インターネット字書きマンの落書き帳
保健室に行く(新堂×荒井・BL)
平和な世界線で普通に付き合っている新堂×荒井の話を壁に向かってしつづけるコーナーです。
はい、挨拶おわりッ。
今回は、蒸し暑い日に外で体育の授業をやったから熱中症になる荒井とその様子を見に来る新堂の話を書きましたよ。
やっぱり、お見舞いの話って定番だと思うんだよね。
その定番を大事にしていきたいよねッ……!
はい、挨拶おわりッ。
今回は、蒸し暑い日に外で体育の授業をやったから熱中症になる荒井とその様子を見に来る新堂の話を書きましたよ。
やっぱり、お見舞いの話って定番だと思うんだよね。
その定番を大事にしていきたいよねッ……!
『梅雨が過ぎまでまだ少し』
6月だというのにひどく蒸し暑く立っているだけで汗が噴き出るような天気だったから、こんな日に体育などやっては倒れてしまうのではないかとは思っていた。だがまさか本当に倒れてしまうとは予想外と言えただろう。
体操着のままベッドで横になった荒井はようやく今の状況を冷静になって振り返っていた。
立っているだけでぼんやりとし集中できない。そう思った矢先に膝をついて動けなくなってからの記憶はひどく曖昧だ。何となく袖山がすぐに駆け寄って声をかけてくれて、それから肩を貸し保健室まで来たような記憶はあるがすべての記憶が霞がかったように曖昧で自分におこった事とは思えない。
「こんな日に外で運動なんかして、熱中症ね」
というのが保険医である葛城の見解だった。実際、荒井もそうなのだろうと思う。
寝苦しさから寝付けず遅くまでPCを弄っていたり本を読んでいるという日が最近は多く、そのせいで朝起きた時には朝食を食べる暇がない。万全ではない体調で日差しの強いグラウンドに立っていれば具合が悪くなるのも必然だろう。
「水分もとったし、身体も冷やしているけどあんまり辛いなら無理せず病院に行くようにしなさい。今は少し休んでいていいから」
葛城は笑顔で言うが、鳴神学園で「病院に行く」というのは隣にある鳴神付属病院に行くという事だ。地域でも一番設備がよく腕の良い医者も多いと聞くが、鳴神学園の生徒は診察したまま消えてしまう事も多いという。熱中症を軽んじるつもりはないが、命がけで病院に行くつもりもない。
荒井は頭にアイスノンを乗せたままもう少し休んで、どうしても駄目そうだったら早退するのを伝えそのままベッドで微睡む事にした。
保健室は空調も快適で、荒井はついうとうとする。このまま静かに休んでいれば午後の授業には出られるだろう。そんな事を考えていた時。
「おーい、荒井いるかー」
保健室のドアが開き、外から新堂の声が聞こえてきた。誰かから荒井が倒れたのを聞いて、様子を見にきてくれたのだろう。
その頃、荒井は疲れもありうとうとしはじめていた。すぐに起きて返事をすれば良かったのだろうが、身体に思うよう力が入らずぼんやりと声を聞くだけに留まる。
「ちょっと、ここは保健室よ。大きい声出すと追い出すわよ」
「すいません葛城先生、ダチが倒れたって聞いて様子見に……2年の荒井昭二ってきてます?」
「貴方、3年でしょう? 本当に友達なの? 下級生が弱っている時にお金でもたかりにきた不良じゃないでしょうね?」
「人を見かけで判断するのは良くないと思いまーす……いや、本当にダチなんですって……」
どうやら新堂は不良と疑われて葛城に留められているようだ。それでなくても保健室はサボりたい不良がよく集まってくるのだから、見るからにチンピラっぽさが抜けない新堂は疑われてしまうのだろう。
荒井が出向いて一言でも声をかければ良いのだが、今はそんな余裕がない程身体が怠い。
