インターネット字書きマンの落書き帳
マスティマさんがプルフラスちゃんと戦うワケ
マスティマさん! かわいいねッ!
というワケで、何故かメギドクエストでマスティマさん相手にプルフラスちゃんが出るので、その理由をトンチキしてみました。
・マスティマさんとプルフラスちゃんが主役。二人のトンチキ劇場の話です
・ソロモン王が様子見役で出ます
・パイモンが解説役で出ます
・マスティマさんを心配する役でアマイモンが出ます
・マスティマさんにちょっと嫉妬しているコルソンちゃんが出ます
よーろしーくねー。
話はいい話風にしてるけど、トンチキだよ!
というワケで、何故かメギドクエストでマスティマさん相手にプルフラスちゃんが出るので、その理由をトンチキしてみました。
・マスティマさんとプルフラスちゃんが主役。二人のトンチキ劇場の話です
・ソロモン王が様子見役で出ます
・パイモンが解説役で出ます
・マスティマさんを心配する役でアマイモンが出ます
・マスティマさんにちょっと嫉妬しているコルソンちゃんが出ます
よーろしーくねー。
話はいい話風にしてるけど、トンチキだよ!
『悲劇の騎士と白百合の王子』
アジトには奇妙な鏡がある。
お互いの感情が高ぶった時……それは主に怒りや憤り、相手に対する負の感情がぶつかり合った時その鏡像が肉体となって現れるという鏡だ。
仲間と同じ顔をした違う存在。
ただ無言でこちらに敵意を向け戦ってくる鏡像たちはあくまで作り物であり、それを打ち倒しても実際の仲間が傷つくワケではない。
むしろお互いの内にある薄暗い感情が溶けるように消えるため追放メギドも純正メギドもソロモンの軍団にいるものは多くあの鏡を使って、言うなればストレス発散のような事をしていた。
偽物とはいえ現実にいる仲間と同じ姿をした相手をも戦って倒すというのはいかにもメギドらしい割り切ったような感情にも思えるが、軍団をまとめる上で諍い事がおこった時それを仲裁する必用もなく虚像に打ち勝つ事で自然と関係性が改善するというメリットの大きさなどからソロモンもそれを利用する事を特に咎める事はなかった。
「あれ、マスティマは?」
そしてその日、ソロモンはアジトに戻っていた。
まだソロモンの軍団に入ってから間もないマスティマがアジトの皆と馴染んでいるか。何か不自由していないか心配だったからだ。
『マスティマは幼い頃から騎士を目指しており、騎士として生きてきたためメギドラルの情勢にさえも疎いところがあります。いわんや、ヴァイガルドの情勢をや……とでも言いましょうか。彼女はヴィータの常識も疎いのでメギドでもありヴィータでもある追放メギドの皆さんとは話が会わないかもしれません。お手数かと思いますが、どうか彼女を見てやってくれないでしょうか』
アマイモンから直々にそう言い含められたのもある。
あまり頼み事などしない。四冥王の仲間たちの他はあまり信頼してなかった風にも思えたアマイモンがそれほどまでに気にかけているのを見れば元よりお人好しな所があるソロモンは無下にする事もできなかったのだ。
「マスティマなら、今はあの鏡の部屋にいる。プルフラスの鏡像と戦っている所だな」
先にアジトへ戻っていたパイモンは紅茶を淹れそれをソロモンに差し出す。
ソロモンはカップに蜂蜜を垂らすとやや驚いたように顔を上げた。
「マスティマが、プルフラスと? あの二人は仲が良さそうに思えたんだけど」
ソロモンとマスティマを引き合わせたのはプルフラスだった。
その時からプルフラスはマスティマの意見を尊重し、マスティマもまたプルフラスを信頼しているようにソロモンからは見えていたのだが、あの「鏡」からプルフラスが出てきたという事はマスティマは彼女に対して昂ぶる感情をもっている、という事になる。
「あぁ、俺もそう思う。実際、あの二人は仲がよいというか、馬が合うみたいだからな」
「でもパイモン、確かあの鏡ってお互いに怒りが募った時とか、険悪な雰囲気になった時なんかに出るはずじゃなかったか? 俺はマスティマとプルフラスは仲が良いように思えたから、あの二人が怒りを抱くようなんて意外だなと思ってさ」
「あぁ、それなんだけどな……」
パイモンはそう言うと、髭を撫でながら目を閉じ以前アジトでのやりとりを思い返していた。
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「プルフラス、このマスティマはキミという高潔な存在と友になれて嬉しい。だが同時にそれが悲劇の始まりのように思えてならないのだ!」
唐突に声をあげたのはマスティマだった。
やや芝居がかった大仰な雰囲気で話すのは彼女の癖であり、アマイモンやヴェルドレが言うには彼女は昔からそういう風だったのだという。
「ど、どうしたんだいマスティマ」
当然プルフラスは困惑する。
突然に自分と友人になる事が悲劇だと言われたら、例えメギドでも混乱する。プルフラスはアシュレイという親しいメギドをヴィータの文化にあるよう「兄」と呼んでいた程にヴィータに近い感情をもつメギドだから尚更だったろう。
