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インターネット字書きマンの落書き帳

   
やらせて欲しいシンドーさんとその気のないあらいくんの話(BL)
平和な世界線で普通に付き合ってる新堂パイセンと荒井くんの話をしてます。(挨拶)

平和な世界線で普通に付き合ってますからね。
卒業したら同棲してそのままズルズルと付き合い続け気付いたら周囲公認の仲になってるんじゃないでしょうかね。(幻覚)

今回は荒井くんに「ヤらせてくれ」と頭を下げる新堂さんとそんな新堂さんを見下しながらも実はめちゃくちゃにされたい荒井くんの話をしますよ。
今は周囲に秘密の関係ではあるけどたぶん時田くんは気付いてるし何なら撮影してますよねこれ。
してますよ。(確信)




『期待してない素振り』

 新堂誠は荒井昭二の両肩をがっちり掴むと今にも飛びかかりそうな勢いで頭を下げていた。

「頼む荒井、ヤらせてくれ!」

 深々と頭を下げているため顔は見えず根元がやや黒くなった髪がやたらと目立つ。随分と髪が伸びてきたからそろそろ染めなおさないといけないだろうが染める前に髪を切るつもりなのだろうか。大会も近いからその頃に散髪とブリーチをまとめてするつもりかもしれない。
 新堂はボクシングは対戦相手をビビらせた方が有利に決まっていると常々語っておりピアスを開けるのも髪を脱色し目立った金髪にするのも対戦相手に気持ちで負けないようにするためだと言っていた。実際に大会がないこの時期は髪を伸ばしっぱなしにするので普段より髪は長く根元の黒さも目立つようになっているのだから試合のためというのはあながち嘘でもないのだろうが、単純に新堂が髪の手入れを怠っているだけなのか判別つきかねるところだ。
 荒井は新堂の髪を見ながらぼんやりとそんな事ばかり考えていた。

「おい荒井聞いてんのか」

 何の返事もせず黙ったままの荒井を前に不安になったのだろう。顔を上げてこちらの様子をのぞき込む新堂を見る目は自然と冷めたものになっていたのは新堂がわざわざ頭を下げてきた理由の呆れからだろう。

「聞いてますよ、それだけ大きな声を出されれば嫌でも聞こえますから」

 言いながら自然と長いため息が出る。
 新堂から用があるから顔を貸せと言われた時からたいした用ではないだろうと思ったのだが他人に聞かれるとまずい話をされたら困ると考え自分が鍵を預かっている視聴覚室で話を聞く事にしたのは正解だった。こんな話をしているなんて他の生徒に聞かれる訳にはいかないからだ。

「だったら返事くらいしろっての、何も言わねぇとビビるだろうが」

 ピアスを開け校則を破り教師に説教を受ける覚悟で金髪にしている新堂が荒井から返事がないだけで不安になるとは随分と繊細なものだと思うが、案外と普段から斜に構えているのも自分が傷つかないよう予防線を張っているのかもしれない。
 実際に新堂がやけに鳴神学園の怪談に詳しいのは好奇心や知識欲からというよりも自身から少しでも危険を遠ざけたい様子がうかがえた。
 呪いや幽霊といった理不尽な存在はいくら身体を鍛えていても容赦なく命を奪っていくものだから避けられる方法があるならそれを知っておいた方がいいのは確かだろう。この鳴神学園を生き抜くためには尚更だ。だがそれにしたってお化けの類いを避ける為に怪談を蒐集するのは不良を気取る男がするには神経質すぎるくらいに思えるから、新堂が見た目よりもナイーブな人間なのは確かだろう。あるいは新堂のような不良やらチンピラ扱いされる人間は案外と怪異の類いを信じる怖がりな人間が多いのかもしれない。
 いつも見せる尊大な態度とは違い妙にしおらしい新堂を眺めながら荒井はそんなことを考えていた。

