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インターネット字書きマンの落書き帳

   
荒井くんの身体にキスマークが残ってる話
平和な世界線でフレンズと仲良くする荒井の話します。

今回は、時田から「みんなでスパ行こう」って誘われたのでフレンズと一緒に出かけたけど、恋人から「行くのか、俺以外とスパに……?」みたいな反応をされ、身体中にキスマークをつけられるような話ですよ。

荒井と時田、赤川、袖山が出ます。

特に荒井の恋人を誰か言及してないので
「行くのか、俺以外とスパに……」かもしれないし「行くのかい!? ボクを置いてスパに?」かもしれないし「どうして僕を置いて行っちゃうんですか、スパなんかに……」かもしれません。

可能性の世界って奴だぜ!



『マーキング』

 冬休みに入って間もない頃。

「たまには皆で裸の付き合いでもしよう」

 なんて、時田は唐突に荒井へそう持ちかけてきた。突然ではあるが、こんな風に突拍子もない事を言い出す時は概ね作品の構想が煮詰まってきた時だ。それを知っていた荒井は快くOKをし、荒井や袖山といった仲の良い友人を誘って駅近くにあるスパに出かける事となった。
 広い温泉だけではなくサウナやマッサージもあり、休憩スペースには読み放題の漫画が置かれている、スパだ。長期休みの平日なら人も少ないし、ゆっくり過ごすにはいいだろう。
 友達であっても肌を見せるのは多少抵抗はあったが、気の置けない友人しか誘ってはいないし他の客が少ない日中の昼頃なら人目を気にする事はないだろう。

「それでも、皆の前で肌を見せるのは恥ずかしいな……僕、運動部だったのに全然筋肉もないし……」

 周囲に友達しかいないのがわかっていても、袖山は肌を見せるのに抵抗があるのだろう。皆とは一緒に行きたいが恥ずかしさが勝る様子の袖山には直接電話をかけ

「大丈夫だよ袖山くん、温泉に入る時は人の身体をじろじろ見るなんて失礼なことはしないし、恥ずかしかったらすぐに温泉から出て、リクライニングルームでゆっくり休んでればいいんだから」

 優しい口調で説得し、渋る袖山を連れ出した荒井であったが、そう告げた当人がいま、脱衣所まできて服を脱ぐのを躊躇っていた。

「どうしたんだよ荒井くん、まだ服を脱いでないの君だけだぞ」

 上着だけを羽織ったまま顔を赤くし俯く荒井の頬をつつきながら赤川が聞く。

「袖山くんに恥ずかしくない、って誘ったのに肝心の君が恥ずかしがってたら袖山くんが可愛そうだろ。袖山くんは服を脱いでちゃんと待ってるんだからな」

 赤川は袖山がそう誘われたのを聞いていたのだろう。さらに急かされるように言われ、荒井は困ったような目で赤川を見た。

「はい、わかってます。ですが、その……」
「どうしたんだい荒井くん、何か服が脱げない理由があるのかな? ……撮影していい?」

 荒井と赤川が揉めている風に見えたのか、時田は嬉々としてくちばしを挟んでくる。普段から興味深い対象にはいかなる方法をもってしても撮影に臨む時田だから、その言葉はとても冗談には思えなかった。

「ダメですよ時田くん、流石に脱衣所での撮影は法に触れてしまいますから……あぁ、仕方ないですね。脱ぎますけど、変な事言わないでくださいよ」

 周囲からは学生たちが騒いでいるように見えたのだろう。まばらな客が訝しげにこちらの様子を窺っているのに気付いた荒井は一つ大きく息をつくと、勢いまかせるように上着を脱ぐ。その身体には、傍目からもはっきりわかる程に情熱的なキスマークがいくつも残されていた。

「ふーん、なるほどねぇ。荒井くん、僕たちの知らない間に随分と悪い子になっちゃったんだねぇ」

 時田はニヤニヤと笑いながら荒井の身体を舐めるように見つめる。

「何だ、随分とマーキングされたもんだねぇ。荒井くんの恋人、すごい嫉妬深いタイプ? これなら他の誰も声かけてこなそうだね」

 脱ぐ前は随分とこちらの様子を気にしていた赤川は少し呆れた様子ながら荒井が服を脱ぎたがらなかった理由は納得したようだった。
 二人の隣で、袖山だけが真っ赤になって狼狽えている。荒井の心配もあるが、見ているだけで恥ずかしくなってしまったのだろう。

「やめてくださいよ、時田くんも赤川くんも……そうですよ、僕の恋人は嫉妬深くて執着心が強く、僕を独り占めしたい人ですから。今日、皆と行く場所が駅近くのスパだと聞いたら、他の奴に肌を見せるのかと執拗に迫られてこのザマです。まったく、愛されるというのは面倒ごとが増えて大変なものですよ」

 服を脱いで肌を見せた事で幾分か開き直ったのか、二人の言葉を荒井は涼しい顔で受け流してみせた。その様子で時田も赤川もこれ以上口を挟んでも面白くもないと考えたのだろう

「あーあ、惚気られちゃったよ。先行ってるね、荒井くん」

 そんな言葉を残して先に大浴場へと向かっていく。
 二人の背中を見送ると、袖山は慌てて荒井の顔をのぞき込んだ。

「だ、大丈夫荒井くん。二人ともあんな風にいわなくてもいいよね……」
「大丈夫だよ袖山くん。でも……」

 荒井の顔のぞき込む袖山は、彼の頬がすっかり紅潮しているのに気付いた。二人の手前で堂々とやり過ごしては見せたが、本心ではやはり恥ずかしかったのだろう。

「……強がってみたけど、やっぱり恥ずかしいよね。でも、こんな事をされてもちょっと嬉しいと思ってる自分もいるんだ。それが何だか悔しいんだけど、悪い気がしなくてさ……ずっと胸の奥底がくすぐったいんだよ」

 荒井は袖山にだけ囁くと、「こんな話、みんなに内緒にしていてね」と照れたように笑う。その笑顔に誘われるよう袖山は微笑み荒井の手を握ると。

「荒井くんが幸せなら、僕はそれがすごく嬉しいよ」

 そういって、二人顔を見合わせて笑うのだった。

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インターネット駄文書き
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