「プルフラス、キミはとても高潔なメギドだからだよ! このマスティマは、キミが高潔であり清らかな存在であるからこそ恐ろしいのさ。どうか笑ってくれたまえよ! このマスティマは、もしいつかキミと道を別つ事があったとしたら。そしてキミと刃を交えるような事があったとしたら、果たして武器が取れるのだろうか! それを考えるだけで恐ろしいと思うのだ。そうさ、笑いたければ笑うがいい! このマスティマは、キミという高潔な剣士と別たれた先にある悲劇を思うだけで悲しくなる哀れな騎士なのさ!」
アジト中に響く声でマスティマはそう告げる。
ベリトやアムドゥスキアスは舞台劇でも始まったのかと思いながらマスティマの方を見ていたが、マスティマは本心からそう思って言っているのは明らかであった。
その姿を見て、プルフラスもまた手を広げながらマスティマと向き合う。
「何を言ってるんだいマスティマ。ボクとキミの道が違える事などあるワケがないだろう? ボクとキミはソロモンの下で世界のために戦う剣なのだから」
「だが、このマスティマはかつて仲間であり友であるモノを裏切った身だ。あの後悔が私を塞き止めてくれればいいが、以前裏切った事実がある事はかわりない。全ての悲劇はこのマスティマが生み出したといってもいいだろう!」
「そんな事はないさ。それに、キミと道を違えた時、ひょっとしたらそれはボクが間違った道を歩んでいる時かもしれないだろうい。その時キミが全力でボクを止めてくれなければ、ボクは間違ったまま進んでしまうかもしれない。それこそ悲劇だと思わないのかい?」
騎士のようなマスティマと男装の麗人であるプルフラス。
二人が互いにどこか芝居がかった口調で話している姿はさながら女性ばかりの歌劇団を見るような美しさがある故、アジトの面々も『二人が妙な話をしている』という事は二の次になりその様子に見入っていた。
「プルフラス! キミは高潔なメギドだ。道を踏み外すなどそんな事をするはずがあるものか!」
「ボクは復讐でこの目を曇らせた事のあるメギドだ。キミの思うような高潔な存在じゃない!」
二人の声はアジトに響く。
知らない間に遠くで酒を飲んでいたメフィストたちも芝居が始まったのだと思い二人の方に目を向けていた。
「プルフラス……」
「それに、もしボクと相見えた時にキミが全力を出さないままボクに倒されてしまったとしたら、それでこそボクにとっては悲劇だ。戦う事が悲劇なんじゃない。お互いに全力を出す事もなく相手を打ち倒してしまう事こそボクは悲劇だと思う。だからその日のため……ボクを全力で倒せる力をもつんだ、マスティマ!」
プルフラスの激しい言葉は、マスティマの魂を震わせたようだった。
彼女は顔をあげると、プルフラスへと手を伸ばす。
「プルフラス! やはりキミは高潔で、そして清らかなメギドなのだな! あぁ、この哀れなマスティマはまた悲劇を繰り返すところだった! キミが望むのなら全力を尽くそう! そう、あの鏡をもってキミを投影したキミの姿に打ち勝つ!」
「ぜひそうしてくれマスティマ! いつかもしボクが道を間違えたら、キミが正してくれればいい。同じように、キミがまた悲劇に身を投じようというのならボクがその道を正そう!」
「……プルフラス!」
「マスティマ!」
互いに手を取りあう二人を前に、アジト内に拍手が響く。
それはあたかも演劇のフィナーレを見ていているようだった。
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「……と、いうやりとりがあったらしい」
パイモンは髭から手をはなすと、苦笑いをする。
「あの二人らしいとは思うが、どうもこう大仰すぎるよな、そう思わないかアマイモン?」
「えっ? アマイモン来てたのか?」
パイモンに言われ、アマイモンは少しばつが悪そうな様子で顔を出す。
「……すぐに帰るつもりだったんですが」
「何だよ、来てたなら言ってくれれば……」
「だから、すぐに帰るつもりだったんですよ。ここに長居をする理由もありませんし、私もあちらをあまり開けておくワケにはいきません。コルソンさんも元気そうでしたし」
アマイモンの裾を握りながら、コルソンはやけに大人しくしていた。
今まではずっとメギドラルで過ごしヴァイガルドには召喚意外やってくる事のなかったアマイモンが最近はよくアジトに顔を出すのは聞いていたが、やはりマスティマの事が気になるのだろう。
そしてマスティマの事を気にするアマイモンの行動が、コルソンは少し気になるようだった。
「せっかく来たならマスティマに挨拶でもしていけばいいんじゃないか?」
「いえ、それはやめておきますよ。彼女もいまは忙しそうですし……」
アマイモンはそう言いながらコルソンの頭を撫でる。
コルソンは「アモさんすぐコーちゃんをこどもあつかいするー」と呟くも、まんざらでもない様子だった。
「それに、彼女がうまくやっているのなら問題ないですからね」
アマイモンはそう語ると、微かに笑って見せる。
その笑顔は最初にあった時よりも幾分か柔らかな表情に見えたのはきっと気のせいでもなかっただろう。
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