「すいませんでした。わざわざ僕の教室に来てまで話したい事があると告げたのでよほど大変なことを頼まれるのではないかと思っていましたから少々拍子抜けしたんですよ」

 この言葉には上級生である新堂が安易に自分の教室に来るなと釘を刺す意味合いもある。
 鳴神学園は今のご時世でも生徒数がゆうに1000人を超えるマンモス校であり同学年の生徒でも一度だって顔を合わせない事も珍しくないのだが新堂の名前は下級生でも時々噂になっているのだ。
 流れる噂の大半はボクシング部の新堂は半グレと関係がありアブない薬を販売しているだの下級生を恐喝し従わないとボクシングの練習と言いつつ内臓ボロボロになるまで殴られるといった物騒なものばかりであり新堂に声をかけられるのと不良集団に目をつけられたというのはほとんど同列に語られるため新堂から直接声をかけられるというだけで嫌でも目立ってしまう。
 実際に荒井が新堂に声をかけられた時も新堂が去った後はしばらくクラス内がざわついていたし、「大丈夫なのか」「教師にいって止めてもらった方がいい」といった心配する声が無数に集まってきたのだから仕方ない。
 このまま周囲に関係を隠し続けるのなら直々に顔を貸せなんて言わずスマホのメッセージアプリでも何でも使ってもっと水面下で連絡をとってほしいのだが、こんな遠回しの言い方では新堂に伝わらないのもまた荒井にはわかっていた。
 わかっていても直接言わないのはいずれ周囲に気取られた時「忠告はした」と言い張るためと人前で呼び出され非道く恥ずかしい思いをした不快な気持ちを晴らす為だ。

「拍子抜けとか言うんじゃ無ェよ、こっちはけっこう必死なんだぜ。ここ最近おまえ学校にも来てなかったろうが」
「えぇ、新作のゲームが出ていたので一気に攻略しようと暫く家に引きこもってましたから。連絡したでしょう、新作が出たら学校には行きませんと」
「まさか本当に学校フけてゲームしてるとか思わねぇだろうがテメェ、真面目そうな顔して俺より素行が悪いよな。おかげでコッチは溜まって溜まって仕方ねぇってのによォ」
「いいじゃないですか、いつ学校にこようが僕の自由でしょう。それに、あなたさっきからセックスの話しかしてないじゃないですか。何なんです、性欲の権化ですか? だいたい、僕が休む前に散々抱かせてあげたでしょうが。あれだけシてこっちを抱き潰しておいて何を言ってるんです。正直、あれだけ出してこんな短期間で溜まるとか性欲強すぎますよ。どんな身体してるんですか」
「ウルセェな。仕方ねぇだろ、体力有り余ってンだこっちは」
「有り余りすぎですよ。もう少し節度を守って行動する事は出来ないんですか」

 少し強めに言い聞かせるつもりだったのだが、荒井の言葉など最初から聞く気など毛頭ないといった様子で強引に身体を抱き寄せると唇を重ねてくる。
 やや熱っぽい舌が絡みつけば流石の荒井も身体が疼いてきた。
 いけない。努めて冷静を装っていたが行動に移されるとどうしても身体が火照ってくる。荒井だって年頃であり体力を持て余しているところがあるのだ。一度抱かれた快楽を知った身体では自慰だけで衝動をおさめるのが難しくなっているのも解っている。

「落ち着いてください新堂さんッ。わかりましたよ、抱いてもいいですからそんながっつかないでください、放課後でもあなたの部が終わった後でも時間をつくって会いに行きますから」

 荒井は何とか新堂を引き離すと唇から滴る涎を拭った。
 やはり視聴覚室までやってきて正解だ。この調子だと人目につくような場所でも新堂は無理矢理キスを迫っただろう。最近の新堂は付き合っている事を隠している事を忘れたかのように振る舞う事が増えているのだがそれが周囲にバラしていいと思っているのかそれとも単純に自制が出来ず人前だという事を忘れてしまうのかはわからなかった。
 新堂なら後者というのも充分にあり得るから厄介だ。 新堂の不注意で周囲にバレたというのにこちらのせいにされたらたまったものではない。


