インターネット字書きマンの落書き帳
押しかけ悪魔の風間さん(坂上と風間)
別に付き合う予定はない坂上と風間の話です。
付き合う予定はないけど妙に距離が近いのはBL製造工場が作っているからだよね、仕方ない。
諦めてくれ!(開き直り)
俺は「悪魔な風間」という概念が結構好きなので今回は悪魔として坂上にちょっかいを出しまくっている話をします。
坂上のこと好き好き大好き! みたいな風間と、まんざらでもない坂上みたいな話ですね。
普段はあまり書かないコンビを書いたので個人的に新鮮な気がします。
誰かにとーどけー!
坂上と風間のコンビもいいぞ……!
付き合う予定はないけど妙に距離が近いのはBL製造工場が作っているからだよね、仕方ない。
諦めてくれ!(開き直り)
俺は「悪魔な風間」という概念が結構好きなので今回は悪魔として坂上にちょっかいを出しまくっている話をします。
坂上のこと好き好き大好き! みたいな風間と、まんざらでもない坂上みたいな話ですね。
普段はあまり書かないコンビを書いたので個人的に新鮮な気がします。
誰かにとーどけー!
坂上と風間のコンビもいいぞ……!
『ボクと契約して悪魔使いになろうよ』
坂上修一が風呂から出ると待っていましたとばかりに風間望が飛びついてきた。
「やぁ坂上くん会いたかったよ、お風呂上がりかい? 素敵なにおいのシャンプーをつかってるねぇ。いやぁ、キミは小さくて柔らかくて食べちゃいたいくらい可愛いよ」
突然現れ愛の言葉を囁く風間の頭には羊のように捻れた角があり、背中からはコウモリの羽が、腰から先には槍のように尖った尻尾が見えている。
綾小路行人いわく、風間は鳴神学園に長らく救っている悪魔の一人で、学園の七不思議を語る集会で何でもおっかなびっくり聞き、必用以上に驚いて見せる坂上をすっかり気に入って何とか契約しようとこうしてしばしば彼の前に姿を現すようになっていた。
もちろん、坂上は風間と契約する気などない。死んだあと魂を悪魔に捧げるだけで生きている内には何ら不利な事はないらしいが、それでも死ぬまで。いや、死んだ後も風間につきまとわれるのは嫌だったからだ。
風間は坂上からしっかりと契約はしないと断られているのは知っているが、それでも諦めずしばしば家にまでやってくるのだ。
とはいえ、悪魔でも下っ端らしい風間はそこまで強大な力をもつ訳ではない。せいぜい嫌な相手の小指をタンスにぶつけるくらいの嫌がらせがやっとで、勝手に家の中に入るほどの魔術は使えないはずだ。悪魔でも招かれなければ家には入れないはずなのだが。
そう思い、坂上は風呂場へと目をやった。風呂場を開けると脱衣所と浴室がちょうど合わせ鏡になる。鏡の中を住処とする風間は、合わせ鏡になった場所からなら好きに出入りが出来るのをすっかり忘れていた。
「僕は会いたくなかったです、かえってください!」
坂上はすぐさま風間の身体を鏡へ押し戻そうとするが、風間は坂上より背丈も高ければ身体も大きいのだ。 悪魔の力を使わなくとも人間としての身体能力で負けており、いくら押し戻そうとしても一向に動かない。このまま素っ裸で風間とじゃれ合うのも馬鹿らしいと考え直した坂上は、諦めて着替える事にした。
「もう母さんも寝てるからご飯は出ませんよ」
「そうか、残念。じゃぁ寝ているうちに坂上くんの精気でも吸おうかな? ボクはそういう悪魔じゃないからやったこと無いけど、坂上クンは可愛いから出来ちゃういそうな気がするな」
風間は妖しく瞳を輝かすとやけに赤い舌で唇を舐める。その姿が妙に艶めかしく悪魔的な魅力を感じずにはいられなかったので、坂上は慌てて視線を逸らした。 本当に精気を吸われるんじゃないかとさえ思ったからだ。
「インスタントのカレーがありますからそれでも食べてください。カレー、嫌いじゃないですよね」
「ボクは健康優良児だから好き嫌いはないよ、ご相伴にあずかろうかな」
残り物のご飯をレンジで解凍しながらレトルトパウチのカレーは鍋で温める。風間はそんな坂上の後ろ姿をニコニコしながら眺めていた。
「僕が料理する姿そんなに楽しいですか?」
「楽しいよ? というより、やっぱり学校から外に出てノビノビ過ごすのは楽しいよね。ほら、ボクたち悪魔は普段、鳴神学園からあんまり出ないから」
「そうなんですか、勝手に出て好き放題やっているのかと思いました」
