インターネット字書きマンの落書き帳
語り部は新堂に美形線を出したいようです
新堂さんピンでのイベントCGがもらえない病気なんですか!?
どうして? 顔が怖いから!?
と思ったのでそういう話をダラダラとしました。
・会話だけのダラダラ駄文だぞい
・なんかみんなの性格がダメな方向になってるぞい
・新堂パイセンの扱いは全体的に可愛そうだぞい
・顔面の善し悪しというルッキズムに支配されたダメな世界で話が進むぞい
・荒井と福沢は新堂のこと大好き
・アパシー 鳴神学園のイベントCGにゆるくネタバレがある
以上の点よーろしーくねー。
何でもエンジョイ勢向け。つまり俺向けってことだよ!
どうして? 顔が怖いから!?
と思ったのでそういう話をダラダラとしました。
・会話だけのダラダラ駄文だぞい
・なんかみんなの性格がダメな方向になってるぞい
・新堂パイセンの扱いは全体的に可愛そうだぞい
・顔面の善し悪しというルッキズムに支配されたダメな世界で話が進むぞい
・荒井と福沢は新堂のこと大好き
・アパシー 鳴神学園のイベントCGにゆるくネタバレがある
以上の点よーろしーくねー。
何でもエンジョイ勢向け。つまり俺向けってことだよ!
『語り部たちは美形線を何とかしたい』
その日、新聞部には「学校の七不思議」を語る生徒たちが集められていた……。
新堂 : 「うーす」
坂上 : 「あっ、新堂さん」
新堂 : 「何だよ坂上、前に集会はやったよなァ? それだってのにこんな汚ェ部室に呼び出すとかよっぽどの事があったのか?」
坂上 : 「いえ、違うんです。今回は僕が呼び出した訳じゃなく、えぇと……」
荒井 : 「新堂さんが来ましたね、じゃあ始めましょうか」
福沢 : 「えぇ、始めましょう。では『第一回・いかにして新堂さんの顔に美形線を出すか会議』を始めたいとおもいまーす」
新堂 : 「いやちょっとまて何を始めようとしてんだテメェら!?」
坂上 : 「僕もいったい何がなんだか……気付いたら皆が集まっていて……」
朝比奈 : 「うう……今日は新聞部の定例会の日なのに全然何も出来ないよ……」
荒井 : 「何ぼーっとしてるんですか新堂さん、今回の主役なんですから座ってください」
福沢 : 「さぁ、新堂さんが座ったらみんなで『どうやったら新堂さんに美形線が出るか』の話し合いはーじめまーすよー!」
新堂 : 「しかも俺に対して全面的に失礼な会議しようとしてねぇか!?」
日野 : 「というか、そもそもの話『美形線』って何だ……?」
倉田 : 「説明しよう! 美形線とは、美形キャラクターにだけ許された顔のラインである! たとえば艶めかしいほどの黒髪に入るツヤベタとかは美形線と言ってもいいだろう」
日野 : 「知ってるのか倉田!?」
倉田 : 「当然ですよ、民明書房『美形線入門』にちゃんと書いてありましたから」
日野 : 「それは書いてないの同義語では……」
坂上 : 「ともかく、美形線は『美形キャラが美形である事を強調するための顔描写』って意味かな……」
倉田 : 「そうだね! 鳴神学園の生徒は、とりわけ美形として描かれているキメ顔の時に、白抜き睫毛が出るんだって! それが鳴神流の美形線! 鳴神学園の生徒で白抜き睫毛が浮き出る顔描写がされてたら……イケメン決定なんだよ!」
荒井 : 「そうです。そしてその美形線、新堂さんは一度だって出た事がないので……」
福沢 : 「後輩の私たちが、どうやったら新堂さんに美形線が出るか考えよーってなったの!」
新堂 : 「いやいやいや、何でそうなんだよ!?」
倉田 : 「先輩思いの後輩さんがいてよかったですね新堂さん」
新堂 : 「いやいやいやこれ、明らかに俺をバカにしてんだろ!? 遠回しに『今の俺はイケメンとは言いがたい』と言ってんじゃ無ェのか!?」
荒井 : 「そこまでは言ってません、美形じゃないと言ってるんです」
新堂 : 「限りなく同じじゃねぇか!」
福沢 : 「イケメンと美形は違いますよー」
新堂 : 「あー、まぁ、気を遣ってもらって悪ィが俺は別に自分の顔が嫌いだって訳じゃねぇし……そりゃぁ荒井みたいな美形じゃ無ェ自覚はあるけどよ」
倉田 : 「荒井さんのこと美形だと思って見てたんだ……」(メモメモ)
坂上 : 「倉田さん、実在人物の二次創作はリスキーだよ」
新堂 : 「顔が怖ェ事で困ってる訳じゃねぇし……別にモデルやらタレントになろうって訳でも無ェからよ。美形になろうとは思ってねぇんだ」
福沢 : 「ダメだよ!」
新堂 : 「福沢?」
福沢 : 「新堂さん確かに美形じゃないけど、人間には誰でも人生でモテ期があるみたいに人には誰だって角度によれば美形に見えるアングルがあってもいいはずでしょ!? 今の新堂さんにはそれがないんだよ!? おかしいでしょ、どの角度から見ても安定して怖い顔とか、それもう怪異だよ!」
新堂 : 「言うに事欠いて人の顔怪異扱いしてんじゃねぇよ!」
倉田 : 「でも人生でモテ期を早くに使い果たしてしまうタイプの人っているよね」
福沢 : 「小学校の頃、かけっこが早いからモテたのがモテ期のピークみたいな人ね」
新堂 : 「う……」
荒井 : 「新堂さん、言葉につまりましたね? モテ期が小学校の頃に来たタイプですね」
新堂 : 「うるせぇよ……俺は硬派だからモテ期なんて必用ねぇんだから……」
細田 : 「……という事は、僕はまだモテ期が来てないだけでこれから大人になって濃厚な色気が出てモテる可能性が存在しているって事でいいのかなぁ。うぷぷ……楽しみだなぁ……」
倉田 : 「いたんだ細田さん」
