インターネット字書きマンの落書き帳
毛布にくるまるシンドーさんとあらいくんのはなし(BL)
平和な世界線で普通に付き合っている新堂さんと荒井くんの話です。
(挨拶を兼ねた幻覚の説明)
今回は秋が迫って寒くなってきた二人がただ一緒に毛布にくるまるだけ。
本当にそれだけの話ですよ。
荒井くんの家はちまちま家族がいなくなり、終末はちょくちょく新堂さんが遊びに来て泊まっていくような世界の話をしています。
新堂さんがコンビニ帰りでビニール袋をもっているのかそれともエコバッグを使うのか。
新堂さんなら親から言われて渡されたエコバッグをもっていそう、なおかつ柴犬のやけに可愛いエコバッグ使ってそうとは思ったのですが「ヤンキーなんだからビニールも持たず荷物両手に抱えてくるんじゃないの?」という意見を頂き、今回はそれを採用しました。
柴犬のエコバッグを当然のように使う新堂さんがどこかの世界にいるかどうかはワクワクしながら今後も解釈を深めていきたいと思います。
(挨拶を兼ねた幻覚の説明)
今回は秋が迫って寒くなってきた二人がただ一緒に毛布にくるまるだけ。
本当にそれだけの話ですよ。
荒井くんの家はちまちま家族がいなくなり、終末はちょくちょく新堂さんが遊びに来て泊まっていくような世界の話をしています。
新堂さんがコンビニ帰りでビニール袋をもっているのかそれともエコバッグを使うのか。
新堂さんなら親から言われて渡されたエコバッグをもっていそう、なおかつ柴犬のやけに可愛いエコバッグ使ってそうとは思ったのですが「ヤンキーなんだからビニールも持たず荷物両手に抱えてくるんじゃないの?」という意見を頂き、今回はそれを採用しました。
柴犬のエコバッグを当然のように使う新堂さんがどこかの世界にいるかどうかはワクワクしながら今後も解釈を深めていきたいと思います。
『あたたかな毛布』
いよいよ秋も深まり室内にいても足下から這い寄るような寒さが身体に染みるようになってきたがまだ暖房をつける程の寒さではないだろう。そう思った荒井昭二は薄手の毛布にくるまるとゲームを続けることにした。
すこしばかり手がかじかむが今プレイしているのは激しい動きを必用とするアクションゲームではなくじっくり考え進めるシミュレーションゲームだ、動きの鈍さが致命的なミスに繋がるような場面はないだろう。そうして毛布にくるまってモコモコのまま動かずゲームをしている荒井の部屋をノックするとすぐに新堂誠が顔を出す。両手にはコンビニで買ったと思われる商品でいっぱいになっていた。
「おう、遅くなって悪いな」
新堂はそれだけ言うと足で扉を押し開ける。それだけの量だというのに両手だけで持って帰れると思ったのだろうか。それとも鞄に入りきらなかったか、ビニール代金の数円を惜しんだのだろうか。どれにしたって無理矢理すぎる、滑稽なくらいだろう。だが新堂は時々こんなつまらない無茶をする事があった。しかもその結果、アイスやプリンを落としてひっくり返し台無しにしてしまうのだから仕方ないだろう。両手がいっぱいのまま何とかしようと必死になる新堂を見るのは面白いがデザートを床にぶちまけられたら後片付けも大変だ。そう思った荒井は毛布から出ると今にも新堂の手から落ちそうになっている商品をいくつか受け取った。
「まったく、そんなに買ったのに袋ももらって来なかったんですか? ものぐさも度が過ぎると滑稽ですよ」
「別にいいだろ、ここからコンビニまでそんなに遠くねぇし行けると思ったんだよ。エコバッグ出すのも面倒くせぇし……鞄も持ってたから、それに入りきるだろうって甘く見てたって訳だ」
見れば鞄はスナック菓子でいっぱいになっている。それにコーラやホットスナック、デザートに生クリームのたっぷり乗ったプリンなども買っているのだから鞄に入る量では無いのは一目瞭然なのだがビニール袋を頼む小銭が惜しくエコバッグを取り出すのを面倒がった結果がこれなのだろう。両手いっぱいに荷物をかかえて長い道を歩くほうがよっぽど面倒だと思うのだが深く考えず適当に返答するんはいかにも新堂らしい。
