インターネット字書きマンの落書き帳
愛しているから○された(風坂/BL)
宇宙人の風間が坂上のこと好きだったばかりに、宇宙人の新堂に殺される話を書きました。
一体何をいっているのだ!?
と思うけど、本当にそういう話です!
風間が坂上のこと特別だと思ってしまったがばかりに、正体ばれしちゃうの……いいよね!
そう思ったので……。
風間×坂上、両思いだけど伝わらないまま風間だけが死んじゃうエンドです。
数多い世界線の一つに、そんなビターな思い出が一つあるのもまた一興だと……思います♥
一体何をいっているのだ!?
と思うけど、本当にそういう話です!
風間が坂上のこと特別だと思ってしまったがばかりに、正体ばれしちゃうの……いいよね!
そう思ったので……。
風間×坂上、両思いだけど伝わらないまま風間だけが死んじゃうエンドです。
数多い世界線の一つに、そんなビターな思い出が一つあるのもまた一興だと……思います♥
『それは死に至る愛』
鳴神学園の通学路を、汗を拭きながら坂上は歩く。
駅から徒歩15分程度の道のりだが、残暑の厳しさが残る通学は体にこたえた。
「よ、坂上。おはようさん、大丈夫か、元気なさそうだな」
後ろから新堂が声をかけてくる。
夏の大会が終わり、ボクシング部を引退した新堂は朝練などがなくなったことで、坂上と同じ時間に登校することが増えていた。
「元気もなくなりますよ、毎日暑いですし、それに……」
と、そこで坂上は口を閉ざす。
頭の中には、いつもウザ絡みして面倒くさいばかりな先輩、風間の姿が浮かんでいた。
風間とは6月にあった集会で出会い、それから顔をあわせるたび「500円ちょうだい」だの「ボクを褒めてもいいんだよ」だのと意味の分からない絡まれ方をされていたのだが、その風間が最近ずっと学校に来ていないのだ。
鳴神学園は生徒の失踪者も多い。
何か事件にでも巻き込まれたのではないかという心配もある。
だが、あれだけ面倒だと思っていた風間とのやりとりがなくなると、ひどく寂しく思えている自分自身に、坂上は少し驚いていた。
「……最近、風間さんに会っていないので。何だか、いたら面倒だけど、いないと少し寂しいなぁって」
その言葉を聞いて、新堂は少し驚いたような顔をする。
だがすぐに笑顔になると、坂上の頭をぐりぐりと撫でていた。
「何だおまえ、風間のことなんか気にしてんのか。あんなテキトーな奴を気にするなんて、おまえっていい奴だなぁ」
「だ、だって……急にいなくなると、寂しいじゃないですか……」
僕に何も言わないでいなくなってしまうなんて。
胸に浮かんだ言葉をぐっと飲み込む。
新堂はそんな坂上を前に、どこか悲しそうに笑った。
「……心配しなくても、風間の奴はずーっとお前を見てるさ」
そしてそうとだけ言うと、軽い足取りで去って行く。
その背中を見て、坂上はきっともう風間には会えないのだと。 何となくそう思い、こみ上げてきた涙を一人で拭っていた。
※※※
風間の後頭部に冷たい銃口が向けられる。
背後からは新堂の息づかいだけが聞こえてきた。
決して誰にもバレないだろう。
まさか高校生の正体が宇宙人で、地球に侵略すべき価値があるのかどうか推し量っているだなんて荒唐無稽の話、地球人は誰もが笑うだけなのだから。
だから油断していたのはある。
それでも風間はスンバラリア星のエリートであり、単独の諜報を任されるほどに信頼されている。
普段から他人の気配にも敏感な方だ。
それでも背後をとられたのは、新堂が風間のことを完全にスンバラリア星人と見なしていたからだろう。
風間の正体を知った上で、日常に溶け込み機会を窺っていたのなら、流石の風間でも気取ることが出来ない。
風間は観念すると、静かに両手を挙げ敵意がないことを告げた。
「びっくりしたなァ、新堂。まさかキミが宇宙人だったなんて」
銃のトリガーに指がかかっている。風間が少しでも妙な動きをしたのなら、新堂はすぐにでも撃つのだろう。
それだけの覚悟と殺意が肌に感じられる。
今の新堂は平和な日常を謳歌する高校生ではなく、スンバラリア星人に対して憎悪を抱く復讐者なのだ。