福沢 : 「まぁ、夢を見るのは自由だからそのままにしておいてあげよう!」
岩下 : 「僅かな希望の糸さえ断ち切れてしまったら生きるのも辛いでしょうからね……」
細田 : 「畳みかけられる女子からの冷たい言葉! 僕がそういうので興奮するタイプじゃなかったら心が折れてる所だったよ坂上くん……」
坂上 : 「細田さん、新たなフェチズムが開墾できて良かったですね」
新堂 : 「うーん……そんなに大事なことかよ、美形かどうかって……俺はナメられないように見られりゃそれで充分なんだがな」
荒井 : 「そんな消極的な態度でいいんですか新堂さん? 美形線は風間さんにも出ているんですよ」
風間 : 「あはァ。ボクは鳴神のアイドル、みんなの王子様だから当然といえば当然だけどね」
新堂 : 「……まぁ、風間は別になぁ。こいつ、何だかんだいって背も高いしイケメンだとは思うぜ。黙ってれば」
岩下 : 「そうね、風間くんは黙っていて見ているだけなら何の問題もないイケメンよ」
日野 : 「1分以上会話しなければ間違いなくイケメンだな」
風間 : 「流石にみんなボクの顔面良人(がんめんよいんちゅ)なのはわかってくれてるみたいで嬉しいよ、うんうん」
荒井 : 「本当にいいんですか? 今のを疑いなく褒め言葉だと思っている知性の人でさえ美形線が出ているんですよ? いや、よくない。新堂さんが良くても僕が良くないです」
新堂 : 「たしかに今、ちょっと『こいつに負けてんのか?』と思ったら自分が嫌になったが……かといって顔をすげ替える事が出来る訳でもねぇしなぁ」
福沢 : 「うーん、せめて風間さんがやってる美容とかそういう秘訣を教えてもらったらどうかな?」
新堂 : 「美容? って化粧するとかか? おいおい、俺はそういう細々したの苦手だぜ」
倉田 : 「最近はメンズエステってのもありますし! 毎日化粧水や乳液とかつけるだけで結構違いますよー、で、風間さん何かそういうのやってるんですか? スキンケアとか」
風間 : 「うーん、特にやってないかなぁ、毎日おいしいご飯を食べて夜8時に寝てるくらいだよ、夜更かしはお肌に悪いからね」
新堂 : 「健康優良児かよ! 夜8時なんてまだ昼じゃねぇか」
福沢 : 「新堂さんの昼判定がガバガバだ!」
岩下 : 「新堂くんは夜8時頃には何をしているのかしら? 寝てはいなくとも食事はもう終えていないと身体に悪いと思うけれども」
新堂 : 「夜8時頃はフツーにジョギングに出てるぜ? 飯くって腹落ち着いたくらいに1時間ほど走ってるから」
風間 : 「健康優良児じゃないか! 夜中に運動するとか疲れちゃうだろう!?」
福沢 : 「新堂さんって思ったよりちゃんと練習してますよねー」
新堂 : 「何だよ思ったよりってのはよ……家にいても勉強しろとかウルセェしそれなら身体動かしてる方が楽なんだよな」
風間 : 「何かごめんな、新堂……ボクは美形だから新堂みたいに身体をイジめなくても何もせずに綺麗な顔でいられて……ご飯を食べれば食べるほど身長になっていくし全然太らないおかげで背も180cmあるし……さして運動しなくても長い足とスマートな身体を手に入れちゃってなんか、恵まれて本当にごめん……」
新堂 : (ドスッ)
風間 : 「痛い痛い! 暴力はやめたまえよ! ボクじゃなくてボクシングに青春をぶつけてくれたまえよ!」
荒井 : 「いや、今のは殴るべき案件ですよ、サンドバッグのかわりにボクシング部に吊してもいいくらいです。何なら僕が吊しておきましょうか?」
風間 : 「何恐ろしい事言ってるんだこの陰キャくんは!?」
細田 : 「そうだよ荒井くん、ダメだよそんなこと……」
風間 : 「おっと、おデブちゃ……ややふくよかなキミ!? ボクをかばってくれるとか見る目があるねいやぁ、ボクって知らない間に後輩にも好かれる良き先輩に……」
細田 : 「やるなら徹底的にもっとこう、髪とか全部燃えるようなやりかたがいいと思うんだ」
荒井 : 「そうですね、風間さんの髪だいぶ邪魔ですからね」
風間 : 「ワオッ! 後輩からの人望が全然ないみたいだ、モテる男は知らないうちに嫉妬を買うから辛いね……」
坂上 : 「風間さんの自分の顔面に対するポジティブさすっごい」
倉田 : 「新堂さんに美形線が出ないのは顔面に対する絶対的な自信とポジティブさが足りないのかもね」
新堂 : 「別に美形線を求めて生きていねぇからな……」
岩下 : 「とにかく、風間くんは全く参考にならないわね。他に美形線が出ている人の話を聞いてみたほうがいいんじゃないかしら。他には誰かいるの?」
坂上 : 「あ、僕は出てます」
荒井 : 「僕も出てますね……」
新堂 : 「おい、骨格からして美形の二人が挙手してんぞ。これ参考にならねぇだろ、遺伝子レベルが美形の連中だぞ? こいつらみたいになれって言われたら遺伝子レベルで改造求められちまうだろ」
荒井 : 「新堂さん、紹介しましょうか。白井先生」
新堂 : 「絶対ヤベェことになるじゃねぇか!? いや、遺伝子レベルでやり直したり改造したりするつもりは無ぇからな」
風間 : 「ははッ、遺伝子組み換え新堂が見れると思ったのに残念だね」
新堂 : 「お前こそ白井を紹介してもらえよ、白井に脳みその遺伝子組み替えてもらってもっと上等なものにしてこい」
荒井 : 「風間さんに脳みそなんて上等なもの入ってる訳ないですよ。ババロアしか入ってないんじゃないですか」
新堂 : 「そっか、いくら白井でもババロアを脳みそにするのは無理だよな……」
