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インターネット字書きマンの落書き帳

   
監禁から戻ってきたあらいくんとお風呂に入るよ(BL・しんあら)
何でおまけ書いてるんだよ!
と思いました? 僕もそう思います。

でもせっかく二人で生活している状況が書けるんだから書いておかないと損かなと思ってやった。
特に反省はしていない。


<俺に嬉しい栄養素>

・荒井くんが監禁され暴力を受けてボロボロになったけど無事に戻ってきた話の後日談だよ
・新堂×荒井の世界線でお話をしているよ
・夏休みに入って大会前だけど荒井くんが心配な新堂さんが、家に家族が不在という荒井くんの家に出入りしているよ
・DK同棲! DK同棲だ!

終わったといって終わってないものを出すな!
はい!

今回は二人で風呂に入っているだけのはなしですよ。
だけ……?
話全体は3話の対みたいになってます。



「浴室にて」

 たっぷり湯を張った暖かな浴槽へつかれば夏特有の張り付くような汗も心地よく流れていくような気がします。
 今日一日、一歩も外に出ず出しっぱなしにしておいた夏休みの課題をやり携帯ゲームを少し弄ってからタブレットを眺め、気が向いたら映画などを見るなんて生活をしていても服は汗でべとついているのですからやはりもう夏なのでしょう。

 僕が「人形の館」に連れ去られてからおおよそ10日ばかりの日が過ぎていました。
 その間の記憶はひどく曖昧で何があったのかは今を持ってしてもわかりません。
 とはいえ、学校では期末テストも終わってましたから授業らしいことをする日はなく夏休みに入ろうとしていましたから勉強が遅れる、といった不利益が出なかったのは僥倖といえましょう。
 普段の僕でもテストが終わったのならよっぽど興味がない限り学校には行きませんからね……。

「おい、荒井。おまえ湯船に肩までつかるとか熱くねぇのかよ……」

 僕の隣で新堂さんが信じられないものを見ているような顔をしてます。
 僕は夏でもわりとしっかり湯船につかって身体を温めたいタイプなのですが新堂さんはシャワーを浴びて汗だけ流せれば良いタイプなのでしょう。練習の後、軽く汗を流してくるのが日課になってますから家での風呂は二度目という印象もあるんでしょうね。

「えぇ、昔からの日課ですから……別にシャワーでも事足りるのでシャワーだけでもいいんですけどね」

 と、そこで僕は自分の片足を撫でてやりました。
 この足は先日、僕が誘拐された時からどうにも動かすのが億劫になっているのです。レントゲンを見て折れているといった様子でもないのですが歩き出すと足の裏がナイフで刻まれるように痛くなり長時間歩くのが凄く苦痛になるのが主な理由でしょう。
 医者の話では僕の足に何かしら悪い薬剤が注射されたのが主たる原因だそうで、その薬剤が身体から排出されれば良くなるからそこまで心配する必用はないとの事なので二学期になる前にはきっと元通り歩けるようになることでしょう。
 実際、以前よりずっと歩く時の痛みはなくなりました。
 ですがシャワーを浴びる時は立つ事も多いですから座ってゆっくり出来る湯船の方が都合がいというのもあるのです。

「今は足が治っていませんから、しばらくは湯船でゆっくりさせてもらいますよ」

 僕が湯をすくって顔を洗うと新堂さんは乱暴に自分の身体にシャワーをかけていました。
 肌にあたったシャワーの飛沫がこちらまで飛んできます。
 新堂さん、汗を気にするからシャワーを頻繁に浴びるんですが流し方が少し粗雑ですよね。だからいつも男くささが残っているのかもしれませんが、今はよくても将来加齢臭にでもなったら大変です。
 僕は湯船から這い出るとスポンジをたっぷり泡立てて新堂さんの背中へ触れたのです。

