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インターネット字書きマンの落書き帳

   
女装させられる荒井を助けに入る新堂の話(新堂×荒井・BL)
平和な世界線で付き合ってる新堂×荒井の話をするコーナーです。(挨拶を兼ねた幻覚の説明)

今回は、姫乃に無理矢理女装させられて恥ずかしくて外に出られなくなっちゃう荒井が新堂に助けを求める話ですよ。

本当はハロウィーンに出す予定だったんですけどね。
俺のハロウィーン気分がagaるのが遅くて今になっちゃいましたが、「俺がハロウィーンだと思ったらハロウィーンなんだよ」という事でご容赦頂ければとおもーいまーす。

俺がネタを書き終えるまでがハロウィーンだぜ!



『人目ををはばからず』

 視聴覚室にいます、すぐに来て下さい。
 珍しく荒井から急ぎのメッセージを受け取った新堂はいったい何があったのだろうと思いながら視聴覚室に向かえば、部屋の隅で隠れるよう蹲る荒井の姿を見つけすぐになるほどと事態を察した。
 物陰から現れた荒井は女子制服を着させられ、髪はウィッグかエクステをつけてツインテールにまとめた女装姿で隠れていたからだ。

「おいおい、また随分かわいい格好してるじゃ無ェか。姫乃にやられたのか?」

 驚きながら手を差し出せば荒井はその手を握り立ち上がるとスカートの裾をおさえ口を尖らせた。

「えぇ、ハロウィーンだから仮装をしようと姫乃くんが言いだして女子の制服をもってきたものだから、時田くんや赤川くんも悪乗りをして……まったく、他人事だと思ってひどいものです」

 メイクもされているのだろう、近くで見れば普段より目も大きく見えるし睫毛も随分と長く見える。 艶やかな唇も普段より顔色がよく見える頬もぜんぶメイクのせいだろう。
 新堂は「そいつは災難だったな」なんて適当な相づちをうつと目の前でたなびくスカートをめくって見た。
 スカートの下はいつも通り、荒井の地味なボクサーパンツだ。

「何だ、下着までは女装してないんだな。いつものお前のパンツだ」
「なぁっ……何してるんですか新堂さん、殴りますよ」

 そう言いながら荒井はしっかり拳を握り新堂の胸元に一発、良いパンチを入れている。細い荒井の身体とは思えぬほど重い一撃だった。

「殴ってから言うなよ! いや、メイクまで完璧だからパンツも変えてるんじゃないかと思って一応確認しただけだって」
「どういう一応なんですか? ……実は、下着まで脱がされそうになったから逃げてきたんですよ。メイクされるのも嫌だったのに、下着まで女性用のものを着させられたら流石に恥ずかしいですからね」
「そうか、そりゃ……えっちだな」
「……何言ってるんですか? いま想像しましたか? もう一発殴りましょうか?」
「何も言ってねぇし想像もしてねぇよ、だから拳を握るな、いくらへなちょこでも殴られるのはゴメンだからな」

 荒井は不服そうに口を尖らせてはいるものの、幾分か落ち着いた様子で髪を撫でたりスカートの裾をおさえたりする。 普段より長い髪になっていることや短いスカートがはためくのが気にかかるのだろう。

「それで、どうすんだ? その格好で家に帰るってワケじゃないよな」
「今日は母が家にいる日なんですよ、帰ってきたら息子が女子制服を着てたら流石にまずいですからね……袖山くんが僕の制服を取り戻してくれたようなのでどこかで落ち合って着替えたい所なんですけど、姫乃くんや時田くんに見つかったらまたオモチャにされてしまうんで下手に動けないんですよ」

 なるほど、それで用心棒として新堂が呼ばれたに違いない。腕っ節だけでいえば新堂の実力なら時田や姫乃一人なら追い払うのは容易いからだ。
 かといって油断は禁物だ。姫乃に時田、赤川は不意打ちで行動を起こすのを得意としている。嬉々として荒井を女装させようと動いているのなら隠れて行動するのは数に劣るこちらのほうが分が悪いだろう。特に姫乃は下手に隠れて動いていれば背後から忍び寄って首でも絞めそのまま暗がりに連れ込んで何をされるかわかったものではない危険人物だ。今の荒井が無事なのも、友人たちと一緒にいて女装やメイクを甘んじて受け入れていたからで、もし拒否していたら人気の無い場所へ無理矢理連れ込んで縛ってでも女装させていただろう。

「袖山とはどこで落ち合う事になってるんだ?」
「まだ決めてないです……将棋部の部室が候補にあがっているんですけど、袖山くんが別行動をしている時点で将棋部の部室は抑えられている気がするんですよね」
「だろうなァ、視聴覚室だって時田とお前が鍵をもっている時点でマークされているだろうから、あいつらがここにくるのも時間の問題だろうぜ」

