インターネット字書きマンの落書き帳
読書をする新堂さんという概念(新堂×荒井)
平和な世界線で普通に付き合っている新堂×荒井の話をします。
荒井の部屋に入り浸っていたら、小説を読むということを出来るようになってしまった。
そんな新堂さん概念です。
いや、新堂さんは小説なんて読めないだろう!?
という俺と。
いや、新堂さんはあれで結構地頭はいいから、小説も読めるはずだ。
荒井の影響を受けて読んで欲しい。
という俺が殴り合いをした結果、後者の俺が勝ちました。
基本的に娯楽小説とか読んでいて欲しいですね。
荒井の部屋に入り浸っていたら、小説を読むということを出来るようになってしまった。
そんな新堂さん概念です。
いや、新堂さんは小説なんて読めないだろう!?
という俺と。
いや、新堂さんはあれで結構地頭はいいから、小説も読めるはずだ。
荒井の影響を受けて読んで欲しい。
という俺が殴り合いをした結果、後者の俺が勝ちました。
基本的に娯楽小説とか読んでいて欲しいですね。
『見てほしいと思ってしまうから』
最近、新堂は荒井の部屋に来ると本を読んでいる事が多かった。
最初は漫画一つも置いていない荒井の部屋を見て
「また、随分と娯楽のねぇ部屋だな。おまえ、毎日天井の木目でも数えて生活してんのか?」
なんて事を言っていた新堂だが、暇を持て余した時荒井に勧められた小説が随分と面白かったのか、それから面白そうな小説を見つけては勝手に読んでいるのだ。
最近は澤村伊智の比嘉姉妹シリーズにすっかりハマっており、最近三作目の「ししりばの家」を読み始めたところだ。娯楽要素の強いとはいえ、シリーズ一作目の「ぼぎわんが、来る」を読んでからまだ一週間しか経っていないのを考えると、驚くべき読書ペースといえるだろう。
勉強が得意ではなく、字など見ていれば眠くなると豪語していた新堂が小説を読むというのは少し意外な気がするが、新堂が話す様子を見る限り、語彙が少ないワケでもなければそこまで頭が悪いとも思えない。
ただ、勉強というものに苦手意識があるだけで、娯楽だと思えば小説を読むのも苦にならないのだろう。
そもそも、新堂は数学や物理、漢字の書き取りなどは壊滅的だが、現代文の成績だけはそれほど悪くないのだ。
「本を読んでいるんですか?」
湯上がりで濡れた髪をタオルで拭きながらのぞき込めば、新堂は本に視線を落としたまま笑った。
「あぁ、今まで小説なんて読んだ事なかったから、よくこんな絵の描いてないモン、読めるよなぁと思ってたけど、オマエの家、小説しかないからなァ。暇つぶしにって手に取った奴がすげぇ面白くて……」
「そうですか、それはよかったです。あぁ、その作品でしたら、他に短編集もありますよ」
「マジかよ!? これ読み終わったら貸してくれ。あぁ、今ちょっとキリにいい所まで読むから待っていてくれよな」
荒井のベッドを背もたれにし、嬉しそうにページをめくる新堂の隣に座る。
読むペースは遅くはない。時々荒井に読めない字を聞いてくる事もあるが、想像していたより漢字もよく読めているのは漫画くらいなら日常的に読んでいるからだろう。最近の娯楽小説では、義務教育で習う漢字より難易度が高いものを使うことは少ないし、漢字というものは表意性も高い。ぱっと見て意味は何となく雰囲気でわかるから、読み飛ばしても問題ないという事も多い。
そもそも新堂は感受性は強い方だ。想像する余地のある小説という媒体とは相性がいいのだろう。
これなら、荒井の好きな古典推理小説もいずれは読んでくれるかもしれない。
ミステリ作品は登場人物の心情より、トリックの緻密さやロジカルさに重きを置いていることが多いから、あまり古めかしい作品より取っつきやすい現代ミステリを勧めてからのほうがいいだろう。だとすると、青崎有吾作品が取っつきやすいだろうか。新本格派と呼ばれる世代でも良いだろうが、王道の「十角館の殺人」を読むなら、事前にアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」は読んで欲しいと思う。まだまだ読んで欲しい本が沢山あるが、新堂はどこまで飽きずに本を読み続けてくれるだろう。
そういえば、ほとんどゲームをしたことがない袖山を前に最近赤川は様々なゲームをやらせて、その反応を見て楽しんでいるが、自分の好きな本を薦めてその反応を楽しむというのは、趣味がある人間のもつ性分のようなものなのだろう。
楽しんでくれているのが、好きな人だったら尚更だ。
どうせなら新堂には、自分の好きな本を楽しんで欲しい。
面白かった、好きになったと言って欲しい。
本だけじゃない、映画や食事も、自分の好きなものをもっともっと共有したいと思う。
思うのだが、じっと本だけを読んでいる新堂の横顔を見ていると、焦れったい気持ちが募るのもまた事実だった。
どうして僕が隣にいるのに、こっちを見てくれないんですか。
あなたの隣で、あなたを愛して、あなたをこんなに見つめているのに。
燻る思いはすぐに熱を帯び、荒井は新堂へ寄り添う。
「何だよ、どうし……」
そして、僅かに荒井の方を向く新堂へ口づけをした。
新堂は静かに荒井を抱き寄せ、突然のキスにこたえるよう舌を慰め慈しむ。
しばらくキスを交わした後、新堂はどこか照れくさそうに笑っていた。
「ばか、本読んでる途中だって言っただろ。どこまで読んだかわからなくなったじゃねぇかよ」