荒井としては一つだけとはいえ年上なのだからもう少し思慮深く行動してほしいと思うが今はその粗雑さより可愛さが勝って見えるのだからそこは惚れた弱みなのだろう。荒井は受け取ったペットボトルのコーラやまだ暖かい肉まんの入った包みなどをテーブルに並べるとゲームをするため再び毛布に包まろうとする。 その姿に気付いた新堂は荒井を後ろから抱きしめると一緒に毛布に入ろうとしてきた。
「ちょっ……何してるんですか新堂さん」
普段はしない行動に驚く荒井を前に、新堂はコーラに手を伸ばしながら言う。
「だってよォ、もう寒いだろ? おまえのゲーム見てるだけなら一緒にいた方が暖けぇじゃ無ぇかよ、な」
そう言いながら無邪気に笑う。自然な笑顔ではあるが他者には絶対に見せない笑顔だ。
以前は手を握ろうとしただけでも恥ずかしそうに顔を赤くし手を引っ込めていた新堂だが夏休みを超えてより親密な時間が長くなってからは以前より触れる事に抵抗はなくなっていた。 触っただけで恥ずかしそうに顔を赤くしていた頃も随分と可愛い男だと思っていたのだが、こうして自然と抱き寄せてくれるようになったのもこれはこれで嬉しい。いま見せている笑顔が他人には決して見せない顔なのだと思えばなおさらだ。
「そうですね……でもいいんですか? 新堂さんが見ていて楽しいゲームでもないと思うんですが……」
毛布にくるまれながら荒井はコントローラーを手に取る。
今プレイしているのは戦略型のシミュレーションゲームだ。死んでしまったユニットは復活できないというシビアさと高低差のあるマップ、ユニットごとに違う範囲武器などを駆使して戦う楽しさはあるが見た目に派手さのない作品だというのは正直なところである。
だが新堂はさして気にする様子もなく毛布にくるまるとその中でスナック菓子の袋を開けた。
「そうでもないぜ? 普段自分がやらねぇゲームってのも見てて結構面白ぇし、お前ってゲームしてる時けっこう面白ェこと言うしな」
「えっ……そうでした? 気付いてませんでしたが……」
「そうだよ、急に敵が出てきた時とか『すいません、ちょっと待ってくださいえっ、えっ……』とか言って急に下手くそになるし、かと思ったら『準備出来ましたから今から殲滅です』とか言い出して物騒極まりねぇエグい立ち回りで全部ブッ殺しちまうしで最高だぜ、下手なゲーム実況より面白ェや」
そして中から取りだしたスナック菓子を一つ、荒井の口へと運ぶ。荒井は条件反射のように口を開けスナック菓子を食べていた。濃いめのチーズの味が口に広がる。
プレイ中に喋っているのはあまり意識していなかったが、言われてみればそんな事を口にしている気がする。 ゲームは自分でプレイし自力でクリアするからこそ楽しいと思っていた荒井はゲーム実況の良さがいまひとつ解らなかったが普段からゲーム実況を暇つぶしに見ている新堂にとって他人がプレイするゲームを見るのも楽しいものなのだろう。
「ほら、さっさとプレイしろよ。つまんねーだろ?」
新堂は自分もスナック菓子を口にいれると荒井の頭に顎を乗せる。 尊大な態度は相変わらずだが離さぬようしっかり抱きしめる温もりはこの這い寄るような寒さにはありがたかった。
「わかりました、ずっと抱きしめていてくださいね。その毛布は一つしかないんですから、隙間があったら寒いので」
「わかってるっての、ほら……これでいいんだろ? これ以上はくっつけねぇからな」
少し甘えて我が侭を言えば新堂はより強く抱きしめてくれる。
一つの毛布のなかで暖房も付けずに過ごす秋の夜はひどく寒かったが二人はそれを感じない程の温もりとともに過ごしていた。
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