インターネット字書きマンの落書き帳
荒井くんのお見舞いにきてくれる新堂さん(BL)
いずれ付き合う新堂と荒井の話してます。
いずれ付き合うんですけど現状は荒井の片思いで、新堂はそんな荒井の気持ちなんぞ一切知るよしもなくフツーに接しているという焦れったい、オレちょっと嫌らしい雰囲気にしてきますよ!
みたいな話をしていまーす、イェイ。
今回は熱が出て家に家族などおらず一人でゴロゴロしている荒井のところに、見舞いの差し入れをもってくる新堂の話してます。
荒井→新堂の片思いとかァ。
全然そんなの気付かないで無意識にスパダリムーブしちゃう新堂とかァ。
そんな新堂の行動に焦れちゃう荒井とかァ。
荒井が焦れてるのを楽しがってる日野とかァ、好きなんで書いてまーす。
今日からキミも好きになろうぜ!
いずれ付き合うんですけど現状は荒井の片思いで、新堂はそんな荒井の気持ちなんぞ一切知るよしもなくフツーに接しているという焦れったい、オレちょっと嫌らしい雰囲気にしてきますよ!
みたいな話をしていまーす、イェイ。
今回は熱が出て家に家族などおらず一人でゴロゴロしている荒井のところに、見舞いの差し入れをもってくる新堂の話してます。
荒井→新堂の片思いとかァ。
全然そんなの気付かないで無意識にスパダリムーブしちゃう新堂とかァ。
そんな新堂の行動に焦れちゃう荒井とかァ。
荒井が焦れてるのを楽しがってる日野とかァ、好きなんで書いてまーす。
今日からキミも好きになろうぜ!
『陣中見舞』
大あくびをしながら新堂誠は住宅街を歩いていた。
片手には柴犬柄のエコバッグがぶら下がっている。最近はどこでもビニール袋が有料になって勿体ないからと母親から持つように強制されたエコバッグだがこの柴犬をあしらったエコバッグはわりと気に入っており好んで使っていた。
コンビニの店員からすると新堂のような不良っぽい外見の男が鞄から柴犬のエコバッグを取り出すのはギャップがあるのかしばしば驚かれるのが悩みの種ではあるがそれでも柴犬のエコバッグを変えるつもりはない。
カワイイは正義、という奴である。
「確か、ここだったよな」
新堂は住宅街の傍らで足を止めるとスマホを見て地図と住所を確認した後表札を確かめインターフォンを押した。
「はい、どなたでしょうか」
ややかすれた声がインターフォンごしに響く。新堂はおそらくインターフォンのカメラがある位置で荷物をあげるとドアフォンに向けて告げた。
「おぅ、荒井か? 風邪ひいたって聞いたから何か食えそうなもん買ってきたぜ」
エコバッグにはレトルトの粥やスポーツドリンクが入っている。
日野いわく、荒井は普段から家に両親などいない日が多く風邪をひいたなら一人で困っているだろうとの事だったから一肌脱いで買いだしに出る事にしたのだ。
「少し待っていてください」
その声の後、重々しいドアが開く。
ドアの向こうには薄手のパジャマを着た荒井がいぶかしげな表情を向けていた。
「よぉ荒井、具合悪そうだな。体温何度くらいある? 咳出てんのか、食欲あるか?」
「別に新堂さんが気にする必用はないですよ……ですが、ありがとうございます。正直、家にある買い置きの食事がカップ麺やレトルトのカレーなどだったので少し重すぎると思っていたので助かりました」
新堂からエコバッグを受け取り中身を確認すると、荒井は再び顔を上げた。
「ですが、どうしてこの時間なんです。まだ授業中ですよね……」
時刻は午前10時を過ぎた頃だろう。日差しもあり散歩にはいい時間だが、世間一般の学生はまだ授業中だ。当然、新堂も本来なら授業を受けている時間である。
だが新堂は当然のように笑っていた。
「いや、この時間古典と数学だからよ」
「……古典と数学の授業中ってことですよね。大丈夫なんですか、抜け出してきて」
「どうせ授業受けてもよくわかんねーし、俺がいなくても教師だって気付かないだろ。吉田に返事するよう言っといたから」
高校の授業で代返など気付かれて当然だと思うが、新堂は気にしないのだろう。
だが鳴神学園では授業を抜け出す生徒は多いからいちいち教師も注意しないのだ。
「ありがとうございます、正直助かりました……あぁ、袋すぐに返しますね。キッチンに出してきますので」
荒井はふらつく足取りで室内へと入る。
その身体を背後から支えると新堂も一緒になって家へと入ってきた。
