インターネット字書きマンの落書き帳
ピンクを着こなす風間と坂上、倉田なんかの話
坂上修一と倉田恵美、風間望が出る話です。
pixivでピンクのカーディガンを着ている風間のイラストをお見かけしましてね。
背が高くてピンクを着こなせる男ってお洒落なんだよなぁ~。
そんな事を思ったら、オシャレで格好いいとわかっていてピンクを着る風間を書いてみたくて書きました。
オシャレ泥棒になる風間と坂上くんの話です。
坂上&倉田とか、坂上&風間の日常的な話を求めている人向けコンテンツですよ。
つまるところ、俺向けコンテンツってこと!
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背が高くてピンクを着こなせる男ってお洒落なんだよなぁ~。
そんな事を思ったら、オシャレで格好いいとわかっていてピンクを着る風間を書いてみたくて書きました。
オシャレ泥棒になる風間と坂上くんの話です。
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『ピンク色のカーディガン』
普段通り犬の散歩に出た坂上修一は、普段と違いいつもの散歩コースではなく飼い犬であるポヘの気が向くまま散歩に付き合う事とした。
ポヘはもう10歳を過ぎており、パグとしては老犬に入る。自由気ままに散歩をさせてもそれ程遠くまで行く事はないだろう。そんな風に思ったからだ。
実際ポヘの足取りはゆっくりで、自由に歩かせても普段の散歩コースを大きく外れる事がなく少しだけ公園を遠回りして歩くだけでこのまま帰れるだろうと考えた時。
「あれー、坂上くんだ。なになに、犬の散歩かなー」
甲高い声を上げ近づいてきたのは、同じ新聞部の倉田恵美だった。
高校になって初めて同じ学校に通うようになった倉田だが、坂上と住んでいる場所は近く休日は時々会う事があるのだ。
「倉田さん……うん、ポヘの散歩。たまにはいつもと違うコースを歩いてみようかなって。倉田さんは?」
「私はコンビニまでちょっとした買い物ー。ポヘ、久しぶりー、相変わらず可愛いねーポヘは。私もワンちゃん飼いたいなぁ、ワンちゃんと散歩っていい運動になりそうだしね」
倉田が手にしたエコバッグを、ポヘは珍しいものを見るように仰ぎクンクンと花をひくつかせる。と、そこで倉田は小首をかしげ舐めるように坂上を見た。
「な、何だよ倉田さん、急にじっと見るね……僕の顔に、何かついてる?」
あまりに念入りに見つめるものだからよからぬ事を企んでいるのではないかと思い思わず一歩引けば、倉田は不意に笑顔になると坂上の肩を小突く。
「いや、坂上くん普段着けっこうオシャレだなーと思って。いいじゃない、ピンクのシャツ、似合ってるよ。かわいいー」
その言葉で、坂上はつい先日、風間と会った時の事を思い出していた。
新聞部の部室で次の記事を推敲している時
「坂上くーん、ボクとこっくりさんをやらないかい? 500円玉でやると効果があるから、500円! いいかな?」
なんて言いながら入ってきた風間は、ピンクのカーディガンを羽織っていたのだ。
10月に入ったがまだ暑い日も多く、校則では冬服に変えなければいけない時期だがワイシャツだけの生徒やカーディガンを羽織っている生徒も多い。
坂上のクラスにもカーディガンを羽織っている男子は少なくないが、風間のようにピンク色のカーディガンを着ている生徒は見た事がなかった。
「ん、どうしたのかな坂上くん。あぁ、ボクがオシャレすぎてビックリしているんだね。どうだい、カーディガン姿のボクも特別に格好いいだろ? 可愛さをもかっこよさに変える、これが真のカッコマンだよ」
風間はカーディガンの裾を少し持ち上げるとその場でターンをして見せる。
ピンクのカーディガンというチョイスは驚きだが風間はそれをよく着こなしていた。
鳴神学園の濃紺のスラックスと対比するような明るい色合いは華やかで風間が長身なのもあり目を奪われるほど似合っていたのは間違いない。
「違いますよ、風間さんみたいに背の高い人でも着られるピンク色のカーディガンなんてあるんだ、と思って感心していただけです」
だが、風間がかっこ良い事を素直に認めるのはしゃくに障るから思ってもいない事を口にする。実際に褒めれば調子に乗るタイプでもあるから黙っていた方がいいだろう。
