インターネット字書きマンの落書き帳
恩人を○すことを躊躇わないコシチェイ概念
pixivで公開していたコシチェイの話をブログに移動してみました。
理由は「なんとなく」です。(だいたい人生をなんとなく生きている人並み感)
ヴァイガルドで大怪我をして行き倒れたコシチェイが良いヴィータに助けられるも、彼が善意というものを一切理解していなかったためそのヴィータを殺してしまう……。
そんな行き違いストーリーです。
理由は「なんとなく」です。(だいたい人生をなんとなく生きている人並み感)
ヴァイガルドで大怪我をして行き倒れたコシチェイが良いヴィータに助けられるも、彼が善意というものを一切理解していなかったためそのヴィータを殺してしまう……。
そんな行き違いストーリーです。
罪の無いヴィータ突然の死!
多分このヴィータさんの名前は「ツミナイ」さんでしょう。
コシチェイ最後のイベントが出る前に生まれた作品なので若干のグラグラ感はありますが、そういうのも二次創作だと思って楽しんでくれるといいな、と思います。
多分このヴィータさんの名前は「ツミナイ」さんでしょう。
コシチェイ最後のイベントが出る前に生まれた作品なので若干のグラグラ感はありますが、そういうのも二次創作だと思って楽しんでくれるといいな、と思います。
『心に太陽はあるか』
鈍い痛みに急かされ目を開けた時、コシチェイは暖かなベッドで横になっていた。
(何だ……ここはどこだ? 私は、どうして……)
意識を失う前、コシチェイは壊れかけた骸体を引きずりながらヴァイガルドを彷徨っていた。致死量のダメージを受けていれば骸体が壊れて死に死ねばすぐに新しい骸体へと移り変わる事が出来るようコシチェイの身体は作られているのだがその時のコシチェイは運悪く「死に損なってしまった」のだ。
骸体は酷い有様だが、フォトンを取り込み治療に専念すれば何とか治りそうではあった。
メギドラルであったらこの身体を修復するほどのフォトンなど殆ど無かったろうがその時は幸い実験生物の餌や薬を調達するためヴァイガルドに来ていたから、フォトンスポットさえ見つければ生きながらえる可能性がある。
だから傷だらけの身体を引きずりフォトンスポットを探したがあるのは微かなフォトンの残渣だけ。この傷が癒やせる程のフォトンスポットは見つからず、結局行き倒れてしまったのだ。
だがそれなら別にいい。
この身体を脱ぎ捨てて新しい身体を使えばいいのだから。その程度に考えていたのだがどうやらまだ壊れかけた身体のまま存在しているようである。
(いったい何があった……どうしてこの身体のまま……?)
身体を見れば手足には丁重に包帯が巻かれている。傷ついた身体には真新しいガーゼが当てられて、包帯やガーゼからはすり潰した膏薬の香りが微かに漂っていた。
これはヴァイガルドの傷薬だ。フォトンが身体から流れ行くのを防ぎ少しずつ傷を治してくれる効果がある。恐らくだが森で行き倒れていたコシチェイを誰かが見つけ治療をしてくれたのだろう。ヴィータ体に変わったメギドの外見はヴィータと大差ない。何も知らないヴィータが見れば旅人が倒れて死にかけていると思い、そのヴィータが善性の者なら助ける事もあるのだろう。
(全く、面倒な事をされたもんだな……これでは骸体が壊れてくれないじゃぁないか……)
骸体もタダではない。一つ作るのにそれなりにコストがかかるが、それでもこれだけ傷ついた体をまた治すより新しい体に乗り換えた方がずっと早く楽に済んでいたはずなのに、誰かの余計な気づかいでこの痛みと疼きが残る身体をもう暫く使わなければいけないという事実がコシチェイを苛立たせていた。
(痛いな……痛みの感覚はかなり麻痺していると思ったが、今日の傷は酷く疼く……痛みというのは……)
コシチェイの脳裏に、実験動物として扱われ拷問と呼ぶもの生ぬるい記憶が蘇る。
あの頃は自分の方が「実験動物」だったか。 クズだ、役立たずだと研究員たちに罵られ、これも訓練だ実験の一環だと言いながら理由もない暴力に晒されて、毒薬と大差ない薬を与えられては気が狂う程の痛みと絶望にただただ耐えるだけの毎日だ。
体にある神経という神経全てを犯され蹂躙されるのが当然だったあの頃の記憶は痛みを感じる事によりやけに鮮明となっていた。
