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インターネット字書きマンの落書き帳

   
【新堂×荒井にちょっかいを出したい風間さん(BL)】
平和な世界線で普通に付き合ってる新堂×荒井の話をするコーナーです。
(強い意思表示)

今回は新堂と荒井が付き合ってるのを知っていて、「なんかボクも楽しいことしたいなー」って勢いでちょっかいをかけてくる風間の話ですよ。
イメージ的には新堂×荒井←風間みたいな話ですが、風間が入る隙間は残念なくらいありません。
残念なくらいないのでこの後風間は坂上とじゃれに行きますが、そこも倉田と元木がいて入る所がなく「えーん、日野~」って言い出したりしてますよ。

へいわなせかい!


「気にしているのは誰のため」

 荒井が新堂と付き合うようになってから、時々風間が教室に来るようになっていた。

「荒井くん、まだ新堂とお付き合いしているのかい?」

 2年の教室に現れるたび、風間は荒井に近づくと周囲に聞こえない声でこっそりと問いかける。

「別れたらおしえてくれよ、次はボクが狙っているんだからね」
「ボクみたいなカッコマンの方が君より新堂にお似合いだってのは頭の悪いキミにだってわかるでしょ? キミみたいなおチビちゃんはお呼びじゃないんだよ」

 答えないで居ると、いかに自分のほうが新堂を愛しているのかとか、自分の方が新堂と並んだ時にルックスがいいのだろうなどとチクチク言葉で責め立てるのだ。
 風間は背も高いし認めたくもないが顔はいい。新堂と風間が並べば傍目からすると目立ったいい男二人が並んでいるようには見えるだろう。
 だが、例えそうだとしても新堂が選んだのは荒井で風間ではない。
 その絶対の自信から風間の薄っぺらい挑発に乗る事は一度だってなかったのだが、その日荒井が新堂に会うため三年の教室棟へ向かった時、新堂が風間を前に楽しそうに笑っている姿を見た時。焦りとも怒りとも思えぬ感情が熱のようにこみ上げてきた。

「新堂さん、ちょっといいですか」

 普段なら自分から声をかけたりせず新堂が会話を終えるまでそばで待っているのが荒井なのだが、風間と話し無邪気に笑う新堂を見続けるという辛さが勝り袖を引いて早めに声をかければ、新堂は不思議そうに荒井を見た。

「どうした荒井、珍しいなこんな時間から来るなんて……」
「いえ、あの。少し話したい事があるので……」

 荒井はこちらに聞き耳をたてる風間から逃れるよう新堂の手を引くと人が少ない廊下の端までいってようやく口を開いた。

「すいません、新堂さん。風間さんにはあまり聞かれたくない話だったので、つい……」
「風間に? あいつなんて今聞いた話をすぐ忘れるような奴だから気にしなくていいと思うぜ」
「僕が気になるんですよ、風間さんを前にすると新堂さん、僕の前と違った笑い方をするじゃぁないですか……」

 つい伏し目がちになる荒井を前に、新堂は「そうだったっけ」と考える。

「まぁ、風間とは1年の頃から知り合いだからなぁ。同じクラスだったんだよ、風間と俺。あと大倉とかもいたかな……」
「そうだったんですか、それは知りませんでした」
「3年になったらめっきり顔を合わせなくなって話す回数も減ってたんだけど、この間の集会で久しぶりに話したら以前よりちょっとウザくなってたが、けっこう面白い奴でなぁー。でも、話すことなんて下らない話だぜ、別にあいつから口説かれた事ねぇし、俺もアイツを口説いたりしねぇよ。そもそもあいつ、貸した500円も返してねぇからノーサンキューだわ」
「ですが……」

 荒井は新堂のズボンを握ったまま、俯き小声でぼそぼそ喋る。

「ですが、風間さんは僕の教室に来るといつも言うんですよ。『新堂とはもう別れたのか』とか『キミよりボクの方が新堂に相応しいだろう』なんて……新堂さんのこと、狙っているんです、あの人。僕と新堂さんが付き合えるなら、自分だって新堂さんと付き合えるなんて勘違いをしてるんですよ……本当、憎ったらしい」

 最後はつい吐き捨てるように言っていた。
 そんな荒井を前に、新堂は笑いながら頭を掻く。

「そんな事で怒ってたのか? おまえ、本当に風間と仲悪いな」
「当たり前です。僕はあのふざけた人の事が好きではない、それだというのに新堂さんを自分のものに出来ると思い上がっている。僕からなら奪えると思っているんだ、それは……許せないです」
「でもよォ、荒井は俺が風間に口説かれたらすぐ風間の所に行くと思ってんのか?」
「それは……思ってないですけど」
「おまえと別れたら当てつけみたいに風間と付き合うとでも? 俺のことそんな奴だと思ってるのか?」
「思ってませんよ! でも……僕は、不安なんです。あの人に取られてしまわないか……あの人は、僕の知らない新堂さんを知っている。それは……事実ですから」

 話せば話す程、荒井の表情は不安げに沈んでいく。その様子を見て、新堂はさも合点がいったような顔で頷いた。

「よし、わかった。おまえ、風間に担がれてるぜ絶対」
「えっ? ……どうしてですか、僕はそんな事をされる筋合いなんてないですよ」
「風間はこの前の集会でお前に『さして怖くもない話をしにきた』なんて言われたの腹を立ててたし。それ以前に、ちょっとからかい甲斐があると思った相手にはすぐちょっかいかけて来るんだよ。ほら、坂上とか最近毎日のように500円、500円って追いかけられてるんだろ?」
「そうだったんですか……それは、知りませんでした」
「そういうやつなんだよ、お前がそう言うと動揺するし、怒ったり狼狽えたりするからわざと言いに来てんだぜ。だいたい、俺の事好きだとかお前に言うわりにあいつ俺にはそんな素振りぜんぜん見せねぇもん。カネも返さねぇし」
「つまり……あの人は僕に嫌がらせをするために来ている……という事なんでしょうか」

 それなら、幾分か安心する。
 ただ自分をからかいたいだけで新堂の名を出すのは不快だが、目的がわかれば対処のしようはあるからだ。
 だが、新堂の想像は荒井が思っていた事とはまた少し違うようだった。

「いやぁ、でもなぁ。案外、風間の奴が好きなのは荒井、おまえなんじゃないかって思ってるんだよな、俺は」
「えぇ……そ、そんな……僕は別に……」
「風間ってさ、好きな相手にはちょっかいかけてくるタイプなんだよ。だから俺じゃなくて、本命はお前なのかもな……」

 と、そこで新堂は不意に真面目な顔をすると荒井の両肩を抱きしめた。

「絶対に風間なんかにくれてやるかよッ、荒井は俺の恋人だってのあいつにしっかり分からせておかねーとな。おい、あいつ何時頃くるんだ?」
「えっ……昼休み前とか、放課後とかですが……」
「それなら風間より先回りして俺がおまえのそばにいてやる、見せつけてやろうぜアイツに。おまえの入るスキなんて無いってことをよ」

 何だか思わぬ展開になってしまったが、新堂が自分を心配してくれている事は嬉しい。
 風間にとられたくないと思っている事も、誰より自分のことを思っていることもわかったのだ、もう何も怖れるものはないだろう。

「新堂さん、そこまでしなくても……」
「いや、ダメだな。風間のバカにはしっかりわからせておかねぇと……な」

 新堂は屈託なく笑うと、荒井の肩を抱き寄せる。
 温かな身体が近づいて、荒井は「あぁ、この人を好きになってよかった」なんて当たり前のことを、今さらのように嬉しく思うのだった。

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インターネット駄文書き
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