「抱いていいのか」
「はい、良いですよ。お手柔らかにお願いしますね」
「おぅ、心配すんな優しくしてやるからよ」

 そう言うが早いか新堂は輝くような笑顔のまま荒井の腰を抱くとなれた様子でベルトへ手をかけた。

「ちょっ、ちょっとまってください新堂さん。い、今からするんですか」

 確かに抱かれてもいいと言ったが今からとは言っていない。予想外の行動に声が上ずる荒井とは裏腹に新堂は不思議そうな顔を向ける。

「当たり前じゃねぇか、こっちはオマエが休んでる間ずっと悶々としてたんだぜ」
「まってください、まだ午後の授業も残ってるんですよ。それにここでそんな事をしてるのがバレたら鍵を取り上げられてしまうでしょう。授業が終わったらちゃんとお相手しますから」
「授業なんてフけちまえよ、鳴神だったら一人くらい生徒がいなくても探して来いなんて言う教師一人もいねぇって。それにココは防音だし都合いいだろうが」
「あなたの都合が良くても僕の都合はどうなるんですか、本当に、待ってください新堂さっ……」
「ダメだ、待てねぇ。だいたい授業が終わって放課後、部活のあとって何時間待たされればいいんだよ。その間にオマエと何発出来ると思ってんだよ?」

 新堂はすでにこちらの言う事など聞きそうもない。いや、きっとこの視聴覚室に入った時からこっちの話などろくすっぽ聞いていなかったのだろう。だとすると荒井の皮肉や釘刺しも最初から意味など成さなかったということか。
 唇を重ね溺れる程にキスをしながら胸元へ指が滑り込み焦らすように乳首を擦られれば声が漏れそうになるほど身体は蕩けていく。 体格差もある新堂を強く拒むことは元々難しかったろうがそうでなくてもこれだけ熱いキスを受ければ拒めるほど荒井も強固な理性をもっていなかった。その点は荒井もただの少年なのである。

「新堂さっ、ん……」

 必死に声を抑えながら新堂の身体を抱きされるがまま肌を露わにする最中、新堂は急に手を止めると荒井を見た。

「荒井、おまえこのパンツおろしたてか?」
「なっ、何言ってるんですか急に。どうして気付いたんです」
「いや、これ普段おまえがはいてるタイプとちょっと違うからよ。こんなの持ってたかと思ったんだが、俺に抱かれるの期待して新しい奴でも準備してきたのかと思ってな。おい、どうだよ」

 新堂はそう言いながら意地悪く笑う。
 これが偶然そうであったら鼻で笑っていたのだがその通りだから仕方が無い。確かに新堂の言う通り、今日は抱かれるつもりで学校に来たのだ。家に引きこもりゲームばかりしていたがその最中にも疲れて泥のように眠るほど抱かれた快感が身体に残り新作ゲームに没頭するつもりでも知らずに身体が疼いてしまうのだ。
 まだゲームを完全にコンプリートした訳ではないというのに学校へ来たのも身体の疼きに耐えきれなかったからであり呼び出された時から期待していたというのが本音なのだ。

「当たり前じゃないですか……僕だってこの数日ガマンしてたんですよ」
「おいおい、人の事を節度がないだの性欲の権化だの言っておいて自分がそのザマか?」
「こんな醜態を晒したくないからからこそですよ。ですがもうバレてしまったら仕方ないですよね」

 荒井は新堂のはだけた胸元へ顔を押しつけるとゆっくり唇で腹や胸をなぞる。

「こんなに僕をはしたない男にしたのはあなたですからね? ちゃんと僕を楽しませてください」
「ははッ、心配すんな。今後俺以外の相手なんざ目に入らないってくらい無茶苦茶にしてやるから覚悟しておけよ」

 妖しく笑い口づけをする新堂の熱いキスを受けながら荒井は全てをその胸へ委ねる。
 窓の片隅がわずかにめくれた社交カーテンからは夏の強い日差しが僅かに漏れていた。

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東吾
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インターネット駄文書き
自己紹介:
ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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