風間 : 「ババロアみたいに甘いマスクだって認めてくれてるんだね嬉しいよ」
倉田 : 「本当に自分の顔面に対するポジティブさすっごい」
日野 : 「難しい言葉はわからないから聞こえてないだけかもしれんな」
倉田 : 「そういう日野さんも出ているんですよね、美形線。何かしているんですか?」
日野 : 「ん? ……俺にそんなもの出ているのか? 知らなかった」
坂上 : 「追加パッチ分で美形線が出たんですよ」
倉田 : 「屈辱の敗北屈服CGも追加されているから最高なんですよ日野さん!」
日野 : 「聞いていて全然最高要素のない話だな……」
新堂 : 「日野はそんなに健康的な生活とかしてなさそうだがなぁ」
日野 : 「あぁ、俺は自分でも特に何かしているとかはないと思う……夜更かしもするし記事を書くために休日に夜通し書き物なんかもするしな」
朝比奈 : 「えい!」
日野 : 「!? おいやめてくれ朝比奈、何をするんだ……」
朝比奈 : 「えいえい!」
日野 : 「いや本当にやめてくれ! 髪のセットがくずれっ……」
坂上 : 「部長、何しているんですか!?」
倉田 : 「背の小さい部長が日野先輩にぴょんぴょん飛びついていくのかわいー」
朝比奈 : 「はい、終わりっと。ほら、日野ってキッチリガッチリ前髪固めてるから油断するけど、髪型違うと顔滅茶苦茶格好いいよね?」
福沢 : 「ホントだ! 日野さんかっこいいじゃないですか、もったいないですよ何でそのぴっちり真ん中分けポマードガッチガチめがねお兄さんやってるんですもー」
倉田 : 「ま、日野先輩が格好いいのは新聞部では周知の事実だけどね、フフーン。恵美ちゃんはちゃーんとわかってますよ。うんうん、綺麗な顔の年上お兄さんの前に現れた可愛い顔の後輩、最初は気にしてなかったけどふとした瞬間に見る大人の顔にときめく坂上くんとか、うしし、いいよねー」
日野 : 「倉田は何の話してるんだ?」
岩下 : 「日野くんは知らなくていいことよ……」
新堂 : 「まぁ、日野も顔はいいよな。目鼻立ち整ってるから、そのダセぇメガネと髪型じゃなけりゃもっとモテてると思うぜ」(ひょい)
日野 : 「し、新堂! メガネまで取り上げないでくれ。俺はメガネがないと本当に何も見えないんだ! それにメガネと髪型を馬鹿にするな! ママが選んでくれたメガネにママがいつもセットしてくれてる髪型なんだぞ……」
朝比奈 : 「日野は本当にいい奴だと思うけどお母さんの話する時は本当に気持ち悪いよね」
倉田 : 「ですよねー、本当にあれだけがマイナスポイント。玉に瑕って感じです」
福沢 : 「あのレベルになると傷というか致命傷じゃない? 玉が大破ってかんじ」
新堂 : 「結局、美形線も何もソレが出る奴は元々素材がいいって事じゃねぇの? 日野も荒井も坂上も……認めたくねぇけど風間も、顔はいいと思うからよ」
倉田 : 「そう考えると鳴神ってけっこう美男子多いよね」
福沢 : 「個性にエッジがきいてる人が多いけどね」
新堂 : 「おまえらが言うなよ……いや、おまえらもだいぶエッジきいてるぞ」
倉田 : 「うーん、でも人ってこのアングルだとイケてるって時あるよね? 新堂さんもそういうアングルありそうだけどなー、何が悪いんだろ?」
荒井 : 「顔の情報量が多いんですかね」
福沢 : 「情報量……?」
荒井 : 「美形って思ったより顔のパーツが大人しいんですよ。目鼻立ちがスッキリしている、なんて言い方がありますけど整った顔立ちというのは顔にあまり無駄な要素がないんです」
福沢 : 「あー……確かに荒井さん顔の情報量少ない。色白で顔立ちスッキリしてるから顔には無駄がないかも。前髪ちょっと長すぎるから顔隠れちゃってるのもったいないけど」
倉田 : 「いやいや、そこはあえて見せてないからこそ良いものだよ。普段は綺麗な顔を隠している美形、いいじゃない。うししし……」
福沢 : 「それを考えると、確かに新堂さん顔の情報量多いよ! 目ぇすごい細いつり目だし、頬骨の主張激しいし、耳にピアスばっちばちだし、髪の毛金髪プリンだし!」
倉田 : 「確かにー、絵で描くにしてもあまり要素が多いとかえって描きづらいとかあるよねー。これだけ顔に個性があると作画コストが大変かも。髪の毛も完全な金髪じゃなくて根元が黒いからカラーのコストもかかりそー……新堂さん、作画泣かせのデザインだね」
岩下 : 「耳のピアスもうっかりすると描き忘れがおこりそうよね、原稿の端に『両耳ピアス』『ピアスの形』のメモを貼り付けておかないとピアス描き忘れで入稿しそうだわ……」
倉田 : 「メモ残したの忘れて入稿するのも怖いですよ」
日野 : 「あれは何の話なんだ? 新堂の作画って何だ?」
坂上 : 「たぶん、日野先輩は知らなくていい話ですよ」
福沢 : 「いっそ、もっと顔をスッキリさせちゃおうか! 鼻とか削いじゃう?」
新堂 : 「何をいっそ清々しく無くそうとしてんだ!? 生活の質が著しく落ちる未来しか想像できねぇよ!」
福沢 : 「大丈夫です、痛くないようにしますから! 鼻をそいで頬骨あたりももう少しマイルドに、目つきももう少し切れ長のつり目にしましょう、ねっ」
新堂 : 「ねっ! じゃ無ぇんだわ。もう俺の顔じゃねぇよそれは!」
福沢 : 「あ、そっか。それなら……顔をぜんぶ潰して最初から作り直してたほうがいい……ってこと!?」
新堂 : 「いやそういう事でもねぇ、邪悪なハチワレちゃんすんな!」
倉田 : 「新堂さん、ちいかわ知ってるんだ」
坂上 : 「ちゃんと『ハチワレちゃん』って呼ぶんだ」