「そうだよな、俺だってお前が宇宙人だとは思ってもいなかったぜ。妙な奴だと思ってはいたが、全然宇宙人の兆候も見せなかったし、この学校にある宇宙人たちの交流会にも無頓着だったからな」
鳴神学園は行方不明になる生徒が毎年いると噂にあがるが、毎年沢山の生徒が入学する。
その理由は、宇宙人の留学生も多く受け入れているからであり、そのような留学生たちの交流が密かに、だが頻繁に行われていた。
交流場所の連絡や方法は、宇宙公用語を人間の耳に聞こえない音域で発信しているため普通の生徒は気付かないようになっている。
風間は当然それに気付いていたが、諜報員という立場から知らないふりをして過ごしていたのだ。
「銃を向けてるってことは、ボクがスパイだってのに気付いてるんでしょ。スパイが仲良く異文化交流なんてしないよ」
「そうだろうな、お前はスンバラリア星人だものな」
新堂の言葉は淡々としているが、隠しきれない程の孤独と殺意に満ちている。
スンバラリア星は、不必要な星を多く破壊してきた。そのような文化と科学力を持つ星だ。
新堂の正体もまた、スンバラリア星が無用として消したどこかの星に住んでいた誰かだったのだろう。
ウンタマルか、ニャリンか、ホカポンスか……心当たりをあげればきりがない。
「あーあ、学生生活も結構楽しかったのに、ここでおしまいか」
風間は諦めた気持ちで告げた。
実際、自分はスパイという立場なのだからいつ殺されるかもわからないし、死ぬ覚悟は出来ている。
だが、この学校で学生として過ごしていた日々が楽しかったのは本当のことだった。
「……何でボクがスンバラリア星人だって気付いたのさ」
両手をあげたまま新堂へ、問いかける。
銃口を向けた限り、新堂は必ず風間を殺すだろう。もし殺さなければ、風間は容赦なく新堂を、いや、この地球ごと破壊するようスンバラリアにメッセージを送っている。
新堂は少し思案した後、ゆっくりと口を開いた。
「坂上が教えてくれたんだよ」
「坂上くんが?」
風間は驚き声をあげる。
坂上は、地球で出会った人間たちの中で風間が一番気に入っている個体だった。
気に入っている、というのは適切ではない。
風間の抱いている感情は、坂上を自分の手元に置きたい、他の誰かと関わらせたくない、ずっとそばにいてほしい。そのような感情であり、地球ではそれを愛と呼んでいたはずだ。
だが、いくら愛しているからといって坂上には自分の正体を伝えていない。
地球人にとって宇宙人とは想像上の存在で、怖れ怯えられる存在なのだから。
坂上は怖がりだから、そんなことを言ったらきっと嫌われてしまう。
そう思ってずっと、黙っていたのだ。
「坂上くんはボクがスンバラリア星人だなんて知らないと思うんだけどなぁ……」
「あぁ、俺もそう思う」
風間の言葉に、新堂は同意する。
だとしたら、どうして坂上の言葉から、新堂は真実に気付くことが出来たのだろう。
その疑問にこたえるよう、新堂はさらに続けた。
「坂上の奴にな、不思議そうに相談されたんだ。『風間さんは、僕を見る時に時々、青ざめたような顔をするんですよ。具合が悪くなっちゃうんですかね』なんて……お前の、頬が青ざめた色になるのを、坂上は気付いていたのさ」
それを言われて、風間は納得する。
人間の姿を模している時、血流も基本的には人間と同じになる。
だが、スンバラリア星人の血は基本的に緑色だ。油断をしていると、その色が肌から透けることがあるだろう。
坂上を見た時、心臓の鼓動がいつもより早まっていた。
頬が赤くなるという現象を忘れていた風間の頬はきっと、緑の血が透けて青ざめて見えたのだろう。
「そっかぁ……はは、気付かなかった。ボクはそんなに、坂上くんのことが好きだったんだねぇ」
力なく笑う風間に、新堂は小さくため息をつく。
「……最後に言い残したことはないか? 一応、同学年のよしみだ。聞いてやるぜ」
その言葉で、風間に浮かんだのは母星の事でもなければ任務のことでもない。
出会ったばかりのどこか子どもっぽい後輩、坂上のことだった。
「ボクのことは特に無いけど……そうだなぁ。もし、坂上くんがボクのこと、少しでも気にしてくれたのなら……ボクはいつでもキミを見守ってるよ、とでも伝えておいてくれるかい?」