すると風間は頬を膨らまし口をとがらせながらカーディガンの袖を伸ばすとわざと口元に手を当て可愛いポーズなどをとって見せた。
「なーに言ってるんだい坂上くん。オシャレな男ほどピンクを華麗に着こなすもんだよ。そんな、男なら黒だネイビーだ重っ苦しい色ばっかり選んでいるのかいキミは。そんな事じゃボクのようにオニャノコにモテないぞ」
そしてポケットからピンク色の折り紙を取り出すとそれを三角に折り坂上の胸ポケット入れて鏡を向ける。
胸にピンクの折り紙が添えられただけなのに坂上の胸元が明るくなってみえ、普段より柔らかな印象を与えていた。なるほど、普段から自分のことをモテる男と言い張るだけあり見た目には気を遣っているのだろう。
そのような部分で気をつけるのなら、普段の言動をもう少し気遣った方がいいとは思うのだが。
「どうだい、参考になっただろう。それじゃ、授業料として500円」
風間は屈託なく笑うと手を差し出してくるから、坂上はポケットにねじ込まれた折り紙を広げて風間の手に乗せる。
広げた折り紙にはこっくりさんをやる時の鳥居やひらがなが並べられていた。荒井の話ではヴィジャボード等と呼ばれるものらしいが、折り紙の裏に書いてくるとは適当な風間らしい。
「払いませんよ、この折り紙もお返しします」
「えぇ、そんなぁ。ボクが来たのに追い返すのかい、坂上くーん、坂上くーん」
「もう帰ってください風間さんも受験生でしょう、まったく……」
あの後もしばらく風間は500円、500円と繰り返し新聞部に居座っていた気がするが、結局誰が追い返したのだったか。
新しい部長か、それとも様子を見に来た日野が追い返したのか覚えてはいない。
だが坂上がタンスの肥やしにしていたピンクのシャツを思い切って着てみようと思ったのは、間違いなくあの日見た風間の姿が一因だろう。
「どうせなら格好いいって言って欲しいなぁ……」
坂上は頭を掻くと、ポヘのリードを握り直す。
風間と比べれば子供っぽさが抜けてもいないし身長もそれほど伸びてはいないから、可愛いと呼ばれてしまうがいつか風間のようにかっこ良くどんな服でも着こなす事ができるのだろうか。
いや、風間のようにはなりたくないと思っているのだから風間を意識した服で褒められるのは嬉しいような悔しいような複雑な気持ちになるのだが。
坂上はポヘのリードを倉田へと向ける。
「よかったら、倉田さんもポヘのことちょっと散歩させてみる? もうしばらく公園を歩く予定だし」
「えっ、いいの? ありがとー坂上くん、じゃ、ちょっと一緒に歩こうか」
倉田はポヘのリードを握ると坂上と並んで歩き出す。
心地よい秋風は坂上の羽織った淡いピンクの上着をたなびかせていた。
普段通り犬の散歩に出た坂上修一は、普段と違いいつもの散歩コースではなく飼い犬であるポヘの気が向くまま散歩に付き合う事とした。
ポヘはもう10歳を過ぎており、パグとしては老犬に入る。自由気ままに散歩をさせてもそれ程遠くまで行く事はないだろう。そんな風に思ったからだ。
実際ポヘの足取りはゆっくりで、自由に歩かせても普段の散歩コースを大きく外れる事がなく少しだけ公園を遠回りして歩くだけでこのまま帰れるだろうと考えた時。
「あれー、坂上くんだ。なになに、犬の散歩かなー」
甲高い声を上げ近づいてきたのは、同じ新聞部の倉田恵美だった。
高校になって初めて同じ学校に通うようになった倉田だが、坂上と住んでいる場所は近く休日は時々会う事があるのだ。
「倉田さん……うん、ポヘの散歩。たまにはいつもと違うコースを歩いてみようかなって。倉田さんは?」
「私はコンビニまでちょっとした買い物ー。ポヘ、久しぶりー、相変わらず可愛いねーポヘは。私もワンちゃん飼いたいなぁ、ワンちゃんと散歩っていい運動になりそうだしね」
倉田が手にしたエコバッグを、ポヘは珍しいものを見るように仰ぎクンクンと花をひくつかせる。と、そこで倉田は小首をかしげ舐めるように坂上を見た。
「な、何だよ倉田さん、急にじっと見るね……僕の顔に、何かついてる?」
あまりに念入りに見つめるものだからよからぬ事を企んでいるのではないかと思い思わず一歩引けば、倉田は不意に笑顔になると坂上の肩を小突く。
「いや、坂上くん普段着けっこうオシャレだなーと思って。いいじゃない、ピンクのシャツ、似合ってるよ。かわいいー」
その言葉で、坂上はつい先日、風間と会った時の事を思い出していた。