新堂 : 「とにかく! 俺は別に美形になろうとも思わないし美形線とやらが出なくて困ってる訳でもねぇんだ。もういいだろ?」
荒井 : 「本当にいいんですか? 新堂さん……あなた、個人のイベントCGが実質1枚もないような状態なんですよ!?」
福沢 : 「荒井さんそれ言っちゃうの!?」
荒井 : 「細田さんも1枚ありますし、特に個人CGをもっていない風間さんは全体的にイベントCGの作画がいいんです……新堂さん、それでもいいんですか!?」
新堂 : 「……何の話してるんだ荒井は?」
坂上 : 「よくわからないですけど、由々しき事態なんですよ。たぶん」
新堂 : 「あー……何だ? 俺はそのイベントCGが少ないのとかよくわかんねーけど……別に皆と一緒にはフツーにいるんだろ?」
荒井 : 「まぁ、そうですね……そういう意味では僕の方が描き忘れられそうになる勢いがあります」
新堂 : 「俺は別にそれでもいいけどな。ツレと一緒の方がいいんじゃねぇの? 一人より……」
荒井 : 「!? 完全に陽キャの発想ですね……」
福沢 : 「何となく陽キャの発想がない空間を作っていたから『一人よりみんなのほうが楽しい』って感覚ちょっと抜けてたよ!」
新堂 : 「話それだけなら帰るぜ、俺も練習しねぇといけねぇし、期末も近いんだからおまえらもちゃんと勉強しろよ」
福沢 : 「しかも何かフツーの先輩っぽいこといって帰っちゃった……」
荒井 : 「新堂さんのためを思って集まりましたが、余計なお世話でしたね」
坂上 : 「はい、たぶん企画段階からだいぶ余計なお世話だったと思いますよ」
岩下 : 「私たちが思っている以上に、新堂くんは強かった……それだけよ」
坂上 : 「そんな格好いい雰囲気でまとめる話ですかね、これ……」
朝比奈 : 「話が終わったなら新聞部の定例会はじめていいかな……」
日野 : 「はじめるか? 暇なら岩下たちも参加していいぞ」
坂上 : 「いいんだ」
倉田 : 「外部の意見も取り入れるの、たまには新鮮かもね!」
荒井 : 「僕は帰りますよ。期末試験も近いですし……」
福沢 : 「私も、今日は部活に顔を出そーっと」
坂上 : 「……なんか率先して集まった人が帰っちゃいましたね」
日野 : 「あいつらはそういう奴だよ、じゃ始めるか」
風間 : 「アハッ、新堂も損な奴だよね。せっかくこのボクからモテる秘訣を教わるチャンスだったのに……」
岩下 : 「あら、別に新堂くんがモテない男だとは思わないわよ、私は」
坂上 : 「そうなんですか? 新堂さん、あんまりそういう縁がないってボヤいてましたけど」
岩下 : 「確かに新堂くんはかなり周りを威圧する人だわ。近づきにくい印象もあるし、口調も粗野で乱暴よ。自信家で尊大で、すこし我が強すぎるくらい」
坂上 : 「岩下さん辛辣ですね……」
岩下 : 「でも、新堂くんは自分自身の『強さ』に対しては貪欲だわ。たとえそれが張り子の虎であったとしても、周囲からは強く頼れるような存在であろうとする……そういった所が魅力的に思える人はいるはずよ。古い言い方だと『男らしさ』への憧れね」
坂上 : 「うーん、確かに新堂さんは男らしいって感じはしますよね」
倉田 : 「するするー、男らしいってかオスっぽさすっごいよー」
岩下 : 「それに、新堂くんはあれで結構小心者よ。不良ぶっているけど真面目なところもある、だけどダメなところがある……欠陥だらけの人よね。そういう人だからこそ『自分しかこの人の良さをわかってあげられない』なんて思って、好きになる人はいるわ。恋は盲目ではないけど、新堂くんのようなタイプはそういった人には好かれるんじゃないかしら」
坂上 : 「そういうもんですかね……」
倉田 : 「ダメな男に尽くすのが好きって人もいますもんねー」
岩下 : 「誰かのお世話をする、献身するというのは無償の愛に見えて一種の束縛よ。そうして自分の手で甘やかし自分なしでは生きられないほど骨抜きにするのも強い独占欲、あるいは執着で恐ろしいものだから……ふふ、新堂くんはあれで結構大変なのかもしれないわね」
坂上 : 「どういう意味ですか、岩下さん」
岩下 : 「さぁ、どういう意味かしら? ……私も行くわ、定例会頑張ってね」
坂上 : 「岩下さん……」
倉田 : 「細田さんと風間さんは帰らないんですかー?」
細田 : 「えへえへ、親友の坂上くんが残っているから僕もいようかなって……」
風間 : 「ボクは恵美ちゃんのために残ってあげてるよ、ハニー」
倉田 : 「風間さんウッザ!」
坂上 : 「あはは……」
いっぽう、その頃。
荒井 : 「福沢さんがこの企画に乗り気だったのは正直意外でしたね……」
福沢 : 「私も! 荒井さんこういう話にはこないかと思ってたー」
荒井 : 「えぇ……ですが、まぁ……僕らが思っている以上に新堂さんは自分の外見に無頓着だったようですね」
福沢 : 「ねー……頭がプリンになってるのも気にしてないからだよ。お金がないからなのかなーとか思ってた」
荒井 : (でも、そういうところが何とも言えずくすぐられるのは何でしょう……自分とあまりにもタイプが違うからでしょうか……)
福沢 : (でもー、そういう所が話してて気が楽なんだよねー。何だろ? 感覚が私と近いのかなぁ……)
荒井 : (最も、新堂さんの良さは僕だけが……)
福沢 : (でも、新堂さんのいいところは私だけが……)
わかっていれば、いい。
そのほうがずっといい。
そんな事を思う「隠れファン」が存外に多い新堂だった……。
倉田 : 「ところで、実は私も美形線出たことあるだー!」
