インターネット字書きマンの落書き帳
日野先輩はぴば! の日野先輩へプレゼントを渡す坂上くんの話
言い訳をさせてください!
俺は元々、重たい感情を持つ男が重たい感情を持つ男のこと好きになって重たい感情の大事故がおこるのがだいだいだ~い好きなBL工場の工場長なんですよ!
その工場で「日野さんの誕生日だよ♥ たまには日野さんの誕生日を祝おう♥」の発注がかかったとするでしょ?
「日野さんの誕生日祝うなら坂上くんかな♥」と思ったとするでしょ?
そうして「日野の誕生日を祝うほのぼの誕生日ストーリー」に俺は確かに着手してたんですよ。
そしたら、何故か出来上がったのが「日野と別れるのが寂しくてせめて、自分のプレゼントをそばに置いてほしい。そして出来れば日野の全てを自分の色に染めたい」というクソデカ感情の坂上くんだったんですよ。
言い訳終了です!
日野も坂上もお互いの感情がクソデカな話を読みたい人もいると思うので「まぁいっか!」ということにします!
俺はBL工場の工場長ではあるんですが、これは特にBLのつもりで書いてませんのでご了承ください。
BL工場の工場長が書いた感情と距離感のおかしい男二人というジャンルです。
俺は元々、重たい感情を持つ男が重たい感情を持つ男のこと好きになって重たい感情の大事故がおこるのがだいだいだ~い好きなBL工場の工場長なんですよ!
その工場で「日野さんの誕生日だよ♥ たまには日野さんの誕生日を祝おう♥」の発注がかかったとするでしょ?
「日野さんの誕生日祝うなら坂上くんかな♥」と思ったとするでしょ?
そうして「日野の誕生日を祝うほのぼの誕生日ストーリー」に俺は確かに着手してたんですよ。
そしたら、何故か出来上がったのが「日野と別れるのが寂しくてせめて、自分のプレゼントをそばに置いてほしい。そして出来れば日野の全てを自分の色に染めたい」というクソデカ感情の坂上くんだったんですよ。
言い訳終了です!
日野も坂上もお互いの感情がクソデカな話を読みたい人もいると思うので「まぁいっか!」ということにします!
俺はBL工場の工場長ではあるんですが、これは特にBLのつもりで書いてませんのでご了承ください。
BL工場の工場長が書いた感情と距離感のおかしい男二人というジャンルです。
『10年後の君へ』
紙の上をペン先が走る滑らかな音が室内に響く。
坂上は耳の片隅で心地よいその音を確かめながらカップにコーヒーを注ぐと日野の傍らに置いた。
「あぁ、悪いな坂上。せっかく遊びに来てくれたのにコーヒーを煎れさせちまって」
「別にいいんですよ、僕も飲みたいと思ったから作っただけですし」
坂上は微笑みながら日野の使っている万年筆に目をやる。それは、坂上がまだ高校生だったころ日野にプレゼントしたものだった。
「日野さん、まだその万年筆使っているんですね」
「まぁな。俺はアナログ人間だから重宝しているよ」
現在、記者として新聞社に詰めている日野だが時代もあってどこでも記事はデータとしてやりとりするようになり、日野も記事の仕上げはすべてパソコンで作業をしている。だが、それでも下書きやアイディアをまとめる作業は今でも髪に書き留めているようで万年筆やボールペンがペン立てにいくつも並んでいた。
その中で、坂上がプレゼントした万年筆はいっとうに古い品として鎮座しているのが少しだけ誇らしい。
坂上は目を閉じると、10年前の今日。日野の誕生日のことを思い出していた。
10年前、まだ鳴神学園に通っていた時のことだ。
新聞部の先輩として何かと気に掛けてくれた日野が坂上にとって良い先輩から憧れの先輩へ変わっていくのにそう時間はかからなかった。
夏休みが過ぎ文化祭を終えた後、正式に新聞部から抜けたた後も日野はちょくちょく新聞部へやってきて、差し入れをくれたり記事を見てくれたりした。
