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インターネット字書きマンの落書き帳

   
催眠術にかかっちゃう系の荒井(新堂×荒井/BL)
平和な世界線で普通に付き合っている新堂×荒井の話を……します!
ここまで挨拶を兼ねた幻覚の説明です。

中村くんに催眠術の実験台にされ、その時は何ともなかったものの、新堂と二人になったら急にぽわぽわしてきちゃったので「ヤバい、中村くんの催眠術効いた!?」と若干焦る荒井を解放する新堂さんの話ですよ。

えっちの導入みたいです。
えっちも余裕あったら書きたいですね。



『遅れて来た熱』

「何だか、頭がぼぅっとします……」

 新堂と二人で並んで帰る途中、急に荒井はそう言うと新堂の身体にもたれてきた。

「マジかよ、大丈夫か?」

 慌てて身体を支えながら、新堂は荒井の額に触れる。
 幸い熱はないようだが、荒井の頬は確かに紅潮していた。

「調子悪いのか? だったら今日は家まで送っていってやるよ」

 荒井は鳴神学園から徒歩圏内に家があるが、新堂は電車通学をしていた。
 普段なら次の曲がり角で別れる事になるのだが、具合が悪くなった荒井を放っておくわけにもいかない。
 新堂は荒井の肩を抱き支えるように歩いていたが、次第に荒井の息が上がってくる。時々やけに苦しそうに汗を拭う姿はいかにも辛そうにしていた。

「大丈夫か荒井、無理すんな。すこし休んでから帰ろうぜ、な?」

 新堂はほとんど何も言わなくなった荒井を支え通り道にある公園へと入る。
 荒井を椅子に座らせ、自動販売機で水を買ってきて渡せば、荒井はようやく人心地ついたような顔をした。

「すいません新堂さん……少し、落ち着いてきたようです」
「そうか、良かった。いや、急に息が上がってきたから心配したぜ。でも、無理すんじゃねぇぞ」

 荒井は頷き、少しずつ水を飲む。
 さっきと比べれば随分落ち着いているようだから、少なくとも救急車を呼ばなければいけないような緊急事態ではないようだ。
 だが、やはり心配だ。今日は家まで送って帰ろう。多少遠回りにはなるが、トレーニングだと思えばさして苦にならない。だいいち、弱っている恋人を置いて帰るなど、出来るはずもない。

 とにかく今はそばに寄り添っていよう。
 そう思い荒井の隣に座れば、荒井はすぐに新堂の手を強く握ってきた。
 指を絡めしっかりと結ばれた手は、普段あまりしない恋人のようなつなぎ方だ。

「どうした荒井、お前……いや、何かお前がこういう事するの、珍しいよな」

 荒井は普段、人前では素っ気ない。いや、二人でいる時もわりと素っ気ない方だ。
 感情を露わにするのをあまり良しとしない性分なのもあり、あまりに遠回しに誘うため鈍感な新堂はなかなか気付く事ができず、怒らせてしまった事もある。
 だから率先して手を握ってくるのを珍しく思いながらも、慕われている嬉しさから自然と強く握り返していた。
 すると、荒井は新堂の腕に頭を預ける。やはり、いつも以上に積極的だ。積極的すぎておかしい。
 新堂がそう思っているのに気付いたのだろう、荒井は少し悔しそうに唇を噛んだ。

「おかしいですよね、僕。普段はこんなことしませんから」
「あぁ、おかしいな。どうした? 別に風邪ひいたって感じじゃねぇし、酒飲んでるわけでもないよな」
「違います、けど……僕としては極めて屈辱なのですが、新堂さんになら話してもいいと思うので、お伝えしますね。実は……」

 荒井は躊躇いがちに口を開く。
 きっかけは昼休み、同じクラスにいる中村という生徒に絡まれた事だった。

「荒井くん、実は僕は催眠術の才能があると思うんだよ」

 中村が自分を誇大評価し、何の根拠もない自信に満ちあふれているのはいつもの事だったがその日の発言はあまりに突飛なので、逆に興味が沸いた。

「バカなこと言わないでください。催眠術なんて使えるようになってどうしようというのですか」
「何を言ってるのさ荒井くん、催眠術さえあれば、どんな照れ屋でも正直な気持ちを曝け出してくれる。そう思わないかい? 例えば本郷さんは僕のことを以前から好きなんだけど、彼女からアプローチしてくれないだろう。だけど僕は気付いたんだ、催眠術を使って、自分の気持ちを解放させればきっと彼女も僕に告白してきてくれるはずだ、ってね」

 中村がクラスメイトの本郷に好かれていると思い込んでいるのは以前からのことだ。
 実際、本郷は中村のことをかなり嫌っているのは明白なのだが、他人の事にくちばしを挟むのは性分ではない荒井は常に黙って見ていた。
 しかしまさか、そんな目的のために催眠術なんて胡散臭いものに手をだすとは、中村らしいといえば中村らしい。

「そうですか、では早速、本郷さんに試してくればいいじゃないですか。才能があるんですよね」
「そうなんだよ。だけど、まだクラスメイトには試した事がないんだ。だから荒井くん、キミに試してみてもいいかな」
「おことわりします」

 中村はその後もしつこく荒井につきまとっていたが、当然全て無視をした。
 普段の中村ならそうしていれば飽きて他の所に行くからだ。だが、その時はどうにも聞き捨てのならない言葉をもらしたのだ。

「何だよ、つれないなぁ荒井くんは。それなら袖山くんに頼もうかな。彼は自分に自信が無いみたいだし、きっといい実験台になってくれるはずさ」

 袖山は、荒井の親友だ。新堂も袖山のことは良く知っている。
 どんな状況におかれても決して腐る事もなく、自分なりの力で懸命に挑戦していく。何に対してもきちんと筋を通す性格は新堂も気に入っており、折に触れ様子を見に行ったり、一緒に食事を食べたりする間柄だった。
 荒井は袖山の懸命でひたむきな所を好いている。
 だからこそ、中村に彼の性格を踏みにじられたくはなかったのだろう。

「まってください、中村くん。袖山くんを犠牲にするなら、僕で試していいですよ」

 とっさにそう言ったのは、もちろん中村の催眠術なんて効果がないと思っていたからだ。
 実際、そのあと中村に訳の分からない呪文をとなえられた時は、何も感情が動くことはなかったのだから。

「だけど、今になって……新堂さんと一緒にいると、普段よりずっと昂ぶってしまうんです。中村くんの陳腐な催眠術が効いたとは思いたくはないんですが……」

 荒井は明確に中村を嫌っているからこそ、効果があったとは思いたくないのだろう。
 新堂は荒井と手を握ったまま、唇に触れるだけのキスをする。

「新堂さん……」

 潤んだ目を向ける荒井に、新堂は優しく笑って見せた。

「効いてるワケねぇだろそんな奴のインチキ催眠術が。今日のお前は、俺がいい男だから惚れ直しただけ。それでいいじゃねぇか、な」
「……そう、ですよね。効いてるワケがない。そうです……新堂さんなら、何度だって好きになっても不思議じゃないですもんね」

 荒井はどこか安心したように笑うと、新堂の頬に触れ自ら唇を重ねてくる。
 普段より深く熱い口づけを交わしながら、理由などもうどうでもいいからもっと深く違いを知りたい。自然とそんな思いを燻らせていた。

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インターネット駄文書き
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