坂上 : 「そうなの? 男の人にしか出てないと思った」
倉田 : 「つまり私って……イケメンだったってこと!? やだー、私バリタチ総攻めになっちゃう!?」
日野 : 「倉田は何を言ってるんだ?」
細田 : 「日野さんは知らなくてもいいと思うなぁ……」
風間 : 「恵美ちゃん……恵美ちゃんならボクはそういうのも受け入れちゃおうかな……!」
美形線(白抜き睫毛)は倉田にも出ているのだという。
あと、何となくあのあと新堂に倉田と福沢が「睫毛美容液」をプレゼントしてくれたらしい。
その日、新聞部には「学校の七不思議」を語る生徒たちが集められていた……。
新堂 : 「うーす」
坂上 : 「あっ、新堂さん」
新堂 : 「何だよ坂上、前に集会はやったよなァ? それだってのにこんな汚ェ部室に呼び出すとかよっぽどの事があったのか?」
坂上 : 「いえ、違うんです。今回は僕が呼び出した訳じゃなく、えぇと……」
荒井 : 「新堂さんが来ましたね、じゃあ始めましょうか」
福沢 : 「えぇ、始めましょう。では『第一回・いかにして新堂さんの顔に美形線を出すか会議』を始めたいとおもいまーす」
新堂 : 「いやちょっとまて何を始めようとしてんだテメェら!?」
坂上 : 「僕もいったい何がなんだか……気付いたら皆が集まっていて……」
朝比奈 : 「うう……今日は新聞部の定例会の日なのに全然何も出来ないよ……」
荒井 : 「何ぼーっとしてるんですか新堂さん、今回の主役なんですから座ってください」
福沢 : 「さぁ、新堂さんが座ったらみんなで『どうやったら新堂さんに美形線が出るか』の話し合いはーじめまーすよー!」
新堂 : 「しかも俺に対して全面的に失礼な会議しようとしてねぇか!?」
日野 : 「というか、そもそもの話『美形線』って何だ……?」
倉田 : 「説明しよう! 美形線とは、美形キャラクターにだけ許された顔のラインである! たとえば艶めかしいほどの黒髪に入るツヤベタとかは美形線と言ってもいいだろう」
日野 : 「知ってるのか倉田!?」
倉田 : 「当然ですよ、民明書房『美形線入門』にちゃんと書いてありましたから」
日野 : 「それは書いてないの同義語では……」
坂上 : 「ともかく、美形線は『美形キャラが美形である事を強調するための顔描写』って意味かな……」
倉田 : 「そうだね! 鳴神学園の生徒は、とりわけ美形として描かれているキメ顔の時に、白抜き睫毛が出るんだって! それが鳴神流の美形線! 鳴神学園の生徒で白抜き睫毛が浮き出る顔描写がされてたら……イケメン決定なんだよ!」
荒井 : 「そうです。そしてその美形線、新堂さんは一度だって出た事がないので……」
福沢 : 「後輩の私たちが、どうやったら新堂さんに美形線が出るか考えよーってなったの!」
新堂 : 「いやいやいや、何でそうなんだよ!?」
倉田 : 「先輩思いの後輩さんがいてよかったですね新堂さん」
新堂 : 「いやいやいやこれ、明らかに俺をバカにしてんだろ!? 遠回しに『今の俺はイケメンとは言いがたい』と言ってんじゃ無ェのか!?」
荒井 : 「そこまでは言ってません、美形じゃないと言ってるんです」
新堂 : 「限りなく同じじゃねぇか!」
福沢 : 「イケメンと美形は違いますよー」
新堂 : 「あー、まぁ、気を遣ってもらって悪ィが俺は別に自分の顔が嫌いだって訳じゃねぇし……そりゃぁ荒井みたいな美形じゃ無ェ自覚はあるけどよ」
倉田 : 「荒井さんのこと美形だと思って見てたんだ……」(メモメモ)
坂上 : 「倉田さん、実在人物の二次創作はリスキーだよ」
新堂 : 「顔が怖ェ事で困ってる訳じゃねぇし……別にモデルやらタレントになろうって訳でも無ェからよ。美形になろうとは思ってねぇんだ」
福沢 : 「ダメだよ!」
新堂 : 「福沢?」
福沢 : 「新堂さん確かに美形じゃないけど、人間には誰でも人生でモテ期があるみたいに人には誰だって角度によれば美形に見えるアングルがあってもいいはずでしょ!? 今の新堂さんにはそれがないんだよ!? おかしいでしょ、どの角度から見ても安定して怖い顔とか、それもう怪異だよ!」
新堂 : 「言うに事欠いて人の顔怪異扱いしてんじゃねぇよ!」
倉田 : 「でも人生でモテ期を早くに使い果たしてしまうタイプの人っているよね」
福沢 : 「小学校の頃、かけっこが早いからモテたのがモテ期のピークみたいな人ね」
新堂 : 「う……」
荒井 : 「新堂さん、言葉につまりましたね? モテ期が小学校の頃に来たタイプですね」
新堂 : 「うるせぇよ……俺は硬派だからモテ期なんて必用ねぇんだから……」
細田 : 「……という事は、僕はまだモテ期が来てないだけでこれから大人になって濃厚な色気が出てモテる可能性が存在しているって事でいいのかなぁ。うぷぷ……楽しみだなぁ……」
倉田 : 「いたんだ細田さん」
福沢 : 「まぁ、夢を見るのは自由だからそのままにしておいてあげよう!」
岩下 : 「僅かな希望の糸さえ断ち切れてしまったら生きるのも辛いでしょうからね……」
細田 : 「畳みかけられる女子からの冷たい言葉! 僕がそういうので興奮するタイプじゃなかったら心が折れてる所だったよ坂上くん……」
坂上 : 「細田さん、新たなフェチズムが開墾できて良かったですね」
新堂 : 「うーん……そんなに大事なことかよ、美形かどうかって……俺はナメられないように見られりゃそれで充分なんだがな」
荒井 : 「そんな消極的な態度でいいんですか新堂さん? 美形線は風間さんにも出ているんですよ」