「強大な力がある悪魔だったら別だろうけど、ボクはどちらかといえば力を抑えている方だからね。そういう悪魔は強い負の力が集まっている所でエネルギーを補充しないと人間でも殺せる程度に弱ってしまうのさ。だから基本的には危険を犯してまで鳴神学園から外に出る事はないんだけど」
と、そこで言葉を切ると風間は軽くウインクして見せる。
「大好きな坂上くんに会うためなら、多少の危険くらい覚悟の上さ」
本気なのか、冗談か。いや、冗談に決まっている。冗談に決まっているのだが、あまりに無邪気に笑うからか、それとも声が優しいからか、本当にそう思ってしまう。これもまた悪魔の手口なのだろうか。それとも風間の性格なのか。
カレーを差し出すと風間は「いただきます!」と手をあわせてからバターチキンカレーを頬張る。本当は自分の夜食にとっておきとして買ったものだが他に食べさせるものもないし、今からキッチンを使って作れるものもないから仕方ないだろう。
「うーん、おいしい。これ坂上クンが自分用に買った奴じゃないかい? いやー、悪いねぇ」
「そう思うなら勝手に来ないでください。いえ、事前に言ってから来られても困るんですが……」
頬杖をつきながら満面に笑みを浮かべる風間を見る。
もし風間と契約したらこのように毎日つきまとわれるのだろうか。
「もし僕が風間さんと契約したら、こうやって毎日つきまとうんですか?」
考えているだけのつもりだが、つい口に出ていた。すると風間は少し考えるような素振りを見せてから、坂上へと向き直る。
「うん、まぁ、そうなるかな。いいじゃないか、ボクはちょっとだけキミに有利な魔法もつかえるから悪くしないよ。今はキミの家と学校くらいでしか会えないけど、契約してくれれば映画にだって行ける、遊園地にも、水族館にもついて行くよ。何なら毎日添い寝してあげるし、夜に悪魔小話を千でも二千でも話して聞かせるさ。どうだい? それって幸せなことだと思わないかい?」
まるで自分とともに過ごせるのが世界最高の富であるかのように語る風間の態度は呆れるものがある。水族館や遊園地に行くといっても、その料金はきっと坂上もちになるのだろう。だが、二人で過ごす時間というのは悪くない。
なんて、そう思い始めているのはもう絆されているのだろうか。
坂上はグラスに牛乳を注ぐと、ゆっくりそれを飲みながら風間へと笑顔を向けた。
「そうですね……本当に僕の事を幸せにしてくれるなら、考えておきますよ」
その笑顔を前に、風間はスプーンを取り落とす。そして頬を赤くすると。
「是非、考えておいてくれたまえよ。きっと本気にしてみせるから」
そうやって不適な笑みを浮かべるのだった。
坂上修一が風呂から出ると待っていましたとばかりに風間望が飛びついてきた。
「やぁ坂上くん会いたかったよ、お風呂上がりかい? 素敵なにおいのシャンプーをつかってるねぇ。いやぁ、キミは小さくて柔らかくて食べちゃいたいくらい可愛いよ」
突然現れ愛の言葉を囁く風間の頭には羊のように捻れた角があり、背中からはコウモリの羽が、腰から先には槍のように尖った尻尾が見えている。
綾小路行人いわく、風間は鳴神学園に長らく救っている悪魔の一人で、学園の七不思議を語る集会で何でもおっかなびっくり聞き、必用以上に驚いて見せる坂上をすっかり気に入って何とか契約しようとこうしてしばしば彼の前に姿を現すようになっていた。
もちろん、坂上は風間と契約する気などない。死んだあと魂を悪魔に捧げるだけで生きている内には何ら不利な事はないらしいが、それでも死ぬまで。いや、死んだ後も風間につきまとわれるのは嫌だったからだ。
風間は坂上からしっかりと契約はしないと断られているのは知っているが、それでも諦めずしばしば家にまでやってくるのだ。
とはいえ、悪魔でも下っ端らしい風間はそこまで強大な力をもつ訳ではない。せいぜい嫌な相手の小指をタンスにぶつけるくらいの嫌がらせがやっとで、勝手に家の中に入るほどの魔術は使えないはずだ。悪魔でも招かれなければ家には入れないはずなのだが。
そう思い、坂上は風呂場へと目をやった。風呂場を開けると脱衣所と浴室がちょうど合わせ鏡になる。鏡の中を住処とする風間は、合わせ鏡になった場所からなら好きに出入りが出来るのをすっかり忘れていた。
