではない。
それだというのに何も言わないのは妙だと思った。ずっと襟尾の顔を見ているが、自分の顔に何かついているのだろうか。
そう考える襟尾を前に、津詰は彼の顎を掴むと少し乱暴なくらいに彼の顔ごと引き寄せた。
津詰の鋭い眼差しは襟尾の顔を捉え、呼吸が触れるほど近くにある事実が襟尾をひどく混乱させる。
襟尾にとって津詰は憧れの存在であり、普段からボスと呼んで慕うのは尊敬の気持ちとそれ以上の親愛を感じていたからだ。実際に津詰は男として憧れるほどの渋みがあり、生き様も刑事として真摯かつ実直だ。その上に若い刑事らをきちんと面倒見て育てようとしてくれるのだから憧れない方が無理というものなのだ。
そんな津詰の顔がぐっと近くにある。急に何をするのだろうか、自分は何をされるのだろうか。そんな事を考えるだけで襟尾の頭はもうパンク寸前になっていた。
そもそも津詰はこんな風に自分へと触れてきたのは初めてである。触れられてはじめてわかる指の太さや温もりにばかり気をとられてしまい、頭は真っ白になっていく。
本当に何をされるのだろう、いや、もう何をされてもいい。元より津詰には命だって預けてもいいと思っているのだから。そんな風に思考が暴走しはじめる襟尾を前に、津詰は驚いた様子で口を開いた。
「いや、前から思ってたけどよ襟尾。オマエ顔小せぇな」
「ふへッ……か、顔、ですか」
「最近の若ェやつってのはみんな顔が小せぇよな。色も白ェし、羨ましい事だぜ」
どうやら、津詰は襟尾の顔立ちが現代風だと思い興味をもち戯れに触れてみただけのようだった。
確かに顎が広めで骨太の雄々しい印象が強い津詰と比べれば襟尾の顔立ちは細面にも見えるだろうが、だからといって急に顎をつかみ顔を引き寄せるなんて真似をするものだろうか。それとも襟尾と随分親しくなったからその位の距離感など普通に思えるのだろうか。
頭の中に様々な思いがぐるぐると巡る襟尾の気持ちなんぞつゆも知らぬ津詰は手を離すと
「よし、捜査の要点はそんな所だな。少し休んだら聞き込みを再開するぞ」
そんな風に普段通りに振る舞うのだった。
実際に津詰からすればこんな事、普段するコミュニケーションの一環くらいなのだろう。襟尾は特に津詰に懐いているから多少は触れても大丈夫だと思ったのかもしれない。
だが襟尾はその後自分が何て受け答えをしたのかなどろくすっぽ覚えていられないほど動転し、今でも思い出すのはただ津詰の指先が温かく思いのほか太いという感触ばかりであった。
<おまけ>
津詰は仲間たちと情報共有をしていた。
充分な聞き込みも終わり、容疑者の居場所も特定出来た。逮捕状が取れたのなら逃げようのないタイミングで捉えるだけである。いよいよ追い込みでありミスは許されない場面だ、容疑者は潜伏先にいるのか、どのような日常を送っているのか、どのタイミングなら逃げ出す事がないのか、入念にチェックを入れる。
「そうだな、その場合はやっぱりアサイチだろう。ここの駐車場は狭ェからな、車に乗ろうってところで声をかければ逃げ場はねぇから……」
椅子にこしかけ書類を確認する津詰の空いた片手に、襟尾はすっぽりと顎をおさめてくる。その様子を見て刑事は怪訝そうな顔をした。
刑事の視線に気付いたのか、津詰は大きく息を吐くと手におさまった襟尾を見る。
「こいつ、何だか俺がこうして手ェ広げてると顎を乗せに来るんだよなぁ」
「あ、顎を……?」
「ま、でっけぇ犬だと思って多めに見てくれや。これでもちゃんと仕事はするからな……さ、続けるぞ」
「は、はぁ……」
刑事は少し困った顔をしながらも打ち合わせを続ける。
彼らの話を襟尾は津詰の手に顎をのせながら、上機嫌で聞くのだった。
容疑者が現れたとおぼしき一画で一通り聞き込みを終えた津詰徹生と襟尾純は狭い車中で缶コーヒーを開けて一息ついていた。
ここ数日は聞き込みも空振りにばかりで捜査に進展が無かったが、容疑者の目撃証言が出た区画だったこともあり有益な情報が随分と聞けた。今まで情報がゼロだったことを考えれば大きな収穫があったと言ってもいいだろう。
だが容疑者を見たという証言が少し多すぎるくらいだ。情報を整理しておいたほうがいいだろう。襟尾がそう思いながら手帳に残した情報を見直していれば、助手席に座る津詰は腕組みをし大きな息を吐いた。
「少しこれまでの話を整理しておくか。エリオ、頼んだぜ」
襟尾が考えていたことを、津詰も感じていたのだろう。襟尾は待ってましたと言わんばかりに手帳を見据え特に重要だと感じた証言を復唱しはじめた。話を聞いた順番はまちまちだが、時系列にそって情報を整理しながら犯人がたどったとおぼしき道順を明らかにしていく。