「新堂さん、背中……流しますよ」
「うわっ! ……いつの間に風呂から出てたんだよおまえ、全く音をたてずに動く時あるよな!?」
「大げさですね……幽霊じゃないんですからそんなに驚かなくていいじゃないですか。ほら、座ってください」

 僕は驚く新堂さんの背中に触れれば新堂さんは仕方ないといった様子でその場へ座る。

「新堂さん、いつもシャワーだけですぐ上がってしまうでしょう? ちゃんと首の周りも洗ってるんですか? ……耳や首の周りは気を遣わないと、皮脂の汚れが酸化してひどく臭うようになりますよ」

 そう言いながら僕は新堂さんの耳の下から首の周りと背中を丁寧に洗ってあげたのです。
 もう少し抵抗するかもっと嫌がるかと思っていたのですが、新堂さんは思ったより静かに座っていてくれたので助かりました。

「あんまり変な触り方するんじゃねぇよ、くすぐってぇだろ……」

 別に変な触り方をしたつもりはないのですが、くすぐったいのならそれほど嫌だったという訳ではないのでしょう。
 くすぐったいという感情は親しい間柄だからこそ抱くものだとも言いますし……それなら新堂さんは少なくとも僕のことを邪険にはしていない。親しい存在として認めてくれているという事でしょう。
 一緒に入浴するだけの仲であっても人間の真意とは見えないものですから、たとえ噂でも自分を拒絶してないというのがわかるだけで嬉しいものです。
 等と思ってしまうのが「惚れた弱み」というものなのでしょうか。

 僕がシャワーで泡を流すと、新堂さんは「おぅ、悪いな」と言った後湯船に張られた湯へ手を触れました。

「たまには俺も入ってみるかなぁ……冬場くらいにしか普段入らないしな」
「そのほうがいいですよ。ちゃんと汗をかかないと体臭が強くなりますから……」

 新堂さんは普段からボクシングをはじめとしたスポーツで汗をかいていますから運動を続けている間は極端に体臭が強くなるという事は考えにくいですし汗に濡れた新堂さんのにおいはそれほど嫌いではないのですけれども、新堂さん自身も将来汗臭く衛生さの欠片もないようなタイプの男にはなりたくないと考えているのでしょうか。
 新堂さんは湯船につかると身体を伸ばし長く息を吐きました。

「んー……たまにはいいな、風呂ってのも。張ってた肩が少しばっかり楽になった気がするぜ」
「そうですね……練習ばかりで筋肉もすこし休ませないといけないでしょうから、上がったら軽くマッサージでもしましょうか?」
「いや、そりゃやってくれりゃぁ嬉しいが……いいのか? 俺はおまえの面倒を見に来てるんだぜ」

 新堂さんがいま、僕の家にいるのは足がまだ完治してない僕を心配してのことです。
 今の僕はあまり長く歩けませんから新堂さんが外へ買い物をしてくれることでかなり助かっているのは事実です。新堂さんは今、全国大会へ向けての練習中ですから僕にばかり構っていてはいけないというのにわざわざ来てくれているのだから、それくらいはやってあげたいと思うのは別に変じゃないですよね。

「これだけお世話になってるんですから……僕一人だともっと生活が不便だったと思いますからね。少しくらい恩返しさせてください」
「でもなぁ……オマエだって本調子じゃないだろう? 俺は自宅より練習場が近くなってありがたい上、自由に寝泊まりさせてもらってんだから気にしなくてもいいんだぜ」

 僕は軽くシャワーを浴びて泡を落としながら、少し考えていました。
 遠慮するなといわれてもここまでお世話になっているのですからやはり何かしてあげたい……いや、きっともし何もなかったとしても僕はそう思っていたでしょう。

