インターネット字書きマンの落書き帳
美形がコンプレックスの荒井のはなし(新堂×荒井/BL)
平和な世界線で普通に付き合ってる新堂×荒井のこと好きかい?
今日から好きになろうぜ!
というワケで、今回は見た目がかわいい、美しい!
と周囲からメチャクチャな美少年扱いされているけど、当人はそれが気に入らない荒井と、何とはなしにそれを察して荒井をガードする新堂パイセンの話をしますよ。
荒井、自分の外見のことあまり好きではない性質であってほしいゾ♥
今日から好きになろうぜ!
というワケで、今回は見た目がかわいい、美しい!
と周囲からメチャクチャな美少年扱いされているけど、当人はそれが気に入らない荒井と、何とはなしにそれを察して荒井をガードする新堂パイセンの話をしますよ。
荒井、自分の外見のことあまり好きではない性質であってほしいゾ♥
『僕の愛しい番犬』
見て、あの柱の前に立っている子、お人形さんみたい。
どこかから若い女性の弾むような声が聞こえる。
周囲を見渡しても柱の前に立っている人間が他にいない様子を見ると、お人形さんみたいな子というのはきっと、荒井の事なのだろう。
また、誰かが自分の見た目の話をしている。
そう思うだけで少し憂鬱だ。
荒井は、自分の容姿が整っているのを自覚していたが、あまり歓迎してはいなかった。
と、いうのも、過去にこの容姿のため危ない思いをした事が何度かあったからだ。
小さい頃、一人でトイレに行った時は知らない男に連れ去られそうになった。
中学の頃に生活指導をしていた教師は、指導を名目に荒井を呼び出した時、急に組み伏せ淫らな行為を強要してきた事もある。
中性的な容姿は今でこそ羨望を浴びるが、幼い頃は散々とからかわれてきたし、冗談だと言いつつ無理矢理女装を強いるような大人も少なからずいた。
その経験から、自然と前髪を伸ばすようになり、うつむいて顔を見られないような姿勢をとるのが荒井の癖になっていた。
見苦しくない程度の容姿であることで防げた諍いはあるのはわかっている。だが、荒井にとって目を引く美貌は災いを呼び起こす事の方が多く、ただ面倒なものでしかなかったのだ。
一人かな? 声かけてみない?
女性たちはますます声を弾ませこちらを注視する。誘拐や暴力と比べればナンパなどはおとなしいものだが、それでも自分の貴重な時間を他人に費やすのは面倒だというのが、荒井の正直な気持ちだった。
声などかけてこないでほしい。
断るのも億劫だし、自分は相手に興味はないのだから。
「おぅ、待たせたな荒井」
その時、新堂が息を弾ませながらこちらへと走り寄る。
いかにも不良っぽい外見の新堂が現れたからか、話し声はピタリとやんだ。
「待ってませんよ、時間通りです」
荒井は鞄からスマホを取り出し時間を確認する。
新堂は学校では遅刻の常習犯だったが、荒井との約束に遅れた事は一度もなかった。ただ、いつも荒井の方が早く来てしまうだけだ。
荒井かが待っていないのを知ると、新堂は安心したように笑う。
「そっか、良かったぜ。お前を待たせたら悪いからな」
そして歩き出す前にフロアを見渡すと、ふと何かに気付いた顔をして荒井の肩を抱き寄せた。
「わっ、どうしたんですか新堂さん」
「いや、なんとなくだ。なんとなくだけど、俺の荒井が誰かに見られてた気がしてな。一応、お前は俺のモンだってアピールしておこうと思ってな」
野生のカンなのか、周囲を見渡す新堂の腕に包まれ荒井はつい、笑っていた。
「見上げた番犬ですよ、あなたは」
そして新堂に聞こえないよう、小さく呟くのだった。
見て、あの柱の前に立っている子、お人形さんみたい。
どこかから若い女性の弾むような声が聞こえる。
周囲を見渡しても柱の前に立っている人間が他にいない様子を見ると、お人形さんみたいな子というのはきっと、荒井の事なのだろう。
また、誰かが自分の見た目の話をしている。
そう思うだけで少し憂鬱だ。
荒井は、自分の容姿が整っているのを自覚していたが、あまり歓迎してはいなかった。
と、いうのも、過去にこの容姿のため危ない思いをした事が何度かあったからだ。
小さい頃、一人でトイレに行った時は知らない男に連れ去られそうになった。
中学の頃に生活指導をしていた教師は、指導を名目に荒井を呼び出した時、急に組み伏せ淫らな行為を強要してきた事もある。
中性的な容姿は今でこそ羨望を浴びるが、幼い頃は散々とからかわれてきたし、冗談だと言いつつ無理矢理女装を強いるような大人も少なからずいた。
その経験から、自然と前髪を伸ばすようになり、うつむいて顔を見られないような姿勢をとるのが荒井の癖になっていた。
見苦しくない程度の容姿であることで防げた諍いはあるのはわかっている。だが、荒井にとって目を引く美貌は災いを呼び起こす事の方が多く、ただ面倒なものでしかなかったのだ。
一人かな? 声かけてみない?
女性たちはますます声を弾ませこちらを注視する。誘拐や暴力と比べればナンパなどはおとなしいものだが、それでも自分の貴重な時間を他人に費やすのは面倒だというのが、荒井の正直な気持ちだった。
声などかけてこないでほしい。
断るのも億劫だし、自分は相手に興味はないのだから。
「おぅ、待たせたな荒井」
その時、新堂が息を弾ませながらこちらへと走り寄る。
いかにも不良っぽい外見の新堂が現れたからか、話し声はピタリとやんだ。
「待ってませんよ、時間通りです」
荒井は鞄からスマホを取り出し時間を確認する。
新堂は学校では遅刻の常習犯だったが、荒井との約束に遅れた事は一度もなかった。ただ、いつも荒井の方が早く来てしまうだけだ。
荒井かが待っていないのを知ると、新堂は安心したように笑う。
「そっか、良かったぜ。お前を待たせたら悪いからな」
そして歩き出す前にフロアを見渡すと、ふと何かに気付いた顔をして荒井の肩を抱き寄せた。
「わっ、どうしたんですか新堂さん」
「いや、なんとなくだ。なんとなくだけど、俺の荒井が誰かに見られてた気がしてな。一応、お前は俺のモンだってアピールしておこうと思ってな」
野生のカンなのか、周囲を見渡す新堂の腕に包まれ荒井はつい、笑っていた。
「見上げた番犬ですよ、あなたは」
そして新堂に聞こえないよう、小さく呟くのだった。
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