しばらく押し問答をしていたが信頼を勝ち取ったのか、新堂は遅れながらも荒井のベッドを見つけるとすぐ隣に腰を掛けた。
「いやー、まいったぜサボりに来た生徒だと思われちまって……荒井、大丈夫か?」
新堂が隣に来た時、荒井は半ば夢の中にいた。返事をしたくとも声が思うように出ないほどで、僅かに開けた目も新堂の輪郭をとらえるだけ。すべてがぼんやりと貸すんで見える。
「おい、荒井。そんな具合が悪いのか?」
新堂は心配そうに荒井の手を握った。普段より熱くなっている手に少し驚いているようだ。心配するほどではない、もうそれ程悪くないから少し眠れば元気になる。
そう告げようと口を動かすが声は出ず、微かに唇が動くだけだった。
その様子を見て、新堂は荒井の髪を撫でる。そしてふと思いついたかのように、そっと唇を重ねた。
「……なっ、何やってるんですか新堂さん!?」
夢から一気に現実へと引き戻され、驚いて飛び起きる。すると新堂は嬉しそうに笑うと起きたばかりの荒井を撫でた。
「何話してもぜんぜん起きねぇから、これひょっとして王子様がキスすると目覚める奴か!? と思ってなー、試してみたら、結構効果あるもんだな。俺って、王子サマって奴だったのかもしれねぇな」
「ゆ、夢うつつで休んでいたんですよ。急に変な事するから、起きてしまったじゃないですか……」
「でも、効果はてきめんだったんじゃないのか?」
確かに眠気は吹き飛んだ。身体の調子も、思ったより悪くないようだ。
「ん、どうした。もう元気になったのか?」
急に賑やかになったからだろう、カーテンを開け、葛城は顔だけ見せてこちらをのぞき込む。荒井は何だか恥ずかしくなり顔を赤くしながらも 「はい、もう大丈夫そうです……」なんて、小声で返事をすると新堂は嬉々として荒井へ手を差し伸べる。
「よっしゃ、行こうぜ教室。何なら抱いていってやろうか?」
「い、いいですよ……自分で歩けますから……」
そう言いながらも、荒井は新堂の手をとって彼の肩を借りながら歩く。
二人の背中を見て、葛城は。
「具合が悪かったら遠慮なくまた保健室に来るんだよ、病院にもちゃんと行きな。それと、友達は大事にね」
なんて、ニヤニヤと笑いながら声をかけるのだった。
6月だというのにひどく蒸し暑く立っているだけで汗が噴き出るような天気だったから、こんな日に体育などやっては倒れてしまうのではないかとは思っていた。だがまさか本当に倒れてしまうとは予想外と言えただろう。
体操着のままベッドで横になった荒井はようやく今の状況を冷静になって振り返っていた。
立っているだけでぼんやりとし集中できない。そう思った矢先に膝をついて動けなくなってからの記憶はひどく曖昧だ。何となく袖山がすぐに駆け寄って声をかけてくれて、それから肩を貸し保健室まで来たような記憶はあるがすべての記憶が霞がかったように曖昧で自分におこった事とは思えない。
「こんな日に外で運動なんかして、熱中症ね」
というのが保険医である葛城の見解だった。実際、荒井もそうなのだろうと思う。
寝苦しさから寝付けず遅くまでPCを弄っていたり本を読んでいるという日が最近は多く、そのせいで朝起きた時には朝食を食べる暇がない。万全ではない体調で日差しの強いグラウンドに立っていれば具合が悪くなるのも必然だろう。
「水分もとったし、身体も冷やしているけどあんまり辛いなら無理せず病院に行くようにしなさい。今は少し休んでいていいから」
葛城は笑顔で言うが、鳴神学園で「病院に行く」というのは隣にある鳴神付属病院に行くという事だ。地域でも一番設備がよく腕の良い医者も多いと聞くが、鳴神学園の生徒は診察したまま消えてしまう事も多いという。熱中症を軽んじるつもりはないが、命がけで病院に行くつもりもない。
