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インターネット字書きマンの落書き帳

   
【手をつないで歩きたい赤川と気付かない袖山(BL)】
俺の見ている推しCPは俺にしか見えないかもしれないけど、俺にとって最高のCPだぜ!
という訳で、付き合いたての赤川×袖山の話をします。

何とかして袖山と手を繋いで帰りたいなぁ~。
そういうカップルらしい事したいなぁ~と思い、荒井にアドバイスを求める赤川の話です。

新堂×荒井の思想が強い人が書いているので、この世界では新堂と荒井は付き合ってます。
新堂×荒井がある世界の赤川×袖山……キミも今日から素敵に思おうぜ!


『手を握る』

 赤川が目の前でこれ見よがしに頭を抱えながら重々しいため息などついてみせるものだから、耐えかねた荒井はしかたないといった顔を露骨に見せながら赤川に声をかける事にした。

「どうしたんですか、赤川くん。ずいぶん悩んでいるようですが」
「聞いてくれるのか、さすが荒井君だ」
「聞いて欲しそうな顔をしていたくせに何を言っているんですか……どうせ、袖山くんの事ですよね」
「さすが、荒井君は話が早くて助かるよ」

 赤川は最近、荒井の親友でもある袖山と付き合い始めていた。
 勉強に関しては授業を聞いているだけで平均以上の点数がとれる上、趣味のゲームはオールマイティにプレイできる赤川がプライベートで悩みを抱えそうな事と言えば不慣れな恋愛の事しかないだろう。正直なところ他人の色恋沙汰に首をつっこみたくはないのだが、袖山は荒井にとってもかけがえのない友人の一人だ。赤川が間違った方向に暴走し袖山が悲惨な目に会うことだけは避けなければと思っていた。

「悩みといってもささやかなものさ。実は僕ね、袖山くんとそろそろ手を繋いで帰るとか……そういう恋人らしい事をしてみたいと思っているんだけど、彼にどう切り出したらいいか迷っているんだ。一体どう話したらいいと思う?」

 赤川の悩みは思いの外ささやかなものだった。だが。

「正直、悩みすぎて闇サイトのお兄さんに頼んで袖山くんを誘拐させて、それを僕がかっこ良く助けに入るみたいなストーリーを模造しようかと考えているくらいなんだけどさ……」

 ささやかな思いでも過激な行動に走りがちなのが赤川の悪い所だ。夢中になると極端に視野が狭くなりあり得ない行動力を発揮するのだ。これは赤川に限らず、鳴神学園の生徒全般にある傾向とも言えるのだが。

「そんなことしないで、袖山くんに直接お願いしたらいいでしょう。彼なら嫌がったりしませんよ」」

 これで赤川の恋人が中村あたりだったら荒井も適当にあしらうのだが、袖山だから無碍には出来ない。袖山という人間はこの世にある辛さや苦しみとはなるべく無縁に生きてほしいと思っていたし、たとえ恋人でも赤川に無理を強いられるような真似だけはしてほしくないと思っていた。

「それは分かっているんだけど、その一言が難しいんだよ。こういうの、慣れてないから袖山くんを前にすると思うように言葉が出なくて、どうしても照れちゃうんだ」

 好きな相手を前に思うように振る舞えない、という気持ちはわからないでもない。荒井だって新堂を前に自然体で振る舞えるようになったのはごく最近だし、キスをしようと寄り添う時は未だに恥ずかしさと緊張で戸惑う事があるからだ。
 だが、流石に新堂を闇サイトに売って狂言誘拐を働こうとまでは思わない。

「闇サイトに電話するよりよっぽど簡単だと思いますけど?」
「いや、闇サイトの相手なんて顔もあわせない奴だからどんな風に振る舞っても別にどうだっていいけど、袖山くんの前ではかっこ悪い所見せたくないだろ。自然にさ、手を握ろうと言わなくとも握れる方法ってないもんかなぁ……」」

 闇サイトと袖山の付き合いを同列に並べないでほしいものである。
 だが赤川が真剣に悩んでいるのは本心からのようだ。荒井は赤川のため、そして袖山が闇サイトで誘拐されないため少し考える事にした。

「僕の場合ですが、相手に向けて手を差し出したりはしますね。行きましょう、なんて言うと自然に手をとってくれますから」
「なるほどね、それなら自然かなぁ……」
「学校帰りなら、車道側を歩いてる時は車が来るとき自然と肩を抱き寄せてくれたりもしますよ。最も、滅多に僕が車道側を歩いてることはないんですが……気を使ってくれて、いつも相手が車道側にいてくれているんですよね」

 思い出しながら荒井はなんだか恥ずかしくなる。改めて語ると新堂が自分に気を使ってくれているのに気がつくし、自然な仕草で手を差し伸べたり肩を抱き寄せてくれるのがやけに格好よく思えたからだ。
 一方、赤川はうつ向く荒井には気付いていないようで納得したように頷くと

「手を差し伸べたるのは名案だよ荒井くん、早速僕も試してみる」

 なんて、笑いながら言うとバンバン一方的に荒井の肩を叩いて去っていく。荒井はその背中を見て、ひとまず袖山が誘拐されることはなさそうだと安心するのだった。

 ※※※

 ホームルームが終わってすぐに赤川は袖山の席へ向かった。荒井の助言を受け、自然に手を繋ぎあわよくばそのまま一緒に帰るため早速行動に移すことにしたのだ。

「袖山くん、ちょっといいかな」

 何か言おうかと思ったが気の聞いた言葉は思い浮かばす手を差し出す赤川の手をじっと見つめると袖山は首を傾げ考える。
 やはり「一緒に帰ろう」くらい言わなければ手を握ってはくれないか。今からでももう一言添えた方がいいだろうか。そんなことを考える赤川を前に、袖山はふと気付いたように顔をあげると赤川と手を重ねて見せた。

「赤川くん、僕より手が大きいね。指も長いし、ゲームをやってるからかな? 僕より手がたくましいように見えて羨ましいよ」

 袖山はニコニコしながら赤川の手を握り、宝物を扱うように大切そうに撫でる。
 そうじゃなく、手を繋いで一緒に帰りたいのだ。手を握ってくれるのは嬉しいのだが、恋人のようにしっかりと結ぶように握ってほしいのだ。内心ではそう思いもどかしくも感じたが、じっとこちらの手を見る袖山が幸せそうに笑っているのならこれはこれで悪くない。

「袖山くんの手だって柔らかいよ。暖かくて優しい手だから、俺は袖山くんの手が好きだな」

 赤川もまた袖山の手に触れると、自然と笑顔になる。
 手が好きだと言っただけで真っ赤になり恥ずかしがる袖山を前にして、もう少し焦れったい時間を楽しむのも悪くないと、そんなことを考えていた。

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インターネット駄文書き
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