住宅街で深夜は人通りなどなかったろうがそれでも外出するには奇妙な時間に急ぎ足で進む姿を幾人か目撃していたのは有り難いことだ。目撃証言から相手は思ったより小柄であり若く、女性である可能性も出てきた。
そのような事を端的に伝え終え津詰を見ると、津詰は襟尾の顔を無言のまま静かに見つめていた。
情報に不足はないはずだが、自分の報告に不備があったろうか。いや、津詰は不足がある時は必要な情報をしっかり伝えてくれる人物だ。やれてない事を黙っていて後から嫌味を言うような陰険な性格ではない。
それだというのに何も言わないのは妙だと思った。ずっと襟尾の顔を見ているが、自分の顔に何かついているのだろうか。
そう考える襟尾を前に、津詰は彼の顎を掴むと少し乱暴なくらいに彼の顔ごと引き寄せた。
津詰の鋭い眼差しは襟尾の顔を捉え、呼吸が触れるほど近くにある事実が襟尾をひどく混乱させる。
襟尾にとって津詰は憧れの存在であり、普段からボスと呼んで慕うのは尊敬の気持ちとそれ以上の親愛を感じていたからだ。実際に津詰は男として憧れるほどの渋みがあり、生き様も刑事として真摯かつ実直だ。その上に若い刑事らをきちんと面倒見て育てようとしてくれるのだから憧れない方が無理というものなのだ。
そんな津詰の顔がぐっと近くにある。急に何をするのだろうか、自分は何をされるのだろうか。そんな事を考えるだけで襟尾の頭はもうパンク寸前になっていた。
そもそも津詰はこんな風に自分へと触れてきたのは初めてである。触れられてはじめてわかる指の太さや温もりにばかり気をとられてしまい、頭は真っ白になっていく。
本当に何をされるのだろう、いや、もう何をされてもいい。元より津詰には命だって預けてもいいと思っているのだから。そんな風に思考が暴走しはじめる襟尾を前に、津詰は驚いた様子で口を開いた。
「いや、前から思ってたけどよ襟尾。オマエ顔小せぇな」
「ふへッ……か、顔、ですか」
「最近の若ェやつってのはみんな顔が小せぇよな。色も白ェし、羨ましい事だぜ」
どうやら、津詰は襟尾の顔立ちが現代風だと思い興味をもち戯れに触れてみただけのようだった。
確かに顎が広めで骨太の雄々しい印象が強い津詰と比べれば襟尾の顔立ちは細面にも見えるだろうが、だからといって急に顎をつかみ顔を引き寄せるなんて真似をするものだろうか。それとも襟尾と随分親しくなったからその位の距離感など普通に思えるのだろうか。
頭の中に様々な思いがぐるぐると巡る襟尾の気持ちなんぞつゆも知らぬ津詰は手を離すと
「よし、捜査の要点はそんな所だな。少し休んだら聞き込みを再開するぞ」
そんな風に普段通りに振る舞うのだった。
実際に津詰からすればこんな事、普段するコミュニケーションの一環くらいなのだろう。襟尾は特に津詰に懐いているから多少は触れても大丈夫だと思ったのかもしれない。
だが襟尾はその後自分が何て受け答えをしたのかなどろくすっぽ覚えていられないほど動転し、今でも思い出すのはただ津詰の指先が温かく思いのほか太いという感触ばかりであった。
<おまけ>
津詰は仲間たちと情報共有をしていた。
充分な聞き込みも終わり、容疑者の居場所も特定出来た。逮捕状が取れたのなら逃げようのないタイミングで捉えるだけである。いよいよ追い込みでありミスは許されない場面だ、容疑者は潜伏先にいるのか、どのような日常を送っているのか、どのタイミングなら逃げ出す事がないのか、入念にチェックを入れる。
「そうだな、その場合はやっぱりアサイチだろう。ここの駐車場は狭ェからな、車に乗ろうってところで声をかければ逃げ場はねぇから……」
椅子にこしかけ書類を確認する津詰の空いた片手に、襟尾はすっぽりと顎をおさめてくる。その様子を見て刑事は怪訝そうな顔をした。
刑事の視線に気付いたのか、津詰は大きく息を吐くと手におさまった襟尾を見る。
「こいつ、何だか俺がこうして手ェ広げてると顎を乗せに来るんだよなぁ」
「あ、顎を……?」
「ま、でっけぇ犬だと思って多めに見てくれや。これでもちゃんと仕事はするからな……さ、続けるぞ」
「は、はぁ……」
刑事は少し困った顔をしながらも打ち合わせを続ける。
彼らの話を襟尾は津詰の手に顎をのせながら、上機嫌で聞くのだった。
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