「す、すいません。でも……僕がいるのに、僕を見てくいれないのはやっぱり……ちょっと、悔しいので」
「はぁ……おまえ、変な所で負けず嫌いなところあるよな」
新堂は本を閉じると、荒井の体を抱き寄せる。
「ま、そういう所、嫌いじゃねぇぜ。勝ち負けに拘る奴は、根性があるからな」
そして額に、頬に、唇に、キスの雨を降らす。
心地よいキスを幾度も受け、新堂に本を好きになってもらいたい。だが、それ以上に自分を好きていてほしい。そんな思いを抱くのだった。
最近、新堂は荒井の部屋に来ると本を読んでいる事が多かった。
最初は漫画一つも置いていない荒井の部屋を見て
「また、随分と娯楽のねぇ部屋だな。おまえ、毎日天井の木目でも数えて生活してんのか?」
なんて事を言っていた新堂だが、暇を持て余した時荒井に勧められた小説が随分と面白かったのか、それから面白そうな小説を見つけては勝手に読んでいるのだ。
最近は澤村伊智の比嘉姉妹シリーズにすっかりハマっており、最近三作目の「ししりばの家」を読み始めたところだ。娯楽要素の強いとはいえ、シリーズ一作目の「ぼぎわんが、来る」を読んでからまだ一週間しか経っていないのを考えると、驚くべき読書ペースといえるだろう。
勉強が得意ではなく、字など見ていれば眠くなると豪語していた新堂が小説を読むというのは少し意外な気がするが、新堂が話す様子を見る限り、語彙が少ないワケでもなければそこまで頭が悪いとも思えない。
ただ、勉強というものに苦手意識があるだけで、娯楽だと思えば小説を読むのも苦にならないのだろう。
そもそも、新堂は数学や物理、漢字の書き取りなどは壊滅的だが、現代文の成績だけはそれほど悪くないのだ。
「本を読んでいるんですか?」
湯上がりで濡れた髪をタオルで拭きながらのぞき込めば、新堂は本に視線を落としたまま笑った。
「あぁ、今まで小説なんて読んだ事なかったから、よくこんな絵の描いてないモン、読めるよなぁと思ってたけど、オマエの家、小説しかないからなァ。暇つぶしにって手に取った奴がすげぇ面白くて……」
「そうですか、それはよかったです。あぁ、その作品でしたら、他に短編集もありますよ」
「マジかよ!? これ読み終わったら貸してくれ。あぁ、今ちょっとキリにいい所まで読むから待っていてくれよな」
荒井のベッドを背もたれにし、嬉しそうにページをめくる新堂の隣に座る。
読むペースは遅くはない。時々荒井に読めない字を聞いてくる事もあるが、想像していたより漢字もよく読めているのは漫画くらいなら日常的に読んでいるからだろう。最近の娯楽小説では、義務教育で習う漢字より難易度が高いものを使うことは少ないし、漢字というものは表意性も高い。ぱっと見て意味は何となく雰囲気でわかるから、読み飛ばしても問題ないという事も多い。
そもそも新堂は感受性は強い方だ。想像する余地のある小説という媒体とは相性がいいのだろう。
これなら、荒井の好きな古典推理小説もいずれは読んでくれるかもしれない。
ミステリ作品は登場人物の心情より、トリックの緻密さやロジカルさに重きを置いていることが多いから、あまり古めかしい作品より取っつきやすい現代ミステリを勧めてからのほうがいいだろう。だとすると、青崎有吾作品が取っつきやすいだろうか。新本格派と呼ばれる世代でも良いだろうが、王道の「十角館の殺人」を読むなら、事前にアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」は読んで欲しいと思う。まだまだ読んで欲しい本が沢山あるが、新堂はどこまで飽きずに本を読み続けてくれるだろう。
そういえば、ほとんどゲームをしたことがない袖山を前に最近赤川は様々なゲームをやらせて、その反応を見て楽しんでいるが、自分の好きな本を薦めてその反応を楽しむというのは、趣味がある人間のもつ性分のようなものなのだろう。
楽しんでくれているのが、好きな人だったら尚更だ。
どうせなら新堂には、自分の好きな本を楽しんで欲しい。
面白かった、好きになったと言って欲しい。
本だけじゃない、映画や食事も、自分の好きなものをもっともっと共有したいと思う。
思うのだが、じっと本だけを読んでいる新堂の横顔を見ていると、焦れったい気持ちが募るのもまた事実だった。
どうして僕が隣にいるのに、こっちを見てくれないんですか。
あなたの隣で、あなたを愛して、あなたをこんなに見つめているのに。
燻る思いはすぐに熱を帯び、荒井は新堂へ寄り添う。
「何だよ、どうし……」
そして、僅かに荒井の方を向く新堂へ口づけをした。
新堂は静かに荒井を抱き寄せ、突然のキスにこたえるよう舌を慰め慈しむ。
しばらくキスを交わした後、新堂はどこか照れくさそうに笑っていた。
「ばか、本読んでる途中だって言っただろ。どこまで読んだかわからなくなったじゃねぇかよ」
「す、すいません。でも……僕がいるのに、僕を見てくいれないのはやっぱり……ちょっと、悔しいので」
「はぁ……おまえ、変な所で負けず嫌いなところあるよな」
新堂は本を閉じると、荒井の体を抱き寄せる。
「ま、そういう所、嫌いじゃねぇぜ。勝ち負けに拘る奴は、根性があるからな」
そして額に、頬に、唇に、キスの雨を降らす。
心地よいキスを幾度も受け、新堂に本を好きになってもらいたい。だが、それ以上に自分を好きていてほしい。そんな思いを抱くのだった。
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