「わかった、それだけか」
「うん、それだけ。じゃぁね」
もしわがままを言ってもいいのなら、卒業するまで坂上くんの先輩でいたかったな。
風間がそう、呟くより先に頭がはじけ飛ぶ。
新堂のもつ銃からは、強い熱を放った煙が立ち上る。
はじけ飛んだ風間の顔に涙が溢れていたことなど、誰も知らなかっただろう。
鳴神学園の通学路を、汗を拭きながら坂上は歩く。
駅から徒歩15分程度の道のりだが、残暑の厳しさが残る通学は体にこたえた。
「よ、坂上。おはようさん、大丈夫か、元気なさそうだな」
後ろから新堂が声をかけてくる。
夏の大会が終わり、ボクシング部を引退した新堂は朝練などがなくなったことで、坂上と同じ時間に登校することが増えていた。
「元気もなくなりますよ、毎日暑いですし、それに……」
と、そこで坂上は口を閉ざす。
頭の中には、いつもウザ絡みして面倒くさいばかりな先輩、風間の姿が浮かんでいた。
風間とは6月にあった集会で出会い、それから顔をあわせるたび「500円ちょうだい」だの「ボクを褒めてもいいんだよ」だのと意味の分からない絡まれ方をされていたのだが、その風間が最近ずっと学校に来ていないのだ。
鳴神学園は生徒の失踪者も多い。
何か事件にでも巻き込まれたのではないかという心配もある。
だが、あれだけ面倒だと思っていた風間とのやりとりがなくなると、ひどく寂しく思えている自分自身に、坂上は少し驚いていた。
「……最近、風間さんに会っていないので。何だか、いたら面倒だけど、いないと少し寂しいなぁって」
その言葉を聞いて、新堂は少し驚いたような顔をする。
だがすぐに笑顔になると、坂上の頭をぐりぐりと撫でていた。
「何だおまえ、風間のことなんか気にしてんのか。あんなテキトーな奴を気にするなんて、おまえっていい奴だなぁ」
「だ、だって……急にいなくなると、寂しいじゃないですか……」
僕に何も言わないでいなくなってしまうなんて。
胸に浮かんだ言葉をぐっと飲み込む。
新堂はそんな坂上を前に、どこか悲しそうに笑った。
「……心配しなくても、風間の奴はずーっとお前を見てるさ」
そしてそうとだけ言うと、軽い足取りで去って行く。
その背中を見て、坂上はきっともう風間には会えないのだと。 何となくそう思い、こみ上げてきた涙を一人で拭っていた。
※※※
風間の後頭部に冷たい銃口が向けられる。
背後からは新堂の息づかいだけが聞こえてきた。
決して誰にもバレないだろう。
まさか高校生の正体が宇宙人で、地球に侵略すべき価値があるのかどうか推し量っているだなんて荒唐無稽の話、地球人は誰もが笑うだけなのだから。
だから油断していたのはある。
それでも風間はスンバラリア星のエリートであり、単独の諜報を任されるほどに信頼されている。
普段から他人の気配にも敏感な方だ。
それでも背後をとられたのは、新堂が風間のことを完全にスンバラリア星人と見なしていたからだろう。
風間の正体を知った上で、日常に溶け込み機会を窺っていたのなら、流石の風間でも気取ることが出来ない。
風間は観念すると、静かに両手を挙げ敵意がないことを告げた。
「びっくりしたなァ、新堂。まさかキミが宇宙人だったなんて」
銃のトリガーに指がかかっている。風間が少しでも妙な動きをしたのなら、新堂はすぐにでも撃つのだろう。
それだけの覚悟と殺意が肌に感じられる。
今の新堂は平和な日常を謳歌する高校生ではなく、スンバラリア星人に対して憎悪を抱く復讐者なのだ。
「そうだよな、俺だってお前が宇宙人だとは思ってもいなかったぜ。妙な奴だと思ってはいたが、全然宇宙人の兆候も見せなかったし、この学校にある宇宙人たちの交流会にも無頓着だったからな」
鳴神学園は行方不明になる生徒が毎年いると噂にあがるが、毎年沢山の生徒が入学する。
その理由は、宇宙人の留学生も多く受け入れているからであり、そのような留学生たちの交流が密かに、だが頻繁に行われていた。
交流場所の連絡や方法は、宇宙公用語を人間の耳に聞こえない音域で発信しているため普通の生徒は気付かないようになっている。