「僕は会いたくなかったです、かえってください!」
坂上はすぐさま風間の身体を鏡へ押し戻そうとするが、風間は坂上より背丈も高ければ身体も大きいのだ。 悪魔の力を使わなくとも人間としての身体能力で負けており、いくら押し戻そうとしても一向に動かない。このまま素っ裸で風間とじゃれ合うのも馬鹿らしいと考え直した坂上は、諦めて着替える事にした。
「もう母さんも寝てるからご飯は出ませんよ」
「そうか、残念。じゃぁ寝ているうちに坂上くんの精気でも吸おうかな? ボクはそういう悪魔じゃないからやったこと無いけど、坂上クンは可愛いから出来ちゃういそうな気がするな」
風間は妖しく瞳を輝かすとやけに赤い舌で唇を舐める。その姿が妙に艶めかしく悪魔的な魅力を感じずにはいられなかったので、坂上は慌てて視線を逸らした。 本当に精気を吸われるんじゃないかとさえ思ったからだ。
「インスタントのカレーがありますからそれでも食べてください。カレー、嫌いじゃないですよね」
「ボクは健康優良児だから好き嫌いはないよ、ご相伴にあずかろうかな」
残り物のご飯をレンジで解凍しながらレトルトパウチのカレーは鍋で温める。風間はそんな坂上の後ろ姿をニコニコしながら眺めていた。
「僕が料理する姿そんなに楽しいですか?」
「楽しいよ? というより、やっぱり学校から外に出てノビノビ過ごすのは楽しいよね。ほら、ボクたち悪魔は普段、鳴神学園からあんまり出ないから」
「そうなんですか、勝手に出て好き放題やっているのかと思いました」
「強大な力がある悪魔だったら別だろうけど、ボクはどちらかといえば力を抑えている方だからね。そういう悪魔は強い負の力が集まっている所でエネルギーを補充しないと人間でも殺せる程度に弱ってしまうのさ。だから基本的には危険を犯してまで鳴神学園から外に出る事はないんだけど」
と、そこで言葉を切ると風間は軽くウインクして見せる。
「大好きな坂上くんに会うためなら、多少の危険くらい覚悟の上さ」
本気なのか、冗談か。いや、冗談に決まっている。冗談に決まっているのだが、あまりに無邪気に笑うからか、それとも声が優しいからか、本当にそう思ってしまう。これもまた悪魔の手口なのだろうか。それとも風間の性格なのか。
カレーを差し出すと風間は「いただきます!」と手をあわせてからバターチキンカレーを頬張る。本当は自分の夜食にとっておきとして買ったものだが他に食べさせるものもないし、今からキッチンを使って作れるものもないから仕方ないだろう。
「うーん、おいしい。これ坂上クンが自分用に買った奴じゃないかい? いやー、悪いねぇ」
「そう思うなら勝手に来ないでください。いえ、事前に言ってから来られても困るんですが……」
頬杖をつきながら満面に笑みを浮かべる風間を見る。
もし風間と契約したらこのように毎日つきまとわれるのだろうか。
「もし僕が風間さんと契約したら、こうやって毎日つきまとうんですか?」
考えているだけのつもりだが、つい口に出ていた。すると風間は少し考えるような素振りを見せてから、坂上へと向き直る。
「うん、まぁ、そうなるかな。いいじゃないか、ボクはちょっとだけキミに有利な魔法もつかえるから悪くしないよ。今はキミの家と学校くらいでしか会えないけど、契約してくれれば映画にだって行ける、遊園地にも、水族館にもついて行くよ。何なら毎日添い寝してあげるし、夜に悪魔小話を千でも二千でも話して聞かせるさ。どうだい? それって幸せなことだと思わないかい?」
まるで自分とともに過ごせるのが世界最高の富であるかのように語る風間の態度は呆れるものがある。水族館や遊園地に行くといっても、その料金はきっと坂上もちになるのだろう。だが、二人で過ごす時間というのは悪くない。
なんて、そう思い始めているのはもう絆されているのだろうか。
坂上はグラスに牛乳を注ぐと、ゆっくりそれを飲みながら風間へと笑顔を向けた。
「そうですね……本当に僕の事を幸せにしてくれるなら、考えておきますよ」
その笑顔を前に、風間はスプーンを取り落とす。そして頬を赤くすると。
「是非、考えておいてくれたまえよ。きっと本気にしてみせるから」
そうやって不適な笑みを浮かべるのだった。
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