(過去というのはいくら記憶より消し去ろうとしても思い出してしまうもの何だな……)
コシチェイは長く息を吐く。
同時に身体の内からは抑えられない破壊衝動が湧き出てきた。
力も知恵もなくただただ実験動物同然の扱いを受けていた自分に対する憤りと、それを嘲笑しながら虐げていたメギド達に対する憎しみで頭の中がすり切れそうになり理性が保てなくなるのだ。
今はもうコシチェイを実験動物のように扱う輩はいない。
そういう奴は全部殺したか、殺すより酷い目にあわせてやることで黙らせたからだ。
特に酷い仕打ちを続けてきた輩はメギドの誇りでありプライドでもある自我を奪いただ呆けて「生きてるだけ」の屈辱に会わせた姿を時折覗いては悦に浸っている。
だが、過去の自分を蔑んでいた輩をどれだけ酷い目にあわせてもコシチェイの怒りがおさまる事はなかった。
(……この痛みを、苦しみを、もっともっと味あわせてやらないとな。メギドラルは「そういう社会」であり、弱きものは蹂躙され、実験動物程度にしか使えないのが「当然」なのだから)
抑えきれない憤りを前に努めて冷静に振る舞おうとする。
その時小屋のドアが開き、いかにも人の良さそうなヴィータが顔を見せた。
人の良さそうなヴィータはコシチェイが起きている事を喜び、もう大丈夫なのかとか、何か食べられそうなものはあるか、と問いかけた。
そして生返事ばかりするコシチェイの前に、暖かなスープの入った皿を手渡すのだ。
焼きたてではないが固いパンもつけてある。
塩で味付けしただけの透き通るようなスープだがやけに暖かい。 人の良さそうなヴィータは、焼きたてのパンではなくて申し訳ないとか、肉や野菜も入ってない具らしい具のないスープだがそのぶん香草をふんだんに使っているとか、聞かれても居ないのに色々とかけてきた。
返事をするのが億劫だったので黙っていたコシチェイを見てまだ傷の痛みやショックで喋れないのだろうと思ったのか、ここなら安全だからゆっくり休んで行くといいとまで言った。
きっと、このヴィータは善行が出来る者なのだろう。
自分が飢えている時でも目の前で餓死しそうな子供がいればただ一つのパンを分け与える事が出来る、そんな清い人間なのだ。
だからこそ傷ついたコシチェイを見過ごす事が出来ずに家へと運び、丁重に治療をし、食事まで与えようというのだ。
だが生憎コシチェイはその「善意」というものを理解できる環境にはなかった。
それは彼の生まれ育ってきたメギドラルがおおよそ善意とは無縁の世界であり他者を思いやる気持ちなど欠片も入る余地がなく、ただただ力強いものが蹂躙し、力があるものが得て、無きものは虐げられ、命を奪われても仕方ないといった価値観しか与えられなかったというのが大きかっただろう。
そういう意味でコシチェイという男は非常に賢いが世間知らずであった。おおよそ常識的な価値観を知らず、ヴィータという生き物を知らず、優しさや友情、仲間意思といった感情を理解せずに育ってきた。
だからわからなかったのだ。
自分に献身する相手の気持ちが。何故自分を捨て置かず殺しもせず、こんな風に「生きる」ことを望んだのかも。
「……そうか、お前、私に施しをしてるつもりだな」
コシチェイは震える手を握りしめ、人の良さそうなヴィータの顔を見据えた。
ヴィータは不思議そうに首を傾げるばかりで、コシチェイの言葉を理解していないようだったがそれがいそうコシチェイをの感情を逆なでした。
「俺が虚弱な身体だと思って下に見てるんじゃねぇぞアホが! 俺は、お前らヴィータよりずっと高尚でずっと強大な力を持つ存在なんだからなぁッ!」
差し出された皿をたたきつけ、怒りのままヴィータへと詰め寄ると、自らの腕だけを変異させた。ヴァイガルドで活動できるよう改造を施した体はメギドラルで活動するには遙かに脆く弱い身体だったがそれでもヴィータの胸に風穴を開けるくらいは造作のない事だ。
その胸を一撃で貫けば、槍のようになったコシチェイの腕で脈打つ心臓がすぐに鼓動を失い、冷たい血を滴らせる。
「虫けらの分際で私を見下すのは許さない。私に施すのもな」
コシチェイはそのまま心臓を握り潰す。名も知らぬヴィータはゆっくりと斃れ、室内には真新しい血の臭いに包まれた。
