インターネット字書きマンの落書き帳
新堂パイセンの家に泊まりにいく朝の話(BL)
平和な世界線で普通に付き合っている新堂×荒井の話をしてます。
お互いに好きだと伝えるより先に身体の関係が進んでしまったのでけっこうエッチな事はしてるんだけど、その後で恋愛をはじめたから色恋沙汰を意識するととたんに初心になってしまう。
そんな裸を見るのは慣れているが恋心を伝えるのは慣れてない男子高校生二人という概念好きかい? 今日から好きになろうぜ!
みたいな思いで書いてます。
今回は、前日に新堂から「親がいないからウチに遊びに来いよ」と言われてしまった荒井くんが期待を書く仕切れてないような話ですよ。
親がいないからうちに誘う新堂さんはこのへんで読めるようです。
このCPに興味ない?
今日から興味もとうぜ!
お互いに好きだと伝えるより先に身体の関係が進んでしまったのでけっこうエッチな事はしてるんだけど、その後で恋愛をはじめたから色恋沙汰を意識するととたんに初心になってしまう。
そんな裸を見るのは慣れているが恋心を伝えるのは慣れてない男子高校生二人という概念好きかい? 今日から好きになろうぜ!
みたいな思いで書いてます。
今回は、前日に新堂から「親がいないからウチに遊びに来いよ」と言われてしまった荒井くんが期待を書く仕切れてないような話ですよ。
親がいないからうちに誘う新堂さんはこのへんで読めるようです。
このCPに興味ない?
今日から興味もとうぜ!
『思わぬ期待』
昨日、新堂誠から家に遊びに来るよう誘われた荒井昭二は学校へ来ていた。
それは新堂と落ち合い彼の家まで行くようにした方が段取りが良いのもあったし、学校にも行ってないのに新堂の家へ行くようなことをして悪目立ちするのは避けたかったのもあったからだろう。
新堂と付き合っているという事を隠すつもりは無いし知られても別に構わないとは思っているのだが知られた時、はやし立てられたりあれこれ聞かれるのは億劫だったから目立つ行動は自然と避けるようになっていたのだ。
教室に入り自分の席につくより前から新堂が上機嫌である事は聞こえてきた。
今日のボクシング部は朝練があったようで、荒井のクラスにもいる部員が「新堂さんが機嫌良かったからいつもより練習がキツくなくて済んだ」なんてことを話ながら歩いているのが聞こえていたからだ。
「今日は朝から練習だったんですか。教えてくれれば様子を見にいったんですけど」
席についてすぐにスマホでメッセージを飛ばせば間髪入れず
「週末だから朝練入れて放課後は練習軽くしておこうって話しておいたんだよ」
「少しでも早く帰りてぇだろ」
「こっちがバテる訳にもいかねぇから朝練も早めに切り上げたからよ、見に来たらいなかったかもしれねぇし、気持ちだけでいいぜ」
なんてメッセージが返ってくる。
荒井が来るという事で事前にできる根回しは一通りしておいたのだろう。新堂はそういった行動力は目覚ましい所があったのだ。
「まったく、そんなに期待するなんてあの人は本当に子供っぽいところがありますよね」
荒井は呆れながらスマホを机に入れる。
すると荒井がスマホをしまうのを待っていたかのようにクラスメイトの袖山勝がノートを手に近づいてきた。
「あ、荒井くん。昨日、休んでただろう。よかったら昨日のぶんのノート見るかな……あんまり綺麗な字じゃないけど……」
そう言いながらおずおずとノートを差し出す姿はいかにも気弱で自信がなさそうだが、袖山は何をするに対しても誠実だ。 人より時間がかかっても最後までやり遂げる性分であり、授業のノートも教師の言葉から黒板の内容までおおむね記録してあるからいつだって正確である。
本当はこちらから頼もうと思っていたのだが袖山が気を遣って声をかけてくれたのは一目瞭然である。
荒井は袖山のそんな心遣いに感謝しながら彼のノートを受け取った。
「ありがとう袖山くん、助かるよ。一限目のノートは必要なところだけ見たらすぐに返すからちょっと待っていてくれないかな」
荒井は普段から授業内容より幾分か先まで予習は済んでいるので授業も途中から参加していても置いて行かれるような事はないのだが、学校の授業というのは教師によって癖もあれば教え方に個性が出る事も多い。