「おい、おまえ凄ェ身体が熱いじゃねぇか。無理すんなって……あ、俺が来たから起こしたのか? 何か悪ィな……」
口では申し訳なさそうに語るが実際はとくに悪びれる様子もないまま新堂は荒井を支えて家に入ると彼を椅子に座らすと袋に入った食品を並べた。
「粥とかリゾットはレンジでチンすればいいやつだから常温、と。あぁ、スポーツドリンクは一本常温にしておくぜ、そのほうが吸収がいいらしい。飯はどうした? 朝飯、ちゃんと喰ったか?」
「いえ……朝から具合が悪くてずっと寝てましたので」
「それじゃ、ゼリー飲料買ってあるからこれ喰えよ。薬は?」
「薬は……処方薬を飲んだんですが、思ったより熱が出ているみたいなので解熱剤も飲もうかと思ってたところなんです……とにかく熱が上がってしまって……」
「おい、そんなふらついた足取りで立とうとすんな。ぶっ倒れそうじゃねぇか……」
朦朧としながら立ち上がろうとする荒井をおさえ、新堂はかわりに薬を取り出し水まで準備してくれる。
「ありがとうございます……」
荒井はぼんやりとした顔のままゼリー飲料を飲み、薬を飲んでようやく一息ついたようだった。
それを見た新堂は「それじゃ、行くか」と言うが早いか荒井の身体を横抱きにする。
「ちょっ、何してるんですか新堂さん……」
驚く荒井を前に新堂は当然だといった様子で歩き出した。
「おいおい、可愛い後輩が熱出してぶっ倒れそうなんだぜ。こんな覚束ない足取りで歩いてるのを放っておけるかよ……おまえの部屋、どこだ? ベッドまで運んでやるよ」
「に、二階です……けど……」
「玄関まで来るの遅ェなと思ってたが、二階か。無理させちまって悪いな、じゃ行くぜ」
新堂は荒井などさしたる重みはないといった様子で軽快に二階まで上がると荒井をベッドに転がした。そうかと思えば。
「何だ、アイスノンもう柔らかいじゃねぇか、取り替えるぞ。あと、汗だくだから着替えた方がいいと思うぜ? 枕元にスポーツドリンクおいておくから、喉渇いたら飲めよ」
荒井の着替えを出したり温くなったアイスノンを交換したりと色々気を遣ってくれる。 そんなに古典と数学の授業に戻りたくないのかとも思ったが、日野が「新堂は何やらせても大雑把だが思ったよりは面倒見がいいぞ」と言った理由はわかった気がした。
おかげで昨夜からできていなかった着替えもすませ、幾分か身体がスッキリする。
「じゃ、俺は学校戻るわ。おまえは大事にしとけよ」
「はい、ありがとうございます……」
ベッドに入り礼を言う荒井の頭をくしゃくしゃ撫でると、新堂は手をひらひらさせ挨拶をする。
荒井はそんな彼をベッドの中で見送るのだった。
新堂が家から出て玄関が閉まる音がした後、荒井は熱でぼぅっとしたままスマホを取り出し日野へとメッセージを飛ばした。
「どうして新堂さんを寄越したんですか」
昨日は午後から急に体調が悪くなりそのまま病院へと向かった。その時点で随分と熱があり、医者からは風邪薬や解熱剤を処方されていたのだ。買い物をしていきたかったが体調はどんどん悪くなり家についたら殆どベッドへ転がると動けなくなっていた。
荒井の家は普段から家族がいないことが多く一人で過ごすのは慣れているが具合が悪くなった時はひどく心細くなる。
家に誰もおらず、食事や水もどうしようか困る……と日野に泣き言を漏らしたのは、こういう時に愚痴れる相手として日野が一番適当だと思ったからだろう。
クラスには赤川や袖山といった友人もいるが、荒井の家を知っているような友人はいない。それに、クラスメイトに気を遣わせてしまうのは悪い気がした。
その点日野と荒井は比較的に対等、ギブ&テイクの関係性だ。荒井の頼みに対して日野は一定の見返りがあれば充分に協力してくれる。貸し借り無しで接することができるので気が楽だった。
日野は荒井の家も知っているし彼の家に両親が滅多に戻ってないのも知っている。
実際にその時も「もし困るようなら欲しいものを伝えてくれ、明日になるが準備しよう」そう語っていたから、今日新堂が持ちこんだ内容……レトルトの粥やスポーツドリンクを頼んでおいたのだ。
だから午後になって授業が終わったら日野が来るのだろうと思っていたのだが、まさか午前中から新堂が家に来るとは思ってもいなかった。
「どんな薬よりも効いたろう?」
日野はしれっとそんな返事を寄越す。