「さて、そろそろメギドラルへ戻るとするか……ここに近いゲートはどこだろうな……」
血濡れた手を部屋に置かれた水瓶ですすぐと、コシチェイは体を引きずり歩き出す。
歩き出してすぐにコシチェイは身体に巻かれたガーゼや包帯を取り去った。
どうしてヴィータが助けたのか。彼の本意は何だったのか。
賢さとは裏腹にあまりにも狭い世界でしか生きていられなかった天才は、きっとこれからも何も知らず、何もわからず生きていくのだろう。
優しさも、温もりも、愛情も。何もかも暴力に塗り替えて。
彼はそういう風にしか生きていけないのだから。
鈍い痛みに急かされ目を開けた時、コシチェイは暖かなベッドで横になっていた。
(何だ……ここはどこだ? 私は、どうして……)
意識を失う前、コシチェイは壊れかけた骸体を引きずりながらヴァイガルドを彷徨っていた。致死量のダメージを受けていれば骸体が壊れて死に死ねばすぐに新しい骸体へと移り変わる事が出来るようコシチェイの身体は作られているのだがその時のコシチェイは運悪く「死に損なってしまった」のだ。
骸体は酷い有様だが、フォトンを取り込み治療に専念すれば何とか治りそうではあった。
メギドラルであったらこの身体を修復するほどのフォトンなど殆ど無かったろうがその時は幸い実験生物の餌や薬を調達するためヴァイガルドに来ていたから、フォトンスポットさえ見つければ生きながらえる可能性がある。
だから傷だらけの身体を引きずりフォトンスポットを探したがあるのは微かなフォトンの残渣だけ。この傷が癒やせる程のフォトンスポットは見つからず、結局行き倒れてしまったのだ。
だがそれなら別にいい。
この身体を脱ぎ捨てて新しい身体を使えばいいのだから。その程度に考えていたのだがどうやらまだ壊れかけた身体のまま存在しているようである。
(いったい何があった……どうしてこの身体のまま……?)
身体を見れば手足には丁重に包帯が巻かれている。傷ついた身体には真新しいガーゼが当てられて、包帯やガーゼからはすり潰した膏薬の香りが微かに漂っていた。
これはヴァイガルドの傷薬だ。フォトンが身体から流れ行くのを防ぎ少しずつ傷を治してくれる効果がある。恐らくだが森で行き倒れていたコシチェイを誰かが見つけ治療をしてくれたのだろう。ヴィータ体に変わったメギドの外見はヴィータと大差ない。何も知らないヴィータが見れば旅人が倒れて死にかけていると思い、そのヴィータが善性の者なら助ける事もあるのだろう。
(全く、面倒な事をされたもんだな……これでは骸体が壊れてくれないじゃぁないか……)
骸体もタダではない。一つ作るのにそれなりにコストがかかるが、それでもこれだけ傷ついた体をまた治すより新しい体に乗り換えた方がずっと早く楽に済んでいたはずなのに、誰かの余計な気づかいでこの痛みと疼きが残る身体をもう暫く使わなければいけないという事実がコシチェイを苛立たせていた。
(痛いな……痛みの感覚はかなり麻痺していると思ったが、今日の傷は酷く疼く……痛みというのは……)
コシチェイの脳裏に、実験動物として扱われ拷問と呼ぶもの生ぬるい記憶が蘇る。
あの頃は自分の方が「実験動物」だったか。 クズだ、役立たずだと研究員たちに罵られ、これも訓練だ実験の一環だと言いながら理由もない暴力に晒されて、毒薬と大差ない薬を与えられては気が狂う程の痛みと絶望にただただ耐えるだけの毎日だ。
体にある神経という神経全てを犯され蹂躙されるのが当然だったあの頃の記憶は痛みを感じる事によりやけに鮮明となっていた。
(過去というのはいくら記憶より消し去ろうとしても思い出してしまうもの何だな……)
コシチェイは長く息を吐く。
同時に身体の内からは抑えられない破壊衝動が湧き出てきた。
力も知恵もなくただただ実験動物同然の扱いを受けていた自分に対する憤りと、それを嘲笑しながら虐げていたメギド達に対する憎しみで頭の中がすり切れそうになり理性が保てなくなるのだ。
今はもうコシチェイを実験動物のように扱う輩はいない。
そういう奴は全部殺したか、殺すより酷い目にあわせてやることで黙らせたからだ。
特に酷い仕打ちを続けてきた輩はメギドの誇りでありプライドでもある自我を奪いただ呆けて「生きてるだけ」の屈辱に会わせた姿を時折覗いては悦に浸っている。