時には授業中にした雑談をテストに入れてくるような教師もいるのだから袖山のように教師の雑談もメモ書きしているノートのありがたさはひとしおであった。
ノートをめくり一通りの内容を記憶する荒井を前に袖山は普段と変わらぬ優しい笑顔のまま見つめていた。
袖山はこのようにノートを貸すという事でも見返りなど求めず善意から行えるタイプの人間だ。決して秀でた能力がある訳でもない、何かと隠れて地味になりがちな性格ながらきちんと成し遂げていく姿は美徳だと思っており、彼のように普通を幸福に受け入れられる友人がいることを荒井は密かに嬉しく思っていた。
そうしてひとしきりノートを確認し閉じた時、袖山は少嬉しそうに笑うとこんな事を聞いてきたのだ。
「荒井くん、へんな事聞いてごめんね。ひょっとして、何かいい事でもあったのかな」
「いいこと……僕に? そんな風に見えるかな」
「うん、普段よりも明るく見えるんだ。何か楽しそうというか、嬉しそう……って感じかな。あっ、別に荒井くんが普段からつまらなそうにしてるとか、暗そうだとかそういうのじゃないんだけど……」
そこまで言って袖山は慌ててそんな事を言う。
荒井自身、それほど自分が明るい性格だとも思っていなければ学校に行くのもそれほど面白いと思っていなかったから暗そうであるのもつまらなそうにしているのもその通りなのでわざわざ袖山が訂正する必要など何もないのだが、そのへんはお人好しな袖山らしいと言えるだろう。
「そうかな……自分では意識してなかったけど、確かにそうかもしれないね」
荒井はそう言いながらノートを袖山に返すと袖山も何故か嬉しそうにノートを抱く。
「そう、良かったね荒井くん。やっぱりいい事があると嬉しいし……荒井くんが楽しくしてるのを見るのは僕も嬉しいよ」
そしてそんな事を言い自分の席へと戻っていった。
他人の喜びを自分も素直に喜べる、やはり袖山は良い友人だ。
だがまさか袖山に嬉しそうだと指摘されるとは想像していなかった。自分では平静を装っていたつもりだし普段通りの事だと思っていたはずなのだが本心までもはごまかせなかったらしい。
新堂のことを随分と浮かれていると感じていたが、自分だって同じくらい今日を楽しみにしているのだ。しかも袖山に言われるまでは自覚してなかったのだからよっぽどだろう。
袖山が席に着いたのを見届けると荒井は頬杖をつく。
「これじゃ、新堂さんの事を子供っぽいなんて言えませんね……」
そして誰に聞かせるともなく呟くと窓へと視線を向ける。
梅雨の気配がまだのこる湿っぽい風が僅かに開いた窓から入りカーテンを静かに揺らすのだけがぼんやりと見えていた。
昨日、新堂誠から家に遊びに来るよう誘われた荒井昭二は学校へ来ていた。
それは新堂と落ち合い彼の家まで行くようにした方が段取りが良いのもあったし、学校にも行ってないのに新堂の家へ行くようなことをして悪目立ちするのは避けたかったのもあったからだろう。
新堂と付き合っているという事を隠すつもりは無いし知られても別に構わないとは思っているのだが知られた時、はやし立てられたりあれこれ聞かれるのは億劫だったから目立つ行動は自然と避けるようになっていたのだ。
教室に入り自分の席につくより前から新堂が上機嫌である事は聞こえてきた。
今日のボクシング部は朝練があったようで、荒井のクラスにもいる部員が「新堂さんが機嫌良かったからいつもより練習がキツくなくて済んだ」なんてことを話ながら歩いているのが聞こえていたからだ。
「今日は朝から練習だったんですか。教えてくれれば様子を見にいったんですけど」
席についてすぐにスマホでメッセージを飛ばせば間髪入れず
「週末だから朝練入れて放課後は練習軽くしておこうって話しておいたんだよ」
「少しでも早く帰りてぇだろ」
「こっちがバテる訳にもいかねぇから朝練も早めに切り上げたからよ、見に来たらいなかったかもしれねぇし、気持ちだけでいいぜ」
なんてメッセージが返ってくる。