風間は当然それに気付いていたが、諜報員という立場から知らないふりをして過ごしていたのだ。
「銃を向けてるってことは、ボクがスパイだってのに気付いてるんでしょ。スパイが仲良く異文化交流なんてしないよ」
「そうだろうな、お前はスンバラリア星人だものな」
新堂の言葉は淡々としているが、隠しきれない程の孤独と殺意に満ちている。
スンバラリア星は、不必要な星を多く破壊してきた。そのような文化と科学力を持つ星だ。
新堂の正体もまた、スンバラリア星が無用として消したどこかの星に住んでいた誰かだったのだろう。
ウンタマルか、ニャリンか、ホカポンスか……心当たりをあげればきりがない。
「あーあ、学生生活も結構楽しかったのに、ここでおしまいか」
風間は諦めた気持ちで告げた。
実際、自分はスパイという立場なのだからいつ殺されるかもわからないし、死ぬ覚悟は出来ている。
だが、この学校で学生として過ごしていた日々が楽しかったのは本当のことだった。
「……何でボクがスンバラリア星人だって気付いたのさ」
両手をあげたまま新堂へ、問いかける。
銃口を向けた限り、新堂は必ず風間を殺すだろう。もし殺さなければ、風間は容赦なく新堂を、いや、この地球ごと破壊するようスンバラリアにメッセージを送っている。
新堂は少し思案した後、ゆっくりと口を開いた。
「坂上が教えてくれたんだよ」
「坂上くんが?」
風間は驚き声をあげる。
坂上は、地球で出会った人間たちの中で風間が一番気に入っている個体だった。
気に入っている、というのは適切ではない。
風間の抱いている感情は、坂上を自分の手元に置きたい、他の誰かと関わらせたくない、ずっとそばにいてほしい。そのような感情であり、地球ではそれを愛と呼んでいたはずだ。
だが、いくら愛しているからといって坂上には自分の正体を伝えていない。
地球人にとって宇宙人とは想像上の存在で、怖れ怯えられる存在なのだから。
坂上は怖がりだから、そんなことを言ったらきっと嫌われてしまう。
そう思ってずっと、黙っていたのだ。
「坂上くんはボクがスンバラリア星人だなんて知らないと思うんだけどなぁ……」
「あぁ、俺もそう思う」
風間の言葉に、新堂は同意する。
だとしたら、どうして坂上の言葉から、新堂は真実に気付くことが出来たのだろう。
その疑問にこたえるよう、新堂はさらに続けた。
「坂上の奴にな、不思議そうに相談されたんだ。『風間さんは、僕を見る時に時々、青ざめたような顔をするんですよ。具合が悪くなっちゃうんですかね』なんて……お前の、頬が青ざめた色になるのを、坂上は気付いていたのさ」
それを言われて、風間は納得する。
人間の姿を模している時、血流も基本的には人間と同じになる。
だが、スンバラリア星人の血は基本的に緑色だ。油断をしていると、その色が肌から透けることがあるだろう。
坂上を見た時、心臓の鼓動がいつもより早まっていた。
頬が赤くなるという現象を忘れていた風間の頬はきっと、緑の血が透けて青ざめて見えたのだろう。
「そっかぁ……はは、気付かなかった。ボクはそんなに、坂上くんのことが好きだったんだねぇ」
力なく笑う風間に、新堂は小さくため息をつく。
「……最後に言い残したことはないか? 一応、同学年のよしみだ。聞いてやるぜ」
その言葉で、風間に浮かんだのは母星の事でもなければ任務のことでもない。
出会ったばかりのどこか子どもっぽい後輩、坂上のことだった。
「ボクのことは特に無いけど……そうだなぁ。もし、坂上くんがボクのこと、少しでも気にしてくれたのなら……ボクはいつでもキミを見守ってるよ、とでも伝えておいてくれるかい?」
「わかった、それだけか」
「うん、それだけ。じゃぁね」
もしわがままを言ってもいいのなら、卒業するまで坂上くんの先輩でいたかったな。
風間がそう、呟くより先に頭がはじけ飛ぶ。
新堂のもつ銃からは、強い熱を放った煙が立ち上る。
はじけ飛んだ風間の顔に涙が溢れていたことなど、誰も知らなかっただろう。
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