風間 : 「あはァ。ボクは鳴神のアイドル、みんなの王子様だから当然といえば当然だけどね」
新堂 : 「……まぁ、風間は別になぁ。こいつ、何だかんだいって背も高いしイケメンだとは思うぜ。黙ってれば」
岩下 : 「そうね、風間くんは黙っていて見ているだけなら何の問題もないイケメンよ」
日野 : 「1分以上会話しなければ間違いなくイケメンだな」
風間 : 「流石にみんなボクの顔面良人(がんめんよいんちゅ)なのはわかってくれてるみたいで嬉しいよ、うんうん」
荒井 : 「本当にいいんですか? 今のを疑いなく褒め言葉だと思っている知性の人でさえ美形線が出ているんですよ? いや、よくない。新堂さんが良くても僕が良くないです」
新堂 : 「たしかに今、ちょっと『こいつに負けてんのか?』と思ったら自分が嫌になったが……かといって顔をすげ替える事が出来る訳でもねぇしなぁ」
福沢 : 「うーん、せめて風間さんがやってる美容とかそういう秘訣を教えてもらったらどうかな?」
新堂 : 「美容? って化粧するとかか? おいおい、俺はそういう細々したの苦手だぜ」
倉田 : 「最近はメンズエステってのもありますし! 毎日化粧水や乳液とかつけるだけで結構違いますよー、で、風間さん何かそういうのやってるんですか? スキンケアとか」
風間 : 「うーん、特にやってないかなぁ、毎日おいしいご飯を食べて夜8時に寝てるくらいだよ、夜更かしはお肌に悪いからね」
新堂 : 「健康優良児かよ! 夜8時なんてまだ昼じゃねぇか」
福沢 : 「新堂さんの昼判定がガバガバだ!」
岩下 : 「新堂くんは夜8時頃には何をしているのかしら? 寝てはいなくとも食事はもう終えていないと身体に悪いと思うけれども」
新堂 : 「夜8時頃はフツーにジョギングに出てるぜ? 飯くって腹落ち着いたくらいに1時間ほど走ってるから」
風間 : 「健康優良児じゃないか! 夜中に運動するとか疲れちゃうだろう!?」
福沢 : 「新堂さんって思ったよりちゃんと練習してますよねー」
新堂 : 「何だよ思ったよりってのはよ……家にいても勉強しろとかウルセェしそれなら身体動かしてる方が楽なんだよな」
風間 : 「何かごめんな、新堂……ボクは美形だから新堂みたいに身体をイジめなくても何もせずに綺麗な顔でいられて……ご飯を食べれば食べるほど身長になっていくし全然太らないおかげで背も180cmあるし……さして運動しなくても長い足とスマートな身体を手に入れちゃってなんか、恵まれて本当にごめん……」
新堂 : (ドスッ)
風間 : 「痛い痛い! 暴力はやめたまえよ! ボクじゃなくてボクシングに青春をぶつけてくれたまえよ!」
荒井 : 「いや、今のは殴るべき案件ですよ、サンドバッグのかわりにボクシング部に吊してもいいくらいです。何なら僕が吊しておきましょうか?」
風間 : 「何恐ろしい事言ってるんだこの陰キャくんは!?」
細田 : 「そうだよ荒井くん、ダメだよそんなこと……」
風間 : 「おっと、おデブちゃ……ややふくよかなキミ!? ボクをかばってくれるとか見る目があるねいやぁ、ボクって知らない間に後輩にも好かれる良き先輩に……」
細田 : 「やるなら徹底的にもっとこう、髪とか全部燃えるようなやりかたがいいと思うんだ」
荒井 : 「そうですね、風間さんの髪だいぶ邪魔ですからね」
風間 : 「ワオッ! 後輩からの人望が全然ないみたいだ、モテる男は知らないうちに嫉妬を買うから辛いね……」
坂上 : 「風間さんの自分の顔面に対するポジティブさすっごい」
倉田 : 「新堂さんに美形線が出ないのは顔面に対する絶対的な自信とポジティブさが足りないのかもね」
新堂 : 「別に美形線を求めて生きていねぇからな……」
岩下 : 「とにかく、風間くんは全く参考にならないわね。他に美形線が出ている人の話を聞いてみたほうがいいんじゃないかしら。他には誰かいるの?」
坂上 : 「あ、僕は出てます」
荒井 : 「僕も出てますね……」
新堂 : 「おい、骨格からして美形の二人が挙手してんぞ。これ参考にならねぇだろ、遺伝子レベルが美形の連中だぞ? こいつらみたいになれって言われたら遺伝子レベルで改造求められちまうだろ」
荒井 : 「新堂さん、紹介しましょうか。白井先生」
新堂 : 「絶対ヤベェことになるじゃねぇか!? いや、遺伝子レベルでやり直したり改造したりするつもりは無ぇからな」
風間 : 「ははッ、遺伝子組み換え新堂が見れると思ったのに残念だね」
新堂 : 「お前こそ白井を紹介してもらえよ、白井に脳みその遺伝子組み替えてもらってもっと上等なものにしてこい」
荒井 : 「風間さんに脳みそなんて上等なもの入ってる訳ないですよ。ババロアしか入ってないんじゃないですか」
新堂 : 「そっか、いくら白井でもババロアを脳みそにするのは無理だよな……」
風間 : 「ババロアみたいに甘いマスクだって認めてくれてるんだね嬉しいよ」
倉田 : 「本当に自分の顔面に対するポジティブさすっごい」
日野 : 「難しい言葉はわからないから聞こえてないだけかもしれんな」
倉田 : 「そういう日野さんも出ているんですよね、美形線。何かしているんですか?」
日野 : 「ん? ……俺にそんなもの出ているのか? 知らなかった」
坂上 : 「追加パッチ分で美形線が出たんですよ」
倉田 : 「屈辱の敗北屈服CGも追加されているから最高なんですよ日野さん!」
日野 : 「聞いていて全然最高要素のない話だな……」
新堂 : 「日野はそんなに健康的な生活とかしてなさそうだがなぁ」