荒井が来るという事で事前にできる根回しは一通りしておいたのだろう。新堂はそういった行動力は目覚ましい所があったのだ。
「まったく、そんなに期待するなんてあの人は本当に子供っぽいところがありますよね」
荒井は呆れながらスマホを机に入れる。
すると荒井がスマホをしまうのを待っていたかのようにクラスメイトの袖山勝がノートを手に近づいてきた。
「あ、荒井くん。昨日、休んでただろう。よかったら昨日のぶんのノート見るかな……あんまり綺麗な字じゃないけど……」
そう言いながらおずおずとノートを差し出す姿はいかにも気弱で自信がなさそうだが、袖山は何をするに対しても誠実だ。 人より時間がかかっても最後までやり遂げる性分であり、授業のノートも教師の言葉から黒板の内容までおおむね記録してあるからいつだって正確である。
本当はこちらから頼もうと思っていたのだが袖山が気を遣って声をかけてくれたのは一目瞭然である。
荒井は袖山のそんな心遣いに感謝しながら彼のノートを受け取った。
「ありがとう袖山くん、助かるよ。一限目のノートは必要なところだけ見たらすぐに返すからちょっと待っていてくれないかな」
荒井は普段から授業内容より幾分か先まで予習は済んでいるので授業も途中から参加していても置いて行かれるような事はないのだが、学校の授業というのは教師によって癖もあれば教え方に個性が出る事も多い。
時には授業中にした雑談をテストに入れてくるような教師もいるのだから袖山のように教師の雑談もメモ書きしているノートのありがたさはひとしおであった。
ノートをめくり一通りの内容を記憶する荒井を前に袖山は普段と変わらぬ優しい笑顔のまま見つめていた。
袖山はこのようにノートを貸すという事でも見返りなど求めず善意から行えるタイプの人間だ。決して秀でた能力がある訳でもない、何かと隠れて地味になりがちな性格ながらきちんと成し遂げていく姿は美徳だと思っており、彼のように普通を幸福に受け入れられる友人がいることを荒井は密かに嬉しく思っていた。
そうしてひとしきりノートを確認し閉じた時、袖山は少嬉しそうに笑うとこんな事を聞いてきたのだ。
「荒井くん、へんな事聞いてごめんね。ひょっとして、何かいい事でもあったのかな」
「いいこと……僕に? そんな風に見えるかな」
「うん、普段よりも明るく見えるんだ。何か楽しそうというか、嬉しそう……って感じかな。あっ、別に荒井くんが普段からつまらなそうにしてるとか、暗そうだとかそういうのじゃないんだけど……」
そこまで言って袖山は慌ててそんな事を言う。
荒井自身、それほど自分が明るい性格だとも思っていなければ学校に行くのもそれほど面白いと思っていなかったから暗そうであるのもつまらなそうにしているのもその通りなのでわざわざ袖山が訂正する必要など何もないのだが、そのへんはお人好しな袖山らしいと言えるだろう。
「そうかな……自分では意識してなかったけど、確かにそうかもしれないね」
荒井はそう言いながらノートを袖山に返すと袖山も何故か嬉しそうにノートを抱く。
「そう、良かったね荒井くん。やっぱりいい事があると嬉しいし……荒井くんが楽しくしてるのを見るのは僕も嬉しいよ」
そしてそんな事を言い自分の席へと戻っていった。
他人の喜びを自分も素直に喜べる、やはり袖山は良い友人だ。
だがまさか袖山に嬉しそうだと指摘されるとは想像していなかった。自分では平静を装っていたつもりだし普段通りの事だと思っていたはずなのだが本心までもはごまかせなかったらしい。
新堂のことを随分と浮かれていると感じていたが、自分だって同じくらい今日を楽しみにしているのだ。しかも袖山に言われるまでは自覚してなかったのだからよっぽどだろう。
袖山が席に着いたのを見届けると荒井は頬杖をつく。
「これじゃ、新堂さんの事を子供っぽいなんて言えませんね……」
そして誰に聞かせるともなく呟くと窓へと視線を向ける。
梅雨の気配がまだのこる湿っぽい風が僅かに開いた窓から入りカーテンを静かに揺らすのだけがぼんやりと見えていた。
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