自分だって受験勉強で忙しいだろうに特に坂上のことは気に掛けてくれていて、一緒にファミレスへ行ったりおしるこドリンクを奢ってもらったりと親睦を深め、何だかんだ言いつつ日野はきっとOBになっても自分のことを見に来てくれるのではないか。大学生になっても時々は遊びに来て一緒にファミレスやファストフード店へ出かけ、他愛もない話をして笑ってくれるのではないかと思っていた。
だからこそ、日野の進学先が都内の名門校だと知った時には半ば絶望に近い気持ちを抱いた。
鳴神学園から東京まで、学生の坂上からすれば途方もなく遠く思えたからだ。少なくとも気軽に新聞部を覗きに来てくれるような距離ではない。
卒業したら、二度と日野とあえなくなるのだ。
一緒に下校することもなければ食事をすることも二度とない、遠い存在になってしまうに違いない。
大学生になったら今より忙しくなるだろう。交友も増えるし、都内となれば遊ぶ場所も増える。 そうすればまだ高校生で子供である自分のことなど考えもせず、煩雑な日々に追われてきっと新聞部のことも遠い思い出になってしまうのだろう。
ひょっとしたら、坂上なんて後輩がいたことすら覚えていてくれないかもしれない。
そんなのは、嫌だ。
悲しさと焦燥が混ぜこぜになったまま、坂上はお年玉を全額使い日野のためにプレゼントを買った。
選んだのは長年使えそうで日野の好きそうなデザインの万年筆だ。
自分の事を忘れてしまっても、せめて自分がプレゼントしたこの万年筆がそばにあってほしい。長く日野のそばで使ってもらえれば、そう思うだけで自分はこれからの高校生活にある寂しさを紛らわすことが出来るだろう。
『僕の事を忘れても、僕は日野さんを忘れません』
大切な人に大切にされて。その願いを込め、メッセージカードを書いて誕生日に届くようプレゼントは配達に託した。
2月になるとおおむね、3年の受験シーズンは一段落している。合否を待つだけの生徒が殆どになり日野も当然、学校には来ないだろう。だから家に届くようにしておいたのだが、自分で届けに行ったらきっと泣いてしまうだろうと思ったのもある。
だが、その日、日野は坂上の家に来た。
寒い中マフラーを巻いて白い息を吐きながら、学校から帰る坂上を家の前で待っていたのだ。
「お前って結構重たい奴なんだな」
万年筆をこちらに見せてそう言われた時は、「こんな重たい奴からのプレゼントなんていらない」と返されるのかと思った。 だが日野は優しく笑うと、坂上の頭を撫でてくれた。
「まぁ、プレゼントを貰って慌ててお前の家まで押しかけて……家に来てもインターフォンも鳴らせずまごまごしてるうち、下校したお前に見つかるとか……俺も大概重たい方だよな」
自嘲気味に笑っていても、日野の視線は優しかった。
そして真っ直ぐこちらを見ると、何の心配もいらないからと。坂上が怖れることは何もおこらないからと、そう言い聞かすように告げた。
「確かに東京はちょっと遠くなっちまうが、別にあえなくなる訳じゃないさ。実家に帰った時は新聞部にも顔を出すし、お前にも会いに行く。メッセージだって送るさ。俺だってお前と離れるのが寂しいのは一緒なんだ。それより、お前こそ俺のこと忘れるんじゃないぞ。高校生活ってのは、2年目、3年目ってどんどん楽しくなっていくからな」
嬉しかった、覚えてもらえる事が。日野も自分と同じように、忘れられるのを悲しいと思ってくれていたことが。
「何ならお前も、2年後は同じ大学に来いよ。待ってるからな」
日野と同じ大学に行くにはこれからよっぽど勉強しなければ追いつかないだろう。だけど日野は待っていると言ってくれた。いつかまた、同じように同じ学校に通って、同じように他愛もない話をして、同じように笑ってくれる。それを約束してくれた。
会えなくなってしまったら、もう終わりじゃないのだと。
それを思うと嬉しくて、ひどく安心して、つい涙が零れていて。
「おい、泣くなよ。それくらいで泣くなって、な、坂上……」