 新堂はスマホをチェックしながら廊下へと目を向ける。鳴神学園は生徒が多いから何処にいったって人目に付く。誰もいない道順を探す方が難しいくらいだから、姫乃たちと出くわさないよう動くのは困難だろう。

「いや、まてよ。出くわさないのが難しいのなら……」

 そこで、新堂は閃いた。
 見つからないように歩くのが困難なら、見つかってしまってもいいように歩いた方がいい。発想の逆転という奴だ。

「どうしました、新堂さん」

 どこか不安げにこちらを見る荒井を抱き寄せると新堂は「よし」と小さく呟くと彼の肩を抱いたまま、廊下へ出て行った。

「ちょ、ちょっと新堂さんッ……」

 生徒たちの視線を受け恥ずかしさから俯く荒井の身体をしっかり抱くと、新堂は荒井にだけ聞こえるように告げる。

「二人で隠れながら時田や姫乃を巻くのはちょっとキツいだろ。だったら逆に堂々と見える場所を歩いた方が安全じゃないかと思ってな。誰もいない廊下だと姫乃なんかは何するか分かんねぇけど、他の生徒が見てる場所なら滅多なことはしねぇだろ」
「で、でもこれは……僕が恥ずかしいです……」
「心配しなくても、今のお前はどう見たって女子だよ。お前が男だって思う奴も、荒井だって気付く奴も遠目からならわからねぇだろ。心配なら俺にくっついて俯いてりゃ顔隠してやるって」

 どう見ても女子と言われるのは複雑だが、他の生徒が今の荒井を男子生徒だと思わないのは本当のようだった。 すれ違う生徒たちは「今の誰? すげぇ美人だな、背も高いし」だの「新堂が連れてる子? 誰? 彼女?」だの囁く声が聞こえてくるが、誰も彼を荒井だと認識していないようだ。
 恥ずかしさはあるがこの場を突破するには最善策にも思えた。

「わ、わかりました……一緒に歩きますから、もっとくっついてください。は、恥ずかしいので……」
「わかったわかった、ほらよ」

 優しく肩を抱かれながら胸元へ顔を埋める。
 女装させられ見世物のようにされているのは気に入らないが、新堂に抱かれ支えられて歩くのは悪くない。そんなことをちらりと考えながら荒井は必死に廊下を歩いていた。

「袖山、外の公園で待ってるってよ。そこまで来れば安心だろ……」

 新堂の予想通り、人目につく所では手を出しにくかったのか堂々と廊下を歩き下校途中の生徒に紛れ無事に外へ出ることが出来た。
 袖山は学校近くにある公園で紙袋を下げ、やってきた荒井に大きく手を振って見せる。

「大丈夫だった荒井くん!? これ、制服とメイク落としももらってきたから……」

 心配して駆け寄ってくれる袖山のおかげで普段の制服に着替え、メイクも落とせばいつもの荒井だ。 髪につけられたエクステもピンをはずせば簡単にはずれ、荒井を苦しめていた女装姿の呪縛はあっさりと解けた。

「ありがとうございます、新堂さん、袖山くん。おかげで助かりましたよ」

 鏡を見て普段の自分を取り戻した荒井はやっと人心地つく。そんな荒井を二人は「たいした事はしてない」といった顔で眺めていた。

「元の姿に戻れてよかったよ荒井くん、止められなくてごめんね」

 袖山は泣きそうな顔をして荒井の手を握る。
 荒井が周囲の玩具にされている間、何も出来なかったことを悪いと思っているのだろう。その辺りは袖山らしい優しい性格だといえる。

「別に袖山くんのせいじゃないから気にしないでよ……」

 荒井はそんな袖山の肩を撫で慰めながら、新堂と廊下を歩いていた時のことをぼんやりと思い返していた。
 あの時、手を握り肩を抱き寄せて歩く新堂と自分を妙に思う生徒は誰もいなかったろう。普通のカップルとして堂々と歩けていたと言ってもいい。 やはり新堂ももっと自分と恋人らしく振る舞ったりしたいのではないだろうか。女装姿の自分と一緒に居る方が気が楽だったり、そっちの自分の方が可愛いと思ったりしているのではないか。
 そんな思いがふつふつと湧いてきたから

「……新堂さんも、すいません。あの……女装した僕は、可愛かったですか?」

 つい、そんなことが口から出る。
 すると新堂はどこかあきれ顔になるとぐりぐりと荒井の頭を撫でた。

「可愛いもクソもあるか、大騒ぎされてめんどくせぇ……やっぱいつものお前が一番だぜ。だいたい、荒井昭二って奴はちょっと可愛くない男だろ?」
「……そうですね、可愛いなんて言われるのは嫌ですから」

 新堂の気取らぬ言葉に荒井は自然と笑顔になる。
 そして、改めてやはり好きになったのが新堂で良かったと、そんなことを思うのだった。

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インターネット駄文書き
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