荒井は頭にアイスノンを乗せたままもう少し休んで、どうしても駄目そうだったら早退するのを伝えそのままベッドで微睡む事にした。
保健室は空調も快適で、荒井はついうとうとする。このまま静かに休んでいれば午後の授業には出られるだろう。そんな事を考えていた時。
「おーい、荒井いるかー」
保健室のドアが開き、外から新堂の声が聞こえてきた。誰かから荒井が倒れたのを聞いて、様子を見にきてくれたのだろう。
その頃、荒井は疲れもありうとうとしはじめていた。すぐに起きて返事をすれば良かったのだろうが、身体に思うよう力が入らずぼんやりと声を聞くだけに留まる。
「ちょっと、ここは保健室よ。大きい声出すと追い出すわよ」
「すいません葛城先生、ダチが倒れたって聞いて様子見に……2年の荒井昭二ってきてます?」
「貴方、3年でしょう? 本当に友達なの? 下級生が弱っている時にお金でもたかりにきた不良じゃないでしょうね?」
「人を見かけで判断するのは良くないと思いまーす……いや、本当にダチなんですって……」
どうやら新堂は不良と疑われて葛城に留められているようだ。それでなくても保健室はサボりたい不良がよく集まってくるのだから、見るからにチンピラっぽさが抜けない新堂は疑われてしまうのだろう。
荒井が出向いて一言でも声をかければ良いのだが、今はそんな余裕がない程身体が怠い。
しばらく押し問答をしていたが信頼を勝ち取ったのか、新堂は遅れながらも荒井のベッドを見つけるとすぐ隣に腰を掛けた。
「いやー、まいったぜサボりに来た生徒だと思われちまって……荒井、大丈夫か?」
新堂が隣に来た時、荒井は半ば夢の中にいた。返事をしたくとも声が思うように出ないほどで、僅かに開けた目も新堂の輪郭をとらえるだけ。すべてがぼんやりと貸すんで見える。
「おい、荒井。そんな具合が悪いのか?」
新堂は心配そうに荒井の手を握った。普段より熱くなっている手に少し驚いているようだ。心配するほどではない、もうそれ程悪くないから少し眠れば元気になる。
そう告げようと口を動かすが声は出ず、微かに唇が動くだけだった。
その様子を見て、新堂は荒井の髪を撫でる。そしてふと思いついたかのように、そっと唇を重ねた。
「……なっ、何やってるんですか新堂さん!?」
夢から一気に現実へと引き戻され、驚いて飛び起きる。すると新堂は嬉しそうに笑うと起きたばかりの荒井を撫でた。
「何話してもぜんぜん起きねぇから、これひょっとして王子様がキスすると目覚める奴か!? と思ってなー、試してみたら、結構効果あるもんだな。俺って、王子サマって奴だったのかもしれねぇな」
「ゆ、夢うつつで休んでいたんですよ。急に変な事するから、起きてしまったじゃないですか……」
「でも、効果はてきめんだったんじゃないのか?」
確かに眠気は吹き飛んだ。身体の調子も、思ったより悪くないようだ。
「ん、どうした。もう元気になったのか?」
急に賑やかになったからだろう、カーテンを開け、葛城は顔だけ見せてこちらをのぞき込む。荒井は何だか恥ずかしくなり顔を赤くしながらも 「はい、もう大丈夫そうです……」なんて、小声で返事をすると新堂は嬉々として荒井へ手を差し伸べる。
「よっしゃ、行こうぜ教室。何なら抱いていってやろうか?」
「い、いいですよ……自分で歩けますから……」
そう言いながらも、荒井は新堂の手をとって彼の肩を借りながら歩く。
二人の背中を見て、葛城は。
「具合が悪かったら遠慮なくまた保健室に来るんだよ、病院にもちゃんと行きな。それと、友達は大事にね」
なんて、ニヤニヤと笑いながら声をかけるのだった。
PR
COMMENT