だが、過去の自分を蔑んでいた輩をどれだけ酷い目にあわせてもコシチェイの怒りがおさまる事はなかった。
(……この痛みを、苦しみを、もっともっと味あわせてやらないとな。メギドラルは「そういう社会」であり、弱きものは蹂躙され、実験動物程度にしか使えないのが「当然」なのだから)
抑えきれない憤りを前に努めて冷静に振る舞おうとする。
その時小屋のドアが開き、いかにも人の良さそうなヴィータが顔を見せた。
人の良さそうなヴィータはコシチェイが起きている事を喜び、もう大丈夫なのかとか、何か食べられそうなものはあるか、と問いかけた。
そして生返事ばかりするコシチェイの前に、暖かなスープの入った皿を手渡すのだ。
焼きたてではないが固いパンもつけてある。
塩で味付けしただけの透き通るようなスープだがやけに暖かい。 人の良さそうなヴィータは、焼きたてのパンではなくて申し訳ないとか、肉や野菜も入ってない具らしい具のないスープだがそのぶん香草をふんだんに使っているとか、聞かれても居ないのに色々とかけてきた。
返事をするのが億劫だったので黙っていたコシチェイを見てまだ傷の痛みやショックで喋れないのだろうと思ったのか、ここなら安全だからゆっくり休んで行くといいとまで言った。
きっと、このヴィータは善行が出来る者なのだろう。
自分が飢えている時でも目の前で餓死しそうな子供がいればただ一つのパンを分け与える事が出来る、そんな清い人間なのだ。
だからこそ傷ついたコシチェイを見過ごす事が出来ずに家へと運び、丁重に治療をし、食事まで与えようというのだ。
だが生憎コシチェイはその「善意」というものを理解できる環境にはなかった。
それは彼の生まれ育ってきたメギドラルがおおよそ善意とは無縁の世界であり他者を思いやる気持ちなど欠片も入る余地がなく、ただただ力強いものが蹂躙し、力があるものが得て、無きものは虐げられ、命を奪われても仕方ないといった価値観しか与えられなかったというのが大きかっただろう。
そういう意味でコシチェイという男は非常に賢いが世間知らずであった。おおよそ常識的な価値観を知らず、ヴィータという生き物を知らず、優しさや友情、仲間意思といった感情を理解せずに育ってきた。
だからわからなかったのだ。
自分に献身する相手の気持ちが。何故自分を捨て置かず殺しもせず、こんな風に「生きる」ことを望んだのかも。
「……そうか、お前、私に施しをしてるつもりだな」
コシチェイは震える手を握りしめ、人の良さそうなヴィータの顔を見据えた。
ヴィータは不思議そうに首を傾げるばかりで、コシチェイの言葉を理解していないようだったがそれがいそうコシチェイをの感情を逆なでした。
「俺が虚弱な身体だと思って下に見てるんじゃねぇぞアホが! 俺は、お前らヴィータよりずっと高尚でずっと強大な力を持つ存在なんだからなぁッ!」
差し出された皿をたたきつけ、怒りのままヴィータへと詰め寄ると、自らの腕だけを変異させた。ヴァイガルドで活動できるよう改造を施した体はメギドラルで活動するには遙かに脆く弱い身体だったがそれでもヴィータの胸に風穴を開けるくらいは造作のない事だ。
その胸を一撃で貫けば、槍のようになったコシチェイの腕で脈打つ心臓がすぐに鼓動を失い、冷たい血を滴らせる。
「虫けらの分際で私を見下すのは許さない。私に施すのもな」
コシチェイはそのまま心臓を握り潰す。名も知らぬヴィータはゆっくりと斃れ、室内には真新しい血の臭いに包まれた。
「さて、そろそろメギドラルへ戻るとするか……ここに近いゲートはどこだろうな……」
血濡れた手を部屋に置かれた水瓶ですすぐと、コシチェイは体を引きずり歩き出す。
歩き出してすぐにコシチェイは身体に巻かれたガーゼや包帯を取り去った。
どうしてヴィータが助けたのか。彼の本意は何だったのか。
賢さとは裏腹にあまりにも狭い世界でしか生きていられなかった天才は、きっとこれからも何も知らず、何もわからず生きていくのだろう。
優しさも、温もりも、愛情も。何もかも暴力に塗り替えて。
彼はそういう風にしか生きていけないのだから。
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