そうやって落ち着かせようとしてくれる日野も同じように泣いていて、あぁ、彼も寂しいのだ。お互いに会えなくなるのが寂しいく、それだけ僅か1年の高校生活が楽しかったのだと思い、お互いに涙を拭い合って笑った。
あの日から10年、今年の誕生日も坂上は日野にプレゼントを渡す。最初は万年筆、それから時計であったりハンカチであったりネクタイであったり、プレゼントをする品は毎年違うが日野はどれも大切に使ってくれていて、気付けば彼の身の回りは坂上がプレゼントしたものばかりだ。
そしてきっと、まだ増えるのだろう。
「日野先輩、似合ってますよ」
坂上の言葉に、日野は自分のリングに触れる。10年目の記念としてプレゼントしたリングをもてあそびながら、日野は
「お前が選んでくれたものだからな」
なんて、悪戯っぽく笑うのだ。
「……これからもよろしくお願いしますね、日野さん」
「あぁ、よろしくな、坂上。お前とは本当に、長い付き合いになりそうだよ」
日野はコーヒーを一口飲み、坂上を見る。
冷静で揺るぎない日野貞夫という仮面の下は確かに坂上の色へ染められていた。
紙の上をペン先が走る滑らかな音が室内に響く。
坂上は耳の片隅で心地よいその音を確かめながらカップにコーヒーを注ぐと日野の傍らに置いた。
「あぁ、悪いな坂上。せっかく遊びに来てくれたのにコーヒーを煎れさせちまって」
「別にいいんですよ、僕も飲みたいと思ったから作っただけですし」
坂上は微笑みながら日野の使っている万年筆に目をやる。それは、坂上がまだ高校生だったころ日野にプレゼントしたものだった。
「日野さん、まだその万年筆使っているんですね」
「まぁな。俺はアナログ人間だから重宝しているよ」
現在、記者として新聞社に詰めている日野だが時代もあってどこでも記事はデータとしてやりとりするようになり、日野も記事の仕上げはすべてパソコンで作業をしている。だが、それでも下書きやアイディアをまとめる作業は今でも髪に書き留めているようで万年筆やボールペンがペン立てにいくつも並んでいた。
その中で、坂上がプレゼントした万年筆はいっとうに古い品として鎮座しているのが少しだけ誇らしい。
坂上は目を閉じると、10年前の今日。日野の誕生日のことを思い出していた。
10年前、まだ鳴神学園に通っていた時のことだ。
新聞部の先輩として何かと気に掛けてくれた日野が坂上にとって良い先輩から憧れの先輩へ変わっていくのにそう時間はかからなかった。
夏休みが過ぎ文化祭を終えた後、正式に新聞部から抜けたた後も日野はちょくちょく新聞部へやってきて、差し入れをくれたり記事を見てくれたりした。
自分だって受験勉強で忙しいだろうに特に坂上のことは気に掛けてくれていて、一緒にファミレスへ行ったりおしるこドリンクを奢ってもらったりと親睦を深め、何だかんだ言いつつ日野はきっとOBになっても自分のことを見に来てくれるのではないか。大学生になっても時々は遊びに来て一緒にファミレスやファストフード店へ出かけ、他愛もない話をして笑ってくれるのではないかと思っていた。
だからこそ、日野の進学先が都内の名門校だと知った時には半ば絶望に近い気持ちを抱いた。
鳴神学園から東京まで、学生の坂上からすれば途方もなく遠く思えたからだ。少なくとも気軽に新聞部を覗きに来てくれるような距離ではない。
卒業したら、二度と日野とあえなくなるのだ。
一緒に下校することもなければ食事をすることも二度とない、遠い存在になってしまうに違いない。
大学生になったら今より忙しくなるだろう。交友も増えるし、都内となれば遊ぶ場所も増える。 そうすればまだ高校生で子供である自分のことなど考えもせず、煩雑な日々に追われてきっと新聞部のことも遠い思い出になってしまうのだろう。
ひょっとしたら、坂上なんて後輩がいたことすら覚えていてくれないかもしれない。
そんなのは、嫌だ。
悲しさと焦燥が混ぜこぜになったまま、坂上はお年玉を全額使い日野のためにプレゼントを買った。