日野 : 「あぁ、俺は自分でも特に何かしているとかはないと思う……夜更かしもするし記事を書くために休日に夜通し書き物なんかもするしな」
朝比奈 : 「えい!」
日野 : 「!? おいやめてくれ朝比奈、何をするんだ……」
朝比奈 : 「えいえい!」
日野 : 「いや本当にやめてくれ! 髪のセットがくずれっ……」
坂上 : 「部長、何しているんですか!?」
倉田 : 「背の小さい部長が日野先輩にぴょんぴょん飛びついていくのかわいー」
朝比奈 : 「はい、終わりっと。ほら、日野ってキッチリガッチリ前髪固めてるから油断するけど、髪型違うと顔滅茶苦茶格好いいよね?」
福沢 : 「ホントだ! 日野さんかっこいいじゃないですか、もったいないですよ何でそのぴっちり真ん中分けポマードガッチガチめがねお兄さんやってるんですもー」
倉田 : 「ま、日野先輩が格好いいのは新聞部では周知の事実だけどね、フフーン。恵美ちゃんはちゃーんとわかってますよ。うんうん、綺麗な顔の年上お兄さんの前に現れた可愛い顔の後輩、最初は気にしてなかったけどふとした瞬間に見る大人の顔にときめく坂上くんとか、うしし、いいよねー」
日野 : 「倉田は何の話してるんだ?」
岩下 : 「日野くんは知らなくていいことよ……」
新堂 : 「まぁ、日野も顔はいいよな。目鼻立ち整ってるから、そのダセぇメガネと髪型じゃなけりゃもっとモテてると思うぜ」(ひょい)
日野 : 「し、新堂! メガネまで取り上げないでくれ。俺はメガネがないと本当に何も見えないんだ! それにメガネと髪型を馬鹿にするな! ママが選んでくれたメガネにママがいつもセットしてくれてる髪型なんだぞ……」
朝比奈 : 「日野は本当にいい奴だと思うけどお母さんの話する時は本当に気持ち悪いよね」
倉田 : 「ですよねー、本当にあれだけがマイナスポイント。玉に瑕って感じです」
福沢 : 「あのレベルになると傷というか致命傷じゃない? 玉が大破ってかんじ」
新堂 : 「結局、美形線も何もソレが出る奴は元々素材がいいって事じゃねぇの? 日野も荒井も坂上も……認めたくねぇけど風間も、顔はいいと思うからよ」
倉田 : 「そう考えると鳴神ってけっこう美男子多いよね」
福沢 : 「個性にエッジがきいてる人が多いけどね」
新堂 : 「おまえらが言うなよ……いや、おまえらもだいぶエッジきいてるぞ」
倉田 : 「うーん、でも人ってこのアングルだとイケてるって時あるよね? 新堂さんもそういうアングルありそうだけどなー、何が悪いんだろ?」
荒井 : 「顔の情報量が多いんですかね」
福沢 : 「情報量……?」
荒井 : 「美形って思ったより顔のパーツが大人しいんですよ。目鼻立ちがスッキリしている、なんて言い方がありますけど整った顔立ちというのは顔にあまり無駄な要素がないんです」
福沢 : 「あー……確かに荒井さん顔の情報量少ない。色白で顔立ちスッキリしてるから顔には無駄がないかも。前髪ちょっと長すぎるから顔隠れちゃってるのもったいないけど」
倉田 : 「いやいや、そこはあえて見せてないからこそ良いものだよ。普段は綺麗な顔を隠している美形、いいじゃない。うししし……」
福沢 : 「それを考えると、確かに新堂さん顔の情報量多いよ! 目ぇすごい細いつり目だし、頬骨の主張激しいし、耳にピアスばっちばちだし、髪の毛金髪プリンだし!」
倉田 : 「確かにー、絵で描くにしてもあまり要素が多いとかえって描きづらいとかあるよねー。これだけ顔に個性があると作画コストが大変かも。髪の毛も完全な金髪じゃなくて根元が黒いからカラーのコストもかかりそー……新堂さん、作画泣かせのデザインだね」
岩下 : 「耳のピアスもうっかりすると描き忘れがおこりそうよね、原稿の端に『両耳ピアス』『ピアスの形』のメモを貼り付けておかないとピアス描き忘れで入稿しそうだわ……」
倉田 : 「メモ残したの忘れて入稿するのも怖いですよ」
日野 : 「あれは何の話なんだ? 新堂の作画って何だ?」
坂上 : 「たぶん、日野先輩は知らなくていい話ですよ」
福沢 : 「いっそ、もっと顔をスッキリさせちゃおうか! 鼻とか削いじゃう?」
新堂 : 「何をいっそ清々しく無くそうとしてんだ!? 生活の質が著しく落ちる未来しか想像できねぇよ!」
福沢 : 「大丈夫です、痛くないようにしますから! 鼻をそいで頬骨あたりももう少しマイルドに、目つきももう少し切れ長のつり目にしましょう、ねっ」
新堂 : 「ねっ! じゃ無ぇんだわ。もう俺の顔じゃねぇよそれは!」
福沢 : 「あ、そっか。それなら……顔をぜんぶ潰して最初から作り直してたほうがいい……ってこと!?」
新堂 : 「いやそういう事でもねぇ、邪悪なハチワレちゃんすんな!」
倉田 : 「新堂さん、ちいかわ知ってるんだ」
坂上 : 「ちゃんと『ハチワレちゃん』って呼ぶんだ」
新堂 : 「とにかく! 俺は別に美形になろうとも思わないし美形線とやらが出なくて困ってる訳でもねぇんだ。もういいだろ?」
荒井 : 「本当にいいんですか? 新堂さん……あなた、個人のイベントCGが実質1枚もないような状態なんですよ!?」
福沢 : 「荒井さんそれ言っちゃうの!?」
荒井 : 「細田さんも1枚ありますし、特に個人CGをもっていない風間さんは全体的にイベントCGの作画がいいんです……新堂さん、それでもいいんですか!?」
新堂 : 「……何の話してるんだ荒井は?」
坂上 : 「よくわからないですけど、由々しき事態なんですよ。たぶん」