新聞部の部室で次の記事を推敲している時
「坂上くーん、ボクとこっくりさんをやらないかい? 500円玉でやると効果があるから、500円! いいかな?」
なんて言いながら入ってきた風間は、ピンクのカーディガンを羽織っていたのだ。
10月に入ったがまだ暑い日も多く、校則では冬服に変えなければいけない時期だがワイシャツだけの生徒やカーディガンを羽織っている生徒も多い。
坂上のクラスにもカーディガンを羽織っている男子は少なくないが、風間のようにピンク色のカーディガンを着ている生徒は見た事がなかった。
「ん、どうしたのかな坂上くん。あぁ、ボクがオシャレすぎてビックリしているんだね。どうだい、カーディガン姿のボクも特別に格好いいだろ? 可愛さをもかっこよさに変える、これが真のカッコマンだよ」
風間はカーディガンの裾を少し持ち上げるとその場でターンをして見せる。
ピンクのカーディガンというチョイスは驚きだが風間はそれをよく着こなしていた。
鳴神学園の濃紺のスラックスと対比するような明るい色合いは華やかで風間が長身なのもあり目を奪われるほど似合っていたのは間違いない。
「違いますよ、風間さんみたいに背の高い人でも着られるピンク色のカーディガンなんてあるんだ、と思って感心していただけです」
だが、風間がかっこ良い事を素直に認めるのはしゃくに障るから思ってもいない事を口にする。実際に褒めれば調子に乗るタイプでもあるから黙っていた方がいいだろう。
すると風間は頬を膨らまし口をとがらせながらカーディガンの袖を伸ばすとわざと口元に手を当て可愛いポーズなどをとって見せた。
「なーに言ってるんだい坂上くん。オシャレな男ほどピンクを華麗に着こなすもんだよ。そんな、男なら黒だネイビーだ重っ苦しい色ばっかり選んでいるのかいキミは。そんな事じゃボクのようにオニャノコにモテないぞ」
そしてポケットからピンク色の折り紙を取り出すとそれを三角に折り坂上の胸ポケット入れて鏡を向ける。
胸にピンクの折り紙が添えられただけなのに坂上の胸元が明るくなってみえ、普段より柔らかな印象を与えていた。なるほど、普段から自分のことをモテる男と言い張るだけあり見た目には気を遣っているのだろう。
そのような部分で気をつけるのなら、普段の言動をもう少し気遣った方がいいとは思うのだが。
「どうだい、参考になっただろう。それじゃ、授業料として500円」
風間は屈託なく笑うと手を差し出してくるから、坂上はポケットにねじ込まれた折り紙を広げて風間の手に乗せる。
広げた折り紙にはこっくりさんをやる時の鳥居やひらがなが並べられていた。荒井の話ではヴィジャボード等と呼ばれるものらしいが、折り紙の裏に書いてくるとは適当な風間らしい。
「払いませんよ、この折り紙もお返しします」
「えぇ、そんなぁ。ボクが来たのに追い返すのかい、坂上くーん、坂上くーん」
「もう帰ってください風間さんも受験生でしょう、まったく……」
あの後もしばらく風間は500円、500円と繰り返し新聞部に居座っていた気がするが、結局誰が追い返したのだったか。
新しい部長か、それとも様子を見に来た日野が追い返したのか覚えてはいない。
だが坂上がタンスの肥やしにしていたピンクのシャツを思い切って着てみようと思ったのは、間違いなくあの日見た風間の姿が一因だろう。
「どうせなら格好いいって言って欲しいなぁ……」
坂上は頭を掻くと、ポヘのリードを握り直す。
風間と比べれば子供っぽさが抜けてもいないし身長もそれほど伸びてはいないから、可愛いと呼ばれてしまうがいつか風間のようにかっこ良くどんな服でも着こなす事ができるのだろうか。
いや、風間のようにはなりたくないと思っているのだから風間を意識した服で褒められるのは嬉しいような悔しいような複雑な気持ちになるのだが。
坂上はポヘのリードを倉田へと向ける。
「よかったら、倉田さんもポヘのことちょっと散歩させてみる? もうしばらく公園を歩く予定だし」
「えっ、いいの? ありがとー坂上くん、じゃ、ちょっと一緒に歩こうか」
倉田はポヘのリードを握ると坂上と並んで歩き出す。
心地よい秋風は坂上の羽織った淡いピンクの上着をたなびかせていた。
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