荒井が1年の頃から新堂に対し憧れを抱き、今は恋慕の気持ちを持て余しているのを知ってあえて新堂に頼んだのだろう。そのため新堂に幾分か良い条件を出したのは想像に難くない。
そこまで荒井の気持ちを揺さぶりたいというのだろうか。本当に日野という人間は時々ひどく荒井の気に障るようなことをする。 からかわれているのだと思うと苛立ったし遊ばれているような気がして不愉快ではある。
だが、効果はてきめんだ。
熱があるというのに嬉しいという気持ちが勝っているんだから、惚れた弱みはしょうがない。
荒井はベッドに寝転ぶと、ぼんやりと天井を見る。
枕元にはぬるくなったスポーツドリンクが置かれていた。
大あくびをしながら新堂誠は住宅街を歩いていた。
片手には柴犬柄のエコバッグがぶら下がっている。最近はどこでもビニール袋が有料になって勿体ないからと母親から持つように強制されたエコバッグだがこの柴犬をあしらったエコバッグはわりと気に入っており好んで使っていた。
コンビニの店員からすると新堂のような不良っぽい外見の男が鞄から柴犬のエコバッグを取り出すのはギャップがあるのかしばしば驚かれるのが悩みの種ではあるがそれでも柴犬のエコバッグを変えるつもりはない。
カワイイは正義、という奴である。
「確か、ここだったよな」
新堂は住宅街の傍らで足を止めるとスマホを見て地図と住所を確認した後表札を確かめインターフォンを押した。
「はい、どなたでしょうか」
ややかすれた声がインターフォンごしに響く。新堂はおそらくインターフォンのカメラがある位置で荷物をあげるとドアフォンに向けて告げた。
「おぅ、荒井か? 風邪ひいたって聞いたから何か食えそうなもん買ってきたぜ」
エコバッグにはレトルトの粥やスポーツドリンクが入っている。
日野いわく、荒井は普段から家に両親などいない日が多く風邪をひいたなら一人で困っているだろうとの事だったから一肌脱いで買いだしに出る事にしたのだ。
「少し待っていてください」
その声の後、重々しいドアが開く。
ドアの向こうには薄手のパジャマを着た荒井がいぶかしげな表情を向けていた。
「よぉ荒井、具合悪そうだな。体温何度くらいある? 咳出てんのか、食欲あるか?」
「別に新堂さんが気にする必用はないですよ……ですが、ありがとうございます。正直、家にある買い置きの食事がカップ麺やレトルトのカレーなどだったので少し重すぎると思っていたので助かりました」
新堂からエコバッグを受け取り中身を確認すると、荒井は再び顔を上げた。
「ですが、どうしてこの時間なんです。まだ授業中ですよね……」
時刻は午前10時を過ぎた頃だろう。日差しもあり散歩にはいい時間だが、世間一般の学生はまだ授業中だ。当然、新堂も本来なら授業を受けている時間である。
だが新堂は当然のように笑っていた。
「いや、この時間古典と数学だからよ」
「……古典と数学の授業中ってことですよね。大丈夫なんですか、抜け出してきて」
「どうせ授業受けてもよくわかんねーし、俺がいなくても教師だって気付かないだろ。吉田に返事するよう言っといたから」
高校の授業で代返など気付かれて当然だと思うが、新堂は気にしないのだろう。
だが鳴神学園では授業を抜け出す生徒は多いからいちいち教師も注意しないのだ。
「ありがとうございます、正直助かりました……あぁ、袋すぐに返しますね。キッチンに出してきますので」
荒井はふらつく足取りで室内へと入る。
その身体を背後から支えると新堂も一緒になって家へと入ってきた。
「おい、おまえ凄ェ身体が熱いじゃねぇか。無理すんなって……あ、俺が来たから起こしたのか? 何か悪ィな……」
口では申し訳なさそうに語るが実際はとくに悪びれる様子もないまま新堂は荒井を支えて家に入ると彼を椅子に座らすと袋に入った食品を並べた。
「粥とかリゾットはレンジでチンすればいいやつだから常温、と。あぁ、スポーツドリンクは一本常温にしておくぜ、そのほうが吸収がいいらしい。飯はどうした? 朝飯、ちゃんと喰ったか?」
「いえ……朝から具合が悪くてずっと寝てましたので」
「それじゃ、ゼリー飲料買ってあるからこれ喰えよ。薬は?」
「薬は……処方薬を飲んだんですが、思ったより熱が出ているみたいなので解熱剤も飲もうかと思ってたところなんです……とにかく熱が上がってしまって……」