新堂 : 「あー……何だ? 俺はそのイベントCGが少ないのとかよくわかんねーけど……別に皆と一緒にはフツーにいるんだろ?」
荒井 : 「まぁ、そうですね……そういう意味では僕の方が描き忘れられそうになる勢いがあります」
新堂 : 「俺は別にそれでもいいけどな。ツレと一緒の方がいいんじゃねぇの? 一人より……」
荒井 : 「!? 完全に陽キャの発想ですね……」
福沢 : 「何となく陽キャの発想がない空間を作っていたから『一人よりみんなのほうが楽しい』って感覚ちょっと抜けてたよ!」
新堂 : 「話それだけなら帰るぜ、俺も練習しねぇといけねぇし、期末も近いんだからおまえらもちゃんと勉強しろよ」
福沢 : 「しかも何かフツーの先輩っぽいこといって帰っちゃった……」
荒井 : 「新堂さんのためを思って集まりましたが、余計なお世話でしたね」
坂上 : 「はい、たぶん企画段階からだいぶ余計なお世話だったと思いますよ」
岩下 : 「私たちが思っている以上に、新堂くんは強かった……それだけよ」
坂上 : 「そんな格好いい雰囲気でまとめる話ですかね、これ……」
朝比奈 : 「話が終わったなら新聞部の定例会はじめていいかな……」
日野 : 「はじめるか? 暇なら岩下たちも参加していいぞ」
坂上 : 「いいんだ」
倉田 : 「外部の意見も取り入れるの、たまには新鮮かもね!」
荒井 : 「僕は帰りますよ。期末試験も近いですし……」
福沢 : 「私も、今日は部活に顔を出そーっと」
坂上 : 「……なんか率先して集まった人が帰っちゃいましたね」
日野 : 「あいつらはそういう奴だよ、じゃ始めるか」
風間 : 「アハッ、新堂も損な奴だよね。せっかくこのボクからモテる秘訣を教わるチャンスだったのに……」
岩下 : 「あら、別に新堂くんがモテない男だとは思わないわよ、私は」
坂上 : 「そうなんですか? 新堂さん、あんまりそういう縁がないってボヤいてましたけど」
岩下 : 「確かに新堂くんはかなり周りを威圧する人だわ。近づきにくい印象もあるし、口調も粗野で乱暴よ。自信家で尊大で、すこし我が強すぎるくらい」
坂上 : 「岩下さん辛辣ですね……」
岩下 : 「でも、新堂くんは自分自身の『強さ』に対しては貪欲だわ。たとえそれが張り子の虎であったとしても、周囲からは強く頼れるような存在であろうとする……そういった所が魅力的に思える人はいるはずよ。古い言い方だと『男らしさ』への憧れね」
坂上 : 「うーん、確かに新堂さんは男らしいって感じはしますよね」
倉田 : 「するするー、男らしいってかオスっぽさすっごいよー」
岩下 : 「それに、新堂くんはあれで結構小心者よ。不良ぶっているけど真面目なところもある、だけどダメなところがある……欠陥だらけの人よね。そういう人だからこそ『自分しかこの人の良さをわかってあげられない』なんて思って、好きになる人はいるわ。恋は盲目ではないけど、新堂くんのようなタイプはそういった人には好かれるんじゃないかしら」
坂上 : 「そういうもんですかね……」
倉田 : 「ダメな男に尽くすのが好きって人もいますもんねー」
岩下 : 「誰かのお世話をする、献身するというのは無償の愛に見えて一種の束縛よ。そうして自分の手で甘やかし自分なしでは生きられないほど骨抜きにするのも強い独占欲、あるいは執着で恐ろしいものだから……ふふ、新堂くんはあれで結構大変なのかもしれないわね」
坂上 : 「どういう意味ですか、岩下さん」
岩下 : 「さぁ、どういう意味かしら? ……私も行くわ、定例会頑張ってね」
坂上 : 「岩下さん……」
倉田 : 「細田さんと風間さんは帰らないんですかー?」
細田 : 「えへえへ、親友の坂上くんが残っているから僕もいようかなって……」
風間 : 「ボクは恵美ちゃんのために残ってあげてるよ、ハニー」
倉田 : 「風間さんウッザ!」
坂上 : 「あはは……」
いっぽう、その頃。
荒井 : 「福沢さんがこの企画に乗り気だったのは正直意外でしたね……」
福沢 : 「私も! 荒井さんこういう話にはこないかと思ってたー」
荒井 : 「えぇ……ですが、まぁ……僕らが思っている以上に新堂さんは自分の外見に無頓着だったようですね」
福沢 : 「ねー……頭がプリンになってるのも気にしてないからだよ。お金がないからなのかなーとか思ってた」
荒井 : (でも、そういうところが何とも言えずくすぐられるのは何でしょう……自分とあまりにもタイプが違うからでしょうか……)
福沢 : (でもー、そういう所が話してて気が楽なんだよねー。何だろ? 感覚が私と近いのかなぁ……)
荒井 : (最も、新堂さんの良さは僕だけが……)
福沢 : (でも、新堂さんのいいところは私だけが……)
わかっていれば、いい。
そのほうがずっといい。
そんな事を思う「隠れファン」が存外に多い新堂だった……。
倉田 : 「ところで、実は私も美形線出たことあるだー!」
坂上 : 「そうなの? 男の人にしか出てないと思った」
倉田 : 「つまり私って……イケメンだったってこと!? やだー、私バリタチ総攻めになっちゃう!?」
日野 : 「倉田は何を言ってるんだ?」
細田 : 「日野さんは知らなくてもいいと思うなぁ……」
風間 : 「恵美ちゃん……恵美ちゃんならボクはそういうのも受け入れちゃおうかな……!」
美形線(白抜き睫毛)は倉田にも出ているのだという。
あと、何となくあのあと新堂に倉田と福沢が「睫毛美容液」をプレゼントしてくれたらしい。
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