選んだのは長年使えそうで日野の好きそうなデザインの万年筆だ。
自分の事を忘れてしまっても、せめて自分がプレゼントしたこの万年筆がそばにあってほしい。長く日野のそばで使ってもらえれば、そう思うだけで自分はこれからの高校生活にある寂しさを紛らわすことが出来るだろう。
『僕の事を忘れても、僕は日野さんを忘れません』
大切な人に大切にされて。その願いを込め、メッセージカードを書いて誕生日に届くようプレゼントは配達に託した。
2月になるとおおむね、3年の受験シーズンは一段落している。合否を待つだけの生徒が殆どになり日野も当然、学校には来ないだろう。だから家に届くようにしておいたのだが、自分で届けに行ったらきっと泣いてしまうだろうと思ったのもある。
だが、その日、日野は坂上の家に来た。
寒い中マフラーを巻いて白い息を吐きながら、学校から帰る坂上を家の前で待っていたのだ。
「お前って結構重たい奴なんだな」
万年筆をこちらに見せてそう言われた時は、「こんな重たい奴からのプレゼントなんていらない」と返されるのかと思った。 だが日野は優しく笑うと、坂上の頭を撫でてくれた。
「まぁ、プレゼントを貰って慌ててお前の家まで押しかけて……家に来てもインターフォンも鳴らせずまごまごしてるうち、下校したお前に見つかるとか……俺も大概重たい方だよな」
自嘲気味に笑っていても、日野の視線は優しかった。
そして真っ直ぐこちらを見ると、何の心配もいらないからと。坂上が怖れることは何もおこらないからと、そう言い聞かすように告げた。
「確かに東京はちょっと遠くなっちまうが、別にあえなくなる訳じゃないさ。実家に帰った時は新聞部にも顔を出すし、お前にも会いに行く。メッセージだって送るさ。俺だってお前と離れるのが寂しいのは一緒なんだ。それより、お前こそ俺のこと忘れるんじゃないぞ。高校生活ってのは、2年目、3年目ってどんどん楽しくなっていくからな」
嬉しかった、覚えてもらえる事が。日野も自分と同じように、忘れられるのを悲しいと思ってくれていたことが。
「何ならお前も、2年後は同じ大学に来いよ。待ってるからな」
日野と同じ大学に行くにはこれからよっぽど勉強しなければ追いつかないだろう。だけど日野は待っていると言ってくれた。いつかまた、同じように同じ学校に通って、同じように他愛もない話をして、同じように笑ってくれる。それを約束してくれた。
会えなくなってしまったら、もう終わりじゃないのだと。
それを思うと嬉しくて、ひどく安心して、つい涙が零れていて。
「おい、泣くなよ。それくらいで泣くなって、な、坂上……」
そうやって落ち着かせようとしてくれる日野も同じように泣いていて、あぁ、彼も寂しいのだ。お互いに会えなくなるのが寂しいく、それだけ僅か1年の高校生活が楽しかったのだと思い、お互いに涙を拭い合って笑った。
あの日から10年、今年の誕生日も坂上は日野にプレゼントを渡す。最初は万年筆、それから時計であったりハンカチであったりネクタイであったり、プレゼントをする品は毎年違うが日野はどれも大切に使ってくれていて、気付けば彼の身の回りは坂上がプレゼントしたものばかりだ。
そしてきっと、まだ増えるのだろう。
「日野先輩、似合ってますよ」
坂上の言葉に、日野は自分のリングに触れる。10年目の記念としてプレゼントしたリングをもてあそびながら、日野は
「お前が選んでくれたものだからな」
なんて、悪戯っぽく笑うのだ。
「……これからもよろしくお願いしますね、日野さん」
「あぁ、よろしくな、坂上。お前とは本当に、長い付き合いになりそうだよ」
日野はコーヒーを一口飲み、坂上を見る。
冷静で揺るぎない日野貞夫という仮面の下は確かに坂上の色へ染められていた。
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