「おい、そんなふらついた足取りで立とうとすんな。ぶっ倒れそうじゃねぇか……」
朦朧としながら立ち上がろうとする荒井をおさえ、新堂はかわりに薬を取り出し水まで準備してくれる。
「ありがとうございます……」
荒井はぼんやりとした顔のままゼリー飲料を飲み、薬を飲んでようやく一息ついたようだった。
それを見た新堂は「それじゃ、行くか」と言うが早いか荒井の身体を横抱きにする。
「ちょっ、何してるんですか新堂さん……」
驚く荒井を前に新堂は当然だといった様子で歩き出した。
「おいおい、可愛い後輩が熱出してぶっ倒れそうなんだぜ。こんな覚束ない足取りで歩いてるのを放っておけるかよ……おまえの部屋、どこだ? ベッドまで運んでやるよ」
「に、二階です……けど……」
「玄関まで来るの遅ェなと思ってたが、二階か。無理させちまって悪いな、じゃ行くぜ」
新堂は荒井などさしたる重みはないといった様子で軽快に二階まで上がると荒井をベッドに転がした。そうかと思えば。
「何だ、アイスノンもう柔らかいじゃねぇか、取り替えるぞ。あと、汗だくだから着替えた方がいいと思うぜ? 枕元にスポーツドリンクおいておくから、喉渇いたら飲めよ」
荒井の着替えを出したり温くなったアイスノンを交換したりと色々気を遣ってくれる。 そんなに古典と数学の授業に戻りたくないのかとも思ったが、日野が「新堂は何やらせても大雑把だが思ったよりは面倒見がいいぞ」と言った理由はわかった気がした。
おかげで昨夜からできていなかった着替えもすませ、幾分か身体がスッキリする。
「じゃ、俺は学校戻るわ。おまえは大事にしとけよ」
「はい、ありがとうございます……」
ベッドに入り礼を言う荒井の頭をくしゃくしゃ撫でると、新堂は手をひらひらさせ挨拶をする。
荒井はそんな彼をベッドの中で見送るのだった。
新堂が家から出て玄関が閉まる音がした後、荒井は熱でぼぅっとしたままスマホを取り出し日野へとメッセージを飛ばした。
「どうして新堂さんを寄越したんですか」
昨日は午後から急に体調が悪くなりそのまま病院へと向かった。その時点で随分と熱があり、医者からは風邪薬や解熱剤を処方されていたのだ。買い物をしていきたかったが体調はどんどん悪くなり家についたら殆どベッドへ転がると動けなくなっていた。
荒井の家は普段から家族がいないことが多く一人で過ごすのは慣れているが具合が悪くなった時はひどく心細くなる。
家に誰もおらず、食事や水もどうしようか困る……と日野に泣き言を漏らしたのは、こういう時に愚痴れる相手として日野が一番適当だと思ったからだろう。
クラスには赤川や袖山といった友人もいるが、荒井の家を知っているような友人はいない。それに、クラスメイトに気を遣わせてしまうのは悪い気がした。
その点日野と荒井は比較的に対等、ギブ&テイクの関係性だ。荒井の頼みに対して日野は一定の見返りがあれば充分に協力してくれる。貸し借り無しで接することができるので気が楽だった。
日野は荒井の家も知っているし彼の家に両親が滅多に戻ってないのも知っている。
実際にその時も「もし困るようなら欲しいものを伝えてくれ、明日になるが準備しよう」そう語っていたから、今日新堂が持ちこんだ内容……レトルトの粥やスポーツドリンクを頼んでおいたのだ。
だから午後になって授業が終わったら日野が来るのだろうと思っていたのだが、まさか午前中から新堂が家に来るとは思ってもいなかった。
「どんな薬よりも効いたろう?」
日野はしれっとそんな返事を寄越す。
荒井が1年の頃から新堂に対し憧れを抱き、今は恋慕の気持ちを持て余しているのを知ってあえて新堂に頼んだのだろう。そのため新堂に幾分か良い条件を出したのは想像に難くない。
そこまで荒井の気持ちを揺さぶりたいというのだろうか。本当に日野という人間は時々ひどく荒井の気に障るようなことをする。 からかわれているのだと思うと苛立ったし遊ばれているような気がして不愉快ではある。
だが、効果はてきめんだ。
熱があるというのに嬉しいという気持ちが勝っているんだから、惚れた弱みはしょうがない。
荒井はベッドに寝転ぶと、ぼんやりと天井を見る。
枕元にはぬるくなったスポーツドリンクが置かれていた。
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