 新堂さんに、何かしてあげたい。
 迷惑にならないのなら尽くしてみたい……そう思うのも恋心の一つなんじゃないでしょうか。

「気にしなくとも、僕があなたにしてあげたいんです……何か、出来る事はありませんか」

 僕は思った気持ちをそのまま告げてみました。
 好きなんだから、何かをしてあげたいと思う。この思いは当然のことだと思ったからです。
 すると新堂さんは。

「おまえ、時々こう……えらく真っ直ぐな言葉で言うよな……」

 と、少し顔を押さえてから湯船の端をトントンと叩いて見せました。

「それじゃ、遠慮なくしてもらおうか……荒井、こっち来い」
「そちらへ……ですか?」
「あぁ、一緒に風呂入ろうぜ。オマエの家、風呂が結構広いから二人でも入れるだろ……ははっ、笑うなよ。恋人が出来たらさ……こういうのやってみたかったんだよな」

 少し照れた顔で笑う新堂さんを前に、僕も笑顔を向けていました。
 あぁ、恋人としたかった事を僕としてくれるんだ。そう思うとじわじわ幸せに思うのです。

「わかりました……けれど、どうやって……」
「俺の上に乗っても大丈夫だ、俺を椅子だと思って身体を預けてくれ……ほら」

 言われた通り湯船に入り、先に入って身体を伸ばす新堂さんの身体の上に座るようにして湯船に入れば新堂さんは浮力を利用しながら僕の身体を後ろから傍に抱き寄せてくれるのです。
 僕はその手に甘えるよう新堂さんの身体へともたれかかりました。

 一緒にお風呂に入るというだけでも心臓が落ち着きなく鼓動していたのですが、こうして近くにあると心臓の音がうるさい程です。
 恥ずかしいとも思うし非道くバカげたことをしているのだという自覚もありますが、それ以上に幸福でそして嬉しいのです。
 こんなにも傍に愛しい人がいて、自分のために笑ってくれる……ただ肌が接しているだけだというのに、それだけのことがこんなにも幸せに思えるのです。
 新堂さんもそう思ってくれているのでしょうか。
 そうだといいのですけれども……。

「荒井、やっぱオマエ身体が細ェな……」

 新堂さんは僕を抱きしめてくれます。
 背が僕より高いのを差し引いてもその手は太くよく鍛えられているといってもいいでしょう。僕はその手が今は全て僕だけのものだというのが少しだけ嬉しくて、抱きしめてくれた手を自然と握っていました。

「あの、誠さん」

 と、僕はその時新堂さんを呼ぼうとしてつい彼の名前を呼んでいました。
 不思議なものです。今まで新堂さんを名前で呼んだ事がなかったのに。

「あっ、すいません。何か……つい、名前で呼んでしまいましたね。えぇと、新堂さん……」

 何で名前で呼んだりしたんでしょう。
 僕は急に恥ずかしくなって俯くと、新堂さんはそんな僕の頬に振れ笑うのです。

「はは、別にいいぜ。二人でいる時ならな……俺もオマエの事昭二って呼んだ方がいいか?」
「えっ……や、やめてください。恥ずかしい……です。けど……二人のときなら……それでも……」

 思わずしどろもどろになる僕に、新堂さんは触れるような口づけをしてくれました。

「それなら、昭二。風呂から出たら……ゆっくり話でもするか。俺とオマエは趣味も興味も全然違うからな。お互いの好きなもンや嫌いなモンのこと、下らない話でもして今日は一緒に寝ようぜ。な? ……そういうのが、楽しいと思うんだ」
「悪くないですね……誠さん、僕もあなたの事をもっと知りたいと……そう、思いますから」

 僕たちは自然と唇を重ねて、より強く。より深く違いの心に触れて行くのです。
 もし僕たちがいずれ別たれる事になったとしても、今日という幸福な日があったのはずっとずっと覚えていたい。
 そんな事は難しいですよね。他愛もない一日のことをずっと覚えているなんて。
 だけど僕はこうとも思うのです。

 今、ここであった思いは一瞬でも存在したのなら、存在したという事実は永遠に変わる事がないのだろうと。

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東吾
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インターネット駄文書き
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ネットの中に浮ぶ脳髄。
紳士をこじらせているので若干のショタコンです。
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